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.第2章 高校2年、夏休み
34 イトコ会(1)
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親たちの奈良旅行はお盆の後半だから、私たちもお盆の後半に鎌倉に集まることになった。
孫主催、初めてのイトコ会だ。
「どうせだったら昼飯にそうめん流そうぜ」
と言い出したのは健人兄。何かにつけ、賑やかなことの好きな人だ。言い出しっぺの責任を取るためか、悠人兄ともども朝イチで祖父母宅を訪れ、だいぶ昔に使ったきりの竹筒を張り切って洗っていた。合流した翔太くんも交えて準備を整え、私と朝子ちゃんがそうめんを茹でては運ぶ。
竹筒は2本、途中で台を使って連結させる。下にはバケツとザルが置いてあり、キャッチできなかったそうめんはそこに落ちる仕組みだ。
私と朝子ちゃんが調味料の準備をする間にも、待ち切れなくなった男性陣が庭へ出た。
「いくよー」
悠人兄がそうめんを流しはじめる。がばっと持ち上げたのを見て、箸と器を構えた健人兄が眉を寄せた。
「多過ぎじゃね?」
「え、そう? じゃ、これくらい?」
悠人兄が改めて麺をつまみ直し、ちょいと流す。ちょろちょろ流れてきたそれを箸でつまむと、健人兄があきれた。
「極端だな」
「いいからどんどん流してー」
竹筒の先、ザルの横に簡易椅子を置いて座っているのは翔太くんだ。叔父に似た涼やかな容姿。洗いざらしのジーンズを纏った長い脚を広げ、膝の間にバケツを囲っている。日差しが暑いらしく、朝子ちゃんから借りた日傘を脇に挟んでいた。
「ってか翔太くん、そうめん流す気ないでしょ」
「だってここなら確実に取れるじゃん」
「そういう問題じゃなくね?」
健人兄とやりとりする隣で、悠人兄が「行くよー」と麺を流す。「来た来たっ!」と目を輝かせる健人兄の期待とうらはらに、麺はちょろちょろ流れて竹の切替部分に引っ掛かった。
「もっと水圧上げようぜ!」
健人兄が水道へ行き、思い切り蛇口を捻った。ぶわ、と増した水が竹筒へ流れ、水圧で飛びそうになった麺を翔太くんがキャッチする。
「冷てっ」
どうにか麺を確保しながらも水に濡れた翔太くんを見て、悠人兄が呆れた。
「健人、水出しすぎ」
「え、マジで? これくらいがエキサイティングじゃね?」
「そうめん流しにエキサイティングとか要らない」
悠人兄が呆れると、健人兄は「ちぇ」と言いながら蛇口を少し締めた。
「あ、そんなもんじゃない。試しに行くよー」
「ばっちこーい」
濡れたまま、翔太くんがざるの前の定位置に座る。健人兄が半眼になった。
「やっぱり途中でキャッチする気はないのか」
「正式稼働の前に、最後まで流れることを確認する必要がある」
三人のやりとりに、祖父母と朝子ちゃんが笑っていた。
もともと祖父母は流しそうめんに参加する気もない。庭の様子を見ながらそうめんを食べ始め、朝子ちゃんもそれに倣った。
「あ、いいんじゃない。いい感じ」
「よーし、じゃあ食うぞー」
「翔太くん、着替えなくて平気?」
「この陽気ならすぐ乾くっしょ」
悠人兄がそうめんを流し、健人兄が途中でキャッチして食べる。翔太くんのところまで流れて来るのは、キャッチしきれなかった数本だけだ。
「俺んとこまで来ない」
「当然。俺が阻止する」
「なんだとぉ」
「あははは」
悠人兄が笑って、「よし、翔太くんのとこまで届けるぞ」とそうめんを流す回数を増やした。健人兄がキャッチしては口に運ぶことを繰り返していたけれど、さすがに手が回らなくなる。
