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第一章 白銀成長編
第十二話 怒りの鬼ごっこ、初日へ
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ガサガサガサ――。
キイキイキイ――。
サーッ――。
夜の森は、不安になる音の宝庫だ。
ハァハァ――。
ザッザッザッ――。
自分が出している音ですらも、不気味に聞こえる。
油断はできない。疲れていても眠ってはいけない。
少しでも気をゆるめれば――。
ドドドドドドドドドド!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さかのぼること36時間。
シーナリーム王国の外にある森の入り口にて。
ヒイラギはナーランに連れられて、細かいことを聞く暇もなくやってきた。
そこには見知らぬ5人の男女が、談笑しながら待っていた。
「みんなお待たせだぜ! この子がヒイラギ・アクロ君だぜ!」
「……初めまして。ヒイラギ・アクロと申します。
あの、僕何も言われずここに連れてこられたんですけど……」
「大丈夫だぜ! 今から説明するよ!」
ヒイラギと5人組の間に立つと、まずは5人組について説明を始めた。
「この5人はね、俺が出した依頼を受けてくれた、主に暗殺部門で活躍している傭兵たちだぜ!
依頼の条件はこう!」
傭兵として1年以上活動している者。
主に暗殺部門の依頼を受けている者。
「そして、内容はこう!」
新参大会優勝者であるヒイラギ・アクロと、3日間森林で鬼ごっこをすること。
ただし、報酬はヒイラギ・アクロを捕まえることができた者に支払われる。
捕まえたことの確認は、ヒイラギ・アクロからバッジを受け取ったかで行う。
また、命を狙う行為は禁止だが、足止め程度の罠や攻撃は許可する。
「え……。え?」
(なんだこれ……)
「なんだこれ!」
我慢できずに大声を上げるヒイラギ。
自分が知らないうちに依頼の対象になっていた。
(いや、実際に暗殺をされる側は、知らないうちってのが普通なんだけど)
それはそれ。これはこれである。
「いやー、だいぶ苦労したんだぜ!
想定していた以上に参加者が集まっちゃって!
だから、依頼にこんな文言を追加したんだぜ!」
追記。
同時に参加する人数は5名までとする。
ヒイラギ・アクロからバッジを受け取った者は、その足で傭兵会本部に出向き、報告すること。
その者は、以降の参加を禁止する。
入れ替わりに、参加の意思があった他の者を先着順に投入する。
「だからなんだこれ!!」
「あっちを見るんだぜ!」
示された方向へものすごい勢いで顔を向ける。
少し大きめの机とイスが並べられ、数人の傭兵と思しき人たちがこっちを見て手を挙げていた。
「待機所だぜ!」
スタスタとナーランがヒイラギに近づいてくる。
「はいこれがバッジ!
捕まったと思ったら、それを渡してあげてね!
あと、その剣を使ってもいいけど、思いっきり傷つけたり、命を取ったりしたらだめだぜ!
じゃあ、はりきっていこうぜ!」
混乱するヒイラギの背を押して、森の中へと進む。
「参加者はこのあと5分後くらいからアクロ君を追いかけ始めるぜ!
3日間、森の中から出ないように気を付けてね!」
駆け足で森の外へ戻っていく。
「あ! ちなみに! 俺は暗殺者じゃないけど、参加するつもりだからー!」
声が姿と共にフェードアウトしていった。
「…………」
死んだような目で小さくなっていく人影を見送る。
そして、長いため息をつくと、しぶしぶ木々を分け入っていった。
開始してしばらく経った。
参加している傭兵たちは、1年以上暗殺部門で活動しているということもあり、気配がほとんど察知できなかった。
ここまでに、ヒイラギはすでに3つのバッジを渡していた。
1人目は木陰から急に飛び出してきて、ヒイラギを地面に押さえつけた。
2人目はわざと物音を立てて、その反対側に仕掛けた罠に引っ掛けてきた。
3人目は待ち伏せし、木の上から飛び降りてきた。
すでにかすり傷だらけ、泥だらけのヒイラギ。
実際に暗殺依頼をされていたら、3回は死んでいた。
「もしかして、新参大会で優勝したからって、浮かれないようにってことかな……?
