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(15)年上の彼女におねだりSMやってみた

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浩一は百均で荷締めバンドを4本、買った。
2センチくらいの幅の化繊のバンドに、ちょっと引っ張れば壊れそうなバックルの付いたやつ。

実用的には少々心もとないが、しかし今回の目的のためにはじゅうぶん用をなしそうだ。
セルフレジでそれらをスキャンしながら、心は踊り高鳴っていた。

なにしろ、中学時代から10年近く心の中で温めてきた「SMしたい」という夢が叶うのだから。
SにもMにも興味はあるが、今回はS・・・それが、数時間ののちにはその「当事者」になれるのだ。

・・・

学生の彼にとって生まれて初めての「彼女」は、ルミエといった。
彼よりも少し年上で、すでに保育士として働く社会人。

付き合い初めて3ヶ月くらいでふたりは「男女」の関係を持ったが、それは過去に2人の「彼氏」がいたルミエに浩一が童貞を献上するかたちではあった。
その前からも、その後からも、常にルミエが浩一をリードする形での付き合い。

それは彼にとって楽な関係であったが、その一方で常に主導権を握られている状態にたいする漠然とした「物足りなさ」も強くなってきた。
それと並行して、彼の思春期の頃から憧れていた「SM」というものに対する欲求も、とめどなく湧いてきた。

浩一的には、どうせやるなら「亀甲縛り」がベストだと思っていた。
幾何学的模様に縛られ、不自然に飛び出る乳房や、柔らかな肌に食い込む細い縄。

中学3年生の時に、雑木林の中の一本道の脇に捨てられていたエロDVDのジャケット。
その写真で、綺麗だけどあどけなさの残るお姉さんが亀甲縛りされているのを見てから、ずっとその画像が頭に焼き付いていた。

学生になってすぐの頃に、亀甲縛りの魅力についてうっかり仲間内の雑談の中で話してしまったことがある。
その時は「昭和のエロオヤジ」的嗜好だと嗤われたが、それでも亀甲縛りを至高の美だと信念を曲げなかったりもした。

しかし・・・ルミエとのエッチもだいたい技を出し尽くしてきたころ、思い切って「やらせてください!」と頭下げてお願いしたにも関わらず、亀甲縛りをやらせてもらえなかった。
それどころか彼女は、亀甲縛りに対して露骨な拒否反応を示したのだ。

そこをなんとかお願いして、床に頭を擦り付けるくらいの懇願までして、ようやく「手足を縛るくらいなら」とお許しが出たのだ。
亀甲縛りへの対案としては非常にショボいのだが、しかし浩一としてはようやく勝ち取った権利であった。

・・・

場所は浩一の部屋。
そもそもルミエは自分の部屋にベッドは持たず、寝具は床に直敷だったので手足を縛ったベルトを固定できないのだ。

一方で浩一はパイプベッドを持っていたので、これで彼女の手足を四隅に固定できるというわけだ。
シャワーを浴びたルミエはバスタオルを巻いたまま、ベッドの上に横になる。

裸のまま縛られるのは、彼女が難色を示したのだ。
しかしバスタオルを巻いてからだを隠していても、彼女は不安そうな目で浩一を見上げる。

そんな彼女の左手を取って、手首をハンカチで覆う。
彼女は保育士をしているから特に、子供や保護者の目に触れる部位に縛られた痕を残すわけにはいかないのだ。

・・・以前まだ付き合い初めの頃に、行為の最中に興奮が高まった浩一はうっかり彼女の首筋にキスマークを付けてしまったことがあった。
彼女は困惑し、強く彼に文句をいい、消えるまで傷テープで隠さざるを得なかった・・・。

ハンカチの上からバンドで巻いて、パイプベッドのフレームに固定する。
その様子を、ルミエはただ黙って見ていた。

今度は右手を取ってハンカチを巻き、反対側のフレームに固定。
バンザイする格好になった彼女は、もう目を閉じてしまった。

何も言わないが、バスタオルの下の胸は深い呼吸で大きく上下していた。
その旨の膨らみに手のひらを当てて撫でさすると、ルミエはいやいやをするように首を軽く横に振る。

今度は脚だ。
浩一は下に回る。

固く閉じた脚は、ベッドの足元に届かない。
浩一は左足首を取って、ルミエを促すように軽く引っ張る。

彼女はイモムシのようにモゾモゾとからだを動かし、下に寄る。
足首にもハンカチを巻いて、フレームに固定。

羞恥心からか、彼女は脚の付け根を防御するように右脚を左脚にクロスさせて固く結んでいる。
浩一はそれをほどくように右足首を取って、反対側のフレームに持っていった。

それでもなおもルミエは両腿を閉じようとするので、バスタオルの裾の中はそこまで晒されていない。
しかしわずかに見える彼女の性器は、興奮して充血して膨らんで濡れて光っているのがわかる。

