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.第6章 大学1年、前期

136 新入生歓迎会(1)

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 そんなわけで迎えた水曜日。私はTシャツに短パンという気楽な恰好で美穂ちゃんと居酒屋へ向かった。
 美穂ちゃんはというと、身体のラインに沿ったワンピース。髪もメイクもいつも以上に気合が入ってるみたいだ。
 居酒屋の入り口には谷口さんがいて、私たちに気づくと手を振ってくれた。

「入って左奥の通路行ったとこだよ。受付の人いるから、そこで席決めるクジ引いてね」
「りょうかーい。行こ、礼奈ちゃん」
「うん」

 私は美穂ちゃんに手を引かれて、奥へと入った。

「こんばんはー。橘さんと立川さんね。名前似てるね。あ、入学式で隣だったの? 分かる分かる~」

 受付担当らしい先輩が名簿をチェックしながら美穂ちゃんと話している。
 その間に、私は私はそろりと中を覗き込んだ。
 チェーン店の一角を貸し切ったそこは、100人くらいの席がある掘りごたつ式の部屋だ。
 こんなにたくさんいるんだ。
 そう思ったけど、考えてみれば高校の吹奏楽部だって50人はいたのだ。
 大学のサークルなら、それ以上いてもおかしくない。

 「これ、引いてね」

 差し出されたのはクジ引きだった。
 これが席を決めるクジか。
 谷口さんの言葉を思い出しながらクジを引く。
 美穂ちゃんと近いといいなぁ……。
 と思っていたけど、しっかり離れてしまった。

「あはは、大丈夫だって。そんな不安そうな顔しないの。近くの人と仲良くなっちゃえばいいだけじゃん?」

 美穂ちゃんは私の肩を叩くと、意気揚々、「じゃ、後でね」と手を振って、クジが指定した席へ向かった。
 私も自分のくじを見ながら、席を確認する。

 クジの席は、新入生だけで固まらないように、そして性別も混ざるように、配置されているらしい。
 私は端に近い四人掛けのテーブルで、隣には新入生の男子、前には先輩が座っていた。

 うわー、これじゃトイレに立つのもしんどいかも。

 そわそわと辺りを見回せば、隣の机に慶次郎が座っていた。
 思わずほっとしたけれど、私を見た慶次郎は、目が合うなり知らんぷりするようにそっぽを向いた。

 な、何よぉ。そんなそっけない態度取んなくていいじゃん!

 参加すると聞いたときは不満に思った私だったけど、気弱になるや顔見知りが恋しい。我ながら現金だとは思うけど、仕方ないよね。
 内心そう思ったとき、前の先輩が声をかけてきた。

「名前、何て言うの? 学部は?」
「あ、えと、橘です。文学部で……」
「あ、マジ? 俺も一緒。学科どこなの?」

 うわ、がんがん話しかけて来る。
 慌てていると、目の前が陰った。見上げると、先輩らしい人が「落ち着けよ」と笑っている。

「そういうの、乾杯の後だろ。がっつくなって」
「あ、溝口さん」

 が……がっつくって、そんな。
 考えてみれば私は、性的な目、というので見られた経験がない。けど、この会場の男子はどこか、そういう目で女子を見ているような気がした。
 途端に服が気になり始める。半分以上ズボンから剥き出しになった腿が心もとなく感じて、そわそわと手を置いた。露出度、考えなきゃいけなかったかも。
 すでにちょっと後悔し始めていた。

「緊張してる? 大丈夫だよ、気のいい奴らばっかりだから」

 後から来た先輩、溝口さんと呼ばれた男性は、ふわふわの髪をこげ茶色に染めていて、大きめの眼鏡をかけていた。
 おしゃれな感じの人だけど、ちょっとだけ雰囲気がナルナルに似ている気がする。
 そう思えて、少しだけ安心した。
 溝口さんは、砕けた調子で私に話しかけてくれる。

「橘さんは、ビールでいい?」
「えっ、あの、えと、未成年なんで……」
「あはは、カタいなぁ。乾杯くらいつき合おうよ」
「え、ええぇ……」

 笑顔は柔らかいんだけど、結構、押しが強いなぁ。
 周りのみんなどうしてるんだろう?