いや、浮かれていなかったけど。
それとも、何か別の意図でもあるのかな……」
木にもたれかかって、そうつぶやく。
長時間気を張りっぱなし、森林の中を移動しっぱなしで、かなり疲弊してきていた。
さらに、食事をとる暇もなく、そもそも食料がなかった。
「それか、スリークさんとの戦いに向けて、鍛えてくれているとか」
急に小石が飛んできた。
身をかがめてそれを避けると、一目散に走りだす。
なけなしの注意力で、罠がないか確認しながら精一杯逃げた。
そうこうしているうちに、日が落ち、森林が闇に包まれた。
いまだにまともな食事はとれていないが、どうにか小川から水分は確保した。
ただ、その道中で2人にバッジを渡していた。
この森林鬼ごっこを通して、視覚があてにならないことが多く、聴覚や触覚などを酷使していた。
そうした状況が半日以上続いているせいか、聴覚と触覚が過敏になってきていた。
普段は気にしないような物音や振動に気づき、そのたびに精神がすり減る。
疲労が限界ということもあり、ヒイラギは大きな木の根のすきまに腰を下ろした。
これがあと2日間も続くと考えてげんなりする。
投げやりになりながらも、周囲を警戒するヒイラギ。
夜になっても眠ってはいけない。むしろ、夜の方が奇襲されやすい。
その眠ってはいけないという思考を塗りつぶすように、意識を失うのだった。
けたたましい鳥の鳴き声で目を覚ましたヒイラギ。
睡眠をとったことで、とりあえず思考能力は少し戻った。
運よく睡眠を邪魔されなかったことに感謝して、ゆっくり立ち上がる。
思考能力が戻ったことによって、今の状況への疑問が湧く。
(怪我が治ったばかりの人間にこの仕打ち。
そもそも、ナーランさん。元気が出る、とか、自然の癒し、とか言ってなかった?)
さすがのヒイラギも憤慨する。
(確かに、このハードさのお陰で、なまっていた体は元通りになったけど。
今はそれを通り越して、体中が痛すぎるんだけど)
不平不満が次々と沸き上がってくる。
たびたび思っては、心の中にとどめてきた。
だが、今回はそれが抑えきれなかった。
「ああああああああ!! 本当に! なんだこれは!!」
咆哮をあげた瞬間。
背後から感じた嫌な気配。
振り向き、剣を抜いて、飛んできていた何かを叩き落とす。
初日はいろいろな方法でヒイラギを捕まえにきた。
その気配をまったく察知できなかった要因のひとつに、殺意がないということがあった。
ヒイラギは王国に来る前の経験と、新参大会を経験したことで、殺意にはかなり敏感になっていた。
この鬼ごっこではそれが意味をなさなかったため、苦戦をしいられていた。
だが、今この瞬間に感じたのは、まさしく殺気。
落としたものに目をやると、黒塗りされた鋭い投げナイフだった。
何かおかしいと感じたヒイラギは、いつもの構えを取り、荒れた心を落ち着かせる。
鬼ごっこ2日目は、異常事態から始まったのだった。
キイキイキイ――。
サーッ――。
夜の森は、不安になる音の宝庫だ。
ハァハァ――。
ザッザッザッ――。
自分が出している音ですらも、不気味に聞こえる。
油断はできない。疲れていても眠ってはいけない。
少しでも気をゆるめれば――。
ドドドドドドドドドド!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
さかのぼること36時間。
シーナリーム王国の外にある森の入り口にて。
ヒイラギはナーランに連れられて、細かいことを聞く暇もなくやってきた。
そこには見知らぬ5人の男女が、談笑しながら待っていた。
「みんなお待たせだぜ! この子がヒイラギ・アクロ君だぜ!」
「……初めまして。ヒイラギ・アクロと申します。
あの、僕何も言われずここに連れてこられたんですけど……」
「大丈夫だぜ! 今から説明するよ!」
ヒイラギと5人組の間に立つと、まずは5人組について説明を始めた。
「この5人はね、俺が出した依頼を受けてくれた、主に暗殺部門で活躍している傭兵たちだぜ!
依頼の条件はこう!」
傭兵として1年以上活動している者。
主に暗殺部門の依頼を受けている者。
「そして、内容はこう!」
新参大会優勝者であるヒイラギ・アクロと、3日間森林で鬼ごっこをすること。
ただし、報酬はヒイラギ・アクロを捕まえることができた者に支払われる。
捕まえたことの確認は、ヒイラギ・アクロからバッジを受け取ったかで行う。
また、命を狙う行為は禁止だが、足止め程度の罠や攻撃は許可する。
「え……。え?」
(なんだこれ……)
「なんだこれ!」
我慢できずに大声を上げるヒイラギ。
自分が知らないうちに依頼の対象になっていた。
(いや、実際に暗殺をされる側は、知らないうちってのが普通なんだけど)
それはそれ。これはこれである。
「いやー、だいぶ苦労したんだぜ!
想定していた以上に参加者が集まっちゃって!
だから、依頼にこんな文言を追加したんだぜ!」
追記。
同時に参加する人数は5名までとする。
ヒイラギ・アクロからバッジを受け取った者は、その足で傭兵会本部に出向き、報告すること。
その者は、以降の参加を禁止する。
入れ替わりに、参加の意思があった他の者を先着順に投入する。
「だからなんだこれ!!」
「あっちを見るんだぜ!」
示された方向へものすごい勢いで顔を向ける。
少し大きめの机とイスが並べられ、数人の傭兵と思しき人たちがこっちを見て手を挙げていた。
「待機所だぜ!」
スタスタとナーランがヒイラギに近づいてくる。
「はいこれがバッジ!
