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.第1章 高校2年、前期
26 文化祭(7)
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「後半、弦全体的に駆け足になるから気をつけて。クレッシェンドはもうちょっとたっぷり音を使う意識で。今日が終わったら、次に人前で演奏するのはもう地区大会本番だから、舞台は時間内で終わらせるようにしよう」
発表前ギリギリまで、ナルナルは私たちに一つ一つ指示をしていた。みんなは神妙な顔で頷く。
合宿ではふて腐れていたナーガも、それなりのモチベーションを保っているようだ。
ふむふむと隣で頷く姿を微笑ましく思っていたら、私の視線に気づいたナーガが気恥ずかしそうに肩を竦めた。
「ナルナルも攻めるよね。ここまでやると思わなかった」
そう言いながらも、ナーガは嬉しそうだ。
「もうひと越え、って感じだよな。もうちょっとで形になりそうなんだけど」
「うん、分かる。もうひと越え……」
もう少しで、掴める何かがある。そんな気がする。そう感じているのは私たちだけではないのだろう。みんなの目に不安と期待が浮かんでいる。
「よし、がんばろう!」
「うん、楽しもう!」
部長のダダちゃんが手を挙げると、みんなも楽器や手を上げて返事をした。
舞台に上がると、金管楽器が照明を受けてまばゆく光る。椅子に座りながら、観客席に視線を送ると、両親の姿が見えた。向こうも気づいたらしい。にこりと笑って手を挙げる母と、微笑みながら頷く父に、私もにこりと笑顔を返す。
小夏と慶次郎も客席に座っていた。
あ、来てくれたんだ。小夏が手を振っているけれど、舞台に並ぶみんなの表情は真剣で、私ひとりおちゃらけるわけにもいかない。私は頷きを返して前を向いた。メンバーが座り、ナルナルが現れる。一礼して拍手に包まれる中、指揮台に乗った。
ーー緊張してるな。
最初の課題曲は3分そこそこ。楽譜に忠実に演奏すると決めていて、それなりに形になってきた。
続けて、自由曲の演奏を始める。
最初は緩やかに。中盤には音と強弱で揺らぎを表現しながら、勢いは殺さない。終盤まで音を抑え、クレッシェンドで華やかにーー
瞬間、ガチッと、みんなの音が合った。
ぞっと背筋に悪寒が走る。ナルナルの上気した表情が見える。
ワクワクする。みんなが別々の楽器を鳴らしているのに、一つの音を奏でているような錯覚を抱く。
合奏の醍醐味ーー
今までの練習では、もうひとつのところで感じられなかった高揚に、舞台の緊張が重なる。初めて感じた力強い連帯感に興奮して、つい音に引っ張られたのは演奏者だけではない。ナルナルの指揮も走った。それを制するように、パーカッションが安定したリズムを刻む。ナルナルが渋い顔をした。指揮が走ったのを自覚したのだろう。
ーー悪くない。
悪くなかった。
もうひと越え、というナーガの言葉が蘇る。
もっと、感じてみたい。自分たちの演奏を。
***
演奏を終えると、ホール前で来客に挨拶をする。
私がホールに行くと、小夏が両親に声をかけていた。その隣には慶次郎もいる。
さすがは小夏。積極的。
苦笑しながら小夏に声をかける。父が優しい目を私に向けて「お疲れ」と言った。
「……じゃあ、俺たちはこれで」
「えー、もう?」
「クラスの方の店番あんだろ」
「あ、そっか。じゃ、礼奈、またね」
慶次郎は私と目を合わさないまま小夏と出ていく。幼馴染だし、私の家族とも面識があるから、両親にはきちんと頭を下げて行ったけれど、私の扱いは相変わらず雑だ。
私は小夏に手を振り返しつつ、首をかしげた。
慶次郎、よかったのかな。あーちゃんに声かけなくて。
話してみたければ、紹介してあげたのに。
思ったとき、私の頭に大きな手が触れた。見上げると、父の微笑みがある。
「お疲れ。がんばってたな」
私は顔を輝かせた。うん、と頷き笑う。
「あともうちょっとって感じ。途中、ガッチリ合った感じして、すごい気持ち良かった」
「聞いてても分かったよ。自分たちに合った、いい曲選んだな」
