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その頃の僕の頭は、まさに受験一色だった。
体調不良でひとつめの受験をパスした僕は、本命ともう一校の受験日を前にして少なからず不安を抱いていた。母校では二年のうちに三年の範囲をおおかた終わらせてあるため、三年は午前授業。中には、学校にほとんど顔を見せない生徒もいる。
それでも、僕は生活リズムを崩すのが怖くて、毎朝律儀に学校に通っていた。午前の授業を終えると、塾が開く午後四時までを自習して過ごす。学校の図書館の中庭寄りの一角をその定位置にしていた。
その日もいつも通り勉強をしていて、トイレに立った僕は、中庭の陰に一組の男女の姿を目にした。学ランを着た長身が橘くんだと気づくや心臓は騒いだが、素知らぬふりでトイレへ向かった。
橘くんとその女子の間に流れる空気は、なんとなく独特だった。緊張と気恥ずかしさが入り交じったそれは、僕が想像する告白シーンそのもので、だから、たぶんそうなのだろうと勝手に納得していた。
そりゃ、あの容姿であのスマートさだ。告白だってされるだろう。女子は何年だろう、三年ではなさそうだった。同級生か、それとも後輩か。制服についたバッヂを見れば学年が分かるけれど、そこまでマジマジと見なかった。
――そんなことを考えている自分に気づいて苦笑した。僕には関係のないことだ。橘くんが誰に何を言われようが、誰と話そうが――それなのに、どうしてこんなに、気になっているんだろう。
橘くんはどう答えるんだろう。彼女がいるという噂は聞いたことがない。いつもの笑顔で「よろしく」と言うんだろうか。それとも、申し訳なさそうに「ごめん」と言うんだろうか。
――他に好きな人がいるから。とか。
あり得ない話ではなかった。あれだけ人好きがするのに、それ以上に踏み込ませようとしない態度なのだから、心に決めた人がいる可能性はある。
それに――似合う、気がした。そうやって一人の人に誠意を通すことが、彼には。
……もしかしたら、ただの僕の願望かもしれないけど。
トイレを出ると、もう中庭に人影はなかった。僕はほっとしたような残念なような気持ちで図書館の定位置へ戻り、椅子に座った。
キレイとは言えない字で半ばほどが埋まったノートを前にして、じわりと虚しさに似た不安がこみ上げる。
僕はいったい、何をしているんだろう。こうやって勉強して、何になるんだろう。どれだけ必死になったって、受験で失敗したら終わりだ。こないだみたいに体調を崩したら。浪人するのか? いや、こんなの一年続けるなんて考えられない――
僕は息を吐き出し、目を押さえた。駄目だ、弱気になってる。唇を引き結ぶ。
橘くんを見かけたのは、久々だった。けれど、顔すらよく見なかった。立ち居振る舞いだけで誰だか分かってしまって、ぶしつけに見てはいけないと思ったのだ。けど、よく見ればよかった。あの笑顔を見たら、少しでも声を聞けたら、力が湧いてくるような気がするのに――
「お疲れさまです」
耳元で囁くような声が聞こえて、僕は悲鳴をあげそうになった。ガタンと揺れた椅子を、僕の背中ごとあたたかい手が支える。
ぱくぱくと口を開けたり閉めたりしながら、すぐ後ろに立つ短髪を見上げた。
人なつっこい猫目が、僕を見下ろしている。自然な笑みを浮かべた口元から、白い歯がのぞいていた。急に胸を締め付けられたような感じがして、僕は思わず、ノートの上の両手を握りしめた。
「……どうして、ここに?」
「図書館で勉強してるんすね。いつも?」
橘くんは、僕の質問に答えることなく、態度で隣に座っていいかと問うてきた。僕がうなずくと、隣の椅子を引いて腰掛ける。
「毎日登校してるんですね。えらいな」
「そんなこと……」
生活リズムを崩したくないだけで。そう言おうと思ったのに、優しい目に見つめられてどぎまぎして、何も言えなくなる。
隣の席で頬杖をついた橘くんは、妙に落ち着いて、なんというか……艶めいて見えた。僕はだから、彼を見ることができなくて、間をつなぐように消しゴムのカスをノートの端に寄せる。
橘くんは、落ち着きのない僕の手を静かに見つめていた。彼の視線をひしひしと感じると、緊張のあまり手が震えているような気がして、僕は内心困りきっていた。
僕はどうしてこんなに、舞い上がってるんだろう。
自問して、はたと思考が止まった。
舞い上がってる? 僕が? 何で?
