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序章-廃病院-
1-2.少女とナイト-廃病院-
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時々、昔のことを思い出す。
世間一般ではこれは走馬灯というらしい。光だけの部屋で、ただ、かいわだけをおもいだす。
「なあ、この事態は元をたどればお前の責任だろ。じぶんを見直せよ」
そう、友人が言った。名前は憶えていない、顔も覚えていない。
僕はこの時、うずくまっていた気がする。きっと何かで失敗してしまったんだろう。いつものことだ。
「黙れよ、黙れよ!!!自分を見直すなんて何回も何回もやってるんだよ!!でも!!!俺みたいな屑は、自分と向き合って、なおすべきところを探したら全部当てはまって!!!それを全部治すために頑張るけど何も治らなくて!!!多すぎて何から手を付けたらわからなくて!!!やっと一つのことを選んで!治すために頑張っている間にほかの悪いところで問題を起こして!!!そんなことを繰り返したら嫌でもわかるんだよ...俺には死ぬしか選択肢がないって...もうほっといてくれ。頼むよ...何も考えたくないんだ...死にたいって気持ちだけを考えて現実逃避したいんだ...」
...なんでこんなに感情的になってしまったんだろうか、
ずっと考えていた。世界は醜い人しかいなくて、世界の誰もが自分のことを醜いなんて思っていない。
だけど、仕方ないことなんだと思う。だって、自分が醜いと自覚してしまったら、もう生きていけないから。
___________________________________
あのケルベロスの大群、おそらく戦ったやつと同じくらいの強さだろう。
こいつら単体なら何も問題はない。
が、厄介なのは、こいつらがかなりの数いることだ。
ケルベロスと対峙したとき、ケルベロスはパンチ2発で倒れ、消滅した。
パンチ一回で倒れるんだったら、一番数がいない扉まで強行突破して、飛び込めばよかっただろう。
だが、2発必要ならだめだ、一発食らわせた後、絶対に反撃が飛んでくる。
「ねえ、どうしたの?私を守って?」
「そのために脱出方法を考えてるんだろうが」
「脱出方法ならあるでしょ?」
「影の能力か」
確かにあの影の能力ならこの場から逃げることはできるだろう。だが、それならこの少女は守れない。
...待て、なぜこの少女を守ることを考えている?
「...違う。影の能力じゃない、ヒントはここは別に地下じゃないってこと」
こいつは何をいって...
「!?」
そうか、そうだ、ここは地下じゃない、なら、
あたりを見渡す、求めていたものがそこにはあった。
「...時間はなさそう」
ケルベロスが小刻みに震え始める。やがてケルベロスだったものの体は解け、黒い液体になった。見た目は灯油のようだったが、腐敗臭がする。
やがて、黒い液体がスライムのように動き始めた。
「時間はなさそうだな」
とはいえ数は減った。これはチャンスだ。
俺は少女を持ち上げると、全速力で駆け出した。
ケルベロスたちが追ってくる。だが、このスーツのおかげだろうか、どうやら走る速さも変わっているようで、追いつかれることはない。
だが、一度でもつまずいたらひとたまりもないだろう。
「このまま出口まで走るの?」
「気づいているくせに聞いてくるな」
俺は出口とは逆の方向に走り始める。病院の奥へ奥へと走る。
「あった!」
目の前には人が通れるくらいの窓があった。そうだ、出口はふさがれていても、窓はある。
ケルベロスたちがふさいでいたのは扉と通路だけ、たぶん、ケルベロスたちは窓が開けられるということを知らない。
「だが、窓を開けられるほどの時間はなさそうだな、おい、口と目をふさいどけ」
「ええ...ねえ抱え方をお姫様だっ」
「馬鹿なことをいうな、いくぞ」
俺は走る。ケルベロスがすぐ後ろに迫ってきている。
俺は姿勢を低くして、俺は少女を守るように抱きしめながら、思いっきり窓の外に飛び込んだ。
ガラスが割れる音が聞こえる。痛みは感じない。神経がない...というか体自体がそもそもないからか、
体が、打ち付けられ、地面を転がる。壁に激突し体が止まると、静寂が周りを包んだ。
俺は少女から手を放し、周りを見渡す。
そこは、病院の廊下だった。いや、俺は確かに窓から病院を脱出したはずだ。
周りを見渡すと、病室が並んでいる。周りには窓はない。俺は転がってきたほうを見る。
そこにはナースステーションの扉があった。俺はここから出てきたのか?