浩一は固く目を閉じたままのルミエに、そっとキスをする。
彼女は驚いたように目を見開き、しかし静かに目を閉じると舌で彼の舌を出迎えた。

舌と舌を絡め合わせながらの、濃厚なキス。
ひょっとしたらこれほどのキスは、付き合いを始めてから無かったかもしれない。

キスをしながら、浩一の手はバスタオルの上から再び胸をまさぐる。
いや、それだけではなくルミエのからだに巻き付いたバスタオルをほどきにかかる。

「あっ、いやっ!」

ルミエは抵抗するが、しかしそれは絶対の抵抗ではなく、少し力を入れれば彼に従う程度の抵抗だった。
浩一がバスタオルを剥ぎ取ると、一糸まとわぬ生まれたままの姿でベッドの上で両脚を開いたバンザイをするルミエの姿。

改めてじっくり見ると、こんなに綺麗なからだだったんだとハッとさせられる彼女の裸体だった。
あまりの美しさに、息を詰めて見とれてしまう。

「やだ・・・そんなジロジロ見て・・・」

顔だけでなく全身まで赤く染めて、ルミエは訴えた。
腕や脚を内側へ・・・からだの方へ引き寄せようとするのだが、固定されているので叶わない。

ルミエの声に我に返った浩一は、立ち上がっておもむろに筆を手に取った。
これも今回のために百均で買った、化粧筆。

一瞬目を開いた彼女は浩一が手に持つものを目にし、おののくように目を閉じてからだを固くした。
浩一はフサフサの毛先を試すように、彼女の頬の上を撫でる。

全身をピクリと軽く痙攣させて、眉間にしわを寄せて首を振るルミエ。
続いて首筋、顎の下、鎖骨の上へと、筆先をサワサワと走らせる。

感じているのか、くすぐったいのか、彼女は全身を震わせながら、声を押し殺して耐えていた。
しかしその筆先が脇の下、そして脇腹を撫でると彼女はバタン、バタンとからだを上下させて大声で笑った。

本当だったら笑い転げるところだが手足を固定されているため、涙を流しながら動ける範囲でバタバタする。
それに合わせて、パイプベッドもガタガタ、ギシギシと震える。

「もうやめて、やめて~! 死んじゃう~!」

言われる通りに、くすぐるのを止めた。
しかし当然にようにそれで終わり、ではなかった。

彼女の息が落ち着いてから、今度は毛先で乳房の外周を円くなぞっていく。
「うっ!」と声を出してルミエは感じたようだったが、浩一はさらに筆先を乳房の真ん中へ近づけていき・・・。

「ああんっ!」

ルミエは乳首の先をなぞられて、全身で激しく痙攣。
構わず両方の乳首を交互に軽くなぞっていく。

「ああん! やめて! 感じちゃう! あああん!」

一旦は乳首から離れるものの、乳房の縁をなぞってから再び乳首に戻る。
ルミエは首を上下にガクガクとさせて悶え、ベッドも悲鳴を上げるように軋む。

「お願い、もういじめないで」

ルミエは懇願するが、縛られていて彼を制することはできない。
彼女を無視しながら責め続け、しかしだんだんとさすがにやりすぎだと少し怖くなってきた。

そこで筆を引っ込め、こんどは彼女の両脚の間に移動する。
くろぐろとした恥毛の下には、ぬらりと光る熱帯植物の花のような肉の重なりがあった。

「濡れてるじゃん・・・どうしてこんなに濡れてるんだよぉ~・・・」

浩一の言葉にルミエは激しく反応して暴れ、しかしベッドのパイプを揺らすだけ。
しかし実際にそれまで彼が見たことがないほど濡れていて、シーツにまで露が垂れ大きな染みを作っている。

おそらくは、からだを開かれたまま縛られているという状況が、彼女に異常な興奮をもたらしているのだろう。
彼女の性器はそれまで見たことがないくらい、軟体生物のようにうごめいて透明な粘液を分泌している。