目を上げると、そこには橘くんの微笑みがある。
顔に熱がのぼっていくのを感じた。
……なんだこれ。
まるで僕が。
一瞬混乱して、目を泳がせる。視線の先には中庭があった。不意に喉の渇きを感じて、唾を飲み込む。もう一度、橘くんの顔を見やった。
「どうかしました?」
頬杖を外した、柔らかい微笑み。不意打ちの切なさに、喉の奥がきゅうと鳴った。
僕は苦しくなって、目を逸らす。
「……さっき、中庭にいたね。……女の子と」
静かに言うと、まるで批難しているように聞こえた。それが偽りのない自分だと知って、今まで自覚していなかったことに呆れる。
バレてしまうだろうか。そう思ったけれど、すぐに打ち消した。
僕の本音なんて、分からないに違いない。せいぜい、モテない男のひがみと思われるだけだろう。
橘くんは何も言わず、黙って僕を見ていた。
その目が、あまりにも優しい。――甘さすら、感じるほどに。
……やめてほしいな。
僕は空元気を出して笑う。
「さすが、モテるね」
橘くんはやっぱり、微笑んだだけだった。
僕は目を泳がせて、机上に視線を落とす。
ノートの羅列が、僕を阻む別世界のように見えた。
「……橘くんくらい、モテるとさ。男にも……告白されたこととかありそうだよね」
一瞬、自分でも何を言ったか理解できなかった。はっと顔を上げると、橘くんは一瞬丸くした目を細めて、長い人差し指を唇に添えた。
「内緒です」
どこか楽しげな表情に、いたずらっぽさが加わる。ときめきがきゅうと胸を締め付けた。
「……なんで」
動揺を悟られないよう、できるだけ冷静に問い返したら、声がぶっきらぼうな響きを持った。橘くんは気にした様子もなく微笑む。
「あんまり性別がどうとか、気にしてないんで」
――それって。
僕にも脈があるってこと?
あまりにあんまりな期待が、ふと胸に浮かんだ。
そんな馬鹿なと自分で押し込める。
性別なんて気にしない。――だからって、僕を選ぶかどうかは別の話だ。
自分に言い聞かせながら、「ふぅん」と気のない返事をしたつもりだったけど、どうにも緩みを隠しきれない口元に、橘くんの視線を感じた。
はっと顔を上げると、また優しい微笑。
息が詰まる。
「な……なに……?」
「いや」
橘くんは笑った。一度ぷいとそっぽを向き、目を泳がせて、どこか照れくさそうなまま、また笑う。
そこにいつもの余裕や飾り気はなくて、僕は間の抜けた顔を自覚しながら、その顔を見つめた。
「……先輩、可愛いっすね」
言うや、橘くんはさっと立ち上がった。長身が室内灯の明かりを遮り、影を作って僕を覆う。
僕は言われ慣れない言葉に、それが賛辞なのかどうかすら分からず、とっさに反応できなかった。
橘くんは僕に背を向け、伸びをした。
「あの……橘くん?」
「何すか?」
肩越しに振り向いた橘くんは、もういつもと変わらない笑顔に戻っている。僕は困って目を泳がせた。
橘くんは気持ちを改めるようにため息をついて、僕に一歩、近づいた。顔を上げた僕の頭に手を伸ばす。撫でられるのかと肩を震わせたけれど、橘くんはつまんだ消しゴムのカスを僕の目の前に示した。
「前髪についてました」
「あ、ありがとう」
橘くんは腕を組む。なにか考えているらしいと見て、僕はじっと言葉を待った。
けど、橘くんは何も言わなかった。苦笑して、後ろ頭をかく。
「……いや、何でもないです。じゃあ、俺はこれで」
去りかけて、橘くんは立ち止まった。そして確信を持ったように、
「受験、がんばってくださいね。大丈夫、先輩なら第一志望いけますよ」
そう言った橘くんの笑顔は透明感すらあって、ひどくきらきらして見えた。
その言霊のおかげかどうか、数週間後、僕は落ち着いて受験に臨むことができた。
無事、第一志望に合格したけれど、それを彼に直接言う機会はなかった。
体調不良でひとつめの受験をパスした僕は、本命ともう一校の受験日を前にして少なからず不安を抱いていた。母校では二年のうちに三年の範囲をおおかた終わらせてあるため、三年は午前授業。中には、学校にほとんど顔を見せない生徒もいる。