「面白いでしょ?窓から外に出たはずなのに、ナースステーションの扉から出てくるの」
「ここはどうなっている」
少女は立ち上がり、俺のほうへと歩いてくる。顔と顔がぶつかりそうなところまで近づくと、不敵な笑みを浮かべた
「ここは、空間がねじ曲がっている。行き先を予想することは不可能」
「災厄とか言っていたな、この現象もケルベロスの仕業か」
「違う、ここは、元々はケルベロスを閉じ込めるために人間が作った場所、と言っても、その人間も今は恐れられて魔女って言われてるけど」
昔習っていた魔女裁判を思い出す。歴史でもよくあったことだ。偉大な英雄だった人間が民衆に恐れられて、無残に殺される話が、
「...つまり、追ってきたケルベロスも、別の場所に散らばったってことか」
「いや、たぶんケルベロスたちは窓の外から外に出てるんじゃないかな」
「何言ってる。ここはケルベロスを封じる場所なんだろ、ならケルベロスが外に出たら意味がないだろう」
「いったでしょ?ここは単語元々はそういう場所だったって、今は人間を閉じ込めてケルベロスのえさにする牢獄」
...理解できない話をどうにか理解すると、たぶん魔女は迫害されたことに怒り狂い、自分たちが管理していた場所を人間が苦しむように改造したということか?
「...そうか」
「...質問しないの?今のところあなたにとってこの場所は謎だらけだけど」
「じゃあ質問だ、出口はどこだ」
「わからない」
「今外はどうなっている?」
「わからない」
「...ここはお前が作ったんだな」
「あら、正解、よくわかったわね」
「なるほどな、お前はここを作った魔女で、人間を憎んでケルベロスを野に放ったが、自分も人間だからこの病院から逃げられなくなり、挙句の果てにケルベロスに喰われそうになったから、急いで俺を召還したと」
「正解、あなた頭いいのね」
「簡単な推理だ、この状況とお前が俺を目覚めさせたという事実、そして、さっきした三つの質問から考えればすぐ理解できる」
「今のは皮肉よ、簡潔に多くの情報が欲しいなら、次からは『今お前が持っている情報をすべて教えろ』と言いなさい」
...こいつ、俺の嫌いなタイプだ。
「...最後に質問だ、お前は外の世界の情報を知らないと言っていたな」
「ええ、そうね」
「ならばどうやって山で死んでいた俺の死体を見つけて、よみがえらせた」
少女は変わらない笑顔をこちらに向ける。だが、何か圧力のようなものを感じる。
背筋が凍る。まるで、触れてはいけないところに触れてしまったような。
「言葉を慎みなさい。あなたは私を守るために蘇った亡霊でしかない。いつでも私はあなたを殺せるのよ」
「...今持っている情報をすべて教えてくれるんじゃないのか」
「それを言って、本当に教えるバカがいると思う?質疑応答はおわり、さあ、私を守って出口まで連れて行って?私のナイト」
少女は歩き出す。僕の姿は少女と話している間に変身が解けてしまったらしい。
「ああ、そうだった」
少女はベンチの陰から何かを取り出すと、投げてよこした。
「あなたの顔は白すぎる。それじゃ一目で死体ってわかっちゃう。ここにはまだ閉じ込められた人間がいるんだから顔を隠しなさい」
僕は投げられたものを見る。それは、よく映画で出てくる。ガスマスクだった。
...これ、床に落ちてたよな、大丈夫なのか?
