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1章
34:英雄の魔法
しおりを挟む地下室から師匠の書斎にやってきた。師匠は出掛けているのか居なかった。師匠とは最近はあたり模擬戦は出来ていない。なんか忙しそうなのだ。それでも偶に模擬戦をやってくれている。
まあ、その事は置いておいて本棚からお目当てに合いそうな本を取って机の上に置いてソファーに座り1冊取る。
先ず取ったのは英雄譚の1つだ。出てくる魔物は9頭8尾の魔物、ベドラグア。見た目は熊なのだが毛皮ではなく鱗で8本の尻尾がありその先端は顔になっている。大きさはとんでもなく、高さが20m程はあったそうだ。
対する英雄は槍型宝具ギルティアスの担い手の男とその仲間の魔法士と剣士の3人だ。宝具であるギルティアスは現在どこにあるかは分かっていないが存在しているのは確かだそうだ。
ベドラグアは当時、その巨体で数々の街や村で破壊の限りを尽くしていたそうだ。人々はそれを半ば天災として諦めていたそうだ。しかし、ある時に英雄が立ち向かった。彼はベドラグアに滅ぼされた村の唯一の生き残りだった。復讐という黒い感情を糧に努力し、力を蓄え続けた。そして、力を得た英雄は信頼の置ける仲間と共にベドラグアに挑み見事討伐したのだ。
そんな英雄達が何故3人だけで挑んだのかは本では語られていない。まあ、恐らく国や他の冒険者はベドラグアに攻撃するということが怖かったのだろう。もし倒せなかった時は、と考えると直接な手助けはしなかったのだろう。
そんな3人の相手のベドラグアは巨大な上に頑丈で実に多彩な攻撃をしてきたらしい。
こいつを魔法で象ったらとても強そうだね
その本を読み終えて次の本に手を伸ばす。次に手に取ったのはこれまた英雄譚。内容はどこかの国に突如現れた魔物を撃破するお話だ。ここで戦うのは英雄だけではない。オーガの大群が転移の魔法か何かで突如現れ、それに国にいた騎士、兵士、冒険者で協力して戦った様だ。その中で敵の最大戦力と単騎で渡り合い、撃破した騎士の話だ。敵の最大戦力の名はヴァルヤというオーガの上位種、又は突然変異体だと思われる。まあ、魔王や邪神やらが改造した可能性もあるが。そんなヴァルヤの特徴は片方の肩から腕が3本生えていたらしい。その手には呪いの剣や槍、斧などを持ち敵対した騎士を手数で追い詰めた様だ。顔はオーガよりも魔族の括りの中の鬼人族に似ていたそう。
そんな敵に対し騎士がどうやって勝利をもぎ取ったのかと言うと、彼は扱う剣をヴァルヤと同じ6本にしたのだ。これだけでは意味がわからないが騎士は無属性しかの 適性が無かったそうだが、無属性に関しては誰も敵わないとされるほどの腕前だったようだ。そんな彼が使ったのが魔力の剣を5本新たに生み出し、それを魔法で操りながら戦ったというのだ。
そして、手数が同じになり、剣術でも秀でていた騎士が勝利をもぎ取ったのだ。
魔物を目的として読んでいたのだがこれを見たら騎士の使った魔法を会得したくなってしまった。それに考えたのだが、魔力で剣だけではなく腕もヴァルヤのように増やしたら面白いのではないか?
