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本編
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案の定、関東に戻った紗也加に、翔からの連絡はなかった。
後ろから抱きしめられたことも、髪越しの口づけも、日々を過ごせば過ごすほど、過去の記憶になる。触れた生々しさは風化され、曖昧になっていく。
今や、名古屋で過ごした時間は自分の願望が見せた幻だったのではとすら思えていた。
紗也加が翔に会いに行ったことは、家族には言っていない。しばらく一人旅してくる、とぷらりと出て、東京で買った土産を渡した。それでも誰もツッコミを入れないのが狛江家であり、半ば傷心の紗也加にはありがたかった。
名古屋から帰ってきて一週間ほど経ったある朝、起きてきた優一がテーブルの上に菓子箱を置いた。
朝食の準備をしていた母がそれを見て首を傾げる。
「あら、どうしたの、これ。名古屋?」
「うん、翔のお土産」
「あら。翔くん、名古屋旅行に行ったの?」
「ううん、出張」
紗也加はコップにコーヒーを注ぎながらそれを聞いていた。
(そうなんだ。帰ってきたんだ)
連絡はなかったが、元から期待もしていない。
優一がちらりと紗也加に目をやった。
「名古屋から帰ってきたら、ラブが嬉しそうに出迎えてくれたって」
「ふぅん。そうなんだ、よかったね」
紗也加は平坦なトーンにならないよう、極力、優しい響きを持たせて答えた。
優一は意外そうにまばたきをした。
紗也加は優一の前にコーヒーを置いた。
母が焼いたトーストを二人の前に置く。
それぞれにお礼を言って、優一はトーストにかじりついた。
「そーだ、紗也加。頼みがあんだけど」
話題を変えたと分かる口調に、紗也加は先を促すように目を上げた。どこか生気の乏しい妹の様子には忖度せず、優一が続ける。
「ホワイトデーのお返し、一緒に選んでくんない?」
紗也加はまばたきをして、ああ、と言った。壁のカレンダーを見やる。
「そっか……もうすぐ3月か」
「そー。八重の分と、職場の分。俺が買い出し担当になっちゃってさ」
紗也加は首を傾げて頷いた。もう少しで来月頭のシフトが出る。
「いつがいいの? 日にちだけ押さえるから、早めに言って」
「サンキュー」
狛江家が贈り物に類する買い物をするときは、大概紗也加が勤める百貨店に足を運ぶ。紗也加のおかげで社割がきくからでもあるし、身内の勤め先を贔屓にしているからでもある。
ショッピングモール全盛の今時分、庶民には百貨店を利用する機会など高が知れているが、ここぞというときには活用しているのだ。
食事を済ませた優一は、着替えに部屋へと向かった。紗也加がいつもの通り洗面所の鏡にへばりついていると、優一の声が候補日を投げかける。
「八重もお前に会いたがってるからさ、一日開けられる日にしてよ」
紗也加は眉を寄せた。
「デートにつき合わされるのは御免だよー」
「分かってるよ。そういうんじゃなくて」
優一は笑った。
「八重、妹ができるのが嬉しいんだって。あそこは弟だけだから」
紗也加は「そう」と答えた。紗也加とて、女きょうだいには憧れた。八重であれば良好な関係も築けそうだと、楽しみでもあるし安心もしている。
だが、翔のことが頭を巡る今、「誰かの妹代わり」はどことなく気分が乗らなかった。
「じゃ、またシフト決まったら教えて」
「うん、分かった」
紗也加は、化粧筆を走らせる自分を鏡ごしに見ながら答えた。
* * *
優一のプレゼント選びは翌々週の休日になった。今までなら、優一が照れ臭がるので、会計時だけつきそうことが多いのだが、今回は選ぶところから紗也加と一緒だった。
「どうしたの、今回は」
買い物を済ませ、八重と待ち合わせているという駅の改札前へ向かう。歩きながら、紗也加は兄に尋ねた。身長の高い優一は、ちらりと紗也加を見下ろし、照れ臭そうに微笑む。
「んー。お前とこうやって買い物することも、もうないのかなと思って」
紗也加はその言葉に噴き出した。
「お兄ちゃんてば。お父さんみたいなこと言ってる」
