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2章 陰陽騒乱編
20 GWですわ!
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カーテンから優しく射す光で、琥太郎は目が覚めた。鼻腔をくすぐる花のような良い香りが心地よい。
「お兄ちゃん、おはようニャ」
「ああ、おはよう」
「よく寝れたかニャ?」
「よく寝れたのは良いんだけど……。とりあえず離れてくれないか?」
美乃梨は琥太郎の胸元に抱きつくように丸くなって、ゴロゴロ喉を鳴らしている。
「なんでニャ?」
「だって、兄妹でこんなのおかしいだろ?」
「そんなことないニャ。兄妹は仲良く一緒のお布団で寝るのが普通だニャ」
「そんなもんかなあ?」
今まで自分に妹がいないと思っていた琥太郎は、いまいち距離感が掴めずにいる。ご機嫌そうな美乃梨は、猫耳を耳をピョコピョコと動かした。尻尾もゆらゆらと動いている。
「あら、琥太郎さん、美乃梨ちゃん、起きましたか」
とキッチンから柚が声をかけてくる。
「おはよう、柚。もう朝食作ってくれてるのか」
「ええ。もう少しでできますわ」
キッチンから、パンが焼ける香ばしい香りが漂ってくる。
「さて、そろそろ俺もベッドから出るか」
と言うと、美乃梨がイヤイヤするように首を振りながらギュッと強く抱きしめてきた。
「イヤだニャー!もう少しお兄ちゃんとゴロゴロするニャ」
「まったく、美乃梨は甘えん坊だな」
「えへへ、お兄ちゃん♡」
「もう、お二人でイチャイチャして!明日は柚の番なんですからね」
琥太郎の家には、ベッドが二つしかない。柚と美乃梨はどちらが琥太郎のベッドで一緒に寝るか最初は言い争ったいたが、結局は一日交代にすることに決めたようだ。
「はーい、朝ごはんできましたわよ」
食卓には、パンとカフェラテが三人分並んでいた。
「パンの上に目玉焼きが乗ってるニャ!」
と美乃梨が嬉しそうに目を輝かす。
「食パンに窪みを作って、卵を乗せたらトースターでチンするだけですわ。意外と簡単なんですわ」
と柚が微笑む。
「へー、おいしそうだなあ。某アニメ映画に出てくるパンみたいだ」
琥太郎はさっそくパンに齧り付く。サクサクによく焼けた温かいパンの風味が口いっぱいに広がる。たまらずもう一口食べると、今度は目玉焼きの半熟の黄身が、口の中でとろけた。熱々の黄身がサクサクのパンに絡んで最高だ。
「柚、これおいしいよ!」
「良かったですわー!また作りますの」
「さすが柚ちゃんだニャ」
「美乃梨ちゃん、今度は一緒に作りましょうね」
ニコニコと微笑む柚は、嬉しそうにパタパタと尻尾を振った。
芦屋メルと土御門翠流との壮絶な戦いから数日が過ぎ、ゴールデンウィークに入った。学校は休みになっている。
「姫華はもう体は良いのか?」
「ええ、かなり回復して、もうほぼいつも通りだそうですわよ」
治療のあと、柚と姫華の距離はグッと縮まったようだ。定期的に連絡を取り合っているらしい。
「姫華さんは、このゴールデンウィークで京都の実家にかえるそうですわよ。呪いの回復と、自身の修行のためと言ってましたわ」
「あいつは真面目だからなあ。この前の負けが結構こたえたんだろう。あんまり無理して修行しないといいが」
「姫華さんにも、琥太郎くんが心配してたって言っておきますわね」
「ああ、よろしく頼む」
「それにしても、姫華さんには感謝ですわ!」
柚は嬉しそうにチケットを見せる。
「この間のお礼として、チケット貰いましたからね!」
姫華がくれたのは、某タワーのチケットだった。展望台だけでなく、付随する施設の水族館やプラネタリウムにも入れるらしい。琥太郎、柚、賀茂の三人分のチケットがあったが、賀茂は仕事が忙しいらしく、チケットを譲ってくれた。
「おかげで、ゴールデンウィークデートができますわ」
賀茂の分は美乃梨に渡して、三人でタワーに行くことになっている。
「楽しみですわ」
という柚の尻尾は、また嬉しそうにパタパタと揺れていた。
プラネタリウムで満点の星空に目を奪われていた琥太郎がふと横に目をやると、柚と美乃梨は疲れたのかスヤスヤと眠ってしまっていた。先ほどまで水族館や買い物ではしゃいでいたのが嘘のようだ。水族館では美乃梨が魚たちを見て「うまそうだニャ」と喜んでいた。ショッピングモールでは二人で色違いのパジャマを買っていたようだ。
「すっかり仲良しだな」
と二人の寝顔を見て琥太郎は微笑んだ。
外も暗くなってきたところで、夜景の見える展望台に向かうことにした。
「これ、とてもおいしいですわ」
「うんうん!美味しいニャ!タピオカももちもちしてるニャ」
いつの間にか二人はミルクティーを購入したようで、エレベーターで楽しそうに盛り上がっている。
「わあ!凄いですわ!」
「東京が一望できるニャ!」
最上階を降りると、さっそくガラス張りの展望デッキに駆けていく二人を琥太郎は後ろから追いかける。
「おいおい、そんなに急いでも逃げないぞ」
「凄いニャー、ここからうちは見えるかニャ」
「きっとあの辺ですわー」
キラキラと輝く東京の夜景は、京都や修行中の山中では見たことのない光景で、琥太郎も思わず声を漏らす。
「す、すげえ」
「チケットをくれた姫華さんには本当に感謝ですわね!」
