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(2)燃えてきらめく海を見ながら
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聡と紗絵は、1階という名の屋上テラスでバーベキューの設営をした。
泉と謙太は寝室のベッドメイクをして、そのまま入浴ということだった。
設営と言っても、バーベキュー台をセットしてアウトドアチェアやテーブルを広げて適当に配置するだけだから、すぐに終わった。
あとは入浴を済ませた謙太が火起こしと食器の準備、泉が野菜を簡単に切っておくくらいだ。
紗絵はいつの間にか階下に下りてしまい、聡はひとり光る海を眺めながら考え事をしていた。
何を考えていたのかと言うと、それは当然、どうやって紗絵との距離を縮めていくか・・・そんなことだった。
残された時間は、まる2日もない。
その間に、最低でも次への布石を打っておかなければならないけれど、できればエッチしたいという熱望にも似た気持ちがあった。
紗絵の、豊かなバストとヒップ。
思いのままにそれらに触れて、そして彼自身の初体験ができれば・・・そんな夢のような話はない。
しかし残念なことに、コンドームの用意がない。
泉たちなら持っているだろうけど、まさか借りるわけにもいかないだろう・・・。
・・・「わっ!」
ムフフな邪念とそれに付随する悩みの中をぐるぐる回っているさなかに、いきなり背後から脅かされた。
ギョッとして振り向くと、紗絵が可笑しそうに笑っていた。
急速に落ち着く心を感じながら、紗絵は笑顔がとても素敵だなと聡は思った。
しかし紗絵の笑顔はニヤニヤ笑いに変わり、それはそれで妖しくていいなと聡は思ったのだけれど、そんな彼の耳もとに顔を近づけて彼女は小声で言った。
「ね、サトルくんも下に降りよう・・・ビックリするから」
「・・・?」
戸惑う彼の手を引いて、階段を下りていく。
彼女は足音を忍ばせるようにするものだから、思わず聡も忍び足になる。
リビングダイニングまで下りると、紗絵は無言で下のバスや寝室がある方へ続く階段の下を指さした。
しかし、耳を澄まさなくても聞こえてきてしまった。
「あっ・・・ああ・・・ああん・・・」
明らかに、姉が甘く喘ぐ声だった。
しかも聞かれているとも知らず、かなり大きな声で。
「お兄ちゃんたち、お風呂場でエッチなことしてる・・・いいな、海を見ながら」
紗絵はニヤニヤ笑いの顔を少し赤らめながら、階段から離れて海に向かったソファに腰を下ろした。
ついつい、聡も彼女に寄り添うように座り、きらびやかな海へと目をやる。
「ああ・・・いい・・・あん・・・あん・・・」
紗絵と並んで、それぞれの兄姉のセックス声を聞くという、この状況。
どうしようかと思いながらもなぜか股間のモノは大きくなるし、どう紗絵に話しかけたら良いかも分からず焦ってしまう。
彼が何もできないでいると、紗絵が横から手を差し伸べてきた。
迷いながら彼女のその手を両手で包み込むように握り、そこで彼は緊張のあまり手のひらに汗をかいてしまっていることに気づいてしまう。
「ふふ・・・」
何が可笑しいのか、紗絵は含み笑いをしてみせた。
そして、彼にからだを近づけて、訊いてきた。
「ね、サトルくん・・・ひょっとして、童貞? 当たり?」
「うっ・・・!」
藪から棒になにかとんでもないことを訊かれてしまい、返事に詰まる。
紗絵は構わずにさらにからだを寄せ、抱きついてきた。
「私は・・・ひょっとしたら分かってるかもしれないけど、処女じゃないんだ。私のほうが、サトルくんよりも少し進んでいるかもね」
言いながら、彼女は聡の手を取って、自分の胸に導いた。
円くて大きくて弾力のある、乳房の片方へ・・・。
「お兄ちゃんたちの声を聞いてたら、私、なんだかムズムズしてきちゃった・・・」
