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.3章 うさぎはかめに手を伸ばす
..27 家族
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夕飯ができたという母の声を聞いて一階に降りると、外出していた父も戻ってきた。
「おー、幸弘。久々に飲むか!」
「……買い物ってそれ?」
「当然だろう」
はっはっは、と妙に張りのある声で父が笑う。「お前が帰って来るときにはどれだけ飲んでも怒られないからな」と少年のように目を輝かせる父に、母が苦笑していた。
商社で役員をやっている父だが、私生活では結構ズボラで、放っておけば散髪にも行かないタイプだ。その辺りをキチッと管理しているのが母で、今でも頭が上がらない。情けないなと思ったこともあるけど、これがうちの両親にとって一番しっくりくるパワーバランスなんだろうと思う。
「でも、珍しいね。土曜なのに、仕事じゃないの」
「休まないと身体がもたないだろ。俺だってもう六十四だぞ。あと一年のために身体を壊してどうする」
「六十五で退職?」
「のつもりだ。もういい加減母さんとゆっくり過ごしたい」
六十を前に役員になった父は、休日であろうと夜だろうと頻繁に呼び出されていた。働いてナンボと言いかねない空気があったのにどうしたものかと思えば、神妙な表情に変わる。
「老後を楽しむためにも、健康でいないといけないなと思うんだよ。この歳になるとな、色んなことを聞くから」
「色んなこと……?」
復唱すれば、「健康の大切さを痛感するようなことだよ」と父は缶ビールを手にする。
「高校の友達、大学の友達、同期……そりゃもうありとあらゆるところから、手術しただの、病気の治療中だの、脳卒中で倒れただの……下手すりゃ訃報もある」
ぎくりとして、思わず「六十で?」と重ねて聞いた。父は大きくうなずいて、缶ビールを俺の方へ掲げる。手近にあったガラスのコップを手にすると、父はそれを注ぎながら呟いた。
「寿命は人それぞれだからなぁ。幸い、うちはわりと寿命が長い方だと思うけど……」
思えば、祖父が死んだのは七十後半だった。平均寿命もそんなもんだから、つい、そのくらいは生きているものと思っていた。――けど、そうか。父さんももう六十。あと十年もしたら、もし何かあっても誤差範囲の範疇だ。
十年――十年後、俺は四十五。同い年だから、早紀もそうだ。
十年前、二十五のときに結婚して、十年後の今、こんな夫婦関係になっているとは思わなかった。
さらにこれからの十年は、どうなるんだろう。そもそも十年後、早紀は俺と一緒にいてくれてるんだろうか。
不意に思いついた疑問に、自分でぎくりとした。これまた、考えないようにしようとしていた本音に近いような気がして。
早紀は俺の隣に、いたいと思ってくれているんだろうか。
もう俺のことなんて、どうでもいいと思っているんじゃないだろうか。
俺の思考が薄暗い闇をさまよい始めたことを知りもせず、父がグラスを掲げた。
「ま、そんな暗い話は置いといて。おつかれ! かんぱい!」
「……かんぱい」
二つのグラスを重ねると、チンと澄んだ音がした。動揺を鎮めるつもりで口にしたビールは、いつも以上に苦い。父と二人差し向かいで、口内にはじける舌触りを味わう。母が父の隣に座ると、父は母にもビールを勧めた。
「母さんも、せっかくだから」
「そう? じゃあ、少しだけ」
母が湯飲みにビールを受けて、俺が差し出したグラスに控えめに重ねた。どことなく気恥ずかしげに笑って、「食べなさい」と食事を勧めた。父ともども、母が用意してくれた夕飯をつつく。
俺が好きな鶏手羽の煮物に、ホウレンソウの白和え、キュウリの浅漬け、少しだけど刺身もある。味噌汁とご飯もあるからと言われてうなずきながら、母の歓待に舌鼓をうった。
ご飯と酒にご機嫌な父は、勝手にしゃべって勝手に食べて勝手に飲んでいる。楽しげな様子を遮る必要もないと、俺は母ともども聞き役に回った。手酌しようとする父の手から酒瓶を取り、注ぐ。父はそれを、嬉しそうに受ける。
「子どもたちも全員自立したし、亜希子のところには孫もできたし、俺ももう安心だ。あとは達喜が結婚してくれれば……」
「別に結婚だけがすべてじゃないよ」
唯一未婚の弟のことを口にする父をたしなめれば、母がそうよとうなずいた。俺は冗談交じりに言葉を次ぐ。
「どうせ結婚したら結婚したで、今度は孫がどうのって言い始めるんだろ」
「そんなこと……」
反論しかけた父が、口をつぐんだ。戸惑うように目を泳がせて、「ちょっとトイレ行ってくる」と席を立つ。
俺はうんとうなずきながら、グラスを口に運んだ。酔いが回り始めた頭の中で、ああそうか、今のは俺が言っちゃいけないセリフだったなと気づいた。いくら冗談のつもりでも、俺が言ったらそう聞こえないんだろう。周りから見た自分の認識が不足していた。