「お父さん? あー、コーヒーメーカーの話?」
「うん」
笑う紗也加を、優一が見ている。
何だかんだと言いながら、優しい兄の目。
紗也加を安心させてくれる目だ。
緊張を誘う翔のそれとは違う。
翔が紗也加を「妹のように」思っていても、紗也加は翔を「兄のように」は思えない。
紗也加はそう知っている。
残念ながら。嫌になるほどに。
「紗也加」
優一は珍しく優しく言った。
いつも冗談に紛れた優しさしか示さない兄が。
「お前にも、お礼したいって奴がいるんだけど」
八重が待っている駅はすぐそこだ。しかし、優一は駅の構内ではなく、コンコースの銅像の方へと向かった。
日頃よく待ち合わせ場所に指定されるが、まだ冬の名残を残した寒さのせいか、普段ほどのひと気はない。
そこに長身の影をみとめて、紗也加は足を止めた。
胸が早鐘を鳴らしはじめる。
優一は笑った。
「あいつの前では、いつもそういう顔になる」
紗也加は戸惑い、兄を見上げた。優一は楽しげな笑顔で紗也加を見下ろす。
「そのたびに、お前も女子なんだなって思うよ。ほら、行ってやれよ」
優一があごで示す先に立っていた翔が、ゆっくりとこちらへ歩いてきた。
紗也加はひるみ、逃げ腰になる。
「ほら」
優一がその背を押し出した。
「お兄ちゃん」
紗也加が批難するつもりで呼びかけると、優一は片手と共に、軽やかな笑い声をあげた。
「八重が待ってるから行くわ。じゃ、翔。頼んだぞ」
翔が軽く手を上げ返す。優一は歩きながらその肩をたたいた。
「泣かせたら、ぶん殴るぞ」
「……分かってるよ」
男同士のやりとりを、紗也加は困惑して見つめ、兄の背を見送った。
翔は黙って紗也加が自分の方を向くのを待っていたが、紗也加があまりに不安げに兄の背を見つめているのに気づいたらしい。ため息をついて頭をかいた。
「……サヤ」
紗也加はびくりと身体を震わせる。翔が紗也加を見下ろしていた。
「えーと……」
翔は目をさまよわせ、散々言葉を探した挙げ句、
「ただいま」
困りきったように言われて、紗也加は思わず、噴き出した。
「なにそれ」
「いや、だって……名古屋から帰ってきたの、言ってなかったのかって、優一が……」
「いや、そうだけど。お兄ちゃんから聞いてたし」
「だから……そう、なんだけど……」
翔が何を言いたいのか、紗也加には分からなかった。
一つだけわかるのは、翔の様子が今までとは違うことだ。
いつも何を考えているのか分からない顔に、感情が出ている。
「……とりあえず、どっか店入ろ。寒い」
翔は言って、自分の手を合わせ、こすった。
紗也加はちらりとそれを見る。
先ほどまで百貨店の中にいた紗也加はそれほどでもないが、翔はどれくらい寒空の下にいたのだろう。
そう思って見れば、鼻の頭も耳も、少し赤みを帯びているようだった。
「……昼飯は?」
「朝、遅かったから。まだお腹空いてない」
「あ、そう」
「しょーくんが空いてるなら、何か食べれば?」
翔は紗也加の言葉に、苦笑と共に首を振った。
「俺もあんまり腹減ってない」
紗也加はその苦笑の意味するところが分からず、「あ、そう」と首を傾げた。
行こう、と歩き出した翔の半歩後ろを、紗也加がついていく。
名古屋で過ごした二人の時間を思い出し、切なくなった。
手を伸ばせば触れられる距離にいながら、一度も触れたことのない指先。
触れてしまえば、もうこの関係が壊れてしまうのだろう。ずっとそう思っていた。
いっそ壊してしまえばいいと、思うときもあった。
それでも結局、そこまでの勇気は持てず、生殺しのまま彼の側にいる。
きっとこれからも、そうなのだろう。
高鳴る鼓動は彼のためのもの。
その奥で締め付けられる想いも、彼のためのもの。
そのどちらも、紗也加自身の中にありながら、コントロールの範囲外にある。
翔の指先が、歩みに合わせて揺れている。
紗也加の指先も、歩みに合わせて揺れている。
その距離は、それぞれのリズムに合わせて、近くなったり遠くなったりを繰り返し、それでも、重なることはない。
たった、十センチ。
紗也加は衝動的に、手を伸ばしかけた。
そして、反射的に止める。
足の動きも、合わせて止まった。
1、2歩進んでからそれに気づいた翔が、不思議そうな顔で振り返る。
