【完結】妖の王の継承者は正妻志望で学園1の銀髪美少女と共に最強スキル「異能狩り」で成り上がり復讐する〜

ひらたけなめこ

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1章 入学編

05 一緒にお風呂に入りませんか?

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「な、なんだって?」
 思わず聞き返す琥太郎に、

「ここが今日から琥太郎くんと柚の愛の巣ですわ♡」
とニコニコと柚は微笑みかける。

「いやいやいや、ちょっと待て!」

「まあまあ、とりあえずお家に入りましょ」

 柚はフサフサの尻尾をご機嫌に振りながら、家の中に入って行ってしまった。

「わぁー、広くて良いお家ですわ!」
と柚の嬉しそうな声が聞こえる。焦る琥太郎は急いでポケットからスマホを取り出すと、電話をかけた。

「なんじゃ、琥太郎か。学校は終わったかの」

「学校は良いんだけど、それよりどうなってるんだよ!」

「おう、家の方か。なかなか良い賃貸を見つけたじゃろう。家電とか日用品は烏天狗に運ばせといたからの。足りないもんがあったら言っとくれ」

「いやいや、師匠!それより伏見稲荷の柚の話だよ!」

「ああ、柚ちゃんか。言い忘れとったが主の幼馴染なんじゃろ?はて、許嫁だったかの?伏見の狐たちから連絡もらって、一緒に住むことにしておいたから、安心せい」
 電話口から聞こえるガハハという笑い声に琥太郎はため息をつく。親代わりに琥太郎を育てた天狗の次郎坊は、琥太郎の剣の師匠でもある。

「なんじゃ、不満そうにして。お主も妖の王を目指す身じゃろう。おなごの一人くらいにカリカリしてはとても王の器とは言えんぞ。エスコートするのも修行のうちじゃ」

「なっ、それくらい何とも思ってないって!また何かあったら電話する!」
 思わず琥太郎は電話を切ってしまった。次郎坊にはどうしても頭が上がらない。とりあえず琥太郎も家に入ってみることにした。

「見てください、琥太郎くん!とっても良い家ですわよ!」

「ああ、かなり広々としているな」

「琥太郎くん、お腹すいたでしょう?冷蔵庫にあるものでとりあえず作っておきますわ。ゆっくりしててください」

「ありがとう、柚。お言葉に甘えるよ。たぶん烏天狗が色々食材を入れてくれてると思うんだ」

「お風呂を今沸かしておりますわ。汗もかいたでしょうし、流してくると良いですわ」

 柚子が台所で包丁を使う音が小気味良く響く。包丁捌きがなかなか様になっていて、料理はかなりの腕前のようだ。次郎坊と山で修行していた時はとりあえず食材をなんでも鍋に突っ込んでいた琥太郎からすると、料理を作ってくれるのはありがたい。妖刀安綱の手入れをしつつ、琥太郎は風呂が沸くのを待った。

「ふぅ。やっと一息ついたな」

 風呂に入ると、思っていた以上に体が疲弊していることに気づく。初めての高校生活の緊張に加え、酒呑童子との戦いが蓄積しているようだ。初日から妖を討伐できたので、上々のペースだ。琥太郎は制服で隠れていた右肩の包帯をゆっくりと解く。生々しい火傷の傷跡が腕に広がっていた。

「今日1日でかなり広がったな。酒呑童子の呪いか」

 10年前両親が殺害された時に館で負った火傷は、今でも琥太郎の右腕に残っている。妖を斬る代償として、右肩の火傷に呪いが蓄積していた。ズキリとした痛みを感じ顔をしかめる。

「これじゃあ妖を全員斬り終わるのが先か、俺の腕が肩からもげるのが先かだな」

 苦笑する琥太郎は風呂から出ると、体を洗おうとした。

「料理がひと段落しましたの。琥太郎くん、お背中お流ししますわ」

「え?」

 ちょうど体を洗おうとしていた琥太郎と、いきなり入ってきた柚が鉢合わせしてしまった。慌てて琥太郎は柚に背をむける。

「そ、そんな……。琥太郎くん、大胆ですわ」

 頬を染め、顔に手を当てながら、指の隙間からチラチラと柚はこちらを覗いている。お風呂用に銀色の長い髪を御団子にくくっているのがかわいらしい。

「琥太郎くん、良い体ですわ。柚が洗って差し上げます♪」

「柚、さすがにそれはまずいって!」

「これくらいできなければ正室は務まりませんわ。まずはシャンプーからですわね」

 有無を言わさず柚は琥太郎の髪にシャワーをしてから、シャンプーを優しく馴染ませた。頭皮をマッサージするように洗われるのはとても気持ちが良い。

「お背中も洗いますわね。痒いところはございませんか?」

 よく泡立たせたボディタオルで背中をこすられると、心地よいような、くすぐったいような感覚が全身に広がった。

「うふふ、琥太郎くんとっても気持ちよさそう。目がとろんとしてますわ」

「そ、そんなことないって」

「恥ずかしがらないで柚に体を預けても良いですわよ。あら、肩のところに呪いが溜まってますわね」

 柚が琥太郎の火傷痕の前に手をかざすと、光が集まり出した。肩のあたりがカイロを当てられたようにポカポカと温かい。

「柚、呪いを取れるのか?」

「ええ、伏見稲荷の神使ですもの。浄化は得意ですわ」

「ありがとう、痛みが引いていくよ」

「お役に立てて嬉しいですわ」
 柚は嬉しげにニコニコ笑う。

「では、お次は前の方もお洗いしますね」

「いや、そっちは自分でやるから!」

「残念ですわ。それなら、柚は湯船に浸からせてもらいます」

 気まずい表情で体を洗う琥太郎の横で、柚は心地良さそうに湯船で伸びをした。










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