《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

676.中立派とサーバル王国のシガラキノ王女殿下を大公妃に派に、嫌味やしてやっている感満載の台詞を吐き出させています。闇討ちはやめましょう。

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「ヒサツグ様の溺愛されっぷりは、クロード様をつま先で動かしそうな勢いがありますからねえ。」

サーバル王国のシガラキノ王女殿下を大公妃に派の商人は、サーバル王国の援助が盛んだったときはいち早く時流に乗ったと見られていた。

サーバル王国の撤収後。
商人なのに、商機を見誤った、三日天下で終わった、とこの商人の評価は一辺している。

商人の商売がうまくいかなくなった。

サーバル王国の資金力で、販路を急拡大したものの、サーバル王国の資金が抜けると後が続かなかった。

オレが、この商人と取引したのは、急拡大した販路に興味があったから。

急拡大した販路が急にしぼむなら、その経路を調べても損はない。

商人自身は、急拡大した販路を資金力で乗り切るんじゃなく、手堅くやる方が向いているタイプに見える。

でも。

手堅いままから、急成長を遂げたときの飛躍を体験した商人は、その成功体験が忘れられずにいる。

もう一度、あの夢を見たいと願う商人は、手堅さからはみ出そうとする。

商人の手堅さを評価していた既存の取引先から敬遠されて来ているのに、商人はまだ気づけていない。

商人として立ち直れないほどになっていくのは勿体ないから、どこかの時点で商人を立ち直らせようということになった。

祝言は、よい機会になる。

それにしても、手の指じゃなく、つま先ということは、足だよな?

つま先で?

ふーん。

「ヒサツグ様は、クロード様の褥で可愛がられるためにあげた結婚式に、お披露目をする意味はもともとありませんでしたね。」

中立派の文官は、ここぞとばかりに当てこすってくる。

初夜をしたいなら、結婚式をしてから、とクロードに主張したのは、オレ。

結婚式をすると決めたのは、クロード。

結婚式を挙げた夜に初夜だったのは、オレとクロードの事実。

「お披露目しようにも、ヒサツグ様の挨拶を受けてくださる方は、いらっしゃいませんでしたし。
ヒサツグ様の負担にならない結婚式でしたね。」

中立派の文官からの追撃。

オレとクロードの結婚式が、オレの負担にならなかった、とでも言うのかなー?

オレは、オレとクロードの結婚式で襲撃されたんだぞ?

ストレス溜まりまくったに決まっている。

「それは、それは。ヒサツグ様は、お披露目をしなくて、正解でしたなあ。」

サーバル王国のシガラキノ王女殿下を大公妃に派の農家が中立派の文官に乗っかる。

オレを見ながら話す途中。
下卑た笑みをふっと浮かべると、まじまじとオレを見る。

「まあ、しかし。二年も経てば。
褥で可愛がられるだけでは物足りなくなられたのでしょう。

溺愛を、見える形で示されたいと願われることは、決しておかしなことではございません。」

サーバル王国のシガラキノ王女殿下を大公妃に派の商人は、オレのことを理解してますから、みたいな顔で発言している。

夫婦の営みで可愛がられるだけでは飽き足らないオレがわがままを言って、クロードに祝言をねだりました、かのような言い様だなー。

「我々も、心ゆくまで、祝言というものに協力させていただきました。

何しろ、初めてでしたから、異世界を知らない我々には勝手がわからず。

めでたい場を盛り上げるためとはいえ、ヒサツグ様のご要望は、なかなか苦労いたしました。

今日は、成功して一安心です。」

サーバル王国のシガラキノ王女殿下を大公妃に派の職人は、めでたいとは思っていない言葉選びに終始している。

祝言に協力した、と言うわりに、前向きな感想を言う気はないのかなー?

「めでたい、と言いますが。

私どもは、浅慮ながら、心配しておりますよ。

ヒサツグ様がクロード様の伴侶となられてからは、二年の歳月が過ぎました。

ヒサツグ様は、我々とも良好な関係でいらっしゃると安心しておりましたが。

よもや、里心がついてしまわれたのですか?」

中立派の文官が嫌味を入れてきた。

度数の低い酒。

酔うことを警戒する気にならないくらいの度数だから、水みたいに飲もうとすれば飲める。

酒を飲んで失言しないように、なんて考えずに飲めたよなー?

オレを称賛する声を聞いたばかりだもんな?

気分良さそうなオレが意気揚々と近づいてきたから、あえて、祝の席に似つかわしくない苦言を呈したり、現実を教えてやりたくなったのかな?

過去にすれ違ったとて、オレと仲良くやり取りできている現在に自信を持っているよな?

オレに多少の失礼を働いたくらい、クロードに溺愛されているだけのオレの愚鈍さでは騒ぎやしないと思い込んでいるんだろうなー。

馬鹿にされるのって、嫌なことだよな。

オレの後ろにいる秘書3人のうちの1人が、
「アイツらは、全員、後で馬に蹴らせよう。」
と呟いている。

「全員、文官や商人や職人だからなー。

普段、馬の後ろに立つ機会はないと思うぞ?

馬に乗る機会はあっても、馬の世話をすることはない人達だからなー。

いきなり、全員が馬に蹴られていたら、何が起こったか、と注目の的になるぞ?」

オレは、一応止めてみた。

オレの秘書3人を犯罪者にしたくはない。

「馬に蹴らせる以外の名案を探します。」
と秘書。

「オレと今から探すか?」

「いいですね。」
と秘書。
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