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第一章:セントラル家
8話 お手軽!ぷるぷるプリン③
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「帰ってきたぞ~!」
私たちがプリンを作り終えて1時間後、ヘールさんが帰ってきた。
本当は、ホイップクリームを作ろうとも思ったのだが、生クリームがないようなので、諦めることにした。
「おかえり父さん!あのね、おやつを用意したんだ!はやく食べよう!」
「オヤツ?なんだそれは」
またもやリッタ夫人と同じ反応をするヘールさんに同じ説明をする。
ぱあっと顔が明るくなったところを見ると、ヘールさんは甘党なのだろうか。
「俺すごい甘いもの好きなんだ!王都でしか食べられないと思っていたが……今日は何を出してくれるんだ?」
「プリンという卵を使った菓子ですよ。すぐにお出しするので手を洗ってお待ちくださいね」
リベラルとヘールさんが手を洗いに行っている間に、リッタ夫人と冷蔵装置に入れておいたプリンを取り出す。
試しに、自分が食べる分に指を入れて硬さを見てみたが、ちょうどいい弾力で上手くできていそうだ。
「よし!洗ってきたぞ!はやく食べよう!」
ウキウキとしながら食卓につくヘールさんの前にコトンとプリンが入ったマグカップを置く。
リッタ夫人があらかじめ用意していた紅茶も並べれば、おやつの用意は完璧だ。
「さて!では手を合わせて……いただきます!」
「「「いただきます!」」」
スプーンでひとすくいしたプリンを口に入れる。
私が好きなプリンはとろっとしているものだが、しっかり歯ごたえがあるぷるぷるとしたプリンも悪くない。
頭の中に残っていただけのレシピだったから、少し不安だったのだが、上手くいって大満足だ。
「うんっ!美味い!初めて食べる食感だ!」
「うわあ!美味しいわね!初め聞いた時はどんなものかと思ったけど、簡単に作れるし、これからも作ってもいいわね」
「~~~美味しいっ!!!!あのね、父さん!これ、私もお手伝いしたんだよ!」
「なんだって!?もう食べれなく無くなるじゃないか!保存だ!!冷蔵庫に入れておいてくれ!!」
「父さん!今食べてくれないと悲しいよ!」
「そ、そうか……仕方ないな……だが、本当に美味しいな」
「ふふ、ありがとうございます。下にあるソースと一緒に食べるとまた味が変わって美味しいですよ」
ヘールさんとリッタ夫人がすぐさまマグカップの底を覗き込む姿がシンクロしていて思わず笑ってしまう。
「本当だ!黒いソースがあるぞ!……うまいっ!!今までは優しい甘さだったが、ビターな苦味が甘さを引き立てている!!」
「ふふ、これは砂糖を焦がしたものなんですよ。とっても美味しいでしょう?」
「作っているときは何を作っているんだろうと思っていたけど、こんな味だっただなんて……だからリベラルに苦いものは大丈夫かと聞いたのね。リベラル、一口食べてみなさい」
「やったあ!……って苦い!やっぱり私は無理!」
また、思いっきり顔を顰めるリベラルが面白くてつい声をあげて笑ってしまう。
そんな私に、3人は安心したような顔を見せた。
「よかった、笑ってくれて。起きてから、ずっと寂しそうな顔をしていたから不安だったのよ。料理をしていたときは別だったけどね」
「ああ、ここでは好きに笑って、泣いて、楽しく過ごしてくれ。それが俺たち家族の望みだ」
「ありがとう、ございます……」
セントラル一家の優しさに触れながら食べるプリンは、今まで人生の中で食べたプリンの中で1番美味し買ったものとして記憶に刻まれた。
プリンも食べ終え、ゆっくりと紅茶を飲んでいたら、ンンッとヘールさんが咳払いをした。
何事かと思い、ヘールさんを見ると、先ほどのおちゃらけた雰囲気ではなく、真面目な顔をしていた。
「俺が、王都に行って見てきたもの、そして村長と話してきたことを話そうと思う。チヒロさんにも、もしかしたら関係することかもしれないから、聞いてほしい」
