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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
608.カズラくんの家族の話を聞いています。その二。
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「大学生起業家。字面だけでもかっこいいな。」
大学生のときのオレは、バイトはしても、会社を作ろうとは考えたことがなかったなー。
「ぼくは、ぼくの父親の腹の中をよめないような純真無垢じゃなかったから、高校生までは大人しくしていたんだ。」
とカズラくん。
カズラくんは、他人に対してだけじゃなく、カズラくん自身に対しても辛辣だ。
「カズラくんのお父さんは、カズラくんとカズラくんのお母さんのところにきて、息抜きをしていたのかな?」
「愛人宅は、父親にとっての逃避先で桃源郷だった。」
とカズラくん。
カズラくんは、カズラくんとカズラくんのお母さんで棲んでいた家を愛人宅と他人事のように言えてしまうんだよな。
日本から女神様の世界に異世界転移して暮らすことを選んだカズラくんにとって。
カズラくんが家族と住んでいた家は、カズラくんの住みたい家じゃないんだろうな。
「お父さんが現実社会から離れるための場所が、カズラくんとカズラくんのお母さんの住む家だったのかな?」
「小さいうちは、両親が大好きだったよ。
父親はいつもいるわけじゃなかったけれど。
優しかった。」
とカズラくん。
「いるときは優しいお父さん。
お母さんはどうだったのかな?」
「母親は、父親になんでも聞いていたよ。ぼくに関することだけは。」
とカズラくん。
「カズラくんの家庭は、カズラくんに関することを決める権利が、カズラくんと一緒に住んでカズラくんを育てているお母さんでも、カズラくん本人でもなく、お父さんだけにあったのかな?」
そうだよ、と答えるカズラくんは、カズラくん自身の生育環境を冷静に分析していく。
「母は、ぼくに関すること以外は好きにやって、愛人としての人生を謳歌していたね。」
とカズラくん。
「カズラくんのお母さんが、カズラくんの養育について、お父さんの決めた通りにしていたのは、カズラくんがお父さんとの子どもで、自分自身じゃないからかな。」
カズラくんは、感情的になることなく話している。
「父親は、何でもかんでも、ぼくの好きなようにさせてきたよ、勉強以外は。」
とカズラくん。
「勉強以外の習い事は選びたい放題。
勉強については、お父さんからの制約があったということかな?」
「勉強の成果は、二流にとどめたがっていたよ。」
とカズラくん。
「カズラくんが勉強分野で本妻の子どもを追い抜かさないようにだよなー。」
「ぼくという子どもを育てる当事者としての責任感が、ぼくの両親には欠けていたんだよ。」
とカズラくん。
「カズラくんは、両親を見て、早くから自立した大人になったんだな。」
「ぼくの食い扶持をぼくが自分で稼ぐようにしないと、ぼくの一生は本妻の子どもを邪魔しない人生になるよね?」
とカズラくん。
「血の繫がりのある人達に利用されないために、就職活動をするより起業した方がいいと考えて、カズラくんは実行に移したんだな。」
大学生になってから起業したと話すカズラくんは、起業のための準備を、大学生になる前から始めていたんだと思う。
カズラくんが起業することを目指したときには。
カズラくんは、両親には頼れないと確信していたんだと思うと胸が痛い。
「ぼくの会社は、家族とは関係なく、ぼくが一人で始めたんだけど。
ぼくが父親の愛人の子どもだから、ぼくの会社は、ぼくの父親の関連会社だと言い出す人が湧いてきたんだよ。」
とカズラくん。
「言い出したのは、カズラくんのお父さんではないよな?」
「愛人の子どもであるぼくの名前を使って会社を興したと騒ぎ立てたのは、父親ではなかったよ。」
とカズラくん。
じゃあ、誰が、カズラくんの邪魔をしたのかな?
