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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
633.ミーレ長官の息子さんは、祝言の料理開発に協力しています。ミーレ長官夫妻と息子さんの距離は?
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オレとクロードと女神様の三人で、まず、カズラくんのグラスにお酒を注ぐ。
次に。
オレとクロードとカズラくんの三人で、女神様の盃にお酒を注いだ。
「オレとクロード、カズラくんと女神様。
全員、誰とも血の繋がりはない。
この先も、オレ達四人に血の繋がりはないことは変わらないが、この盃をもって、オレ達四人は親族となる。」
「女神様、私、ヒサツグ、カズラの四人は、親族固めの盃をもって、親族という関係をこれからも続いていく。
ヒサツグの合図で賛同の意を表せ。」
とクロード。
「女神様、クロード、オレ、カズラくんの親族固めに乾杯。」
部屋の中にいる全員で、グラスを空ける。
全員飲み干したところで。
「今からの時間は、思い思いに食事をとるがいい。」
とクロード。
立食パーティーならではの料理がテーブルに並んでいる。
冷めても美味しい。
一口で食べられる。
汁が垂れない。
味付けは濃すぎることなく。
匂いも強すぎない。
誰の胃にも胃もたれしない。
この後に人に会う約束があっても安心して食べられる料理が揃っている。
オレ、クロード、カズラくん、女神様は、思い思いに、料理へと手を伸ばす。
女神様は、早速、しいたけ昆布のおにぎりを頬張っている。
オレは、いなり寿司に紅しょうがを乗せて食べている。
今回の料理の提案をしてくれたのは、ミーレ長官の息子さん。
ミーレ長官の息子さんは、マウンテン王国にある旧ケレメイン公爵家の王都邸で今のケレメイン大公国大使館でヤグルマさんに師事しながら、ケレメイン大公国が立食パーティーを開催するとき用に、服や手を汚さない料理を、料理人と一緒に試行錯誤してきた。
「大きすぎず、硬すぎず、軟らかすぎない肉団子。」
とカズラくん。
「手で摘んで食べられて、手が汚れないのはいい。」
と話すクロードが食べているのは、梅肉きゅうり巻。
カズラくんが日本から取り寄せた梅に似た果実や紫蘇を探して、梅干しを作り、きゅうりと一緒に巻いてある。
さっぱりとして美味しいと、試食段階からクロードには好評。
女神様の世界にも、手で摘んで食べられる料理はある。
ミーレ長官の息子さんの食生活は、マウンテン王国のケレメイン大公国大使館に行ってから豊かになった、と本人から聞いている。
『何が入っているか分からないような食べ物で、家族が作っていないものは、出されても食べないようにしていました。
安全のために。』
と、ミーレ長官の息子さん本人から聞いたとき。
オレが生きていこうとしている場所は、一服盛られるのが当たり前にある世界だったんだ、と認識を改めた。
今までオレが毒殺されなかったことをオレは不思議に思っていたんだけど、最近、なぜだかが判明した。
クロードがオレの尻穴にかけていた、クロード以外のモノをオレに侵入させないという魔法が、尻穴以外からの異物の侵入を防いでいた。
お尻からお口まで。
あなたの体内への侵入を阻みます。
オレの頭の中で、そんな歌が流れたこともあったなー。
オレの加護によって女神様が顕現していたときは、オレの具合が悪くなると、女神様の顕現に障りが出る。
顕現していたいと考えた女神様は、オレの健康が損なわれないようにしていた、らしい。
オレの食事が安全であるように何かした、という言い方じゃなかったんだよな。
毒殺の危険性なんて頭になかったオレは、食べ物に毒があるかないか、なんて疑いもせずに食べていた。
ミーレ長官の息子さんの食にまつわる苦労や、毒殺への恐怖はなかったことにはならない。
ミーレ長官の息子さんは、今、毒殺される危険性がないだけ。
そもそも毒殺自体が、世界からなくなったわけじゃない。
『ヤグルマさんのところでは、出される食べ物や飲み物に警戒しなくて良いので、食に興味がでてきました。
美味しく食べたいと思っても、既存の食べ物は、どうしても不安で。
誰も知らないような新しい食べ方なら、安心して食べられます。』