「礼奈! お前も来い! 手伝え! ザルの前で待機なんて邪道な食べ方を許すな!」
「……流す意味がないのは確かだわね」
私の横で、朝子ちゃんが苦笑する。翔太くんはマイペースで合理主義なので、その振る舞いは意外ではない。
「個性が出るわねぇ」
そうめんを啜りながら祖母が笑い、朝子ちゃんが頷く。その横に私も座ろうとしたけど、「礼奈!」と怒号に似た健人兄の声がして、ため息をついた。
「わかったよ。私も行けばいいんでしょ」
箸と器を手に立ち上がる。ついでに悠人兄が手にしたそうめんの残量が少ないことに気づいて、追加分を持って行ってやった。
「ところで、流す役の人っていつ食えばいいの?」
「健人兄が飽きたら、かな」
「それってつまり、健人が満腹になるまでってこと?」
「そうかも」
「いいからはやく次っ!!」
箸を手に腰を落として身構える健人兄を見て、悠人兄はため息をついた。
「……腹減った」
「……私、ちょっと食べたら変わるから……」
「うん……」
そう言いながらも、茹でたそうめんがなくなり、追加分を茹でたりしているうちに、悠人兄が昼食にありつけたのはそれから1時間後になった。
***
「はー、食った食った」
大の字で寝転ぶ健人兄の脇腹を、翔太くんが指先で突く。
「ぐわっ、何をする!」
「隙だらけだぞ。武道家がそれじゃまずかろう」
「もう武道家じゃねぇもん!」
横でじゃれ合う二人を気にもせず、ようやく昼食にありつけた悠人兄は黙々とそうめんを啜っている。
腹が満ち足りた健人兄は「俺が流してやる! 悠人兄、受け取れ!」と庭に出ようとしたのだけど、「そんなちまちま食ってられないから普通に食う」と断固拒否して、宣言通り黙々と食事を続けている。
7人で食べたとはいえ、ゆうに20束のそうめんを消費した。男子の胃袋恐ろしや、だ。
「あれ、片付けなくっちゃね」
「そうだね」
庭に置かれた流しそうめんセットを見て呟いた朝子ちゃんに同意して、私は健人兄に声をかけた。
「お兄ちゃん、ちゃんと片付けてよ」
「分かってるよ。腹ごなししてからな」
ひらりと手を振り、健人兄が言った。しばらく庭で日差しに当たっていたから、少し日焼けしている。
悠人兄は最近外でトレーニングしているから元々日に焼けていてそこまで赤みを感じないし、翔太くんも朝子ちゃんの日傘をさしていたから白いままだ。運動は苦手ではないけどインドア派の翔太くんは、白くて綺麗な肌をしている。
「そういえば、お兄ちゃん、服乾いたの?」
「あ? あー、うん。もう大丈夫っぽい」
朝子ちゃんに言われて、翔太くんが自分の服に目をやり答えた。1時間前後で服が乾くほどの日差しの強さ。鎌倉も盆地なのでなかなかに暑いけれどーー
「奈良も盆地だし、暑いだろうね」
眩しそうに日差しを目を細めながら、朝子ちゃんが言った。
同じタイミングで同じことを思ったらしい、と思いながらあいづちを打ち、その横顔を見る。
眼鏡の小さいレンズに、日差しが反射していた。どこか懐かしそうな、遠くを見るような目をして、朝子ちゃんが庭を眺めている。
綺麗だな、と思った。叔母の香子さんと似てあまり飾り気のない朝子ちゃんだけれど、会わずにいた1年くらいの間に、ぐっとおとなびて綺麗になった気がする。
大学生になると、一気にあか抜けるものなんだろうか。
「翔太くんは二外、何だったの?」
「ドイツ語。健人くんは?」
「俺もドイツ語。悠人兄は中国語だっけ」
「うん。朝子ちゃんは?」