それでも、僕は生活リズムを崩すのが怖くて、毎朝律儀に学校に通っていた。午前の授業を終えると、塾が開く午後四時までを自習して過ごす。学校の図書館の中庭寄りの一角をその定位置にしていた。
その日もいつも通り勉強をしていて、トイレに立った僕は、中庭の陰に一組の男女の姿を目にした。学ランを着た長身が橘くんだと気づくや心臓は騒いだが、素知らぬふりでトイレへ向かった。
橘くんとその女子の間に流れる空気は、なんとなく独特だった。緊張と気恥ずかしさが入り交じったそれは、僕が想像する告白シーンそのもので、だから、たぶんそうなのだろうと勝手に納得していた。
そりゃ、あの容姿であのスマートさだ。告白だってされるだろう。女子は何年だろう、三年ではなさそうだった。同級生か、それとも後輩か。制服についたバッヂを見れば学年が分かるけれど、そこまでマジマジと見なかった。
――そんなことを考えている自分に気づいて苦笑した。僕には関係のないことだ。橘くんが誰に何を言われようが、誰と話そうが――それなのに、どうしてこんなに、気になっているんだろう。
橘くんはどう答えるんだろう。彼女がいるという噂は聞いたことがない。いつもの笑顔で「よろしく」と言うんだろうか。それとも、申し訳なさそうに「ごめん」と言うんだろうか。
――他に好きな人がいるから。とか。
あり得ない話ではなかった。あれだけ人好きがするのに、それ以上に踏み込ませようとしない態度なのだから、心に決めた人がいる可能性はある。
それに――似合う、気がした。そうやって一人の人に誠意を通すことが、彼には。
……もしかしたら、ただの僕の願望かもしれないけど。
トイレを出ると、もう中庭に人影はなかった。僕はほっとしたような残念なような気持ちで図書館の定位置へ戻り、椅子に座った。
キレイとは言えない字で半ばほどが埋まったノートを前にして、じわりと虚しさに似た不安がこみ上げる。
僕はいったい、何をしているんだろう。こうやって勉強して、何になるんだろう。どれだけ必死になったって、受験で失敗したら終わりだ。こないだみたいに体調を崩したら。浪人するのか? いや、こんなの一年続けるなんて考えられない――
僕は息を吐き出し、目を押さえた。駄目だ、弱気になってる。唇を引き結ぶ。
橘くんを見かけたのは、久々だった。けれど、顔すらよく見なかった。立ち居振る舞いだけで誰だか分かってしまって、ぶしつけに見てはいけないと思ったのだ。けど、よく見ればよかった。あの笑顔を見たら、少しでも声を聞けたら、力が湧いてくるような気がするのに――
「お疲れさまです」
耳元で囁くような声が聞こえて、僕は悲鳴をあげそうになった。ガタンと揺れた椅子を、僕の背中ごとあたたかい手が支える。
ぱくぱくと口を開けたり閉めたりしながら、すぐ後ろに立つ短髪を見上げた。
人なつっこい猫目が、僕を見下ろしている。自然な笑みを浮かべた口元から、白い歯がのぞいていた。急に胸を締め付けられたような感じがして、僕は思わず、ノートの上の両手を握りしめた。
「……どうして、ここに?」
「図書館で勉強してるんすね。いつも?」
橘くんは、僕の質問に答えることなく、態度で隣に座っていいかと問うてきた。僕がうなずくと、隣の椅子を引いて腰掛ける。
「毎日登校してるんですね。えらいな」
「そんなこと……」
生活リズムを崩したくないだけで。そう言おうと思ったのに、優しい目に見つめられてどぎまぎして、何も言えなくなる。
隣の席で頬杖をついた橘くんは、妙に落ち着いて、なんというか……艶めいて見えた。僕はだから、彼を見ることができなくて、間をつなぐように消しゴムのカスをノートの端に寄せる。
橘くんは、落ち着きのない僕の手を静かに見つめていた。彼の視線をひしひしと感じると、緊張のあまり手が震えているような気がして、僕は内心困りきっていた。
僕はどうしてこんなに、舞い上がってるんだろう。
自問して、はたと思考が止まった。
舞い上がってる? 僕が? 何で?
