神崎くんは残念なイケメン

松丹子

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3章 神崎くんと私

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「今週末、どこ行きたい?」
 早紀たちの結婚式から一ヶ月。互いの両親への挨拶や、結納代わりの食事会を済ませた私たちは、今週末が久々の休日デートだ。
 平日は、隼人くんの出張に合わせたランチか、私がたまたま都内へ出張になったときの夕飯を一緒に過ごす。でも、隼人くんの打ち合わせは夏以降月一になってしまったし、私の都内への出張など年数回しかないので、実際にはあまり会えていない。
 隼人くんに聞かれて、私は考えた。
「隼人くんが弓引くところ、また見たいな」
 隼人くんは飲んでいたお茶が変なところに入ったらしい。げふげふと咳こみはじめた。
「大丈夫?」
 私が問うと、喉を整えながら頷く。
「何で、急に?この前、水族館にクラゲ見に行きたいとか言ってたよね」
 それは仕事が忙しかったときに電話で口にしたぼやきだ。
「クラゲ、ボーッと見るだけだよ。私何時間でも見れると思うから隼人くんつまんないよ」
 隼人くんは笑った。
「つまらないなんてことないよ。俺はそうやってボーッとしてる君を、何時間でも見てられる」
 私は顔を赤らめて唇を尖らせた。
「やだ、それじゃゆっくり見れない」
 隼人くんは笑いながら、向き合って座っていた私の横まで来ると、頭を抱きしめた。私の頬に隼人くんの胸が当たる。私もそろりと隼人くんの身体に手を回した。
「そっかぁ、確かに人前じゃこういう風にベタベタできないもんなぁ」
 隼人くんが私の髪ゴムをするりと外す。ぱさりと肩に落ちた髪を、愛おしみながらゆっくり手で梳くと、口元を押し付け、背中に手を回した。
 今日は私の出張が一足早めに終わったので、一人暮らし中の隼人くんの家で、ご飯を作って待っていたのだ。一度経験してしまうと、二人っきりでゆっくりできるお家デートはやめられない。
「じいっと見てるだけだと、抱きしめたくなってフラストレーションたまりそう」
 隼人くんは私を抱え込むように、首もとに鼻先を埋めた。
 ちなみに、私たちに身体の関係はまだない。婚前には望まないことを、初めて隼人くんの家に来るときに話した。
 結構勇気を出したのだが、隼人くんは平然と受け止めてくれた。曰く、俺の姉もそう言ってたから、とのことだ。理解ある人もいるものだと、ちょっと驚いた。多少は元カレと別れた原因にもなっていたからだ。
 私は隼人くんの胸に顔を押し付けた。ワイシャツは帰宅後ニットに着替えている。
「隼人くんの匂い」
「それってくさいってこと?」
「ううん。……ドキドキするけどホッとする」
 隼人くんがふっと笑うのが聞こえた。抱きしめる腕に力がこもる。
 私がもぞもぞと顔を上げると、隼人くんの優しい目がすぐそこにあった。
 静かに唇が触れ合う。
「弓道場ってどこにあるの?」
 キスが深いものになりそうなのを察して、私は少し顔を引きながら問う。一度深いキスが始まってしまえば、そのままろくに話せなくなるのがいつものパターンだ。
「……その話、なかったことにしようと思ったのに」
「だから、言ったんだもん」
 隼人くんの苦笑に答えて笑う。お見通しだったか、と笑うと、隼人くんは私の髪を撫でた。
「何でそんなに見たいの」
「隼人くんが弓を引いてる姿、かっこよかったから」
 それに、と私はまた隼人くんの胸元に鼻先を埋めながら続けた。
「あのーー弓づるが張ったときの静かな空気、すごく好き」
 隼人くんは深々と嘆息した。
「そういうこと言われちゃ、嫌だと言えないよ」
 私はふふ、と笑って、隼人くんの身体に回した手に力をこめた。

 週末になると、約束通り鎌倉市内の弓道場に足を運んだ。
 私は弓道場の中に入れないので、ガラス越しに姿を見せてもらうことにする。
