神崎くんは残念なイケメン

松丹子

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1章 神崎くんは不思議なイケメン

06 大学2年、6月

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  私が通う女子大は、こじんまりしていて、キャンパスをぐるりと回っても1時間とかからない。
 おかげで色んな学部の講義が受けられるのがメリットだが、デメリットは資料が少ないことだ。
 そんな訳で、レポートを書く前に参考にしておきたい図書が幸弘たちの学校にあると分かって、サークルもない日に足を向けることになった。
「キャンパス広いぜ。場所分かる?」
 残念ながら、目的な図書は一番メジャーな図書館にはなく、各学部所蔵だったので、幸弘にそう言われて、うっと言葉に詰まってしまった私だった。
「アイス一つで手を打とう」
「……お願いします」
 狭いキャンパスに慣れてしまった私としては、自転車を使って移動するような広いキャンパスでウロウロ迷うのはとてつもなく不安なことに思えたのだ。
 午後、一コマだけ講義に出た後で大学を出た私は、”おやつの時間”の少し前に幸弘と合流した。幸弘は目的の建物に案内してくれ、ドアの前まで付き添ってくれた。彼は4人きょうだいの一番上で、やはり自覚はないが面倒見がいい。終わったら呼べよ、連れて行きたいところあるから。と言っていたので、私は参考にしたい図書を確認し、必要そうな部分をコピーしたりした後、1時間強ほどしてから幸弘に連絡した。
「まずはアイスな」
「はいはい」
 6月といえば梅雨時期だが、一昨日のひどい雨雲が全部持って行ってくれたのか、今日は快晴で蒸し暑いくらいだった。アイスも美味しかろう、と購買へ立ち寄り、幸弘に好きなものを選ばせる。
 味覚がお子ちゃまな幸弘は、アイスが入ったケースを前に、真剣な顔をして迷っている。どっちにしよう……ああ、でもこれも食べたいな……そんなことをぶつぶつ呟いている。
 私が邪魔にならないよう、少し離れたところからその横顔を見ていると、ぽんぽんと肩をたたかれた。
 振り返ると、この4月で3年生になった八代先輩。小柄なのもあって、男子の先輩の中で弟キャラとして可愛がられていた先輩で、身長は私と同じくらいだが、やっぱり笑った顔がかわいい。
「久しぶり。ミニコンサート以来だね。練習全然いけなくてごめん」
「あ、いえ」
 私は八代先輩の姿を新鮮な目で見た。濃紺のリクルートスーツに身を包んだ八代先輩は、いつもより少し大人っぽく見えたからだ。
「大変ですか、就活」
 これは来年の私たちの姿だ、と思いながら問う。八代先輩は苦笑いして答えた。
「うーん、まだインターンシップの応募が始まったばっかりだから、何とも。今日はインターンシップフェアだったんだ。今も、履歴書用紙買いに来た」
「あ、そうなんですか。でも、ほとんどウェブ上で登録するんじゃないんですか?」
「どっちもあるかなぁ。俺、いろんなところ見てみたいなと思ってるし、講義中あんまり機械いじるの好きじゃないし」
 暗に講義中に書くのだと言っている。私は笑った。
「相変わらず、つるんでるんだな」
 私がきょとんとすると、先輩はちらりと幸弘へ目線を送った。
 その動きが意味深で、ふと私は警戒するーーもしかして、気づかれてた?
「ほんと、うらやましいくらい鈍いよなぁ。だからこそもてんのかなぁ」
「何のことですか。八代先輩だって、もてるじゃないですか」
「弟みたい、かわいいーって、ちやほやはされるけど、男として見てもらえないもん」
 幸弘を見たまま、少し唇を尖らせる。そういう表情が、かわいいと言われるゆえんなのだが。
 ふと表情を変えて、八代先輩は改めて私を見た。
「そういえば、コッコ、日本文学専攻してるんだっけ」
「そうですけど」
「てことは、読み書き、得意でしょ?」
 まあ、不得意ではないです。と答える。好きですけど。
 先輩はにっこりと笑った。
「じゃ、ちょっと手伝ってよ。知ってる人で、読み書き得意な人に読んでもらう方がいいみたいだから」
「え。履歴書ですか?」
「うん。自己分析も」
 身近すぎる人だと、恥ずかしいからさぁ、と八代先輩は頬をかく。
「来年のための勉強と思って。夕飯おごるよ」
 笑顔で言われて、断れなかった。こういう強引さも、かわいいから許されるんだろうな、等と思っていると、幸弘の声が聞こえた。
「やっしろ先輩、お久ぶりっす!」
「こばやん、どんだけ長いことアイス見てんの」
「今二択まで絞ったとこなんすよー。ゴリゴリ君にしようか、抹茶アイスにしようか悩んでて……」
「なんだ、どっちも大した値段じゃないじゃない。いいよ、両方買うよ」
「マジでー!いやっほい!」
 喜ぶ幸弘に苦笑しながら、私はレジへ並んだ。横を通りながら、八代先輩がささやくように言う。
「後で連絡する。今日、大丈夫だよね?」
「……わかりました」
 来年のための勉強。確かに、就活がどういうものなのか、興味はある。
 八代先輩は笑顔で手を振って去って行った。

