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2章
64:閉会式
しおりを挟む「決まったー!ブロック10決勝戦、勝ったのは風紀委員会会長!ナナーリア フォールス選手だー!」
未だ熱気冷めやらぬ中、実況により勝者の名前が告げられた
「これで学園内代表選抜試合は終了となります!各ブロックの優勝者はこれから行う閉会式で表彰がありますので舞台へお越し下さい」
連絡をしつかりと聞きながら皆んなの話に参加する
「いや~、イヴの奴負けちまったな~。あんな自信満々だったのに」
ケタケタ笑いながらソウマが言う
「性格悪いぞ~。でも惜しかったよね」
とナキアさん
まあ、確かにイヴは負けてしまったが惜しかった。使う魔法は強かったし、何より高位の精霊を出した時はビックリした
まあ、それでもナナ先輩に負けてしまったのだが
ナナ先輩はSクラスじゃないのが不思議なくらい強いんだよね
「結局1年生での代表はクウガとソウマにダリアさんだけだね」
おめでと、と言いながらフレッドが言う
「そうなったな。1年生の大半が予選落ちで上がってきても先輩達に尽く負けてたからね」
ただ見た中では何人か素質のある生徒は居たのでこれから成長するだろう
「それよりも、お三方は行かないといけないのでは?」
おっと、確かにそうだ。メアリーさんに言われ、舞台の方へと視線を向ければ殆ど集まっていた
「それじゃ、また後でな」
「後でね」
「行ってくるわ」
皆んなに見送られて、舞台へと向かった
「只今より、学園内代表選抜試合の閉会式を行います。始めに代表の任命を行います」
眼鏡先生の進行によって会が始まった
俺達、各ブロックの優勝者は舞台にて横一列に並んでいる。表彰の為に学園長が俺達の前へと出て、順番に名前が呼ばれる
「ブロック1優勝。3-S レイガルド アルメキア」
「はい」
名前を呼ばれ、返事をして前に出る。その姿は凛としており、美しさと上に立つ者の覇気が感じられる
そんな姿に観客席からは黄色の歓声が響く。しかし、男連中からのやっかみの声などは上がらない。これは殿下の人望がなせる技だろう。殿下は貴族だ平民だと差をつけたりするのを良しとしないし、容姿や性別なんかでも差別などしない。それをしっかりと行動で示しているので皆から慕われているのだ
「ブロック2優勝。3-A1 サウザー」
「はい!」
いつも通りにツンツンに逆立てた金髪を光が照らし、力強い返事と共に前へ出る
殿下に対してサウザー先輩への歓声は男の人からの歓声が凄い。期待してるぜー!や頑張れよー!という応援の声が多い。サウザー先輩は男子からの人望が厚い。風紀委員会の副委員長というポジションにいながら課外授業での女子の着替えの覗きを率先して行ったりする、お馬鹿さんなのだ。その代わりなのか男子からの信頼やら何やらが厚い。女子には嫌われているかと言われればそうでもないという不思議な人だ
「ブロック3優勝。1-S クウガ」
「はい」
前の先輩方のように返事をして、前へと出る
そして、湧き上がる歓声。正直自分がどう思われてるのかは分からない。最後の試合はやり過ぎてしまった感がある。普段の行動は問題を起こす人たちには快く思われては居ないだろう。助けた人達からは感謝されるので良いのだが
まあ、他人にどう思われようが自分の価値や評価なんて物は自分自身で決めることだ。周りは気にしないでおこう
師匠がよく自重しろとか、あんま目立つなとか言われているが正直なところ、あまり意味を見出せないので気にしないことにした
だからこれからも自分の思うままに、気の向くままに行動していくつもりだ
「ブロック4優勝。2-S クラマ サルトビ」
返事はせず、静かに前へと出る
問題児の多い2、3年生のSクラスで少ない問題を起こさない人。そのスタイルはサルトビ家に受け継がれる忍びという、師匠の世界の職業。何でも召喚や転生ではなく、迷い込むという形で来た異世界人が祖先におり、代々技術を磨き、継承してきたそうだ。これは直接本人に聞いた話なので確かなものだ