私は頷きかけて、首を傾げた。
「……合った曲……っていうよりも」
私は感じていることを言い当てる言葉を探す。
「……合った曲、になるんだなって……指揮、の力で」
言い終わる頃、父の目が私の後ろに向いていることに気づいて振り返った。そこにはナルナルが困惑した顔で立っている。
「……お疲れ、ナルナル」
「うん……」
嬉しそうな、でもなんとなく悔しそうな表情で、ナルナルが私と両親の顔を見比べる。
「ご両親?」
「うん」
「初めまして」
「初めまして。娘がお世話になってます」
頭を下げたナルナルに、にこやかに答えたのは母だ。ナルナルは母と私の顔を見比べて、「可愛らしいお母さんだね」と微笑んだ。
……いやこの歳で可愛いってのもどうなの。
思ったけど、母は「あらお上手ねぇ」と喜んでいる。娘としては大変恥ずかしい。
「君、指揮の子だね」
父がナルナルに微笑んだ。ナルナルはどことなく緊張した面持ちで、普段でも伸びた背筋をますます伸ばす。父はその緊張を解すように柔らかく微笑み、軽く肩を叩いた。
「悔しかったのは分かるけど、ポーカーフェイスを忘れずに」
ナルナルははっとして、「でも、僕のミスで」と言いかけた。父はそれを手で制する。
「それも含めて君たちの吹奏楽だろ。ミスをしろとは言わないけど、“本番“ではそれも含めて楽しめるといいな」
父は次いで私に「じゃあな」と声をかけた。私は頷き、去っていく父と母に手を振る。ナルナルは黙って頭を下げ、見えなくなるとため息をついた。
「……そんなに悔しそうな顔してたかな」
「ふふ。うちのお父さん、そういうの敏感だから」
確かに、一緒に過ごす時間が長い私たち部員は、ミスをした後のナルナルの動揺を察していたけど、早々分かるもんでもないだろう。人の気持ちに敏感な父だからこそだ。
両親の去った後を眺めるともなしに眺めていた私の横顔を見て、ナルナルは困ったように笑った。
「……確かに、素敵なお父さんだね」
ぎくり、と肩を竦める。しまった。またしてもファザコン呼ばわりされてしまう。
「あ、あの。別に、そういうんじゃなくて」
「俺も、そういうんじゃないよ」
ナルナルは笑う。
「そういうんじゃなくて。……ああいうお父さんとお母さんに、礼ちゃんは育てられてきたんだなって、思ったんだ」
私は動きを止めた。
ナルナルの言い方はどこか感慨深げで、とても優しかった。
「訳わかんないね。でも、落ち込んでちゃ駄目だなって思った。ありがとうって言っといて」
「あーーうん」
ナルナルはあははと笑う。軽やかな柔らかい笑い声。不思議と懐かしいーーもっと聞きたくなる笑い声。
だけど、そわそわして、なんだか落ち着かない。
私はナルナルの背中から視線を引きはがして、みんなと一緒に片付けを始めた。
***
片付けの間、あーちゃんがちらちら私の方を見ているのに気づいた。落ち着かない様子に首を傾げる。
「どうしたの?」
「あっ、いえっ、あの……」
あーちゃんは戸惑ったように目をさまよわせ、
「や、やっぱり、礼奈先輩の彼氏なんですか……?」
「は?」
思い切りマヌケな声を出してしまって、みんながこちらを向く。「あ、何でもない何でもない」と手を振ってごまかすと、あーちゃんの手を引いて端へ避けた。
「えーと、何のこと?」
「さっき……食堂で……」
あーちゃんは消え入りそうな声で言う。私がむむと考えていると、「演奏も……聞きに来てたし……」ともごもご言われた。
あっ。
「慶次郎のこと? 違うってば。たまたま昼一緒だっただけ」
「ほ、ほんとですか……?」
「ほんとほんと!」
ほっとしたような、探るような表情に、私は笑いながら手を振る。
「全っ然。あんなのタイプでも何でもないし」
「えっ、そ、そうなんですか? あんなにかっこいいのに……!」
私の笑顔が引き攣る。
「……かっこいい……?」
「背も高いし、え、かっこいいですよね?」
「かっ……」
「よせ、あーちゃん」
知らない間に近づいてきたコアラが、あーちゃんの肩をぽんと叩いた。
「誰の話をしてるんだか知らないけど、礼ちゃんのカッコイイの基準は異常だから同意は得られないよ……」
