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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
609.カズラくんの家族の話を聞いています。その三。
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「本妻の子どもさんは、どうしてカズラくんの会社がお父さんの作った会社だなんだと言い出したのかな?」
接点はなかったはずなのにな。
「会社を興すときに家族の力は借りていないと話したことがあって、その話が本妻の子どもの耳に入ったんだよ。
本妻の子どもが、自分でぼくのことを調べたのか、本妻の子どもにご注進しにいった人がいたのかまでは、知らないけれどね。」
とカズラくん。
当事者の関係者か、当事者の関係者になりたい人が、囁いたのかな?
「カズラくんは、本妻の子どもさんに何を要求されたのかな?」
カズラくんから、本妻の子どもさんに要求することはしていないと思う。
「本妻の子どもは、ぼくの会社を摂取しにきたんだよ。
ぼくの会社の本来の持ち主は、本妻の子どもだから、ぼくの会社を本妻の子どもに渡せというのが、本妻の子どもの主張だったね。」
とカズラくん。
「カズラくんが作った会社の株式を本妻の子どもさんに譲渡して、カズラくんの会社の経営権を握らせろ、ということを要求してきたのかな?」
「本妻の子どもの要求は、会社の経営権を寄越せという話じゃなかったよ。」
とカズラくん。
カズラくんは、ずっと淡々と話している。
「本妻の子どもさんは、カズラくんの会社を評価していて、経営者としてグループの傘下に欲しくなった、という話じゃないのかな?」
本妻の子どもさんの意向を、オレはよみきれていない。
「内心では評価していたかもしれないけれどね。
本妻の子どもは、ぼくに対して、ぼくの会社の評価を語らなかったよ。」
とカズラくん。
「本妻の子どもさんは、カズラくんの会社を買収することによって、事業を拡大しようとしていたわけじゃないのに、カズラくんの会社を欲しがったといことだよな?」
なぜ?
「そうだよ。
会ったことがなかった本妻の子どもは、いきなりぼくに会いにきて、ぼくの会社をグループに組み込むという話をしてきた。
当然、ぼくは拒否したよ。
会社を興すときに、家族からの援助は一切受けていないという証拠を、ぼくは本妻の子どもに見せた。」
とカズラくん。
カズラくんは、自立するために会社を興したんだもんな。
「カズラくんが本妻の子どもの主張を突っぱねたけれど、本妻の子どもさんは諦めなかったのかな?」
「本妻の子どもによると、ぼくに与えられたものは、本来なら本妻の子どもに与えられてしかるべきものなんだって。
ぼくという存在に使われた財産を、本妻の子どもが回収するのは当然だと話していたよ。」
とカズラくん。
オレは、思わず顔をしかめた。
本妻の子どもさんの感情は、分からないでもないけれど。
「カズラくんがいなかったら、カズラくんに使われていたお金が本妻の子どもさんに使われていたのに。
と、本妻の子どもさんは、ずっと考えていたのかな。」
「この世には、本妻と本妻の子どもと父親という家族しか存在してはいけなかった、と本妻の子どもは言っていたよ。」
とカズラくん。
本妻の子どもさんは、本妻の子どもさん母子にかけられるはずだったお金だけじゃなく、お父さんの愛情と時間も、カズラくん母子に横取りされたという認識なんだな。
本妻の子どもさん視点では、間違いじゃない。
「カズラくんだけじゃなく、カズラくんのお母さんも、本妻の子どもさんは気に食わなかったんだな。」
「本妻の子どもは、愛人親子の存在が気に食わなかったんだよ。」
とカズラくん。
だよなー。
でも、気になることがある。
「本妻の子どもさんは、お父さんについての言及をしなかったのかな?」
「しなかったね。」
とカズラくん。
「カズラくんのお父さんとお母さんが子どもを作る行為をなかったら、カズラくんは生まれてこなかったんだけどな。」
本妻の子どもさんの思いをぶつける先に相応しいのは、どうしようもないことをしでかしたお父さんだと思うのは、オレが、外野だからなんだろうな。
「本妻の子どもにとって、父親は家族の範疇に入っていて、恨みつらみの対象にはならなかったみたいだよ。」
とカズラくん。
「カズラくんとカズラくんのお母さんの存在は、本妻の子どもさんの家庭を乱した、というのが、本妻の子どもさんの認識なんだな。」
本妻の子どもさんの立ち位置からすれば、間違ってはいない。
本妻の子どもさんは、お父さんをとられた、と思いながら大人になったんだろうな。
「本妻の子どもは、ぼくの会社の事業が良かったから欲しがったわけじゃない。」
とカズラくん。
「本妻の子どもさんは、カズラくん母子が、お父さんに養われて暮らしていることが許せなかったんだよな?」
うん、とカズラくんは頷いた。
「父親が愛人親子の生活を守っている以上、本妻の子どもが、ぼくの生活を取り上げられることはできない。
でも。
ぼくの会社なら?