目を上げると、そこには橘くんの微笑みがある。
顔に熱がのぼっていくのを感じた。
……なんだこれ。
まるで僕が。
一瞬混乱して、目を泳がせる。視線の先には中庭があった。不意に喉の渇きを感じて、唾を飲み込む。もう一度、橘くんの顔を見やった。
「どうかしました?」
頬杖を外した、柔らかい微笑み。不意打ちの切なさに、喉の奥がきゅうと鳴った。
僕は苦しくなって、目を逸らす。
「……さっき、中庭にいたね。……女の子と」
静かに言うと、まるで批難しているように聞こえた。それが偽りのない自分だと知って、今まで自覚していなかったことに呆れる。
バレてしまうだろうか。そう思ったけれど、すぐに打ち消した。
僕の本音なんて、分からないに違いない。せいぜい、モテない男のひがみと思われるだけだろう。
橘くんは何も言わず、黙って僕を見ていた。
その目が、あまりにも優しい。――甘さすら、感じるほどに。
……やめてほしいな。
僕は空元気を出して笑う。
「さすが、モテるね」
橘くんはやっぱり、微笑んだだけだった。
僕は目を泳がせて、机上に視線を落とす。
ノートの羅列が、僕を阻む別世界のように見えた。
「……橘くんくらい、モテるとさ。男にも……告白されたこととかありそうだよね」
一瞬、自分でも何を言ったか理解できなかった。はっと顔を上げると、橘くんは一瞬丸くした目を細めて、長い人差し指を唇に添えた。
「内緒です」
どこか楽しげな表情に、いたずらっぽさが加わる。ときめきがきゅうと胸を締め付けた。
「……なんで」
動揺を悟られないよう、できるだけ冷静に問い返したら、声がぶっきらぼうな響きを持った。橘くんは気にした様子もなく微笑む。
「あんまり性別がどうとか、気にしてないんで」
――それって。
僕にも脈があるってこと?
あまりにあんまりな期待が、ふと胸に浮かんだ。
そんな馬鹿なと自分で押し込める。
性別なんて気にしない。――だからって、僕を選ぶかどうかは別の話だ。
自分に言い聞かせながら、「ふぅん」と気のない返事をしたつもりだったけど、どうにも緩みを隠しきれない口元に、橘くんの視線を感じた。
はっと顔を上げると、また優しい微笑。
息が詰まる。
「な……なに……?」
「いや」
橘くんは笑った。一度ぷいとそっぽを向き、目を泳がせて、どこか照れくさそうなまま、また笑う。
そこにいつもの余裕や飾り気はなくて、僕は間の抜けた顔を自覚しながら、その顔を見つめた。
「……先輩、可愛いっすね」
言うや、橘くんはさっと立ち上がった。長身が室内灯の明かりを遮り、影を作って僕を覆う。
僕は言われ慣れない言葉に、それが賛辞なのかどうかすら分からず、とっさに反応できなかった。
橘くんは僕に背を向け、伸びをした。
「あの……橘くん?」
「何すか?」
肩越しに振り向いた橘くんは、もういつもと変わらない笑顔に戻っている。僕は困って目を泳がせた。
橘くんは気持ちを改めるようにため息をついて、僕に一歩、近づいた。顔を上げた僕の頭に手を伸ばす。撫でられるのかと肩を震わせたけれど、橘くんはつまんだ消しゴムのカスを僕の目の前に示した。
「前髪についてました」
「あ、ありがとう」
橘くんは腕を組む。なにか考えているらしいと見て、僕はじっと言葉を待った。
けど、橘くんは何も言わなかった。苦笑して、後ろ頭をかく。
「……いや、何でもないです。じゃあ、俺はこれで」
去りかけて、橘くんは立ち止まった。そして確信を持ったように、
「受験、がんばってくださいね。大丈夫、先輩なら第一志望いけますよ」
そう言った橘くんの笑顔は透明感すらあって、ひどくきらきらして見えた。
その言霊のおかげかどうか、数週間後、僕は落ち着いて受験に臨むことができた。
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