《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

618.安心して生活できる未来のために、オレは、変えていくことにしたのです。

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「ケレメイン大公国の国内だけでなく、私の身辺や家内が不安定なうちは、力のある者の縁者以外、私の伴侶になる夢を抱かなかった。」
とクロード。

「ああ、そういうこと。」
とカズラくんは、顔をしかめる。

「争いで命を落とす危険が減った分、クロードを積極的に狙いに来る女が増えるとクロードは予想しているんだね?

平和になったら、安心してクロードの寝所に潜り込めると考える女がいるんだね?」
とカズラくん。

クロードは、苦り切った表情で息を吐き出す。

「私自身で何の手も打たなければ。

夜這いを成功させて、私の子どもを産むという行動を起こすだろう。

私は、私の子どもだと私に確信がある出来事を私の身に起こさせない。」
とクロード。

「国同士の衝突じゃなく、事故でも無理やりにでも、クロードの子どもができたら勝ちという思考の人がいて、行動に移しそうなんだね。」
とカズラくん。

「私の年齢が上がるにつれ、女性が迫ってくる頻度は高くなるだろう。」
とクロード。

「ヒサツグとクロードが真実の愛で結ばれた夫婦といえど、国民にとっては、自分達の住んでいる国の安泰が大事だからね。

クロードを襲ってクロードとの間に子どもができたら、喜び勇んで、子どもの存在をたてに、ヒサツグをどうにかしようとするだろうね。

子どもを盾にするような行動に出るタイプは、命を脅かされる心配がなくなった分、遠慮しないよ。」
とカズラくん。

カズラくんは、子どもを利用する親について、はっきりと見解を述べた。

カズラくんには、自身の親に対して抱えてきた思いがあるんだろうな。

「襲われないように、私を襲わせない態勢を作っても、完璧に防ぐのは、困難だ。

全員の国民の意識を、完全に私達寄りに変えることは、現実的ではない。」
とクロード。

女神様の世界の住人の本能に、異世界人排除が備わっている限り。

オレの人となりを知ったから、オレは生きていてもいい、と考える人はいても、クロードの伴侶だから、オレは生きていてもいいと無条件に考える人はいない。

このことを念頭において、クロードとオレは国を治めなくてはならない。

「クロードを襲って、クロードの子どもを作っても。

クロードに子どもがいることは、ケレメイン大公国の永続性と結びつかない。

クロードは、そう、国民に周知させたいんだね?」
とカズラくん。

「私を襲うことは、ただの私利私欲にまみれた行為で、行為を正当化する理由はないという認識を国民に植え付けたい。」
とクロード。

「クロードを襲うことは、国の未来にとってマイナスになると知らしめ、クロードを襲う気を起こらなくさせるには。

ぼくという次代がいるから、ケレメイン大公国は、末永く安泰だと示したいと考えた?」
とカズラくん。

「懸念事項についての現状は、カズラの推測通りだ。」
とクロード。

「もし、クロードの子どもが生まれてしまったら、その子どもを跡継ぎにしたいという動きを止めるのは、難しいとぼくも思う。

子どもを作る行為に、クロードに同意がなかったとしてもね。」
とカズラくん。

「私の血を引く子どもが誕生した場合、現体制はひっくり返るだろう。」
とクロード。

「ぼくの望まない未来になりそうだね。」
とカズラくん。

「ケレメイン家の血を引く跡継ぎは、正統性を示そうとして、ヒサツグとクロードのやってきたことの全否定から入るだろうね。」
とカズラくん。

大公クロードは、ケレメイン大公国の世襲制を否定した。

かりに、クロードの子どもが生まれたら。

世襲制の否定を否定しないと、クロードの血を引く子どもは、跡継ぎになれない。

カズラくんは、顔をしかめた。

「ケレメイン大公国は、大混乱になるよ。

マウンテン王国、サーバル王国との友好関係は、ヒサツグとクロードの二人で繋いだ縁だから、ヒサツグがいなくなった途端、その二国との関係は、崩れかねない。

ドリアン王国も、まだ様子見しないといけないところに、マウンテン王国とサーバル王国との関係性が壊れたら、ケレメイン大公国の未来は暗いよ。」
とカズラくん。

カズラくんの、オレとクロードへの評価が高くて嬉しい。

「ケレメイン大公国の次の大公を引き受けるよ。」
とカズラくん。
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