「私も中国語。漢詩読むとき、韻が分かるかなって」
「真面目ー」
四人が始めた会話を聞きながら、私は黙って麦茶に口をつけた。
「翔太くん、3年ならインターンとかしなくていいの」
「院行くつもりだから」
「研究者とか?」
「それも考えてる」
「ひゅー、カッコイー」
「むしろお兄ちゃんが普通に就職してるイメージが沸かない」
「ははは、妹の見解は辛辣ですなぁ」
みんなが笑っている。私も愛想笑いを浮かべた。
一番年下の私は、こういう話では黙っていることしかできない。
「悠人くんはどうするの、就職」
「俺? うん……まあ」
「まだあんまり考えてないんじゃない」
悠人兄が曖昧に応じる横で、健人兄が笑った。悠人兄は否定も肯定もせず、微笑みだけを返す。
「そう言う朝子ちゃんはどうなの、就職」
「んー。まあ、今の学部選んだところで、教師か行政事務かなって思ってるけどね」
「なるほど。まるっきりお母さんと同じ道選ぶんだ?」
「それもいいかなと思ってる。現実問題、女がずっと働こうとしたら、ほとんどの会社はまだまだ厳しそうだし」
朝子ちゃんが滞りなく答えると、健人兄が「へー」と感心した。
「しっかりしてんなー」
「そういう健人くんはどうなの。考えてるの?」
「まっさか。だってまだ大学入って半年よ?」
「私だってそうだけど」
健人兄の言葉に、朝子ちゃんが苦笑する。
一緒にいるはずなのに、みんなの会話が遠くに感じた。
いとこの中でも一番年下の私は、いつもみんなを追いかけている。そしてようやく追いついたときには、みんなもう、次のステップに行っているのだ。
私だけ、いつまでも子ども扱いのまま。末っ子のまま。
いったい、いつになったら、追いつけるんだろう。
「ごちそーさまでしたっ。洗い物します」
もやもやを振り払うように、手を合わせて元気よく立ち上がる。「私もやるよ」と朝子ちゃんも席を立った。
孫主催、初めてのイトコ会だ。
「どうせだったら昼飯にそうめん流そうぜ」
と言い出したのは健人兄。何かにつけ、賑やかなことの好きな人だ。言い出しっぺの責任を取るためか、悠人兄ともども朝イチで祖父母宅を訪れ、だいぶ昔に使ったきりの竹筒を張り切って洗っていた。合流した翔太くんも交えて準備を整え、私と朝子ちゃんがそうめんを茹でては運ぶ。
竹筒は2本、途中で台を使って連結させる。下にはバケツとザルが置いてあり、キャッチできなかったそうめんはそこに落ちる仕組みだ。
私と朝子ちゃんが調味料の準備をする間にも、待ち切れなくなった男性陣が庭へ出た。
「いくよー」
悠人兄がそうめんを流しはじめる。がばっと持ち上げたのを見て、箸と器を構えた健人兄が眉を寄せた。
「多過ぎじゃね?」
「え、そう? じゃ、これくらい?」
悠人兄が改めて麺をつまみ直し、ちょいと流す。ちょろちょろ流れてきたそれを箸でつまむと、健人兄があきれた。
「極端だな」
「いいからどんどん流してー」
竹筒の先、ザルの横に簡易椅子を置いて座っているのは翔太くんだ。叔父に似た涼やかな容姿。洗いざらしのジーンズを纏った長い脚を広げ、膝の間にバケツを囲っている。日差しが暑いらしく、朝子ちゃんから借りた日傘を脇に挟んでいた。
「ってか翔太くん、そうめん流す気ないでしょ」
「だってここなら確実に取れるじゃん」
「そういう問題じゃなくね?」
健人兄とやりとりする隣で、悠人兄が「行くよー」と麺を流す。「来た来たっ!」と目を輝かせる健人兄の期待とうらはらに、麺はちょろちょろ流れて竹の切替部分に引っ掛かった。