話し手が去った食卓を、とたんに沈黙が満たした。話題を探すように母が「味噌汁いる?」と腰を上げる。グラスを開けて、「ご飯も」とうなずくと、母は台所から小さなお盆を手に戻って来た。
俺の前に、湯気の立つ茶碗と檜椀が並ぶ。コトン、コトン、とそれが置かれる音を聞くともなしに聞いていた俺の耳に、母の声が届いた。
「……お父さんは、本当に、そんなこと思ってないのよ」
目を上げると、母はもう俺のはす向かいに座っていた。きちんと背を正して、手を膝の上に乗せて。決意と気遣いの両方が、その表情ににじんでいる。
「子どもがいなくて、苦しむ気持ちも分かる。けど……子どもばかりが夫婦の幸せじゃないはずだって、ときどき話してるの」
それが、さっき俺と父に漂った微妙な空気に対するフォローなのだと、鈍い思考がようやく追いつく。
俺はただ、うん、とうつむいた。
そんなことは、知っているつもりだった。父も母も、今まで一度も、俺たちを責めたりなんかしていない。
また、沈黙が食卓を浸食していく。
それが空間のすべてを満たす直前に、母が口を開いた。
「……不妊治療って……まだ、続けてるの?」
俺はまた、目だけを上げて母を見る。母は俺の顔ではなくて、卓上に置いた自分の湯飲みを見つめていた。
「夫婦で決める問題なのは分かってる。けど……心配で」
心配。そう言われたのは、結婚して始めてのことだ。俺の何が、心配なんだろう。そう思ったとき、母が言葉を繋げた。
「早紀ちゃん……つらくないのかしら」
早紀。
その名前を母の口から耳にしながら、改めて気づいた。もう母にとって早紀は娘の一人なんだな。当たり前のことなんだけど、今さらなんだろうけど、そう実感した。
他人だけど、他人じゃない。家族だけど、家族じゃない。一緒に住んだことのない家族。義理の娘。母は母なりに、早紀を愛している。
空いたグラスに添えたままの指を、ゆっくりと滑らせる。つるんとした滑らかなガラスは、俺の体温を受けて少し温もっていた。堅いその手触りは、早紀と似ているわけもないのに、なぜか早紀を思い出す。
「あんまり、意固地になったりしないで……ふたりで、ゆっくり話し合いなさいね。お母さんは……お父さんも、二人が幸せでいられることを祈ってるんだから」
母は精一杯、微笑んでいた。俺も、うん、と答えた。答えた、と思う。なんだか喉がつかえて、うまく声が出なかった。
こんなときでも俺のまぶたの裏には、暗がりでひとり、うつむいている早紀が思い浮かぶ。
「おー、幸弘。久々に飲むか!」
「……買い物ってそれ?」
「当然だろう」
はっはっは、と妙に張りのある声で父が笑う。「お前が帰って来るときにはどれだけ飲んでも怒られないからな」と少年のように目を輝かせる父に、母が苦笑していた。
商社で役員をやっている父だが、私生活では結構ズボラで、放っておけば散髪にも行かないタイプだ。その辺りをキチッと管理しているのが母で、今でも頭が上がらない。情けないなと思ったこともあるけど、これがうちの両親にとって一番しっくりくるパワーバランスなんだろうと思う。
「でも、珍しいね。土曜なのに、仕事じゃないの」
「休まないと身体がもたないだろ。俺だってもう六十四だぞ。あと一年のために身体を壊してどうする」
「六十五で退職?」
「のつもりだ。もういい加減母さんとゆっくり過ごしたい」
六十を前に役員になった父は、休日であろうと夜だろうと頻繁に呼び出されていた。働いてナンボと言いかねない空気があったのにどうしたものかと思えば、神妙な表情に変わる。
「老後を楽しむためにも、健康でいないといけないなと思うんだよ。この歳になるとな、色んなことを聞くから」
「色んなこと……?」
復唱すれば、「健康の大切さを痛感するようなことだよ」と父は缶ビールを手にする。
「高校の友達、大学の友達、同期……そりゃもうありとあらゆるところから、手術しただの、病気の治療中だの、脳卒中で倒れただの……下手すりゃ訃報もある」
ぎくりとして、思わず「六十で?」と重ねて聞いた。父は大きくうなずいて、缶ビールを俺の方へ掲げる。手近にあったガラスのコップを手にすると、父はそれを注ぎながら呟いた。
「寿命は人それぞれだからなぁ。幸い、うちはわりと寿命が長い方だと思うけど……」
思えば、祖父が死んだのは七十後半だった。平均寿命もそんなもんだから、つい、そのくらいは生きているものと思っていた。――けど、そうか。父さんももう六十。あと十年もしたら、もし何かあっても誤差範囲の範疇だ。
十年――十年後、俺は四十五。同い年だから、早紀もそうだ。
十年前、二十五のときに結婚して、十年後の今、こんな夫婦関係になっているとは思わなかった。
さらにこれからの十年は、どうなるんだろう。そもそも十年後、早紀は俺と一緒にいてくれてるんだろうか。