「ああ。休み明け、学校で会ったらお礼言わないとな」
「ええ。学園祭も控えていますし、楽しみですわね!」
と楽しそうに言う柚の顔は溢れるような笑みに溢れていた。
「お兄ちゃん、おはようニャ」
「ああ、おはよう」
「よく寝れたかニャ?」
「よく寝れたのは良いんだけど……。とりあえず離れてくれないか?」
美乃梨は琥太郎の胸元に抱きつくように丸くなって、ゴロゴロ喉を鳴らしている。
「なんでニャ?」
「だって、兄妹でこんなのおかしいだろ?」
「そんなことないニャ。兄妹は仲良く一緒のお布団で寝るのが普通だニャ」
「そんなもんかなあ?」
今まで自分に妹がいないと思っていた琥太郎は、いまいち距離感が掴めずにいる。ご機嫌そうな美乃梨は、猫耳を耳をピョコピョコと動かした。尻尾もゆらゆらと動いている。
「あら、琥太郎さん、美乃梨ちゃん、起きましたか」
とキッチンから柚が声をかけてくる。
「おはよう、柚。もう朝食作ってくれてるのか」
「ええ。もう少しでできますわ」
キッチンから、パンが焼ける香ばしい香りが漂ってくる。
「さて、そろそろ俺もベッドから出るか」
と言うと、美乃梨がイヤイヤするように首を振りながらギュッと強く抱きしめてきた。
「イヤだニャー!もう少しお兄ちゃんとゴロゴロするニャ」
「まったく、美乃梨は甘えん坊だな」
「えへへ、お兄ちゃん♡」
「もう、お二人でイチャイチャして!明日は柚の番なんですからね」
琥太郎の家には、ベッドが二つしかない。柚と美乃梨はどちらが琥太郎のベッドで一緒に寝るか最初は言い争ったいたが、結局は一日交代にすることに決めたようだ。
「はーい、朝ごはんできましたわよ」
食卓には、パンとカフェラテが三人分並んでいた。
「パンの上に目玉焼きが乗ってるニャ!」
と美乃梨が嬉しそうに目を輝かす。
「食パンに窪みを作って、卵を乗せたらトースターでチンするだけですわ。意外と簡単なんですわ」
と柚が微笑む。
「へー、おいしそうだなあ。某アニメ映画に出てくるパンみたいだ」
琥太郎はさっそくパンに齧り付く。サクサクによく焼けた温かいパンの風味が口いっぱいに広がる。たまらずもう一口食べると、今度は目玉焼きの半熟の黄身が、口の中でとろけた。熱々の黄身がサクサクのパンに絡んで最高だ。
「柚、これおいしいよ!」
「良かったですわー!また作りますの」
「さすが柚ちゃんだニャ」
「美乃梨ちゃん、今度は一緒に作りましょうね」
ニコニコと微笑む柚は、嬉しそうにパタパタと尻尾を振った。
芦屋メルと土御門翠流との壮絶な戦いから数日が過ぎ、ゴールデンウィークに入った。学校は休みになっている。
「姫華はもう体は良いのか?」
「ええ、かなり回復して、もうほぼいつも通りだそうですわよ」
治療のあと、柚と姫華の距離はグッと縮まったようだ。定期的に連絡を取り合っているらしい。
「姫華さんは、このゴールデンウィークで京都の実家にかえるそうですわよ。呪いの回復と、自身の修行のためと言ってましたわ」
「あいつは真面目だからなあ。この前の負けが結構こたえたんだろう。あんまり無理して修行しないといいが」
「姫華さんにも、琥太郎くんが心配してたって言っておきますわね」
「ああ、よろしく頼む」
「それにしても、姫華さんには感謝ですわ!」
柚は嬉しそうにチケットを見せる。
「この間のお礼として、チケット貰いましたからね!」
姫華がくれたのは、某タワーのチケットだった。展望台だけでなく、付随する施設の水族館やプラネタリウムにも入れるらしい。琥太郎、柚、賀茂の三人分のチケットがあったが、賀茂は仕事が忙しいらしく、チケットを譲ってくれた。
「おかげで、ゴールデンウィークデートができますわ」
賀茂の分は美乃梨に渡して、三人でタワーに行くことになっている。
「楽しみですわ」
という柚の尻尾は、また嬉しそうにパタパタと揺れていた。
プラネタリウムで満点の星空に目を奪われていた琥太郎がふと横に目をやると、柚と美乃梨は疲れたのかスヤスヤと眠ってしまっていた。先ほどまで水族館や買い物ではしゃいでいたのが嘘のようだ。水族館では美乃梨が魚たちを見て「うまそうだニャ」と喜んでいた。ショッピングモールでは二人で色違いのパジャマを買っていたようだ。
「すっかり仲良しだな」
と二人の寝顔を見て琥太郎は微笑んだ。
外も暗くなってきたところで、夜景の見える展望台に向かうことにした。
「これ、とてもおいしいですわ」
「うんうん!美味しいニャ!タピオカももちもちしてるニャ」
いつの間にか二人はミルクティーを購入したようで、エレベーターで楽しそうに盛り上がっている。
「わあ!凄いですわ!」
「東京が一望できるニャ!」
最上階を降りると、さっそくガラス張りの展望デッキに駆けていく二人を琥太郎は後ろから追いかける。
「おいおい、そんなに急いでも逃げないぞ」
「凄いニャー、ここからうちは見えるかニャ」
「きっとあの辺ですわー」
キラキラと輝く東京の夜景は、京都や修行中の山中では見たことのない光景で、琥太郎も思わず声を漏らす。
「す、すげえ」
「チケットをくれた姫華さんには本当に感謝ですわね!」
「ああ。休み明け、学校で会ったらお礼言わないとな」
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