「もっと水圧上げようぜ!」
健人兄が水道へ行き、思い切り蛇口を捻った。ぶわ、と増した水が竹筒へ流れ、水圧で飛びそうになった麺を翔太くんがキャッチする。
「冷てっ」
どうにか麺を確保しながらも水に濡れた翔太くんを見て、悠人兄が呆れた。
「健人、水出しすぎ」
「え、マジで? これくらいがエキサイティングじゃね?」
「そうめん流しにエキサイティングとか要らない」
悠人兄が呆れると、健人兄は「ちぇ」と言いながら蛇口を少し締めた。
「あ、そんなもんじゃない。試しに行くよー」
「ばっちこーい」
濡れたまま、翔太くんがざるの前の定位置に座る。健人兄が半眼になった。
「やっぱり途中でキャッチする気はないのか」
「正式稼働の前に、最後まで流れることを確認する必要がある」
三人のやりとりに、祖父母と朝子ちゃんが笑っていた。
もともと祖父母は流しそうめんに参加する気もない。庭の様子を見ながらそうめんを食べ始め、朝子ちゃんもそれに倣った。
「あ、いいんじゃない。いい感じ」
「よーし、じゃあ食うぞー」
「翔太くん、着替えなくて平気?」
「この陽気ならすぐ乾くっしょ」
悠人兄がそうめんを流し、健人兄が途中でキャッチして食べる。翔太くんのところまで流れて来るのは、キャッチしきれなかった数本だけだ。
「俺んとこまで来ない」
「当然。俺が阻止する」
「なんだとぉ」
「あははは」
悠人兄が笑って、「よし、翔太くんのとこまで届けるぞ」とそうめんを流す回数を増やした。健人兄がキャッチしては口に運ぶことを繰り返していたけれど、さすがに手が回らなくなる。
「礼奈! お前も来い! 手伝え! ザルの前で待機なんて邪道な食べ方を許すな!」
「……流す意味がないのは確かだわね」
私の横で、朝子ちゃんが苦笑する。翔太くんはマイペースで合理主義なので、その振る舞いは意外ではない。
「個性が出るわねぇ」
そうめんを啜りながら祖母が笑い、朝子ちゃんが頷く。その横に私も座ろうとしたけど、「礼奈!」と怒号に似た健人兄の声がして、ため息をついた。
「わかったよ。私も行けばいいんでしょ」
箸と器を手に立ち上がる。ついでに悠人兄が手にしたそうめんの残量が少ないことに気づいて、追加分を持って行ってやった。
「ところで、流す役の人っていつ食えばいいの?」
「健人兄が飽きたら、かな」
「それってつまり、健人が満腹になるまでってこと?」
「そうかも」
「いいからはやく次っ!!」
箸を手に腰を落として身構える健人兄を見て、悠人兄はため息をついた。
「……腹減った」
「……私、ちょっと食べたら変わるから……」
「うん……」
そう言いながらも、茹でたそうめんがなくなり、追加分を茹でたりしているうちに、悠人兄が昼食にありつけたのはそれから1時間後になった。
***
「はー、食った食った」
大の字で寝転ぶ健人兄の脇腹を、翔太くんが指先で突く。
「ぐわっ、何をする!」
「隙だらけだぞ。武道家がそれじゃまずかろう」
「もう武道家じゃねぇもん!」
横でじゃれ合う二人を気にもせず、ようやく昼食にありつけた悠人兄は黙々とそうめんを啜っている。
腹が満ち足りた健人兄は「俺が流してやる! 悠人兄、受け取れ!」と庭に出ようとしたのだけど、「そんなちまちま食ってられないから普通に食う」と断固拒否して、宣言通り黙々と食事を続けている。
7人で食べたとはいえ、ゆうに20束のそうめんを消費した。男子の胃袋恐ろしや、だ。
「あれ、片付けなくっちゃね」
「そうだね」
庭に置かれた流しそうめんセットを見て呟いた朝子ちゃんに同意して、私は健人兄に声をかけた。