そう言う紗絵の乳房を、聡は無意識のうちに手のひらで包み込み、ゆっくりと円く撫でさする。
ふと、風呂場で姉にそんなことをしたような記憶が蘇る。
「うっ!」
紗絵は、軽く呻いて全身を震わせた。
乳房を愛撫されながら、手を聡の股間へ静かに進めてくる。
聡は少し腰を前にずらして、紗絵が触りやすいようにする。
彼女はズボン越しに固くなった聡のモノを掴もうとし、そうしながら彼のくちびるを求めてきた。
キスは、姉ともしたことがない・・・。
人生初めてのキスは、おっかなびっくり、遠慮しながら。
それに対して紗絵の舌は別の生き物のように蠢いて彼の口の中に侵入し、歯茎を、舌を弄る。
紗絵の舌を受けながら、彼の手は彼女のTシャツをくぐって脇腹を撫で、そしてブラジャーの縁からその下へと入り込んだ。
滑らかできめ細やかで温かい、生の乳房。
その頂上の乳首を、指先でコリコリと転がす。
「・・・!」
紗絵はまた全身を震わせた。
この勢いのまま、ジーンズの下まで手を這入らせることだってできそうだった。
けれど、それは叶わなかった。
下では行為が済んだらしく、バスルームのガラス戸を開けて何かゴソゴソする物音がした。
「上へ、行こう・・・気付かれないように・・・」
紗絵は衣服の乱れを直しながら、しかし顔は紅潮したまま立ち上がった。
聡も、(いいところだったのに・・・)と残念な気持ちを抑えながら、彼女の後を追うように忍び足で上へと階段を上っていった。
・・・
テラスに戻った聡と紗絵は、何事もなかったかのようにそれぞれアウトドアチェアに腰掛けた。
初夏の太陽はだいぶ傾いていたがなかなか沈まず、そして海には無数の小波が金色にきらめいていて、ふたりそれを眺める。
まだイチャついているのか、身支度しているのか、下の謙太と泉はなかなか上がってこない。
と、紗絵が口を開いた。
「ね、サトルくんって、本当に童貞?」
「な、なんで・・・?」
また突然にとんでもないことを訊かれたような気になって、焦る。
しかし紗絵は落ち着いて、海の方の空を見上げるように言った。
「だって・・・おっぱいの触り方とか、結構こなれたふうだったし・・・。でも、キスは下手だったから、やっぱり童貞くんなのかな、なんて思ったり」
「・・・彼女は、いたから」
もちろんウソだが、しかしそう答える心の内には姉の存在があった。
姉とはピュアな関係だったが、それを知らない紗絵はさらに訊いてくる。
「へぇ・・・じゃぁ、セックスはしないでからだを触っただけなんだ・・・」
「・・・うん」
「・・・なんか偉いね、サトルくんって」
バカにされているのか、ほめられているのか分からない。
しかしこんな話題になったからには、話を発展させて彼女との距離を縮めなければならないとは切実に感じていた・・・が、なかなか最初の一歩が踏み出せなかった。
こうしている間にも、どんどん無駄に時間は過ぎていく。
そして実際に、下から謙太と泉が食材の袋やクーラーボックスを抱えて上がってきた。
よほど激しく愛し合っていたのだろうか、泉はまだ顔を赤くしていた。
しかし、何食わぬ顔をして聡と紗絵に声をかける。
「いいお湯だったから、ついつい長風呂してのぼせちゃった・・・」
「でも、美人の湯だから効果はあったと思うよ」
謙太も泉に合わせるが、聡と紗絵にはどうしても白々しく聞こえてしまう。
しかし、心の底から満たされたような姉の表情は、妙に艶かしく見えたのだった。
「さ、ふたりとも早くひと風呂浴びてこい! どうせだからふたり一緒でもいいんじゃないか?」
謙太の軽口に、紗絵は「ほんと、お兄ちゃんってバカなんだから!」とむくれてみせる。
そのまま足早に階段を下りようとする紗絵に続こうとした聡だったが、泉はそれを止めて耳打ちした。