「早くいくわよ」
...仕方なくガスマスクをかぶり、駆け足で少女についていく。
こいつが何を隠しているか、ここを出て何をしたいのかはわからない。
だが、それはこいつと行動しながら探ればいい、
もう死にたくない。
そう僕は心の中にとどめ、少女の隣に立ち、一緒に歩き始めた。
世間一般ではこれは走馬灯というらしい。光だけの部屋で、ただ、かいわだけをおもいだす。
「なあ、この事態は元をたどればお前の責任だろ。じぶんを見直せよ」
そう、友人が言った。名前は憶えていない、顔も覚えていない。
僕はこの時、うずくまっていた気がする。きっと何かで失敗してしまったんだろう。いつものことだ。
「黙れよ、黙れよ!!!自分を見直すなんて何回も何回もやってるんだよ!!でも!!!俺みたいな屑は、自分と向き合って、なおすべきところを探したら全部当てはまって!!!それを全部治すために頑張るけど何も治らなくて!!!多すぎて何から手を付けたらわからなくて!!!やっと一つのことを選んで!治すために頑張っている間にほかの悪いところで問題を起こして!!!そんなことを繰り返したら嫌でもわかるんだよ...俺には死ぬしか選択肢がないって...もうほっといてくれ。頼むよ...何も考えたくないんだ...死にたいって気持ちだけを考えて現実逃避したいんだ...」
...なんでこんなに感情的になってしまったんだろうか、
ずっと考えていた。世界は醜い人しかいなくて、世界の誰もが自分のことを醜いなんて思っていない。
だけど、仕方ないことなんだと思う。だって、自分が醜いと自覚してしまったら、もう生きていけないから。
___________________________________
あのケルベロスの大群、おそらく戦ったやつと同じくらいの強さだろう。
こいつら単体なら何も問題はない。
が、厄介なのは、こいつらがかなりの数いることだ。
ケルベロスと対峙したとき、ケルベロスはパンチ2発で倒れ、消滅した。
パンチ一回で倒れるんだったら、一番数がいない扉まで強行突破して、飛び込めばよかっただろう。
だが、2発必要ならだめだ、一発食らわせた後、絶対に反撃が飛んでくる。
「ねえ、どうしたの?私を守って?」
「そのために脱出方法を考えてるんだろうが」
「脱出方法ならあるでしょ?」
「影の能力か」
確かにあの影の能力ならこの場から逃げることはできるだろう。だが、それならこの少女は守れない。
...待て、なぜこの少女を守ることを考えている?
「...違う。影の能力じゃない、ヒントはここは別に地下じゃないってこと」
こいつは何をいって...
「!?」
そうか、そうだ、ここは地下じゃない、なら、
あたりを見渡す、求めていたものがそこにはあった。
「...時間はなさそう」
ケルベロスが小刻みに震え始める。やがてケルベロスだったものの体は解け、黒い液体になった。見た目は灯油のようだったが、腐敗臭がする。
やがて、黒い液体がスライムのように動き始めた。
「時間はなさそうだな」
とはいえ数は減った。これはチャンスだ。
俺は少女を持ち上げると、全速力で駆け出した。
ケルベロスたちが追ってくる。だが、このスーツのおかげだろうか、どうやら走る速さも変わっているようで、追いつかれることはない。
だが、一度でもつまずいたらひとたまりもないだろう。
「このまま出口まで走るの?」
「気づいているくせに聞いてくるな」
俺は出口とは逆の方向に走り始める。病院の奥へ奥へと走る。
「あった!」
目の前には人が通れるくらいの窓があった。そうだ、出口はふさがれていても、窓はある。
ケルベロスたちがふさいでいたのは扉と通路だけ、たぶん、ケルベロスたちは窓が開けられるということを知らない。
「だが、窓を開けられるほどの時間はなさそうだな、おい、口と目をふさいどけ」
「ええ...ねえ抱え方をお姫様だっ」
「馬鹿なことをいうな、いくぞ」
俺は走る。ケルベロスがすぐ後ろに迫ってきている。
俺は姿勢を低くして、俺は少女を守るように抱きしめながら、思いっきり窓の外に飛び込んだ。
ガラスが割れる音が聞こえる。痛みは感じない。神経がない...というか体自体がそもそもないからか、
体が、打ち付けられ、地面を転がる。壁に激突し体が止まると、静寂が周りを包んだ。
俺は少女から手を放し、周りを見渡す。
そこは、病院の廊下だった。いや、俺は確かに窓から病院を脱出したはずだ。
周りを見渡すと、病室が並んでいる。周りには窓はない。俺は転がってきたほうを見る。
そこにはナースステーションの扉があった。俺はここから出てきたのか?
