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第三章 天の川は暴れ川(ヒメ/阿久津交互)
09 勝ち鬨
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阿久津さんに渡したメモは、無事アヤノさんに届いたらしい。ぴこんと着信を告げる音がして入ったメッセージに、私の顔が綻ぶ。
「どうかしたの?」
ちょうど仕事は昼休み。みんなでお弁当を突いていたところだ。私はにこりと笑った。
「何でもないです」
言いながら、スマホをタップしてメッセージを見る。
【こんにちは! 阿久津からメモ貰って、連絡してみました】
可愛い顔文字と共に送られてきたメッセージに、私も返事を送る。
【ありがとうございます。たまたま助けてもらったんです】
【そうなの? 阿久津、事情聞きだそうとしても話そうとしないから。何か聞きたいことあったら聞いてね。って言っても、私もあんまり阿久津のこと知らないけど】
確かに、下の名前すら知らない様子だった。そのときの阿久津さんの、ちょっと悲しげな目を思い出す。
阿久津さんって、アヤノさんに憧れてるのかな。
現在形だか、過去形だか、分からないけど。
アヤノさんの魅力的な笑顔を思い出しながら、また返信を送る。
【ありがとうございます。でも、まず自分でがんばってみます!】
返ってきたのは、がんばれ、と励ます絵だった。
素敵な人なんだろうな、と思う。表情からも、こうしたメッセージからも。
明るくて、華やかで、面倒見が良くて。
ちょっと勝てる気がしない。
けど。
阿久津さんへの想いなら、ぜっったい、勝てる!
両拳を握ると、恋の審判が私の片手を挙げて勝利を告げる幻想を見て、むふふと笑った。
一緒に食事を取っていた他の人たちが、何とも言えない顔で私を見やるけど気にしない。
今日のラッキーカラーはピンクだった。ピンクは私の大好きな色だし、似合ってるってよく言われる色だ。
頭の中がお花畑だから、とかって理由を付け足されるのはよく分からないけど。
でもいいじゃない、ピンクが似合ってるって言われるとテンション上がる。
阿久津さんにはどうだろう? 何色が似合うかなぁ。
クールに青とかどうだろう。ネクタイをプレゼントする日を夢見てにやにやする。ちょっと検索してみよう。スマホを取り出して画像を見ながら、来るべき未来に備えて妄想ショッピング。
ーー光彦さん、あれ似合いそう。
ーーええ? 俺に? 無理だろ、ピンクなんて。
ーーそんなことないよ。ね、この色私のワンピースと一緒。つけてみて?
ーー仕方ねぇなぁ……でもお前の前でだけだぞ。
ぐふっ。
込み上げた笑いを抑え切れず、思わず手で口元を覆った。
妄想だけでご飯三杯イケます……!!
ほらね、こんなのきっとアヤノさんにはできないと思うの。思うんだ。見よこの素晴らしき妄想力!
……まあ、何の足しにもなってないけどね!
にやにやを微笑みに変えて、頬を染めてほにゃーんとする私の顔を、周りのみんなはちらちら見ながら、首を傾げていた。
「どうかしたの?」
ちょうど仕事は昼休み。みんなでお弁当を突いていたところだ。私はにこりと笑った。
「何でもないです」
言いながら、スマホをタップしてメッセージを見る。
【こんにちは! 阿久津からメモ貰って、連絡してみました】
可愛い顔文字と共に送られてきたメッセージに、私も返事を送る。
【ありがとうございます。たまたま助けてもらったんです】
【そうなの? 阿久津、事情聞きだそうとしても話そうとしないから。何か聞きたいことあったら聞いてね。って言っても、私もあんまり阿久津のこと知らないけど】
確かに、下の名前すら知らない様子だった。そのときの阿久津さんの、ちょっと悲しげな目を思い出す。
阿久津さんって、アヤノさんに憧れてるのかな。
現在形だか、過去形だか、分からないけど。
アヤノさんの魅力的な笑顔を思い出しながら、また返信を送る。
【ありがとうございます。でも、まず自分でがんばってみます!】
返ってきたのは、がんばれ、と励ます絵だった。
素敵な人なんだろうな、と思う。表情からも、こうしたメッセージからも。
明るくて、華やかで、面倒見が良くて。
ちょっと勝てる気がしない。
けど。
阿久津さんへの想いなら、ぜっったい、勝てる!
両拳を握ると、恋の審判が私の片手を挙げて勝利を告げる幻想を見て、むふふと笑った。
一緒に食事を取っていた他の人たちが、何とも言えない顔で私を見やるけど気にしない。
今日のラッキーカラーはピンクだった。ピンクは私の大好きな色だし、似合ってるってよく言われる色だ。
頭の中がお花畑だから、とかって理由を付け足されるのはよく分からないけど。
でもいいじゃない、ピンクが似合ってるって言われるとテンション上がる。
阿久津さんにはどうだろう? 何色が似合うかなぁ。
クールに青とかどうだろう。ネクタイをプレゼントする日を夢見てにやにやする。ちょっと検索してみよう。スマホを取り出して画像を見ながら、来るべき未来に備えて妄想ショッピング。
ーー光彦さん、あれ似合いそう。
ーーええ? 俺に? 無理だろ、ピンクなんて。
ーーそんなことないよ。ね、この色私のワンピースと一緒。つけてみて?
ーー仕方ねぇなぁ……でもお前の前でだけだぞ。
ぐふっ。
込み上げた笑いを抑え切れず、思わず手で口元を覆った。
妄想だけでご飯三杯イケます……!!
ほらね、こんなのきっとアヤノさんにはできないと思うの。思うんだ。見よこの素晴らしき妄想力!
……まあ、何の足しにもなってないけどね!
にやにやを微笑みに変えて、頬を染めてほにゃーんとする私の顔を、周りのみんなはちらちら見ながら、首を傾げていた。
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