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第3章 素直になれない眠り姫
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竜次の手が、私の身体を這っていく。
優しく。ときに意地悪に。弾力を楽しむように。快感を膨らませるように。
重なった唇から、飲み込めきれずに唾液が流れる。それを指先で拭って、私の胸の頂きをこすり、つぶす。
「っん」
私が反応する度に、竜次は優しく目を細めて笑う。恥ずかしいけど、嬉しい。私も、竜次に気持ちよくなってもらおうと、ズボン越しに彼自身を撫でる。
竜次が座りなおすと、ベッドが軋んだ音を立てた。その音がする度、ちゃんと想いが通じ合ったホテルのベッドを思い出す。
私たちの行為の揺れも全部飲み込んだスプリング。まるでお姫様みたいな気分だった。
「ぁっ」
想いを馳せている間に、竜次の手が私の下着の中に入り込んで来る。竜次はまだズボンを履いたままなのに、私は下着姿だ。不公平だと気づいて、竜次のズボンを脱がせにかかる。
「なんだよ、せっかちだな」
竜次は笑う。
「だって、私だけこんな格好」
答えると、竜次がまた笑った。
「はやく欲しいんじゃなくて?」
「ば、馬鹿っ……」
私は顔を赤らめる。彼には散々醜態をさらしているのに、いまだに羞恥心を抱くのだから不思議だ。
けど、竜次はそんな私のことも肯定的にとらえているらしい。
「仕方ねぇな。はやく挿れてやるよ」
言いながら脱いだズボンの下から、ボクサーパンツを押し上げる屹立が飛び出した。
「ど、どっちがはやく欲しいんだか」
その質量から気まずく目を逸らすと、竜次がにやりと笑って私の手を取る。
「触ってみる?」
「い、いいっ……」
言ったけど、竜次は気にせず私の手をそこに充てた。セフレだったときには、手コキもフェラもしたけれど、つき合ってからは触れてない。
だって……恥ずかしくて。
「何、今さら恥ずかしがってんの」
竜次はくつくつ笑う。そう言いながらも、こうやって戸惑う私を見るのが好きらしい。
まったく趣味が悪い。
でも、そんなところも嫌いじゃない。
ここまで来れば、あばたもえくぼ。惚れた弱みだ。
「い、いいからっ、はやくして」
「何をはやく?」
「っ……」
きっとにらみつけたけど、赤い顔では迫力もないだろう。知ってる。竜次が私をからかって楽しんでいるのも知ってる。
悔しくなって、竜次の首に抱き着く。唇を重ねる。竜次の首筋から胸へ、手を這わせる。
弾力のある筋肉質な身体。
つつつ、と指先で腹筋を辿る。下腹部の手前まで来ると、竜次のモノがピクリと跳ねる。
ふ、と竜次の吐息が鼻から洩れた。
竜次が唇を離す。
私の耳元で「愛里」と囁く。
私がそれに弱いのを知ってるんだ。
「っ、竜次……」
目が潤んで来る。竜次が優しく笑う。
避妊具をつけ、私の中へ。指で解されていないけれど、そこは充分にぬかるんでいる。
数度抜き挿しを繰り返しながら、奥へ、奥へ、竜次が入って来る。快感と幸福感に、私は竜次の首に抱き着く。
「っ、竜次……」
ぐりぐり、と奥まで沈んで、私の鼻から「んんっ」と声が漏れる。竜次は頬に、耳にキスをして、「愛里」と囁く。
膣がきゅうっと収縮すると、竜次のそれもびくりと脈打った。
「……可愛い」
竜次に囁かれて、また身体が反応する。
ぴくんと反応する度、竜次は笑う。私は恥ずかしくなって、目を閉じる。その目に竜次が口づける。
優しく。甘く。
「愛里」
髪を撫でる大きな手。
「竜次……」
その手が頬に、首に、耳に触れると、それだけでぴくぴくしてしまう。
好き、すぎて。
浮かされたような目で、竜次を見上げる。
竜次は優しい目で、私を見下ろしている。
愛されてることを、実感する。
「好きだ」
「わ、たし……も」
ベッドの上では、素直になれる。
「好き……竜次が、好き」
竜次は笑った。私の頬に口づけ、身体を手で撫でていく。
優しい愛撫は、初めてベッドを共にしたときから変わらない。
再会した、あのときから。
「竜次、竜次っ……好き、大好き」
突き上げられながら、私はまた、愛を告白する。
「知ってるよ」
優しい人の腕の中で。
「愛してる、愛里」
彼の優しい声に、脳は幸せに溶けていくーー
過去など、もう怖くない。
FIN.
***
お付き合いくださり、ありがとうございました!