 戸惑いながら周りを見渡すと、慶次郎がビールを受け取っているところが見えた。
 や、やっぱ普通飲むのかな。じゃあ……形だけ。形だけ貰って、後で違う飲み物をもらおう。
 そう決めて、私も渋々ビールを受け取った。

「いい子だね」

 にこ、と笑った溝口さんが、私の頭をぽんぽんする。
 な、なんだろう……? この距離感……なんか、変。
 あまりに自然すぎるスキンシップに、逆に違和感を感じる。

「じゃ、乾杯。よろしくー」
「よろしくお願いしまっす」

 隣に座った新入生の男子も大乗り気でグラスを合わせる。
 私は形だけ口をつけて、グラスを置いた。

「橘さん、出身どこなの? この辺?」
「か、川崎で……」
「え、マジー? 川崎のどの辺?」
「えっと……」

 乾杯の後も、あれこれ質問されて、おちおちご飯を楽しむ時間もない。
 といっても、たぶんお酒に合わせるためだろう、料理もどれも味が濃くてこってりしていて、とてもじゃないけど飲み物ナシで食べられるようなものじゃなかった。

 ううううう。お茶、お茶が欲しいよぅ。
 慶次郎がいる隣の机に料理が運ばれてきた。その店員に、慶次郎が何か言っている。
 一瞬視線が合ったような気がして、私は祈るように心中で叫んだ。

 慶次郎……! おねがい! お茶! お茶頼んで……!!

 ーーとはいえ、そんな想いも通じるわけなく。店員はうなずいて、行ってしまった。
 がっかりした私の手元を見て、溝口さんが首を傾げる。

「あれ、橘さん、全然飲んでないじゃん。あ、ビール苦手だった? 他のにする?」
「は、はい! そうしますっ」

 なんて素敵な気遣い!
 渡りに船と頷くと、溝口さんがドリンクメニューを見せてくれた。
 メニューに添えた手を見れば、親指にはリング、手首には革製のブレスレッド。
 ほんとにオシャレが好きな人なんだな、なんて思いながら、メニューに目を落とす。
 飲み放題120分と書かれたそのメニューの中には、カクテルやサワーの名前が並んでいた。
 下の方にソフトドリンクが書いてありそうなんだけれど、溝口さんの手が覆っていて見えない。
 溝口さんは当然のようにお酒を指さす。

「きっと、まだ酒とかよく知らないよね。甘いの好きなら、カシオレとかいいよ。シュワッとしたのがよければ、サワー系かなぁ」
「いや、あの、お茶を……ウーロン茶お願いします」
「ウーロン茶?」

 溝口さんはちらっと目を上げて、「……分かった」と笑った。
 そしてわざわざ「頼んで来るね」と立ち上がる。私は慌てた。

「あ、あの。それなら、自分で」

 腰を上げかけたけど、他の先輩に「任せていーよ」と止められた。

「溝口さん、ここがバイト先なの。だから任せちゃって大丈夫」
「そ、そうなんですか」

 なんか申し訳ないけど……。
 そう思ったのもつかの間、さして待たずに、溝口さんがジョッキに入った飲み物を持ってきてくれた。

「はい、お待たせ。ウーロン茶」
「あ、ありがとうございます」

 にこりと笑って差し出され、私はほっとしながら受け取る。
 飲み物を飲まないままに会話していたから、喉が渇いてしまった。
 一気に一口、ごくりと煽って、動きを止める。

 ……?
 なんかこれ、変。

「……あの、これ、なんかちょっと……変な味が……」
「え、そぅお? ちょっとちょうだい」

 溝口さんは首を傾げて一口飲み、私に戻す。

「そんなことないよ。全然フツー。フツーのウーロン茶」
「そ、そう……ですかね……」

 戸惑いながら、ちび、ちび、とウーロン茶を口にする。

 ええぇ? なんか、やっぱり、変。苦いっていうか、ツーンとした感じがある。
 ……お酒、入ってるんじゃないの?
 ウーロンハイ、とか……。

 でも、違うっていうなら仕方ない。飲むしかない。
 ここでもう一度頼むのも、何かあてつけがましいし……。

「橘さん、可愛いよね。彼氏とかいるの?」
「えっ!? あ、いや、い、いません」
「あ、そうなんだ。高校ではいた?」

 な、何だろうこの質問。私が首を横に振ると、「じゃ、中学は?」と訊かれる。
 そ、そんなの聞いてどうするんだろう。
 私がまた首を横に振ると、「へぇ」と笑顔が返ってきた。

「じゃ、今まで彼氏いたことないのかな。--こんな可愛いのに」

 甘く微笑まれて、思わず顔に熱が集まってくる。
 ジョッキで冷えた手を頬に当てて冷やすと、溝口さんは「あはは」と笑った。

「照れてる? あんまり言われたことない?」
「っ、あ、あの、えと、はい……」

 ぺたぺたと自分の頬を触っていたら、すっと前から手が伸びてきて、溝口さんの指が頬に触れた。

「顔、真っ赤。--ほんと、可愛いな」

 ぶわ、とまた、顔が熱を持つ。頬を押さえる私の指に、溝口さんの指が触れた。
 自分じゃない、別の人の体温と肌触りに戸惑う。
 溝口さんは一度立ち上がると、私の横に座りなおした。