 見学者のために、弓道場の横に張られたガラス前にはベンチが並んでいた。
 更衣室で弓道着に着替えて出てきた隼人くんの姿は、何となく懐かしく感じた。
 初めてその姿を見た5年前も、大人っぽく見えたけど、やっぱり今の隼人くんの方が数段落ち着いている。ほぅっと思わず見とれる私に、隼人くんは照れ臭そうに笑った。
「そんなまじまじ見ないでよ」
「あ、ごめん」
 私は謝った。
「でも、やっぱり、新郎の衣装とはまた違うんだね」
 結婚式では和装を選ぶので、フェアで新郎の衣装を試着した隼人くんを見たのだ。よく似合っていたのはどちらも同じだが、こちらの方が着慣れているのがはっきり分かる。
「まあ、こっちは運動着だしね」
 そんな話をしていると、後ろから歌うような声がかかった。
「こーうこちゃんっ、ひっさしっぶり!」
 振り向くと、立木くんが立っている。彼も同じく弓道着だった。これまた初めて会ったときを思い出す。
「え、久しぶり!すごい偶然!」
「偶然じゃないよ」
 苦笑したのは隼人くんだった。嘆息混じりに呟く。
「ほんとに来るとは……野暮な奴」
「えー、ひどーい、俺と隼人くんの仲じゃない」
 しなを作りながら立木くんが笑った。私は二人の顔を見合わせる。隼人くんが言った。
「昨日、たまたま電話でね。今日ここに来る話したんだ」
「そうそう。二人の並んだ姿が見たくてね。香子ちゃん、2年目の春にやった合コン以来だよねー。綺麗になったねぇ。愛されると綺麗になるってほんとなのかなー」
 立木くんが一気に言う横で、隼人くんが鋭い目で睨みつけている。
「そういえば、そんなこともあったね」
 私が笑ったが、隼人くんの目つきは変わらない。
「立木。お前、知らない内に何してるの?香子ちゃん合コンに誘うとか何考えてんの?」
「県内で働く地方公務員が連携しあって何が悪い」
 立木くんは胸を張った。
「仕事にも活きるんだぞ。マジで」
 隼人くんはもっと厳しい目になった。
「断る要素が減る分タチが悪い」
 舌打ちしそうなトーンで言い、深々と嘆息して立木くんの袖を引いた。
「ほら、お前も行くんだろ」
「え、俺今休憩に入ったとこ。トイレ行ってくる」
 立木くんは言って、トイレに向かった。
 隼人くんはやれやれというように脱力して、私に向き合う。
「じゃあ、行ってくるね。つまんなくなったら呼びに来て。1時間くらいで上がるつもりだけど」
「うん、行ってらっしゃい」
 私が答えると、隼人くんは嬉しそうに微笑んだ。
「何?」
「ううん」
 隼人くんは微笑んだまま言う。
「それ、もう少しで毎日聞けるようになるんだなって思って」
 私も照れながら笑った。
「そうだね」
 隼人くんは私の頭に軽く手を置いてから、弓を持って弓道場に入って行った。
 少しすると、板間で静かに的に向かう隼人くんが見えた。
 ガラス越しに見るその姿は、やっぱり静かで、かっこいい。
 クラゲもいいけど、これも悪くない、と思ったとき、立木くんがトイレから戻って来た。
 私の隣に一人分間を空けて腰掛けた立木くんは、穏やかに言った。
「婚約のこと、神崎から聞いたよ」
 その表情は、いつものように飄々としておらず、優しいものだった。
「おめでとう。よかったね」
 ありがとう、と私が言うと、立木くんはガラスの向こうに立つ隼人くんに目線を移す。私もそれを追うように隼人くんを見た。
「あいつ、割と普通の男だろ。あれだけ目立つ容姿なのに」
 だから憎めないんだよなぁ、と立木くんは笑う。
「大学で二人の姿見たときに、すぐ分かったもんな。あいつにとって大切な子なんだなって」
 立木くんの横顔からは、隼人くんに対する敬愛のようなものが感じられた。
「俺なりに、香子ちゃんのことも見てた。君ならあいつのことを任せられそうだ」
 その台詞に、私は笑う。
「なんか、隼人くんのお兄ちゃんみたい」
「やめてくれよ。神崎の兄貴と同類にはなりたくない」