ぼくの会社は、ぼくのもの。
ぼくだけのものなら、ぼくから取り上げてもいい、と本妻の子どもは考えたんだよね。」
とカズラくん。
接点はなかったはずなのにな。
「会社を興すときに家族の力は借りていないと話したことがあって、その話が本妻の子どもの耳に入ったんだよ。
本妻の子どもが、自分でぼくのことを調べたのか、本妻の子どもにご注進しにいった人がいたのかまでは、知らないけれどね。」
とカズラくん。
当事者の関係者か、当事者の関係者になりたい人が、囁いたのかな?
「カズラくんは、本妻の子どもさんに何を要求されたのかな?」
カズラくんから、本妻の子どもさんに要求することはしていないと思う。
「本妻の子どもは、ぼくの会社を摂取しにきたんだよ。
ぼくの会社の本来の持ち主は、本妻の子どもだから、ぼくの会社を本妻の子どもに渡せというのが、本妻の子どもの主張だったね。」
とカズラくん。
「カズラくんが作った会社の株式を本妻の子どもさんに譲渡して、カズラくんの会社の経営権を握らせろ、ということを要求してきたのかな?」
「本妻の子どもの要求は、会社の経営権を寄越せという話じゃなかったよ。」
とカズラくん。
カズラくんは、ずっと淡々と話している。
「本妻の子どもさんは、カズラくんの会社を評価していて、経営者としてグループの傘下に欲しくなった、という話じゃないのかな?」
本妻の子どもさんの意向を、オレはよみきれていない。
「内心では評価していたかもしれないけれどね。
本妻の子どもは、ぼくに対して、ぼくの会社の評価を語らなかったよ。」
とカズラくん。
「本妻の子どもさんは、カズラくんの会社を買収することによって、事業を拡大しようとしていたわけじゃないのに、カズラくんの会社を欲しがったといことだよな?」
なぜ?
「そうだよ。
会ったことがなかった本妻の子どもは、いきなりぼくに会いにきて、ぼくの会社をグループに組み込むという話をしてきた。
当然、ぼくは拒否したよ。
会社を興すときに、家族からの援助は一切受けていないという証拠を、ぼくは本妻の子どもに見せた。」
とカズラくん。
カズラくんは、自立するために会社を興したんだもんな。
「カズラくんが本妻の子どもの主張を突っぱねたけれど、本妻の子どもさんは諦めなかったのかな?」
「本妻の子どもによると、ぼくに与えられたものは、本来なら本妻の子どもに与えられてしかるべきものなんだって。
ぼくという存在に使われた財産を、本妻の子どもが回収するのは当然だと話していたよ。」
とカズラくん。
オレは、思わず顔をしかめた。
本妻の子どもさんの感情は、分からないでもないけれど。
「カズラくんがいなかったら、カズラくんに使われていたお金が本妻の子どもさんに使われていたのに。
と、本妻の子どもさんは、ずっと考えていたのかな。」
「この世には、本妻と本妻の子どもと父親という家族しか存在してはいけなかった、と本妻の子どもは言っていたよ。」
とカズラくん。
本妻の子どもさんは、本妻の子どもさん母子にかけられるはずだったお金だけじゃなく、お父さんの愛情と時間も、カズラくん母子に横取りされたという認識なんだな。
本妻の子どもさん視点では、間違いじゃない。
「カズラくんだけじゃなく、カズラくんのお母さんも、本妻の子どもさんは気に食わなかったんだな。」
「本妻の子どもは、愛人親子の存在が気に食わなかったんだよ。」
とカズラくん。
だよなー。
でも、気になることがある。
「本妻の子どもさんは、お父さんについての言及をしなかったのかな?」
「しなかったね。」
とカズラくん。
「カズラくんのお父さんとお母さんが子どもを作る行為をなかったら、カズラくんは生まれてこなかったんだけどな。」
本妻の子どもさんの思いをぶつける先に相応しいのは、どうしようもないことをしでかしたお父さんだと思うのは、オレが、外野だからなんだろうな。
「本妻の子どもにとって、父親は家族の範疇に入っていて、恨みつらみの対象にはならなかったみたいだよ。」
とカズラくん。
「カズラくんとカズラくんのお母さんの存在は、本妻の子どもさんの家庭を乱した、というのが、本妻の子どもさんの認識なんだな。」
本妻の子どもさんの立ち位置からすれば、間違ってはいない。
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「本妻の子どもは、ぼくの会社の事業が良かったから欲しがったわけじゃない。」
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でも。
ぼくの会社なら?
ぼくの会社は、ぼくのもの。
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とカズラくん。
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