「部活とか、何やってたの」
「え、っと、吹奏楽です」
「楽器演奏するんだ。どんな?」
「トランペットで……」

 溝口さんと話していたら、他の人たちは別で話し始めた。
 四方八方からの質問攻めにドキドキしていた私は、内心ちょっとほっとする。

「どんな曲演奏したの? 題名とか教えて」
「えっと……」

 私が曲名をあげると、溝口さんは「ちょっと待って」とスマホをタップして検索した。
 少し耳元に当てて、「これ?」と私の方へ近づける。
 私は再生された曲を聞いて、思わず笑顔になった。
 二年の冬に、定演で演奏した曲だ。
 このとき、いきなり栄太兄と健人兄が観に来てびっくりしたんだよね、確か。
 すっかり、懐かしい思い出になっている。

「そうです、これです」
「そっか。がんばってたんだね」

 眼鏡をかけた笑顔が、なんだかずいぶん近くなったような気がしてぎくりとする。
 悟られない程度に身体を引こうとしたら、溝口さんは、ちら、と机の下にある私の脚を見た。

「綺麗な脚してるね。ダンスとかしてそう」
「い、いや、そういうのは……」
「そうなの? すらっとしてる。肌の色も白いし」

 綺麗、と囁く声に、耳が熱を持つ。私はお茶を飲むふりをしながら、動揺を抑えようとする。溝口さんはくすりと笑って、私の背中に手を置いた。

「あんまり、こういうとこ慣れてないんだね。大学のこととか、サークルのこととか、俺いつでも相談に乗るから、声かけてよ。橘さんみたいに可愛い子なら大歓迎」

 背中に置かれた手が、少しずつ、腰へと降り始める。
 気づけば、周りの人たちも平気でボディタッチしあっていた。頭の中が混乱している。
 やっぱり、来るんじゃなかった。こんな飲み会だなんて、私ーー
 思っていたとき、首筋に冷たい何かが押し当てられた。

「ひゃっ」

 思わず肩を引き上げて振り向く。
 そこにはグラスを持った慶次郎がいた。

「橘。お茶」
「へっ?」

 間が抜けた声を出した私に、慶次郎はぐいとグラスを押し付けた。
 グラスは、ジョッキよりも一回り小さなサイズ。中にはストローがささっている。

「で、でも……」
「いいから飲め」

 隣にいる溝口さんに戸惑いながら、一口吸い上げ、ほっとした。

 あ、やっぱりこれがお茶だよね。
 ……てことは、やっぱりこっちは……。

「……君、何? 橘さんの友達?」

 うっすら微笑む溝口さんが、なんだか据わった目をしている。
 私はぎくりとして、慌てた。

「あ、えと、あの、こいつは」
「彼氏です」

 ----はぁ!?

「ちょ、け、慶次郎!?」
「何だよ。動揺しすぎだろ」
「だ、だって、えぇ!?」
「あはははは。橘さんのその反応。信じられないなー」

 溝口さんは笑ってるけど、怖い。なんか、とにかく、怖い。

「だいたい、彼氏いてこんなとこ、普通来る?」
「今日は新入生の歓迎会であって、彼氏彼女がいる奴は来るな、なんて聞いてないですけど」
「そりゃそうかもしれないけど」

 溝口さんの指が、コンコンとジョッキを叩いている。私は困惑して、慶次郎と溝口さんを見比べた。
 慶次郎の手が私の肩にかかる。さっきまでグラスを持っていた手は、表面が冷たくて、でもすぐに熱くなった。

「ーーとにかく、手出しはしないでくださいね」

 慶次郎の言葉に、私はうろたえる。
 そんなこと言ってたら、うそでもあーちゃんに悪い。

「け、慶次郎、そんなーー」
「彼氏、ねぇ」

 溝口さんは笑った。

「だったら、見せてよ。彼氏だっていう証明。ーーじゃないなら、俺、橘さんにアプローチするよ。可愛いし、気に入っちゃった」

 慶次郎が眉を寄せる。ますます慌てた私が口を開きかけたとき、頬に柔らかいものが当たった。
 私は思わず、動きを止める。
 周りの人たちも、数人が動きを止めてこちらを見ている。
 溝口さんがふんと鼻で笑った。

「ほっぺたぁ? 可愛いけど、信ぴょう性に乏しいよね。そういうときはさ、当然ーー」

 ちっ、と慶次郎が舌打ちしたのが聞こえた。
 ぐい、と顎を引かれる。

 えっ? えっ? ええぇ??
 う、うそでしょ? まさかーー

 混乱する私の唇に、慶次郎の唇が重なった。
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