 立木くんの言葉に、私はきょとんとした。
「え?隼人くん、お兄さんいるの?」
「あれ?知らない?」
 立木くんは首を傾げる。
「9つ上にお姉さんがいるのは知ってるけど……」
「ああ、奈良のね」
 立木くんが頷きながら答える。
「もう一人、真ん中に兄貴がいるよ。7つ上で、顔は似てるけど全然タイプが違うの。香子ちゃんなら、女の敵!ってこんな顔しそうな」
 立木くんは言いながら、目尻に指を添えて吊り上げるように引っ張った。私は思わず苦笑する。
「そんな顔しないよ。話すの忘れてたのかな」
 言いながら、私はまたガラスの向こうへ視線を戻した。隼人くんは年上の方に場所を譲り、板の間に座ってその射姿を見ている。
 少しすると、また隼人くんが立ち上がった。
 力強く地に立つ脚。気持ち良く伸びた背筋。真剣な目。
 緊張感をもって張る弓弦。一直線に放たれる鏑矢。
 私は自然に微笑みを浮かべながら、約1時間、その姿を飽きずに眺めていた。

「満足した?」
 帰り道、隣で歩く隼人くんが言った。私はほくほく顔でうん、と頷く。
 隼人くんは苦笑した。
「満足げだね」
「うん。そのうち流鏑馬やってるとこも見たいな」
「……そのうちね」
 隼人くんは少し困ったような笑顔で答えた。
「そういえば、隼人くんお兄さんいるの?」
 私の言葉に、隼人くんの動きが一瞬止まる。
「……言ってなかったっけ」
「お姉さんの話は聞いたよ」
「うん。そのときに……あれ?」
 言ってなかったか、と考え込む。
「お兄さんは近くにいるの?」
「都内に勤めてるよ。……会ってみたい?」
「うん」
 私は頷いて、笑った。
「立木くんが、女の敵って言ってたけど、どういう人なの?なんか想像できない」
「顔は俺と似てるって言われるよ。中身は……」
 隼人くんは苦笑した。
「立木の道徳観を緩めた感じかな」
「それって……要するに、チャラいってこと?」
 隼人くんはうーん、と苦笑した。
「そうはっきり言うのも躊躇われるけど」
「とりあえず、モテていて、なおかつ拒まない人ってことね」
「それは……否定できない」
 隼人くんが複雑な表情で答えた。

 隼人くんのお兄さんーー政人さんとは、急遽、翌日にランチを一緒することになった。
 お兄さんに電話をかけて、急に英語を話し始めた隼人くんにはびっくりしたけど、大学時代の留学では、アメリカ勤務中のお兄さんと共同生活だったらしい。英会話を忘れないよう、お兄さんとの電話は英語で、と隼人くんから頼んだそうだ。
 とはいえ、もちろんランチの間は日本語だった。
 挨拶するなり握手を求めて右手を差し出されたのには少し動揺したけど、華やかな雰囲気の話術に長けた人で、確かにモテるだろうと思われた。
 顔立ちは似ているのに、醸し出される空気が全然違う。そんな二人が並ぶとなんだか不思議な感じがした。
「ごめんね。兄の紹介が遅れて」
 予想以上に話が盛り上がったランチからの帰り道。
 隼人くんが申し訳なさそうに言ったが、私はううんと首を振った。興奮気味に話す。
「神崎兄弟って、薫君と匂宮みたいだね」
「……って、誰?」
「源氏物語、宇治十帖」
 隼人くんは、どっかで聞いたなという顔をした。私はうきうきして、聞かれもしないことを説明する。
「薫君は光源氏の子供として育った人。匂宮は友達であり、よきライバル」
 一人の女の陰をひたすら追い続ける薫。情熱的ながら気の多い匂宮。二人の美しい貴公子に見初められ、翻弄される元宮家の娘達。それが宇治十帖だ。
 私の脳内キャスティングでは、この貴公子二人に隼人くんとお兄さんの政人さんがピッタリだ。
 スキップしそうなほど楽しげな私の横で、隼人くんは複雑な表情をしている。
「……それもしかして、香奈ちゃんが、変態だとか言ってたやつ?」
「ああ、そんなこと言ってたような気がする」
 私はぽんと手を叩いた。隼人くんの笑顔が引きつっている。
 私は慌てた。
「あ、違うよ。薫君が変態っぽいって話はしてたけど、隼人くんを変態だとは思ってないよ」