不意に思いついた疑問に、自分でぎくりとした。これまた、考えないようにしようとしていた本音に近いような気がして。
早紀は俺の隣に、いたいと思ってくれているんだろうか。
もう俺のことなんて、どうでもいいと思っているんじゃないだろうか。
俺の思考が薄暗い闇をさまよい始めたことを知りもせず、父がグラスを掲げた。
「ま、そんな暗い話は置いといて。おつかれ! かんぱい!」
「……かんぱい」
二つのグラスを重ねると、チンと澄んだ音がした。動揺を鎮めるつもりで口にしたビールは、いつも以上に苦い。父と二人差し向かいで、口内にはじける舌触りを味わう。母が父の隣に座ると、父は母にもビールを勧めた。
「母さんも、せっかくだから」
「そう? じゃあ、少しだけ」
母が湯飲みにビールを受けて、俺が差し出したグラスに控えめに重ねた。どことなく気恥ずかしげに笑って、「食べなさい」と食事を勧めた。父ともども、母が用意してくれた夕飯をつつく。
俺が好きな鶏手羽の煮物に、ホウレンソウの白和え、キュウリの浅漬け、少しだけど刺身もある。味噌汁とご飯もあるからと言われてうなずきながら、母の歓待に舌鼓をうった。
ご飯と酒にご機嫌な父は、勝手にしゃべって勝手に食べて勝手に飲んでいる。楽しげな様子を遮る必要もないと、俺は母ともども聞き役に回った。手酌しようとする父の手から酒瓶を取り、注ぐ。父はそれを、嬉しそうに受ける。
「子どもたちも全員自立したし、亜希子のところには孫もできたし、俺ももう安心だ。あとは達喜が結婚してくれれば……」
「別に結婚だけがすべてじゃないよ」
唯一未婚の弟のことを口にする父をたしなめれば、母がそうよとうなずいた。俺は冗談交じりに言葉を次ぐ。
「どうせ結婚したら結婚したで、今度は孫がどうのって言い始めるんだろ」
「そんなこと……」
反論しかけた父が、口をつぐんだ。戸惑うように目を泳がせて、「ちょっとトイレ行ってくる」と席を立つ。
俺はうんとうなずきながら、グラスを口に運んだ。酔いが回り始めた頭の中で、ああそうか、今のは俺が言っちゃいけないセリフだったなと気づいた。いくら冗談のつもりでも、俺が言ったらそう聞こえないんだろう。周りから見た自分の認識が不足していた。
話し手が去った食卓を、とたんに沈黙が満たした。話題を探すように母が「味噌汁いる?」と腰を上げる。グラスを開けて、「ご飯も」とうなずくと、母は台所から小さなお盆を手に戻って来た。
俺の前に、湯気の立つ茶碗と檜椀が並ぶ。コトン、コトン、とそれが置かれる音を聞くともなしに聞いていた俺の耳に、母の声が届いた。
「……お父さんは、本当に、そんなこと思ってないのよ」
目を上げると、母はもう俺のはす向かいに座っていた。きちんと背を正して、手を膝の上に乗せて。決意と気遣いの両方が、その表情ににじんでいる。
「子どもがいなくて、苦しむ気持ちも分かる。けど……子どもばかりが夫婦の幸せじゃないはずだって、ときどき話してるの」
それが、さっき俺と父に漂った微妙な空気に対するフォローなのだと、鈍い思考がようやく追いつく。
俺はただ、うん、とうつむいた。
そんなことは、知っているつもりだった。父も母も、今まで一度も、俺たちを責めたりなんかしていない。
また、沈黙が食卓を浸食していく。
それが空間のすべてを満たす直前に、母が口を開いた。
「……不妊治療って……まだ、続けてるの?」
俺はまた、目だけを上げて母を見る。母は俺の顔ではなくて、卓上に置いた自分の湯飲みを見つめていた。
「夫婦で決める問題なのは分かってる。けど……心配で」
心配。そう言われたのは、結婚して始めてのことだ。俺の何が、心配なんだろう。そう思ったとき、母が言葉を繋げた。
「早紀ちゃん……つらくないのかしら」
早紀。
その名前を母の口から耳にしながら、改めて気づいた。もう母にとって早紀は娘の一人なんだな。当たり前のことなんだけど、今さらなんだろうけど、そう実感した。
他人だけど、他人じゃない。家族だけど、家族じゃない。一緒に住んだことのない家族。義理の娘。母は母なりに、早紀を愛している。
空いたグラスに添えたままの指を、ゆっくりと滑らせる。つるんとした滑らかなガラスは、俺の体温を受けて少し温もっていた。堅いその手触りは、早紀と似ているわけもないのに、なぜか早紀を思い出す。
「あんまり、意固地になったりしないで……ふたりで、ゆっくり話し合いなさいね。お母さんは……お父さんも、二人が幸せでいられることを祈ってるんだから」
母は精一杯、微笑んでいた。俺も、うん、と答えた。答えた、と思う。なんだか喉がつかえて、うまく声が出なかった。
こんなときでも俺のまぶたの裏には、暗がりでひとり、うつむいている早紀が思い浮かぶ。
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