他に小話を二つほど考えているのですが、体調により書けないため、書き上げたら公開しますm(_ _)m
優しく。ときに意地悪に。弾力を楽しむように。快感を膨らませるように。
重なった唇から、飲み込めきれずに唾液が流れる。それを指先で拭って、私の胸の頂きをこすり、つぶす。
「っん」
私が反応する度に、竜次は優しく目を細めて笑う。恥ずかしいけど、嬉しい。私も、竜次に気持ちよくなってもらおうと、ズボン越しに彼自身を撫でる。
竜次が座りなおすと、ベッドが軋んだ音を立てた。その音がする度、ちゃんと想いが通じ合ったホテルのベッドを思い出す。
私たちの行為の揺れも全部飲み込んだスプリング。まるでお姫様みたいな気分だった。
「ぁっ」
想いを馳せている間に、竜次の手が私の下着の中に入り込んで来る。竜次はまだズボンを履いたままなのに、私は下着姿だ。不公平だと気づいて、竜次のズボンを脱がせにかかる。
「なんだよ、せっかちだな」
竜次は笑う。
「だって、私だけこんな格好」
答えると、竜次がまた笑った。
「はやく欲しいんじゃなくて?」
「ば、馬鹿っ……」
私は顔を赤らめる。彼には散々醜態をさらしているのに、いまだに羞恥心を抱くのだから不思議だ。
けど、竜次はそんな私のことも肯定的にとらえているらしい。
「仕方ねぇな。はやく挿れてやるよ」
言いながら脱いだズボンの下から、ボクサーパンツを押し上げる屹立が飛び出した。
「ど、どっちがはやく欲しいんだか」
その質量から気まずく目を逸らすと、竜次がにやりと笑って私の手を取る。
「触ってみる?」
「い、いいっ……」
言ったけど、竜次は気にせず私の手をそこに充てた。セフレだったときには、手コキもフェラもしたけれど、つき合ってからは触れてない。
だって……恥ずかしくて。
「何、今さら恥ずかしがってんの」
竜次はくつくつ笑う。そう言いながらも、こうやって戸惑う私を見るのが好きらしい。
まったく趣味が悪い。
でも、そんなところも嫌いじゃない。
ここまで来れば、あばたもえくぼ。惚れた弱みだ。
「い、いいからっ、はやくして」
「何をはやく?」
「っ……」
きっとにらみつけたけど、赤い顔では迫力もないだろう。知ってる。竜次が私をからかって楽しんでいるのも知ってる。
悔しくなって、竜次の首に抱き着く。唇を重ねる。竜次の首筋から胸へ、手を這わせる。
弾力のある筋肉質な身体。
つつつ、と指先で腹筋を辿る。下腹部の手前まで来ると、竜次のモノがピクリと跳ねる。
ふ、と竜次の吐息が鼻から洩れた。
竜次が唇を離す。
私の耳元で「愛里」と囁く。
私がそれに弱いのを知ってるんだ。
「っ、竜次……」
目が潤んで来る。竜次が優しく笑う。
避妊具をつけ、私の中へ。指で解されていないけれど、そこは充分にぬかるんでいる。
数度抜き挿しを繰り返しながら、奥へ、奥へ、竜次が入って来る。快感と幸福感に、私は竜次の首に抱き着く。
「っ、竜次……」
ぐりぐり、と奥まで沈んで、私の鼻から「んんっ」と声が漏れる。竜次は頬に、耳にキスをして、「愛里」と囁く。
膣がきゅうっと収縮すると、竜次のそれもびくりと脈打った。
「……可愛い」
竜次に囁かれて、また身体が反応する。
ぴくんと反応する度、竜次は笑う。私は恥ずかしくなって、目を閉じる。その目に竜次が口づける。
優しく。甘く。
「愛里」
髪を撫でる大きな手。
「竜次……」
その手が頬に、首に、耳に触れると、それだけでぴくぴくしてしまう。
好き、すぎて。
浮かされたような目で、竜次を見上げる。
竜次は優しい目で、私を見下ろしている。
愛されてることを、実感する。
「好きだ」
「わ、たし……も」
ベッドの上では、素直になれる。
「好き……竜次が、好き」
竜次は笑った。私の頬に口づけ、身体を手で撫でていく。
優しい愛撫は、初めてベッドを共にしたときから変わらない。
再会した、あのときから。
「竜次、竜次っ……好き、大好き」
突き上げられながら、私はまた、愛を告白する。
「知ってるよ」
優しい人の腕の中で。
「愛してる、愛里」
彼の優しい声に、脳は幸せに溶けていくーー
過去など、もう怖くない。
FIN.
***
お付き合いくださり、ありがとうございました!
他に小話を二つほど考えているのですが、体調により書けないため、書き上げたら公開しますm(_ _)m
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