黒の髪に紫の瞳をした茫洋と言うか、特徴が薄い顔。しかし、醜いという訳ではない。何でもあの顔も修行した物なんだとか。そこら辺は詳しく聞けていないので分からない
先輩とは偶に修行を共にやったり、付き合わされたりする仲だ
「ブロック5優勝。3-A1 グレイス エルレイド」
「はい」
俺も所属する風紀委員会の美人な先輩。グレイス先輩は最初家名を名乗らなかったので平民だと思っていたのだが貴族だったと後から知った。グレイス先輩は氷の魔法を得意としており、この学園では俺を除いて唯一氷魔法を昇華させている人だ
「ブロック6優勝。1-S ダリア」
褐色な肌と対比して映える白髪を靡かせながらダリアさんが前へと出る。そのスラっと伸びた身長とスタイルの良さに男子の視線が集まっている
「ブロック7優勝。1-S ソウマ コウヅキ」
「はいよ」
こんな時にもブレないソウマ。黄色の歓声に片手を挙げて答え、笑顔を振りまく
あいつは最近になって演技するということをやりだした。普段の時は少し馬鹿を演じ、女性の前ではチャラい感じを、と言うような感じで周りの印象を自分で作るようになった。身近な俺やナキアさんなどにはそういったことは無いが、何かの考えのもとそれをやっているっぽい。未だ俺の勘と推測でしかないので合ってるかは分からない
「ブロック8優勝。3-S ガルガロッソ」
俺との修行。1ヶ月の模擬戦でガルガロッソ先輩は見違えるほど変わった。強くなったのだ
準決勝までを全て一撃で相手を沈めており、決勝では2-Sの問題児の1人を圧倒的な力と新しく身につけた技術で叩きのめした
これでその問題児が更生してくれていたのなら風紀委員会としては助かる限りだ
「ブロック9優勝。2-S クレリア セイント」
「はい」
この人も問題児ではない数少ないSクラスの人。背中に真っ白な羽を持つ天族の女の人。ふわふわとした腰まで伸びた金髪を持ち顔は作り物ではないのかと疑ってしまう程整っている
天族は神の使徒などと言われる種族で神の力を借り受けて戦えるそう
で、彼女は天族の村の長の娘らしい。この人とは話したことがない。ナキアさんはかなり親しい間柄だそう。何でも幼い頃からよく会っていたと聞いた
特別な種族だけあって実力は本物だ
「ブロック10優勝。ナーナリア フォールス」
「はいな」
おどけた口調で返す我らが風鬼委員長。相変わらずの糸目である。イヴとの戦いはかなりの接戦だったが、イヴの奥の手の高位精霊すらも退ける程の実力を持っている。連接剣という特殊で扱いの難しい武器を使う
そんな先輩の悩みは彼氏が出来ないこと。くだらないと言って笑うとぶん殴られるからね。注意してね
まあ、原因は女性らしくないからだと風紀委員会のメンバーでは共通認識だ。最近はフレッド弄りがお気に入り
代表となる計10名の生徒の名前が呼ばれ学園長が話を始める
「君達10名は戦いを勝ち抜き、その実力を示した。よって、君達10名を我が校の代表として任命する。国内代表選抜試合で自分の実力を示してきなさい」
「「「「はい!」」」」
「そして、負けてしまった生徒の諸君!」
今度は観客席に座る生徒達へと声をかける学園長
「負けた悔しさを忘れてならん。その悔しさを糧として努力し、成長するのだ。目標はここに居る。手本はそこら中にある。教えてくれる先生もいる。後は君たちの、強くなる為の努力次第だ。頑張ってくれたまえ」
学園長の話の反応は様々だ。その言葉で奮起するもの、やる気を漲らせるもの、何かを考えるもの。そして向けられる憧憬の眼差し。こそばゆい物だ
「これにて学園内代表選抜試合、閉会式を終了いたします」
さあ、次は国内代表選抜。今からワクワクするね
だけどその前にフレッドとのダンジョン攻略だ。張り切って行くぞ~
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