 アイスを食べ終わった幸弘が私を案内したのは、大学の奥の方だった。何も考えず幸弘の後ろについて歩いていると、少しずつ植木が多くなり、人が少なく、静かになっていく。その中に、和風の建物が見えた。
 このキャンパスではほとんどの建物がレンガ造りで洋風だ。初めてみる和風の建物に、首をひねる。茶室?にしては、少し広いし、開放感があるように見える。私が立ち止まりかけると、こっちこっち、と幸弘が手首をつかんで引っ張った。
 蒸し暑いからか、ドアが開いていて中の様子が見える。あまり広くない、細長い板の間。その奥に控室。何人かの学生が、袴姿で立っている。肩と胸、甲には革をあてて、弓道部だ、と思い至った。
 幸弘が私の背をぐいと前に押し出す。
 どういうことだろう、と私が振り返って幸弘の顔を仰ぎ見ると、幸弘はニヤリとして静かに前を指し示した。
 見ると、そこには一際目立つ男子が立っていた。背が高く髪が黒い。身に着けた袴はよく身体になじんでいて、着慣れたものだと一見してわかる。
 そう、それは神崎くんだった。
 集中している神崎くんは、足を肩幅に開くと、弓を左手に持ち、右手で矢をつがえる。それを頭上に掲げ、頬の高さまで引き分ける。動いているのに、ひどく静かだった。何も知らない私も、引き込まれる。
 いっぱいに張った弓弦が、矢を一直線に解き放つ。ぱぁん、と気持ちのいい音がした。当たぁりぃ、と部員の声がする。神崎くんは静かに礼をして、やはり静かに後ろに下がった。ーーそのとき、こちらに気づいてぎょっとする。
 さっきの静けさもどこへやら、神崎くんは慌てふためきながら私たちの方に走り寄ってきた。神崎!と先輩が怒る声がする。すみません、と返して、雪駄を履いた神崎くんが出てきた。
「な、なに、なんでーー」
「俺がつれて来ましたー」
「そんなこと、分かってるよ」
 なんだか神崎くんは泣きそうだった。せっかくかっこよかったのに、ちょっともったいない。
「すごいねぇ、神崎くん。的に当てるのって、難しいんでしょう」
 誰かから聞いた話を思い出しながら、私は素直に褒めた。
「え?うーん、そうかもしれない。でも、止まってるしーーあ、いや、えーと」
 止まってる?的が動くって、狩猟でもする気?
 ーー与一、鏑を取つてつがひ、よつ引いてひやうど放つ。ーー
 一瞬、平家物語の世界を思い浮かべて、首を振る。しまった、最近の講義が頭の中に残ってる。
「ほんとは、ざっきーがここにいるのは内緒なんだ。内緒っていう条件で、参加してるの」
 幸弘はまんまといたずらが成功した子どものような顔をして笑っている。
「内緒?」
 確かに、神崎くんがいると知れたら、女子が見学に来て騒がしくなってしまいそうだ。袴姿を見るだけでもなかなかの目の保養になる。
 弓道には、静かな空気が大切だろうから、騒ぐ女子にはご遠慮いただきたいというのは納得できる。
「私、来てよかったの?」
「いいだろ、騒がないし。口堅いし。な?」
「いいけどーー困るかも」
 神崎くんは幸弘に同意を求められて、もごもごと口ごもった。さっきまで真剣そのものだった顔は、もうかなり動揺してしまっている。
「私、騒がないよ」
 なんとなくむっとして言う。幸弘が慌ててフォローするように言った。
「あれだろ、緊張しちゃうから、ってことだろ」
「緊張?当たったとか、当たらないとか、文句言ったりしないよ。そんなに弓道詳しくないし」
 私が口うるさいからということなのかと、私はさらに唇を尖らせた。
「そーじゃなくってぇ」
 ああもう、と幸弘が頭を抱えた。よくわからない。先月、新歓コンパの帰りに愚痴ったのを、彼なりに気にしてくれていたのかもしれないけど、結局よくわからない。神崎くんも、幸弘も。
「もういいや。邪魔なら帰る。幸弘、今日はありがとう。神崎くん、がんばってね」
 二人に背を向けると歩き出す。頭上のポニーテールが左右に揺れるのを感じながら、私は怒りとも悲しみともつかない気分に、疲れを感じていた。
 気分転換に飲みにでも行きたいなぁ。
 そんなことを思ったとき、購買で会った八代先輩のことを思い出した。
 ーー後で連絡する。
 後って、どれくらい後だろう。
 そう思ったとき、ぴろりん、と携帯の着信が鳴った。
『まだうちの大学にいる?17時頃、駅前のカフェで』
 時計は16時半をさしていた。私は意を決して、了解の旨返信した。