「わ、わかりました」
何が始まるのか、ドキドキしながら紅茶を一口啜った。
私たちがプリンを作り終えて1時間後、ヘールさんが帰ってきた。
本当は、ホイップクリームを作ろうとも思ったのだが、生クリームがないようなので、諦めることにした。
「おかえり父さん!あのね、おやつを用意したんだ!はやく食べよう!」
「オヤツ?なんだそれは」
またもやリッタ夫人と同じ反応をするヘールさんに同じ説明をする。
ぱあっと顔が明るくなったところを見ると、ヘールさんは甘党なのだろうか。
「俺すごい甘いもの好きなんだ!王都でしか食べられないと思っていたが……今日は何を出してくれるんだ?」
「プリンという卵を使った菓子ですよ。すぐにお出しするので手を洗ってお待ちくださいね」
リベラルとヘールさんが手を洗いに行っている間に、リッタ夫人と冷蔵装置に入れておいたプリンを取り出す。
試しに、自分が食べる分に指を入れて硬さを見てみたが、ちょうどいい弾力で上手くできていそうだ。
「よし!洗ってきたぞ!はやく食べよう!」
ウキウキとしながら食卓につくヘールさんの前にコトンとプリンが入ったマグカップを置く。
リッタ夫人があらかじめ用意していた紅茶も並べれば、おやつの用意は完璧だ。
「さて!では手を合わせて……いただきます!」
「「「いただきます!」」」
スプーンでひとすくいしたプリンを口に入れる。
私が好きなプリンはとろっとしているものだが、しっかり歯ごたえがあるぷるぷるとしたプリンも悪くない。
頭の中に残っていただけのレシピだったから、少し不安だったのだが、上手くいって大満足だ。
「うんっ!美味い!初めて食べる食感だ!」
「うわあ!美味しいわね!初め聞いた時はどんなものかと思ったけど、簡単に作れるし、これからも作ってもいいわね」
「~~~美味しいっ!!!!あのね、父さん!これ、私もお手伝いしたんだよ!」
「なんだって!?もう食べれなく無くなるじゃないか!保存だ!!冷蔵庫に入れておいてくれ!!」
「父さん!今食べてくれないと悲しいよ!」
「そ、そうか……仕方ないな……だが、本当に美味しいな」
「ふふ、ありがとうございます。下にあるソースと一緒に食べるとまた味が変わって美味しいですよ」
ヘールさんとリッタ夫人がすぐさまマグカップの底を覗き込む姿がシンクロしていて思わず笑ってしまう。
「本当だ!黒いソースがあるぞ!……うまいっ!!今までは優しい甘さだったが、ビターな苦味が甘さを引き立てている!!」
「ふふ、これは砂糖を焦がしたものなんですよ。とっても美味しいでしょう?」
「作っているときは何を作っているんだろうと思っていたけど、こんな味だっただなんて……だからリベラルに苦いものは大丈夫かと聞いたのね。リベラル、一口食べてみなさい」
「やったあ!……って苦い!やっぱり私は無理!」
また、思いっきり顔を顰めるリベラルが面白くてつい声をあげて笑ってしまう。
そんな私に、3人は安心したような顔を見せた。
「よかった、笑ってくれて。起きてから、ずっと寂しそうな顔をしていたから不安だったのよ。料理をしていたときは別だったけどね」
「ああ、ここでは好きに笑って、泣いて、楽しく過ごしてくれ。それが俺たち家族の望みだ」
「ありがとう、ございます……」
セントラル一家の優しさに触れながら食べるプリンは、今まで人生の中で食べたプリンの中で1番美味し買ったものとして記憶に刻まれた。
プリンも食べ終え、ゆっくりと紅茶を飲んでいたら、ンンッとヘールさんが咳払いをした。
何事かと思い、ヘールさんを見ると、先ほどのおちゃらけた雰囲気ではなく、真面目な顔をしていた。
「俺が、王都に行って見てきたもの、そして村長と話してきたことを話そうと思う。チヒロさんにも、もしかしたら関係することかもしれないから、聞いてほしい」
「わ、わかりました」
何が始まるのか、ドキドキしながら紅茶を一口啜った。
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