《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

637.ミーレ長官の息子ケヤキくんにする耳に痛い話、その一。甘やかしてくれる環境の成り立ちを話します。そのぬるま湯はいつか冷めてしまいます。

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愛こんにゃく家と一緒にヤグルマさんとミーレ長官の息子さんの元へ。

オレは、ミーレ長官の息子さんに話しかけた。

「お父さんとお母さんと話してきたぞ。」

「ありがとうございます。

私は、両親に対して、どのようにすれば良いでしょうか?」
とミーレ長官の息子さん。

ミーレ長官の息子さんも、お父さんお母さん同様に、家族との距離を測りかねているなー。

「三人とも、変わろうとして戸惑いながらも、互いに家族だと認め合っていて、家族としてやっていこうという気持ちを捨てずにいるとオレは感じた。

お父さんお母さんに、お父さんお母さんでいてほしいという気持ちはあるよな?」

オレは、ミーレ長官の息子さんに念の為に確認する。

「はい。」
とミーレ長官の息子さん。

「まず、今は、三人の近すぎた関係を解きほぐして、一人一人で立ってみることかな。

お父さんお母さんは、今、過去から踏み出そうとしているぞ。」

「両親が動き出したのは、今ですか?」
とミーレ長官の息子さん。

きっと、お父さんお母さんは遅い、と言いたいんだよなー。 

オレは、ミーレ長官一家の仲をこじらせないために、親子を引き離している。

ミーレ長官の息子さんに、諸々を説明しておく時期にきたな。

お父さんお母さんが、何もしてくれない、で息子さんの認識を終わらせると家族仲が拗れたままになる。

「生きてきた時間や経験から失敗しない方法を探して見つけて次に繋げていくとなると、生きてきた時間分だけ振り返ることはたくさんあるからな。」

人が変わろうとしても、一朝一夕には難しいと思う。

「両親は、振り返ることがありすぎて、私より時間がかかるのでしょうか。」
とミーレ長官の息子さん。

ミーレ長官の息子さんの言葉の節々に、お父さんお母さんに対するあざけりが混じってきた。

うーん。

良くないな。

「お父さんとお母さんが、振り返りの中で発見してからは、早くなるとオレは思うぞ。」

ミーレ長官夫妻には、息子さんへの愛情がある。

息子さんへの愛情の表し方が、環境の激変で分からなくなっているんだとオレは思う。

「この二年は、お父さんお母さんがいない環境を体験してみたな?」

「はい。」
とミーレ長官の息子さん。

「何が嬉しいか、何が足りないか、何を欲しいと願ったか。

自分の胸の内を偽らずに、整理してみろ。

そのうち。

どんな家族がほしいか。

家族に何をしてほしいか。

自身は何がしたいか。

家族に何をしてあげたいか。

攻撃的にならない言葉を使って、信頼できる色んな人に伝えてみたらいい。

色々な考え方やとらえ方を知ることで、どんな家族になりたいかを言語化できるようになれば、お父さんお母さんに伝えたいと思ったときに、自分の中にある言葉で伝えられる。」

「かしこまりました。」
とミーレ長官の息子さん。

「ヒサツグ様、ミーレ長官の息子は、今後も私の元におきますか?」
とヤグルマさん。

「ヤグルマさんが、何か感じたことはあるかな?」

「同年代の子どもとの接点を増やしていった方が良いでしょう。」
とヤグルマさん。

「大人といる方が分かりやすくて、楽です。私は子どもとは合いません。」
とミーレ長官の息子さん。

うーん。

親子関係ではなく、ミーレ長官の息子さんケヤキくん自身に問題が生じているなー。

ヤグルマさんが、オレにふってきたということは、夢見がちにならないようにオレが言って聞かせておく必要が出てきたということだな。

「今、大人といると楽だと感じているのは、ミーレ長官の息子という生まれがあるからだぞ。」

ミーレ長官の息子さんは、オレの声かけに内心反発していても、オレが甘やかす態勢ではないことを察して、不満を態度には出さないでいる。

ミーレ長官の息子さんが不満を口に出す前に、話していこう。

オレは、大公妃だから、ミーレ長官の息子さんがオレに対して不穏な発言をすると、罰を与えないといけなくなる。
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