外気で冷えた紗也加の頬に、生あたたかいものが伝った。
後ろから抱きしめられたことも、髪越しの口づけも、日々を過ごせば過ごすほど、過去の記憶になる。触れた生々しさは風化され、曖昧になっていく。
今や、名古屋で過ごした時間は自分の願望が見せた幻だったのではとすら思えていた。
紗也加が翔に会いに行ったことは、家族には言っていない。しばらく一人旅してくる、とぷらりと出て、東京で買った土産を渡した。それでも誰もツッコミを入れないのが狛江家であり、半ば傷心の紗也加にはありがたかった。
名古屋から帰ってきて一週間ほど経ったある朝、起きてきた優一がテーブルの上に菓子箱を置いた。
朝食の準備をしていた母がそれを見て首を傾げる。
「あら、どうしたの、これ。名古屋?」
「うん、翔のお土産」
「あら。翔くん、名古屋旅行に行ったの?」
「ううん、出張」
紗也加はコップにコーヒーを注ぎながらそれを聞いていた。
(そうなんだ。帰ってきたんだ)
連絡はなかったが、元から期待もしていない。
優一がちらりと紗也加に目をやった。
「名古屋から帰ってきたら、ラブが嬉しそうに出迎えてくれたって」
「ふぅん。そうなんだ、よかったね」
紗也加は平坦なトーンにならないよう、極力、優しい響きを持たせて答えた。
優一は意外そうにまばたきをした。
紗也加は優一の前にコーヒーを置いた。
母が焼いたトーストを二人の前に置く。
それぞれにお礼を言って、優一はトーストにかじりついた。
「そーだ、紗也加。頼みがあんだけど」
話題を変えたと分かる口調に、紗也加は先を促すように目を上げた。どこか生気の乏しい妹の様子には忖度せず、優一が続ける。
「ホワイトデーのお返し、一緒に選んでくんない?」
紗也加はまばたきをして、ああ、と言った。壁のカレンダーを見やる。
「そっか……もうすぐ3月か」
「そー。八重の分と、職場の分。俺が買い出し担当になっちゃってさ」
紗也加は首を傾げて頷いた。もう少しで来月頭のシフトが出る。
「いつがいいの? 日にちだけ押さえるから、早めに言って」
「サンキュー」
狛江家が贈り物に類する買い物をするときは、大概紗也加が勤める百貨店に足を運ぶ。紗也加のおかげで社割がきくからでもあるし、身内の勤め先を贔屓にしているからでもある。
ショッピングモール全盛の今時分、庶民には百貨店を利用する機会など高が知れているが、ここぞというときには活用しているのだ。
食事を済ませた優一は、着替えに部屋へと向かった。紗也加がいつもの通り洗面所の鏡にへばりついていると、優一の声が候補日を投げかける。
「八重もお前に会いたがってるからさ、一日開けられる日にしてよ」
紗也加は眉を寄せた。
「デートにつき合わされるのは御免だよー」
「分かってるよ。そういうんじゃなくて」
優一は笑った。
「八重、妹ができるのが嬉しいんだって。あそこは弟だけだから」
紗也加は「そう」と答えた。紗也加とて、女きょうだいには憧れた。八重であれば良好な関係も築けそうだと、楽しみでもあるし安心もしている。
だが、翔のことが頭を巡る今、「誰かの妹代わり」はどことなく気分が乗らなかった。
「じゃ、またシフト決まったら教えて」
「うん、分かった」
紗也加は、化粧筆を走らせる自分を鏡ごしに見ながら答えた。
* * *
優一のプレゼント選びは翌々週の休日になった。今までなら、優一が照れ臭がるので、会計時だけつきそうことが多いのだが、今回は選ぶところから紗也加と一緒だった。
「どうしたの、今回は」
買い物を済ませ、八重と待ち合わせているという駅の改札前へ向かう。歩きながら、紗也加は兄に尋ねた。身長の高い優一は、ちらりと紗也加を見下ろし、照れ臭そうに微笑む。
「んー。お前とこうやって買い物することも、もうないのかなと思って」
紗也加はその言葉に噴き出した。
「お兄ちゃんてば。お父さんみたいなこと言ってる」
「お父さん? あー、コーヒーメーカーの話?」
「うん」
笑う紗也加を、優一が見ている。
何だかんだと言いながら、優しい兄の目。
紗也加を安心させてくれる目だ。
緊張を誘う翔のそれとは違う。