「あっ、あっ、そうなんですか?」
「いやっ、そっ、ちがっ…」
もごもご言いながらも、そんなことはないとも言い切れない。コアラに「いい加減認めなさいな」と肩を叩かれ、私はぐぬぬと唸った。
発表前ギリギリまで、ナルナルは私たちに一つ一つ指示をしていた。みんなは神妙な顔で頷く。
合宿ではふて腐れていたナーガも、それなりのモチベーションを保っているようだ。
ふむふむと隣で頷く姿を微笑ましく思っていたら、私の視線に気づいたナーガが気恥ずかしそうに肩を竦めた。
「ナルナルも攻めるよね。ここまでやると思わなかった」
そう言いながらも、ナーガは嬉しそうだ。
「もうひと越え、って感じだよな。もうちょっとで形になりそうなんだけど」
「うん、分かる。もうひと越え……」
もう少しで、掴める何かがある。そんな気がする。そう感じているのは私たちだけではないのだろう。みんなの目に不安と期待が浮かんでいる。
「よし、がんばろう!」
「うん、楽しもう!」
部長のダダちゃんが手を挙げると、みんなも楽器や手を上げて返事をした。
舞台に上がると、金管楽器が照明を受けてまばゆく光る。椅子に座りながら、観客席に視線を送ると、両親の姿が見えた。向こうも気づいたらしい。にこりと笑って手を挙げる母と、微笑みながら頷く父に、私もにこりと笑顔を返す。
小夏と慶次郎も客席に座っていた。
あ、来てくれたんだ。小夏が手を振っているけれど、舞台に並ぶみんなの表情は真剣で、私ひとりおちゃらけるわけにもいかない。私は頷きを返して前を向いた。メンバーが座り、ナルナルが現れる。一礼して拍手に包まれる中、指揮台に乗った。
ーー緊張してるな。
最初の課題曲は3分そこそこ。楽譜に忠実に演奏すると決めていて、それなりに形になってきた。
続けて、自由曲の演奏を始める。
最初は緩やかに。中盤には音と強弱で揺らぎを表現しながら、勢いは殺さない。終盤まで音を抑え、クレッシェンドで華やかにーー
瞬間、ガチッと、みんなの音が合った。
ぞっと背筋に悪寒が走る。ナルナルの上気した表情が見える。
ワクワクする。みんなが別々の楽器を鳴らしているのに、一つの音を奏でているような錯覚を抱く。
合奏の醍醐味ーー
今までの練習では、もうひとつのところで感じられなかった高揚に、舞台の緊張が重なる。初めて感じた力強い連帯感に興奮して、つい音に引っ張られたのは演奏者だけではない。ナルナルの指揮も走った。それを制するように、パーカッションが安定したリズムを刻む。ナルナルが渋い顔をした。指揮が走ったのを自覚したのだろう。
ーー悪くない。
悪くなかった。
もうひと越え、というナーガの言葉が蘇る。
もっと、感じてみたい。自分たちの演奏を。
***
演奏を終えると、ホール前で来客に挨拶をする。
私がホールに行くと、小夏が両親に声をかけていた。その隣には慶次郎もいる。
さすがは小夏。積極的。
苦笑しながら小夏に声をかける。父が優しい目を私に向けて「お疲れ」と言った。
「……じゃあ、俺たちはこれで」
「えー、もう?」
「クラスの方の店番あんだろ」
「あ、そっか。じゃ、礼奈、またね」
慶次郎は私と目を合わさないまま小夏と出ていく。幼馴染だし、私の家族とも面識があるから、両親にはきちんと頭を下げて行ったけれど、私の扱いは相変わらず雑だ。
私は小夏に手を振り返しつつ、首をかしげた。
慶次郎、よかったのかな。あーちゃんに声かけなくて。
話してみたければ、紹介してあげたのに。
思ったとき、私の頭に大きな手が触れた。見上げると、父の微笑みがある。
「お疲れ。がんばってたな」
私は顔を輝かせた。うん、と頷き笑う。
「あともうちょっとって感じ。途中、ガッチリ合った感じして、すごい気持ち良かった」
「聞いてても分かったよ。自分たちに合った、いい曲選んだな」
私は頷きかけて、首を傾げた。
「……合った曲……っていうよりも」
私は感じていることを言い当てる言葉を探す。
「……合った曲、になるんだなって……指揮、の力で」
言い終わる頃、父の目が私の後ろに向いていることに気づいて振り返った。そこにはナルナルが困惑した顔で立っている。