「ね、紗絵ちゃんって空港からずっと、サトルちゃんに結構親しげにしていたじゃない? でもね、謙太さんが言ってたけど、紗絵ちゃんは普段はガードが固くて、男の子にそんなふうに接するのって初めて見たんだって」
「・・・?」
「ひょっとしたら、気があるかも、って」
照れなのか何なのかじわじわと血が頭に上るような気がして、聡はそれには何も答えず、姉を振り向きもせずに急いで階下へと下りていく。
リビングダイニングを過ぎ、バスルームに向かい合う主寝室へバタバタと駆け込む。
主寝室はキングサイズのベッドとソファベッドが備わり、謙太と泉、そして聡の3人部屋ということになっていた。
聡は部屋の隅のソファを展開してベッドにして寝るというふうに、前もって決められている。
彼は深呼吸をして息を整えながらリュックから着替えを取り出し、それを抱えて隣の副寝室をそっとノックする。
「はぁい」と紗絵は答えながら、ドアを開けた。
彼女も笑顔を取り戻し・・・いや、さっきむくれてみせたのはわざとだったのかもしれないが、彼を部屋に招き入れた。
紗絵の部屋とされた副寝室は、セミダブルベッドが間隔をおいて2台並んでいる。
「ごめんね、お兄ちゃんがバカなこと言って」
「ううん、べつに。それより、どっちが先にお風呂に入る?」
「それ、私も聞かなきゃと思ってた。サトルくんは、先? 後? どっち?」
「・・・一緒に」
ある種の勇気を振り絞って、答えた。
紗絵はそれを聞いて、一瞬表情をこわばらせて彼から視線を逸らした。
(しまった!)聡は焦ったが、次の瞬間には気持ちを切り替えて紗絵に対して正面を向いた。
ここでチャンスを逃すと、もう次はないかもしれない・・・そもそもさっきは、彼女の方から誘ってきたんじゃないか!
「さっきの続きを、したい」
「・・・」
紗絵はさらに数瞬、沈黙を続けた。
しかし大きく息をして、そしてはにかむような笑顔で聡の方を向いて答えた。
「いいよ」
そして彼女はベッドの上に置いていた着替えを取ると、洗面脱衣室のドアを開けた。
あまりの幸運に有頂天になりそうなのを抑えながら、聡も彼女の後に続いた。
泉と謙太は寝室のベッドメイクをして、そのまま入浴ということだった。
設営と言っても、バーベキュー台をセットしてアウトドアチェアやテーブルを広げて適当に配置するだけだから、すぐに終わった。
あとは入浴を済ませた謙太が火起こしと食器の準備、泉が野菜を簡単に切っておくくらいだ。
紗絵はいつの間にか階下に下りてしまい、聡はひとり光る海を眺めながら考え事をしていた。
何を考えていたのかと言うと、それは当然、どうやって紗絵との距離を縮めていくか・・・そんなことだった。
残された時間は、まる2日もない。
その間に、最低でも次への布石を打っておかなければならないけれど、できればエッチしたいという熱望にも似た気持ちがあった。
紗絵の、豊かなバストとヒップ。
思いのままにそれらに触れて、そして彼自身の初体験ができれば・・・そんな夢のような話はない。
しかし残念なことに、コンドームの用意がない。
泉たちなら持っているだろうけど、まさか借りるわけにもいかないだろう・・・。
・・・「わっ!」
ムフフな邪念とそれに付随する悩みの中をぐるぐる回っているさなかに、いきなり背後から脅かされた。
ギョッとして振り向くと、紗絵が可笑しそうに笑っていた。
急速に落ち着く心を感じながら、紗絵は笑顔がとても素敵だなと聡は思った。
しかし紗絵の笑顔はニヤニヤ笑いに変わり、それはそれで妖しくていいなと聡は思ったのだけれど、そんな彼の耳もとに顔を近づけて彼女は小声で言った。
「ね、サトルくんも下に降りよう・・・ビックリするから」
「・・・?」
戸惑う彼の手を引いて、階段を下りていく。
彼女は足音を忍ばせるようにするものだから、思わず聡も忍び足になる。
リビングダイニングまで下りると、紗絵は無言で下のバスや寝室がある方へ続く階段の下を指さした。