捕まったと思ったら、それを渡してあげてね!
あと、その剣を使ってもいいけど、思いっきり傷つけたり、命を取ったりしたらだめだぜ!
じゃあ、はりきっていこうぜ!」
混乱するヒイラギの背を押して、森の中へと進む。
「参加者はこのあと5分後くらいからアクロ君を追いかけ始めるぜ!
3日間、森の中から出ないように気を付けてね!」
駆け足で森の外へ戻っていく。
「あ! ちなみに! 俺は暗殺者じゃないけど、参加するつもりだからー!」
声が姿と共にフェードアウトしていった。
「…………」
死んだような目で小さくなっていく人影を見送る。
そして、長いため息をつくと、しぶしぶ木々を分け入っていった。
開始してしばらく経った。
参加している傭兵たちは、1年以上暗殺部門で活動しているということもあり、気配がほとんど察知できなかった。
ここまでに、ヒイラギはすでに3つのバッジを渡していた。
1人目は木陰から急に飛び出してきて、ヒイラギを地面に押さえつけた。
2人目はわざと物音を立てて、その反対側に仕掛けた罠に引っ掛けてきた。
3人目は待ち伏せし、木の上から飛び降りてきた。
すでにかすり傷だらけ、泥だらけのヒイラギ。
実際に暗殺依頼をされていたら、3回は死んでいた。
「もしかして、新参大会で優勝したからって、浮かれないようにってことかな……?
いや、浮かれていなかったけど。
それとも、何か別の意図でもあるのかな……」
木にもたれかかって、そうつぶやく。
長時間気を張りっぱなし、森林の中を移動しっぱなしで、かなり疲弊してきていた。
さらに、食事をとる暇もなく、そもそも食料がなかった。
「それか、スリークさんとの戦いに向けて、鍛えてくれているとか」
急に小石が飛んできた。
身をかがめてそれを避けると、一目散に走りだす。
なけなしの注意力で、罠がないか確認しながら精一杯逃げた。
そうこうしているうちに、日が落ち、森林が闇に包まれた。
いまだにまともな食事はとれていないが、どうにか小川から水分は確保した。
ただ、その道中で2人にバッジを渡していた。
この森林鬼ごっこを通して、視覚があてにならないことが多く、聴覚や触覚などを酷使していた。
そうした状況が半日以上続いているせいか、聴覚と触覚が過敏になってきていた。
普段は気にしないような物音や振動に気づき、そのたびに精神がすり減る。
疲労が限界ということもあり、ヒイラギは大きな木の根のすきまに腰を下ろした。
これがあと2日間も続くと考えてげんなりする。
投げやりになりながらも、周囲を警戒するヒイラギ。
夜になっても眠ってはいけない。むしろ、夜の方が奇襲されやすい。
その眠ってはいけないという思考を塗りつぶすように、意識を失うのだった。
けたたましい鳥の鳴き声で目を覚ましたヒイラギ。
睡眠をとったことで、とりあえず思考能力は少し戻った。
運よく睡眠を邪魔されなかったことに感謝して、ゆっくり立ち上がる。
思考能力が戻ったことによって、今の状況への疑問が湧く。
(怪我が治ったばかりの人間にこの仕打ち。
そもそも、ナーランさん。元気が出る、とか、自然の癒し、とか言ってなかった?)
さすがのヒイラギも憤慨する。
(確かに、このハードさのお陰で、なまっていた体は元通りになったけど。
今はそれを通り越して、体中が痛すぎるんだけど)
不平不満が次々と沸き上がってくる。
たびたび思っては、心の中にとどめてきた。
だが、今回はそれが抑えきれなかった。
「ああああああああ!! 本当に! なんだこれは!!」
咆哮をあげた瞬間。
背後から感じた嫌な気配。
振り向き、剣を抜いて、飛んできていた何かを叩き落とす。
初日はいろいろな方法でヒイラギを捕まえにきた。
その気配をまったく察知できなかった要因のひとつに、殺意がないということがあった。
ヒイラギは王国に来る前の経験と、新参大会を経験したことで、殺意にはかなり敏感になっていた。
この鬼ごっこではそれが意味をなさなかったため、苦戦をしいられていた。
だが、今この瞬間に感じたのは、まさしく殺気。
落としたものに目をやると、黒塗りされた鋭い投げナイフだった。
何かおかしいと感じたヒイラギは、いつもの構えを取り、荒れた心を落ち着かせる。
鬼ごっこ2日目は、異常事態から始まったのだった。
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