「面白いでしょ?窓から外に出たはずなのに、ナースステーションの扉から出てくるの」
「ここはどうなっている」
少女は立ち上がり、俺のほうへと歩いてくる。顔と顔がぶつかりそうなところまで近づくと、不敵な笑みを浮かべた
「ここは、空間がねじ曲がっている。行き先を予想することは不可能」
「災厄とか言っていたな、この現象もケルベロスの仕業か」
「違う、ここは、元々はケルベロスを閉じ込めるために人間が作った場所、と言っても、その人間も今は恐れられて魔女って言われてるけど」
昔習っていた魔女裁判を思い出す。歴史でもよくあったことだ。偉大な英雄だった人間が民衆に恐れられて、無残に殺される話が、
「...つまり、追ってきたケルベロスも、別の場所に散らばったってことか」
「いや、たぶんケルベロスたちは窓の外から外に出てるんじゃないかな」
「何言ってる。ここはケルベロスを封じる場所なんだろ、ならケルベロスが外に出たら意味がないだろう」
「いったでしょ?ここは単語元々はそういう場所だったって、今は人間を閉じ込めてケルベロスのえさにする牢獄」
...理解できない話をどうにか理解すると、たぶん魔女は迫害されたことに怒り狂い、自分たちが管理していた場所を人間が苦しむように改造したということか?
「...そうか」
「...質問しないの?今のところあなたにとってこの場所は謎だらけだけど」
「じゃあ質問だ、出口はどこだ」
「わからない」
「今外はどうなっている?」
「わからない」
「...ここはお前が作ったんだな」
「あら、正解、よくわかったわね」
「なるほどな、お前はここを作った魔女で、人間を憎んでケルベロスを野に放ったが、自分も人間だからこの病院から逃げられなくなり、挙句の果てにケルベロスに喰われそうになったから、急いで俺を召還したと」
「正解、あなた頭いいのね」
「簡単な推理だ、この状況とお前が俺を目覚めさせたという事実、そして、さっきした三つの質問から考えればすぐ理解できる」
「今のは皮肉よ、簡潔に多くの情報が欲しいなら、次からは『今お前が持っている情報をすべて教えろ』と言いなさい」
...こいつ、俺の嫌いなタイプだ。
「...最後に質問だ、お前は外の世界の情報を知らないと言っていたな」
「ええ、そうね」
「ならばどうやって山で死んでいた俺の死体を見つけて、よみがえらせた」
少女は変わらない笑顔をこちらに向ける。だが、何か圧力のようなものを感じる。
背筋が凍る。まるで、触れてはいけないところに触れてしまったような。
「言葉を慎みなさい。あなたは私を守るために蘇った亡霊でしかない。いつでも私はあなたを殺せるのよ」
「...今持っている情報をすべて教えてくれるんじゃないのか」
「それを言って、本当に教えるバカがいると思う?質疑応答はおわり、さあ、私を守って出口まで連れて行って?私のナイト」
少女は歩き出す。僕の姿は少女と話している間に変身が解けてしまったらしい。
「ああ、そうだった」
少女はベンチの陰から何かを取り出すと、投げてよこした。
「あなたの顔は白すぎる。それじゃ一目で死体ってわかっちゃう。ここにはまだ閉じ込められた人間がいるんだから顔を隠しなさい」
僕は投げられたものを見る。それは、よく映画で出てくる。ガスマスクだった。
...これ、床に落ちてたよな、大丈夫なのか?
「早くいくわよ」
...仕方なくガスマスクをかぶり、駆け足で少女についていく。
こいつが何を隠しているか、ここを出て何をしたいのかはわからない。
だが、それはこいつと行動しながら探ればいい、
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