「……お疲れ、ナルナル」
「うん……」
嬉しそうな、でもなんとなく悔しそうな表情で、ナルナルが私と両親の顔を見比べる。
「ご両親?」
「うん」
「初めまして」
「初めまして。娘がお世話になってます」
頭を下げたナルナルに、にこやかに答えたのは母だ。ナルナルは母と私の顔を見比べて、「可愛らしいお母さんだね」と微笑んだ。
……いやこの歳で可愛いってのもどうなの。
思ったけど、母は「あらお上手ねぇ」と喜んでいる。娘としては大変恥ずかしい。
「君、指揮の子だね」
父がナルナルに微笑んだ。ナルナルはどことなく緊張した面持ちで、普段でも伸びた背筋をますます伸ばす。父はその緊張を解すように柔らかく微笑み、軽く肩を叩いた。
「悔しかったのは分かるけど、ポーカーフェイスを忘れずに」
ナルナルははっとして、「でも、僕のミスで」と言いかけた。父はそれを手で制する。
「それも含めて君たちの吹奏楽だろ。ミスをしろとは言わないけど、“本番“ではそれも含めて楽しめるといいな」
父は次いで私に「じゃあな」と声をかけた。私は頷き、去っていく父と母に手を振る。ナルナルは黙って頭を下げ、見えなくなるとため息をついた。
「……そんなに悔しそうな顔してたかな」
「ふふ。うちのお父さん、そういうの敏感だから」
確かに、一緒に過ごす時間が長い私たち部員は、ミスをした後のナルナルの動揺を察していたけど、早々分かるもんでもないだろう。人の気持ちに敏感な父だからこそだ。
両親の去った後を眺めるともなしに眺めていた私の横顔を見て、ナルナルは困ったように笑った。
「……確かに、素敵なお父さんだね」
ぎくり、と肩を竦める。しまった。またしてもファザコン呼ばわりされてしまう。
「あ、あの。別に、そういうんじゃなくて」
「俺も、そういうんじゃないよ」
ナルナルは笑う。
「そういうんじゃなくて。……ああいうお父さんとお母さんに、礼ちゃんは育てられてきたんだなって、思ったんだ」
私は動きを止めた。
ナルナルの言い方はどこか感慨深げで、とても優しかった。
「訳わかんないね。でも、落ち込んでちゃ駄目だなって思った。ありがとうって言っといて」
「あーーうん」
ナルナルはあははと笑う。軽やかな柔らかい笑い声。不思議と懐かしいーーもっと聞きたくなる笑い声。
だけど、そわそわして、なんだか落ち着かない。
私はナルナルの背中から視線を引きはがして、みんなと一緒に片付けを始めた。
***
片付けの間、あーちゃんがちらちら私の方を見ているのに気づいた。落ち着かない様子に首を傾げる。
「どうしたの?」
「あっ、いえっ、あの……」
あーちゃんは戸惑ったように目をさまよわせ、
「や、やっぱり、礼奈先輩の彼氏なんですか……?」
「は?」
思い切りマヌケな声を出してしまって、みんながこちらを向く。「あ、何でもない何でもない」と手を振ってごまかすと、あーちゃんの手を引いて端へ避けた。
「えーと、何のこと?」
「さっき……食堂で……」
あーちゃんは消え入りそうな声で言う。私がむむと考えていると、「演奏も……聞きに来てたし……」ともごもご言われた。
あっ。
「慶次郎のこと? 違うってば。たまたま昼一緒だっただけ」
「ほ、ほんとですか……?」
「ほんとほんと!」
ほっとしたような、探るような表情に、私は笑いながら手を振る。
「全っ然。あんなのタイプでも何でもないし」
「えっ、そ、そうなんですか? あんなにかっこいいのに……!」
私の笑顔が引き攣る。
「……かっこいい……?」
「背も高いし、え、かっこいいですよね?」
「かっ……」
「よせ、あーちゃん」
知らない間に近づいてきたコアラが、あーちゃんの肩をぽんと叩いた。
「誰の話をしてるんだか知らないけど、礼ちゃんのカッコイイの基準は異常だから同意は得られないよ……」
「あっ、あっ、そうなんですか?」
「いやっ、そっ、ちがっ…」
もごもご言いながらも、そんなことはないとも言い切れない。コアラに「いい加減認めなさいな」と肩を叩かれ、私はぐぬぬと唸った。
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