翔が紗也加を「妹のように」思っていても、紗也加は翔を「兄のように」は思えない。
紗也加はそう知っている。
残念ながら。嫌になるほどに。
「紗也加」
優一は珍しく優しく言った。
いつも冗談に紛れた優しさしか示さない兄が。
「お前にも、お礼したいって奴がいるんだけど」
八重が待っている駅はすぐそこだ。しかし、優一は駅の構内ではなく、コンコースの銅像の方へと向かった。
日頃よく待ち合わせ場所に指定されるが、まだ冬の名残を残した寒さのせいか、普段ほどのひと気はない。
そこに長身の影をみとめて、紗也加は足を止めた。
胸が早鐘を鳴らしはじめる。
優一は笑った。
「あいつの前では、いつもそういう顔になる」
紗也加は戸惑い、兄を見上げた。優一は楽しげな笑顔で紗也加を見下ろす。
「そのたびに、お前も女子なんだなって思うよ。ほら、行ってやれよ」
優一があごで示す先に立っていた翔が、ゆっくりとこちらへ歩いてきた。
紗也加はひるみ、逃げ腰になる。
「ほら」
優一がその背を押し出した。
「お兄ちゃん」
紗也加が批難するつもりで呼びかけると、優一は片手と共に、軽やかな笑い声をあげた。
「八重が待ってるから行くわ。じゃ、翔。頼んだぞ」
翔が軽く手を上げ返す。優一は歩きながらその肩をたたいた。
「泣かせたら、ぶん殴るぞ」
「……分かってるよ」
男同士のやりとりを、紗也加は困惑して見つめ、兄の背を見送った。
翔は黙って紗也加が自分の方を向くのを待っていたが、紗也加があまりに不安げに兄の背を見つめているのに気づいたらしい。ため息をついて頭をかいた。
「……サヤ」
紗也加はびくりと身体を震わせる。翔が紗也加を見下ろしていた。
「えーと……」
翔は目をさまよわせ、散々言葉を探した挙げ句、
「ただいま」
困りきったように言われて、紗也加は思わず、噴き出した。
「なにそれ」
「いや、だって……名古屋から帰ってきたの、言ってなかったのかって、優一が……」
「いや、そうだけど。お兄ちゃんから聞いてたし」
「だから……そう、なんだけど……」
翔が何を言いたいのか、紗也加には分からなかった。
一つだけわかるのは、翔の様子が今までとは違うことだ。
いつも何を考えているのか分からない顔に、感情が出ている。
「……とりあえず、どっか店入ろ。寒い」
翔は言って、自分の手を合わせ、こすった。
紗也加はちらりとそれを見る。
先ほどまで百貨店の中にいた紗也加はそれほどでもないが、翔はどれくらい寒空の下にいたのだろう。
そう思って見れば、鼻の頭も耳も、少し赤みを帯びているようだった。
「……昼飯は?」
「朝、遅かったから。まだお腹空いてない」
「あ、そう」
「しょーくんが空いてるなら、何か食べれば?」
翔は紗也加の言葉に、苦笑と共に首を振った。
「俺もあんまり腹減ってない」
紗也加はその苦笑の意味するところが分からず、「あ、そう」と首を傾げた。
行こう、と歩き出した翔の半歩後ろを、紗也加がついていく。
名古屋で過ごした二人の時間を思い出し、切なくなった。
手を伸ばせば触れられる距離にいながら、一度も触れたことのない指先。
触れてしまえば、もうこの関係が壊れてしまうのだろう。ずっとそう思っていた。
いっそ壊してしまえばいいと、思うときもあった。
それでも結局、そこまでの勇気は持てず、生殺しのまま彼の側にいる。
きっとこれからも、そうなのだろう。
高鳴る鼓動は彼のためのもの。
その奥で締め付けられる想いも、彼のためのもの。
そのどちらも、紗也加自身の中にありながら、コントロールの範囲外にある。
翔の指先が、歩みに合わせて揺れている。
紗也加の指先も、歩みに合わせて揺れている。
その距離は、それぞれのリズムに合わせて、近くなったり遠くなったりを繰り返し、それでも、重なることはない。
たった、十センチ。
紗也加は衝動的に、手を伸ばしかけた。
そして、反射的に止める。
足の動きも、合わせて止まった。
1、2歩進んでからそれに気づいた翔が、不思議そうな顔で振り返る。
外気で冷えた紗也加の頬に、生あたたかいものが伝った。
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