ミーレ長官の息子さんが、女神様の世界になかった料理作りに意欲的なのは、安心して食べられるものを欲しているからなんだろうな。
ミーレ長官の息子さんが開発に協力したレシピは、オレ、クロード、カズラくんは、共有しているけれど、ミーレ長官夫妻には共有できないようにしてある。
ミーレ長官の息子さんは、ミーレ長官夫妻にレシピが渡ったら、他の人にもレシピが知られるから、いつ食べても安全とはいえない食べ物になると思っている。
祝言に出している食事は、マウンテン王国にあるケレメイン大公国大使館では食べられても、ケレメイン大公国内では、オレ、クロード、カズラくんが自炊するときにしか、食べられない。
ミーレ長官夫妻は、息子さんが二人から離れてのびのびしているのを見て、変わりように驚いていた。
ミーレ長官夫妻の様子を見て、カズラくんはオレに助言をくれた。
『驚く、で終わっているから、まだ親子を離しておくといいよ。
親元にいたときから変わった息子を見ても、息子に対してどうすれば良かった、と考えるところまでは、まだ長そう。』
とカズラくん。
『気を張り詰めていて苦労させた、とか。
今はのびのびとできる環境に身を置けて良かった、とか。
ミーレ長官夫妻からは、そういう感想が欲しかったな。
欲を言えば。』
ミーレ長官夫妻から、息子さんへの感情の部分が漏れてこない。
血筋によるしがらみもあったんだろうけれど、義務を果たすにも、義務を果たすだけの愛情を感じることが先なんだよな。
ミーレ長官夫妻と息子さんの場合、子どもから親に向ける愛情の方が大きかったから、家族としての愛情のかけ方が歪だったんだろうな。
『家族という枠の中にいるときと社会に向いているときで、人は人格も思考も使い分けるからね。』
とカズラくん。
『仕事仲間として一緒に仕事する分には、ミーレ長官もミーレ長官の奥様も、問題ない人物なんだよなー。』
『ぼくの父も、本妻も、本妻の息子も、仕事の上では問題なかったよ。
ぼくの母は、働く気がなかったから、母に関してはなんとも言えないけどね。』
とカズラくん。
カズラくんは、そんな風に日本にいる血縁について会話の端に混ぜるようになった。
オレとクロードは、カズラくんにとって、気持ちや言葉を飾らずに話せる人になった。
女神様に対しては、飾る言葉を使う習慣がないから、変わらないかな。
愛こんにゃく家は、こんにゃく同伴で祝言に参加している。
だから、本日の料理に、田楽はない。
次に。
オレとクロードとカズラくんの三人で、女神様の盃にお酒を注いだ。
「オレとクロード、カズラくんと女神様。
全員、誰とも血の繋がりはない。
この先も、オレ達四人に血の繋がりはないことは変わらないが、この盃をもって、オレ達四人は親族となる。」
「女神様、私、ヒサツグ、カズラの四人は、親族固めの盃をもって、親族という関係をこれからも続いていく。
ヒサツグの合図で賛同の意を表せ。」
とクロード。
「女神様、クロード、オレ、カズラくんの親族固めに乾杯。」
部屋の中にいる全員で、グラスを空ける。
全員飲み干したところで。
「今からの時間は、思い思いに食事をとるがいい。」
とクロード。
立食パーティーならではの料理がテーブルに並んでいる。
冷めても美味しい。
一口で食べられる。
汁が垂れない。
味付けは濃すぎることなく。
匂いも強すぎない。
誰の胃にも胃もたれしない。
この後に人に会う約束があっても安心して食べられる料理が揃っている。
オレ、クロード、カズラくん、女神様は、思い思いに、料理へと手を伸ばす。
女神様は、早速、しいたけ昆布のおにぎりを頬張っている。
オレは、いなり寿司に紅しょうがを乗せて食べている。
今回の料理の提案をしてくれたのは、ミーレ長官の息子さん。
ミーレ長官の息子さんは、マウンテン王国にある旧ケレメイン公爵家の王都邸で今のケレメイン大公国大使館でヤグルマさんに師事しながら、ケレメイン大公国が立食パーティーを開催するとき用に、服や手を汚さない料理を、料理人と一緒に試行錯誤してきた。
「大きすぎず、硬すぎず、軟らかすぎない肉団子。」
とカズラくん。
「手で摘んで食べられて、手が汚れないのはいい。」
と話すクロードが食べているのは、梅肉きゅうり巻。
カズラくんが日本から取り寄せた梅に似た果実や紫蘇を探して、梅干しを作り、きゅうりと一緒に巻いてある。