彼はそっと、そこに口を近づける。
そして、肉を縦に舐めあげてその上の突起を舌先で揺する。

「あああああっ!」

悲鳴を上げるルミエ。
しかし両手両脚を開かれたまま縛られた格好で、からだを上下にうねらせて暴れるだけ。

浩一は顔を離し、こんどは指を挿れてみる。
まずは人さし指・・・出し入れしたり、熱くたぎる彼女の中で曲げてみたり。

「ああん・・・あああ・・・ああん・・・」

ルミエはなおも目を閉じたまま、唯一自由の利く頭を激しく左右に振る。
浩一が指を出し入れするたびに、新しい露がどんどん流れ出してくる。

次に、中指も加えて2本で・・・。
同時に親指は突起の付け根に固定して、グリグリと回す。

激しく息をしながら、悲鳴にも似た声を上げるルミエ。
そして薬指も加えて、3本指で彼女の中をかき回す。

「ああっ・・・ああっ・・・イク、イク、イッちゃう・・・ああ~っ!」

彼女は全身を激しく上下左右にくねらせ、のた打つように暴れた。
両手首両足首で彼女に繋がれたパイプベッドが軋み、破壊されるのではないかと思えるくらいの激しさだった。

・・・

彼女が落ち着くまで、浩一は両手両脚をいっぱいに開いたままのルミエに寄り添った。
寄り添いながら、軽いキスをしたり、乳首の先を指先でいらったりした。

深い深呼吸をしてから彼女の息がようやく正常に戻るのを認めて、浩一はルミエの耳もとに囁くように訊いた。

「ね、こんなことするの、本当に初めて?」
「やだ・・・なんでそんなこと聞くの?」
「・・・初めてじゃないんだ?」

彼に顔を背けるようにして目を閉じながら、こっくりと彼女は頷いた。
しかし、これだけは伝えなければとでも言いたげに、口を開いた。

「でも、その時は痛い思いしかしなかった・・・初めてのカレだったけど、自己中で。私が痛がるのを見て楽しんでる感じで・・・それからすぐに、別れた」
「・・・じゃぁ、僕は?」
「・・・やっぱり、いじめすぎ」
「別に、いじめたつもりはないけど」

浩一はルミエのアソコに再び手を伸ばした。
短い時間とはいえ休んでいたそこは、露の流れ出すのが治まっているように彼の指先に感じられた。

しかしそこの肉は刺激を受けてすぐにもとの膨らみと湿潤さを取り戻し、ルミエも甘い声を再び上げ始めた。
彼は乳首に唇を寄せながら、アソコを責め続ける。

「ああん・・・いい気持ち・・・ね、お願い・・・そろそろ這入はいってきて・・・」

言われるまでもなく、彼はいつ彼女の中に這入っていこうかと機会を伺っていた。
すぐにコンドームを装着し、開かれた両脚の間に跪き、そして彼女に覆いかぶさる。

普段よりも熱さも濡れ方も激しいルミエの中にいっぱいまで這入ると、浩一は幸せのあまりそのまま腰を止めた。
しかし・・・どうもいつもと比べて微妙な違和感も同時にあった。

やはりこれは、彼女の下半身が縛られて自由に動けないところから来るものらしい。
それを察した浩一はモノを彼女から一旦引き抜き、両足首のバンドを解いた。

たちまちルミエは両脚を閉じ、膝を曲げながら腰を上げて下半身を丸める。
すぐに浩一はその脚をぐいと開き、もういちど挿入。

自由を取り戻したルミエの腰は立体的に蠢き、両脚は浩一の腰に絡みつく。
それでいて彼女は両腕を頭上に上げたまま、乳房を無防備に露わにしている。

彼は激しく彼女を突きながら、乳首を唇に含んで舌先で刺激する。
彼女はあられもない声を上げながら、顔をクシャクシャにしかめながら首を振り続ける。

「あんっ! ああんっ! ・・・あんっ! ああっ! ・・・いい気持ち・・・あんっ!」

ふたりは互いを求め合いながら激しく動き、声を上げ、そして同時にイッた。
るたりの興奮がそれぞれ治まったあとで分かったが、ベッドは全体的に3センチほど移動していた・・・それくらいの、ふたりにとって初めての激しさだった。

ベッドの位置を直す浩一の肩を掴んで、ルミエは言った。
その顔には、いささか残忍な表情が見て取れた。

「コーイチ、今度はあなたの番だからね」
「・・・?」

彼は一瞬、ルミエの言っている意味を掴みかねた。
しかし彼女が手に持つバンド・・・さっきまで彼女の両手両脚を縛っていたバンドを見てその言わんとするところを察し、緊張のあまりごくりと唾を飲み込んだ。
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