しかし、耳を澄まさなくても聞こえてきてしまった。
「あっ・・・ああ・・・ああん・・・」
明らかに、姉が甘く喘ぐ声だった。
しかも聞かれているとも知らず、かなり大きな声で。
「お兄ちゃんたち、お風呂場でエッチなことしてる・・・いいな、海を見ながら」
紗絵はニヤニヤ笑いの顔を少し赤らめながら、階段から離れて海に向かったソファに腰を下ろした。
ついつい、聡も彼女に寄り添うように座り、きらびやかな海へと目をやる。
「ああ・・・いい・・・あん・・・あん・・・」
紗絵と並んで、それぞれの兄姉のセックス声を聞くという、この状況。
どうしようかと思いながらもなぜか股間のモノは大きくなるし、どう紗絵に話しかけたら良いかも分からず焦ってしまう。
彼が何もできないでいると、紗絵が横から手を差し伸べてきた。
迷いながら彼女のその手を両手で包み込むように握り、そこで彼は緊張のあまり手のひらに汗をかいてしまっていることに気づいてしまう。
「ふふ・・・」
何が可笑しいのか、紗絵は含み笑いをしてみせた。
そして、彼にからだを近づけて、訊いてきた。
「ね、サトルくん・・・ひょっとして、童貞? 当たり?」
「うっ・・・!」
藪から棒になにかとんでもないことを訊かれてしまい、返事に詰まる。
紗絵は構わずにさらにからだを寄せ、抱きついてきた。
「私は・・・ひょっとしたら分かってるかもしれないけど、処女じゃないんだ。私のほうが、サトルくんよりも少し進んでいるかもね」
言いながら、彼女は聡の手を取って、自分の胸に導いた。
円くて大きくて弾力のある、乳房の片方へ・・・。
「お兄ちゃんたちの声を聞いてたら、私、なんだかムズムズしてきちゃった・・・」
そう言う紗絵の乳房を、聡は無意識のうちに手のひらで包み込み、ゆっくりと円く撫でさする。
ふと、風呂場で姉にそんなことをしたような記憶が蘇る。
「うっ!」
紗絵は、軽く呻いて全身を震わせた。
乳房を愛撫されながら、手を聡の股間へ静かに進めてくる。
聡は少し腰を前にずらして、紗絵が触りやすいようにする。
彼女はズボン越しに固くなった聡のモノを掴もうとし、そうしながら彼のくちびるを求めてきた。
キスは、姉ともしたことがない・・・。
人生初めてのキスは、おっかなびっくり、遠慮しながら。
それに対して紗絵の舌は別の生き物のように蠢いて彼の口の中に侵入し、歯茎を、舌を弄る。
紗絵の舌を受けながら、彼の手は彼女のTシャツをくぐって脇腹を撫で、そしてブラジャーの縁からその下へと入り込んだ。
滑らかできめ細やかで温かい、生の乳房。
その頂上の乳首を、指先でコリコリと転がす。
「・・・!」
紗絵はまた全身を震わせた。
この勢いのまま、ジーンズの下まで手を這入らせることだってできそうだった。
けれど、それは叶わなかった。
下では行為が済んだらしく、バスルームのガラス戸を開けて何かゴソゴソする物音がした。
「上へ、行こう・・・気付かれないように・・・」
紗絵は衣服の乱れを直しながら、しかし顔は紅潮したまま立ち上がった。
聡も、(いいところだったのに・・・)と残念な気持ちを抑えながら、彼女の後を追うように忍び足で上へと階段を上っていった。
・・・
テラスに戻った聡と紗絵は、何事もなかったかのようにそれぞれアウトドアチェアに腰掛けた。
初夏の太陽はだいぶ傾いていたがなかなか沈まず、そして海には無数の小波が金色にきらめいていて、ふたりそれを眺める。
まだイチャついているのか、身支度しているのか、下の謙太と泉はなかなか上がってこない。
と、紗絵が口を開いた。
「ね、サトルくんって、本当に童貞?」
「な、なんで・・・?」
また突然にとんでもないことを訊かれたような気になって、焦る。
しかし紗絵は落ち着いて、海の方の空を見上げるように言った。