さっぱりとして美味しいと、試食段階からクロードには好評。
女神様の世界にも、手で摘んで食べられる料理はある。
ミーレ長官の息子さんの食生活は、マウンテン王国のケレメイン大公国大使館に行ってから豊かになった、と本人から聞いている。
『何が入っているか分からないような食べ物で、家族が作っていないものは、出されても食べないようにしていました。
安全のために。』
と、ミーレ長官の息子さん本人から聞いたとき。
オレが生きていこうとしている場所は、一服盛られるのが当たり前にある世界だったんだ、と認識を改めた。
今までオレが毒殺されなかったことをオレは不思議に思っていたんだけど、最近、なぜだかが判明した。
クロードがオレの尻穴にかけていた、クロード以外のモノをオレに侵入させないという魔法が、尻穴以外からの異物の侵入を防いでいた。
お尻からお口まで。
あなたの体内への侵入を阻みます。
オレの頭の中で、そんな歌が流れたこともあったなー。
オレの加護によって女神様が顕現していたときは、オレの具合が悪くなると、女神様の顕現に障りが出る。
顕現していたいと考えた女神様は、オレの健康が損なわれないようにしていた、らしい。
オレの食事が安全であるように何かした、という言い方じゃなかったんだよな。
毒殺の危険性なんて頭になかったオレは、食べ物に毒があるかないか、なんて疑いもせずに食べていた。
ミーレ長官の息子さんの食にまつわる苦労や、毒殺への恐怖はなかったことにはならない。
ミーレ長官の息子さんは、今、毒殺される危険性がないだけ。
そもそも毒殺自体が、世界からなくなったわけじゃない。
『ヤグルマさんのところでは、出される食べ物や飲み物に警戒しなくて良いので、食に興味がでてきました。
美味しく食べたいと思っても、既存の食べ物は、どうしても不安で。
誰も知らないような新しい食べ方なら、安心して食べられます。』
ミーレ長官の息子さんが、女神様の世界になかった料理作りに意欲的なのは、安心して食べられるものを欲しているからなんだろうな。
ミーレ長官の息子さんが開発に協力したレシピは、オレ、クロード、カズラくんは、共有しているけれど、ミーレ長官夫妻には共有できないようにしてある。
ミーレ長官の息子さんは、ミーレ長官夫妻にレシピが渡ったら、他の人にもレシピが知られるから、いつ食べても安全とはいえない食べ物になると思っている。
祝言に出している食事は、マウンテン王国にあるケレメイン大公国大使館では食べられても、ケレメイン大公国内では、オレ、クロード、カズラくんが自炊するときにしか、食べられない。
ミーレ長官夫妻は、息子さんが二人から離れてのびのびしているのを見て、変わりように驚いていた。
ミーレ長官夫妻の様子を見て、カズラくんはオレに助言をくれた。
『驚く、で終わっているから、まだ親子を離しておくといいよ。
親元にいたときから変わった息子を見ても、息子に対してどうすれば良かった、と考えるところまでは、まだ長そう。』
とカズラくん。
『気を張り詰めていて苦労させた、とか。
今はのびのびとできる環境に身を置けて良かった、とか。
ミーレ長官夫妻からは、そういう感想が欲しかったな。
欲を言えば。』
ミーレ長官夫妻から、息子さんへの感情の部分が漏れてこない。
血筋によるしがらみもあったんだろうけれど、義務を果たすにも、義務を果たすだけの愛情を感じることが先なんだよな。
ミーレ長官夫妻と息子さんの場合、子どもから親に向ける愛情の方が大きかったから、家族としての愛情のかけ方が歪だったんだろうな。
『家族という枠の中にいるときと社会に向いているときで、人は人格も思考も使い分けるからね。』
とカズラくん。
『仕事仲間として一緒に仕事する分には、ミーレ長官もミーレ長官の奥様も、問題ない人物なんだよなー。』
『ぼくの父も、本妻も、本妻の息子も、仕事の上では問題なかったよ。
ぼくの母は、働く気がなかったから、母に関してはなんとも言えないけどね。』
とカズラくん。
カズラくんは、そんな風に日本にいる血縁について会話の端に混ぜるようになった。
オレとクロードは、カズラくんにとって、気持ちや言葉を飾らずに話せる人になった。
女神様に対しては、飾る言葉を使う習慣がないから、変わらないかな。
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