「待った?」
「いえ、ちょうど今飲み始めたところです」
 八代先輩は、17時前にカフェに現れた。いつ先輩がきてもいいよう、テイクアウト用のカップにしてもらっている。
「そっか。ここで飲んでく?」
 聞かれて、出ますと言い、私は鞄と飲みかけのカップを持つと、先輩の後について歩き出す。
「どこ行きますか?居酒屋?」
「俺んちじゃだめかな」
 聞いて、私は一瞬立ち止まりそうになった。八代先輩はこの近くで一人暮らししている。
 先輩は苦笑いして頭をかきながら言った。
「エントリーシート、パソコンに打ち込んでるからさ。会社のパンフレットとかも家だし。――やっぱ、嫌?男の家に二人きりっていうのは」
 その顔を見て、私は動揺した自分が少し恥ずかしくなった。もてる、とは言わないまでも、八代先輩はほとんどフリーのときがないくらいの人だ。私に何かしようと思うほど、飢えてはいないだろう。
「いえ、大丈夫です。むしろ、いいんですか?私、お邪魔しても」
 先輩に彼女がいたら、いくらサークルの後輩とはいえ嫌がるだろう。先輩はにこりと笑って、大丈夫と言った。
 スーパーで適当に酒と惣菜を買って、先輩の家へ向かった。先輩のアパートは3階建てで、先輩の部屋は2階だった。1LDK、大学生にしては少し広めの部屋で、男の人の部屋なんて兄の部屋くらいしか入ったことがない私には、ずいぶん片付いているように見えた。
 部屋の中にはベッドと折りたたみ式のちゃぶ台、学習机。ちゃぶ台には書類が広がっていた。
「ごめん、散らかってて。片付けちゃうね」
 先輩はちゃぶ台の上の書類を集めてベッドの上に乗せた。
「適当に座って。最初はお茶飲もうね。お仕事してもらわなきゃいけないし」
 先輩は微笑みながら言って、冷蔵庫に買ったものを入れてから、紙コップに二人分のお茶を入れ、持ってきてくれた。
「ありがとうございます」
「いえいえ。どうぞよろしく」
「私で参考になるかわかりませんけど」
 私は一口お茶を飲み込み、言った。
「ちゃっちゃとやっちゃいましょう。何を見ればいいですか?」
「お、やる気あるねぇ。じゃあ、まずこれお願いしようかな。自己分析」
「へぇ。こういうのなんですか」
 八代先輩に渡されたのは、一冊のノートだった。自分の中の個性と、それを端的に表すエピソードが羅列されている。
「毎回考えるより、作っちゃっておいて、合いそうなもの書いた方が良さそうだから」
 八代先輩はそう言いながら、ベッドの上に置いた他の書類を整理している。きっとその中にも私が見るものがあるのだろう。
「了解です。頑張ります」