うん、ヴァルヤは魔法で再現しないけど騎士さんの魔法と腕を増やすというのはいい案な気がする。まあ、取り敢えずは本を読んで、その後に纏めてやろうと思う
次に手に取ったのはとある戦争での話。魔王と争っているのにも関わらずこちら側で協力をせず、他国を自分のものにしようとするような国も残念だが存在する。そんな人間の醜さが現れているものだ。なぜこれをとに取ったのかと言うと、この戦争には途中で魔物が乱入し両軍を全滅させてしまうのだ。
魔物の名前はガルタニス。邪神に生み出された邪龍の1体だ。その体に黒い炎を纏わせることから黒炎龍とも呼ばれていた。何故過去形なのかと言えばギュル爺が倒してしまっているのだ。
ギュル爺は本当にデタラメで凄い人のようだ。
まあ、それは置いておいて。ガルタニスは両方の軍の者達、合わせて10万を超える数を全滅させたのだ。その攻撃はその30mを超す巨体から繰り出される足の振り下ろしで、地面が割れ、尻尾の薙ぎ払いで人が消し飛び、ブレスは何も残さず焼き尽くす。
典型的な龍といった感じだ。龍を作るなら参考にしようと思う。
その後も本棚から取り出した本を間に晩ご飯を挟んで読み終え、1日を終えた
翌朝、最近はまっているラキアの頭を撫でサラサラの髪の毛を堪能してから色々済ませて地下室に向かい、鍛錬を始める。
早速だが、昨日読んだ英雄の魔法を試してみようと思う。魔力で剣を作るのは既に出来ている。英雄は無属性しか使えなかったので魔力の剣だが、俺は属性適性にはかなり恵まれているので様々な剣を作ることが出来る。
取り敢えず剣を魔力で2つ作ってみた。そして、それを浮かせて自在に操るのをイメージして無魔法を行使する。
使ってみた感想なのだが、思っていたよりも簡単に出来てしまった。浮かす、操るという事を同時にやるのだが、これは別々の属性の魔術などの同時行使に似ており、案外簡単に出来てしまった。これなら普通の鉄製の剣とかこの魔力の剣より重いものでも出来そうだ。
的を作り攻撃もやってみた。剣を手で持っているわけでは無いので回転させて斬りつけたり、色んな角度から突っ込ませたりとかなり自由度が高い。これを使いこなせれたらかなり有用な物になるだろう。
あと数は5本まで増やしても特に問題はなかった。【並列思考】のおかげだと思う。
英雄の魔法ってのだと何かピシッとならないので、魔力で剣を作るのは幻剣、それを操り動かすのを飛剣と名付けた。
最大の数は後で調べれば良いので今は置いておこう。次は腕を魔力で増やしてみよう。これも魔力で作るから幻腕としよう。魔力で作っても銀色の腕や剣なのだが、少しその存在が朧げなので幻とつけた。
幻腕の使ってみた感想は、とても使いにくいというものだ。動かせはするのだが、元々無かったものだし、どう動かすのが良いのかよくわからなかったのだ。これを巧みに操っていたというヴァルヤは凄いなと思った。
幻腕を動かしていると朝食が出来たのを知らせにラキアが来てくれた。幻腕を見て驚いていた。続きは朝食を食べたらだな
朝食を食べたあと、カリルが遊んでとせがんできたので付き合ってあげたのだが、解放されたのはお昼ご飯の時間だった。まあ、ちっちゃくて可愛いカリルだから許してあげよう。お昼ご飯を食べ終えて、また地下室にやってきた。
近くではラキアがいつものようにニコニコしながらこちらを見ている。前に気になって楽しいの?と聞いたら楽しいと本人が言っていたので良いのだろう。俺にはよくわからないが。
今からは飛剣をしっかりと使えるようにする為に俺自身が攻撃しながら飛剣を操り敵を攻撃する練習をしよう。一振りで的が壊れては意味無いので的は硬くし、幻剣に刃は付けないでアイテムボックスから取り出したアギスは魔力で覆って打撃武器とする。
少し離れた場所に作った的に向けて走り出し、飛剣によって幻剣を操り先行させて的を攻撃する。そこに俺も加わり剣を繰り出していく。的は動かないのでどの様にしたら良いのかを考えながら動いていく。
午後はそれに時間を費やし、晩ご飯の後はまた師匠の書斎で本を少し読んだ。本を読めば飛剣みたいな有用な物がまた見つかるかもしれないからね。
明日は魔物相手に飛剣を使っての練習をしようと思う。ダンジョンだといつもと変わらないのでラキアに乗ってブラブラして魔物を見つけたらそこで戦うという感じでやろうかな。お弁当を作ってもらって何処か景色の良いとこでラキアとご飯を食べるのも良いかもしれない
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