「お兄ちゃん、ちゃんと片付けてよ」
「分かってるよ。腹ごなししてからな」
ひらりと手を振り、健人兄が言った。しばらく庭で日差しに当たっていたから、少し日焼けしている。
悠人兄は最近外でトレーニングしているから元々日に焼けていてそこまで赤みを感じないし、翔太くんも朝子ちゃんの日傘をさしていたから白いままだ。運動は苦手ではないけどインドア派の翔太くんは、白くて綺麗な肌をしている。
「そういえば、お兄ちゃん、服乾いたの?」
「あ? あー、うん。もう大丈夫っぽい」
朝子ちゃんに言われて、翔太くんが自分の服に目をやり答えた。1時間前後で服が乾くほどの日差しの強さ。鎌倉も盆地なのでなかなかに暑いけれどーー
「奈良も盆地だし、暑いだろうね」
眩しそうに日差しを目を細めながら、朝子ちゃんが言った。
同じタイミングで同じことを思ったらしい、と思いながらあいづちを打ち、その横顔を見る。
眼鏡の小さいレンズに、日差しが反射していた。どこか懐かしそうな、遠くを見るような目をして、朝子ちゃんが庭を眺めている。
綺麗だな、と思った。叔母の香子さんと似てあまり飾り気のない朝子ちゃんだけれど、会わずにいた1年くらいの間に、ぐっとおとなびて綺麗になった気がする。
大学生になると、一気にあか抜けるものなんだろうか。
「翔太くんは二外、何だったの?」
「ドイツ語。健人くんは?」
「俺もドイツ語。悠人兄は中国語だっけ」
「うん。朝子ちゃんは?」
「私も中国語。漢詩読むとき、韻が分かるかなって」
「真面目ー」
四人が始めた会話を聞きながら、私は黙って麦茶に口をつけた。
「翔太くん、3年ならインターンとかしなくていいの」
「院行くつもりだから」
「研究者とか?」
「それも考えてる」
「ひゅー、カッコイー」
「むしろお兄ちゃんが普通に就職してるイメージが沸かない」
「ははは、妹の見解は辛辣ですなぁ」
みんなが笑っている。私も愛想笑いを浮かべた。
一番年下の私は、こういう話では黙っていることしかできない。
「悠人くんはどうするの、就職」
「俺? うん……まあ」
「まだあんまり考えてないんじゃない」
悠人兄が曖昧に応じる横で、健人兄が笑った。悠人兄は否定も肯定もせず、微笑みだけを返す。
「そう言う朝子ちゃんはどうなの、就職」
「んー。まあ、今の学部選んだところで、教師か行政事務かなって思ってるけどね」
「なるほど。まるっきりお母さんと同じ道選ぶんだ?」
「それもいいかなと思ってる。現実問題、女がずっと働こうとしたら、ほとんどの会社はまだまだ厳しそうだし」
朝子ちゃんが滞りなく答えると、健人兄が「へー」と感心した。
「しっかりしてんなー」
「そういう健人くんはどうなの。考えてるの?」
「まっさか。だってまだ大学入って半年よ?」
「私だってそうだけど」
健人兄の言葉に、朝子ちゃんが苦笑する。
一緒にいるはずなのに、みんなの会話が遠くに感じた。
いとこの中でも一番年下の私は、いつもみんなを追いかけている。そしてようやく追いついたときには、みんなもう、次のステップに行っているのだ。
私だけ、いつまでも子ども扱いのまま。末っ子のまま。
いったい、いつになったら、追いつけるんだろう。
「ごちそーさまでしたっ。洗い物します」
もやもやを振り払うように、手を合わせて元気よく立ち上がる。「私もやるよ」と朝子ちゃんも席を立った。
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