 17時半から始めた就活のお手伝いは、19時頃に終わって、買ってきたお惣菜とアルコールとで夕飯になった。
「でさー、コッコ、こばやんに自分の気持ち言わないの?」
「言わないですー、今更ですし」
 少し飲むうちに、そんな話になる。
「でも、私そんなわかりやすかったですか?」
「いや、そういう訳じゃないと思うけど。見てたから気づいたんだろ、多分」
 さらっと言う。見てたって、どういうことですか?なんて、ちょっとときめいてしまう。
「あいつ、言わないと気づかないぞ。自分のことに鈍そうだから」
「そうでしょうねぇ。でも、いいかなーって」
 二人ともお酒は強い方で、八代先輩が大の日本酒好きなので、ビールもそこそこに日本酒を飲み始め、だんだん気持ちがホワホワしてくる。
「すみません、ちょっとお手洗い借りてもいいですか」
「いいよ。場所はそこ。電気はドアの横」
「ありがとうございます」
 言って、私はトイレを借りる。トイレは洗面所に隣り合っていて、洗面所には、歯ブラシが二本見えた。すっと背筋が寒くなる。
 え、これ、彼女いるんじゃない?
 そういえば、先輩、彼女いるともいないとも言わなかった。
 トイレから出てきて、私は明るく言う。
「先輩、彼女いるんですか?」
「え、何で?」
「いや、だって先輩、フリーの時ってあんまりないし」
 先輩はいるともいないとも言わない。
 私は時計を見て、あっ、と言った。
「私、そろそろ帰りますね。終電、間に合わなくなっちゃうんで。お会計しましょう。いくら出せばいいですか」
「ーー泊まってけば?」
 私はその瞬間、息を呑んだ。
「帰ります」
 鞄をつかみ、さっと立ち上がる。その手を先輩が掴んだ。
 ゾッとした。その硬さも、力も、しっかりと男の人の手だった。当然だ。先輩は男の人なんだから。
「ほんとに帰るの?」
「帰ります。すみませんでした。二度と来ません」
 私は手を振り払って、靴のかかとを踏んだまま外に出た。
 ずり落ちそうな鞄をつかみ直し、先輩のアパートから離れたところで、靴を履き直す。
 息が上がっていたのを整えようとして、情けなさに泣きそうになった。
 ーー悪いのは、先輩じゃない。私だ。
 その相手が誰であっても、男の人の部屋に上がり込んで、終電近くまでお酒を飲んで、それで何の下心もないと思っていた私が悪い。
 整えようと思っていた息は、途中から嗚咽に変わった。
 少なからず、気持ちに気づいてくれたことで、心が緩んだのかもしれない。それが下心だなんて思わずに。女の子として見ていてくれてたのかな、なんて、少し自惚れたりなんかしてーーバカみたい。
 これで終電を逃したら、立ち直れない。涙を振り払って、私は駅へ走り始めた。
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