「だって・・・おっぱいの触り方とか、結構こなれたふうだったし・・・。でも、キスは下手だったから、やっぱり童貞くんなのかな、なんて思ったり」
「・・・彼女は、いたから」
もちろんウソだが、しかしそう答える心の内には姉の存在があった。
姉とはピュアな関係だったが、それを知らない紗絵はさらに訊いてくる。
「へぇ・・・じゃぁ、セックスはしないでからだを触っただけなんだ・・・」
「・・・うん」
「・・・なんか偉いね、サトルくんって」
バカにされているのか、ほめられているのか分からない。
しかしこんな話題になったからには、話を発展させて彼女との距離を縮めなければならないとは切実に感じていた・・・が、なかなか最初の一歩が踏み出せなかった。
こうしている間にも、どんどん無駄に時間は過ぎていく。
そして実際に、下から謙太と泉が食材の袋やクーラーボックスを抱えて上がってきた。
よほど激しく愛し合っていたのだろうか、泉はまだ顔を赤くしていた。
しかし、何食わぬ顔をして聡と紗絵に声をかける。
「いいお湯だったから、ついつい長風呂してのぼせちゃった・・・」
「でも、美人の湯だから効果はあったと思うよ」
謙太も泉に合わせるが、聡と紗絵にはどうしても白々しく聞こえてしまう。
しかし、心の底から満たされたような姉の表情は、妙に艶かしく見えたのだった。
「さ、ふたりとも早くひと風呂浴びてこい! どうせだからふたり一緒でもいいんじゃないか?」
謙太の軽口に、紗絵は「ほんと、お兄ちゃんってバカなんだから!」とむくれてみせる。
そのまま足早に階段を下りようとする紗絵に続こうとした聡だったが、泉はそれを止めて耳打ちした。
「ね、紗絵ちゃんって空港からずっと、サトルちゃんに結構親しげにしていたじゃない? でもね、謙太さんが言ってたけど、紗絵ちゃんは普段はガードが固くて、男の子にそんなふうに接するのって初めて見たんだって」
「・・・?」
「ひょっとしたら、気があるかも、って」
照れなのか何なのかじわじわと血が頭に上るような気がして、聡はそれには何も答えず、姉を振り向きもせずに急いで階下へと下りていく。
リビングダイニングを過ぎ、バスルームに向かい合う主寝室へバタバタと駆け込む。
主寝室はキングサイズのベッドとソファベッドが備わり、謙太と泉、そして聡の3人部屋ということになっていた。
聡は部屋の隅のソファを展開してベッドにして寝るというふうに、前もって決められている。
彼は深呼吸をして息を整えながらリュックから着替えを取り出し、それを抱えて隣の副寝室をそっとノックする。
「はぁい」と紗絵は答えながら、ドアを開けた。
彼女も笑顔を取り戻し・・・いや、さっきむくれてみせたのはわざとだったのかもしれないが、彼を部屋に招き入れた。
紗絵の部屋とされた副寝室は、セミダブルベッドが間隔をおいて2台並んでいる。
「ごめんね、お兄ちゃんがバカなこと言って」
「ううん、べつに。それより、どっちが先にお風呂に入る?」
「それ、私も聞かなきゃと思ってた。サトルくんは、先? 後? どっち?」
「・・・一緒に」
ある種の勇気を振り絞って、答えた。
紗絵はそれを聞いて、一瞬表情をこわばらせて彼から視線を逸らした。
(しまった!)聡は焦ったが、次の瞬間には気持ちを切り替えて紗絵に対して正面を向いた。
ここでチャンスを逃すと、もう次はないかもしれない・・・そもそもさっきは、彼女の方から誘ってきたんじゃないか!
「さっきの続きを、したい」
「・・・」
紗絵はさらに数瞬、沈黙を続けた。
しかし大きく息をして、そしてはにかむような笑顔で聡の方を向いて答えた。
「いいよ」
そして彼女はベッドの上に置いていた着替えを取ると、洗面脱衣室のドアを開けた。
あまりの幸運に有頂天になりそうなのを抑えながら、聡も彼女の後に続いた。
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