「でも、何となく残念な人とは思ってたでしょ」
 またその話か、と私は苦笑する。よほど傷つけたのか、からかうネタとして言われ続けるのか。
「それは、イマイチ反応が予測できないとこあるから。ツボがよく分からないっていうか」
「例えば?」
「例えば?ーーえーと、久々に二人で大学行ったとき、何で私の格好を見て照れたのかなとか」
 あの完全にボーイッシュな服装の何が気になったのか、私には未だに分からないのだ。
 隼人くんが、あれは、と嬉しそうに目を輝かせた。
「ポニーテールが帽子の後ろの穴からぴょこんと出てるのって、いいよね。そういう使い方があるのか!って、なんか新しい発見した気分になる」
 やっぱり全然分からない。
 そう思ったのが顔に出ていたらしい。
「結構、好きな男いると思うけどなぁ、あれ。立木とも盛り上がった記憶あるし」
 女にとっては、ポニーテールが潰れずにすむ上、帽子が外れにくくなる、という実用的な形なのだが。
 男の人って、よくわからない。
 いや、隼人くんが、よくわからないのか。
 おかげで、飽きずにいられそうだ。
 ーーこれから、ずっと先も。
 そう思いながら、私は隼人くんの手を握った。
「兄のこと、話さなかったのは」
 隼人くんがぽつりぽつりと話し始めた。
「無意識に、避けてたからかもしれない」
 私が首を傾げる。
「兄は、いつも太陽みたいに明るく人をひきつけて、囲まれている人だから。誰かさんみたいに」
 ーー幸弘。
 政人さんに会った瞬間の既視感を思い出しながら、私は笑った。
「憧れるよね、ああいうタイプ」
 隼人くんは私の表情から何かを読み取ろうとしているようだった。
「幸弘とか、サリーとか。一緒にいるだけで、雰囲気が明るくなって、楽しくて。いいなぁ、こういう人になりたいなぁって思う」
 私は隼人くんの顔を改めて見返した。少し弱気な表情の、端正な顔がそこにある。
 今、一番大切な人の顔。
「でも、私が一番落ち着くのは、隼人くんの隣だよ。隼人くんがいれば、かっこつけたり、強がったりしないで済む。一番居心地がいい場所だもの」
 微笑むと、隼人くんもホッとしたように微笑み返した。
「……よかった」
 隼人くんが息をつく。
「もし、香子ちゃんを取られたりしたら、俺、兄を殺しかねないと思った」
 私は苦笑した。
「信頼されてないのね、私」
「違うよ。兄も、香子ちゃんも、俺からすると、敵わないと思うくらい魅力的だから」
 私はますます苦笑を強めた。いくらなんでも買い被り過ぎだ。
「政人さんだって、より取り見取りなんだから。私に興味持ったりしないでしょ」
「そんなこともないと思うよ」
 隼人くんは少し眉を寄せた。
「社交的ではあるけど、あんまり人に立ち入らせるタイプじゃないんだ。話の感じからして、兄も香子ちゃんのこと、気に入ってたように見えたよ」
 確かに話は盛り上がったが、ほとんど隼人くんに関する話だった。流鏑馬を始めると言い始めたときの話とか、隼人くんが高校生になる頃にはもう政人さんは勝てるものがないと思ったとか、そんな話。
「もし私のことを気に入ってくれたんだとしたら、可愛い弟を大事に想う人だって分かったからだと思うよ」
 感じたことを素直に言うと、隼人くんはきょとんとした。その後、ふわりと笑う。
「……そういうのもあるのかもね」
 その笑顔、好きだよ。
 そんな、普段なら心に留めておく言葉を、私は小さく呟いた。
 隼人くんは照れ臭そうに、でも満面の笑みになる。
「夕飯は俺の家で食べよう」
「えっ、え?」
 急に張り切りだした隼人くんの歩幅が広くなり、ついていくのに必死になる。
「なに、急に」
 隼人くんは笑いながら振り返って、私の耳元で囁いた。
「たくさんキスしたい。いいよね?」
 私の顔は途端に真っ赤になった。
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