「カズラくんのお父さんは、カズラくんを活躍させないようにしたがっていたよな。
カズラくんの力で会社を興したんじゃなく、カズラくんのお父さんが興した会社の関連会社をカズラくんに与えたような印象を社会に植え付けることは、お父さんの目的にそぐわない。」
「ぼくの父親は、関連会社にコネ入社させて、ぼくが頭角を現すような場面は作らない。」
とカズラくん。
子どもにそんなことを言わせる父親がカズラくんの親なんだな。
「騒ぎ立てたのは、本妻の子どもだよ。」
とカズラくん。
え?
全く関わりがなかったように見えた本妻の子どもが、カズラくんの人生に関わってくる?
大学生のときのオレは、バイトはしても、会社を作ろうとは考えたことがなかったなー。
「ぼくは、ぼくの父親の腹の中をよめないような純真無垢じゃなかったから、高校生までは大人しくしていたんだ。」
とカズラくん。
カズラくんは、他人に対してだけじゃなく、カズラくん自身に対しても辛辣だ。
「カズラくんのお父さんは、カズラくんとカズラくんのお母さんのところにきて、息抜きをしていたのかな?」
「愛人宅は、父親にとっての逃避先で桃源郷だった。」
とカズラくん。
カズラくんは、カズラくんとカズラくんのお母さんで棲んでいた家を愛人宅と他人事のように言えてしまうんだよな。
日本から女神様の世界に異世界転移して暮らすことを選んだカズラくんにとって。
カズラくんが家族と住んでいた家は、カズラくんの住みたい家じゃないんだろうな。
「お父さんが現実社会から離れるための場所が、カズラくんとカズラくんのお母さんの住む家だったのかな?」
「小さいうちは、両親が大好きだったよ。
父親はいつもいるわけじゃなかったけれど。
優しかった。」
とカズラくん。
「いるときは優しいお父さん。
お母さんはどうだったのかな?」
「母親は、父親になんでも聞いていたよ。ぼくに関することだけは。」
とカズラくん。
「カズラくんの家庭は、カズラくんに関することを決める権利が、カズラくんと一緒に住んでカズラくんを育てているお母さんでも、カズラくん本人でもなく、お父さんだけにあったのかな?」
そうだよ、と答えるカズラくんは、カズラくん自身の生育環境を冷静に分析していく。
「母は、ぼくに関すること以外は好きにやって、愛人としての人生を謳歌していたね。」
とカズラくん。
「カズラくんのお母さんが、カズラくんの養育について、お父さんの決めた通りにしていたのは、カズラくんがお父さんとの子どもで、自分自身じゃないからかな。」
カズラくんは、感情的になることなく話している。
「父親は、何でもかんでも、ぼくの好きなようにさせてきたよ、勉強以外は。」
とカズラくん。
「勉強以外の習い事は選びたい放題。
勉強については、お父さんからの制約があったということかな?」
「勉強の成果は、二流にとどめたがっていたよ。」
とカズラくん。
「カズラくんが勉強分野で本妻の子どもを追い抜かさないようにだよなー。」
「ぼくという子どもを育てる当事者としての責任感が、ぼくの両親には欠けていたんだよ。」
とカズラくん。
「カズラくんは、両親を見て、早くから自立した大人になったんだな。」
「ぼくの食い扶持をぼくが自分で稼ぐようにしないと、ぼくの一生は本妻の子どもを邪魔しない人生になるよね?」
とカズラくん。
「血の繫がりのある人達に利用されないために、就職活動をするより起業した方がいいと考えて、カズラくんは実行に移したんだな。」
大学生になってから起業したと話すカズラくんは、起業のための準備を、大学生になる前から始めていたんだと思う。
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カズラくんは、両親には頼れないと確信していたんだと思うと胸が痛い。
「ぼくの会社は、家族とは関係なく、ぼくが一人で始めたんだけど。
ぼくが父親の愛人の子どもだから、ぼくの会社は、ぼくの父親の関連会社だと言い出す人が湧いてきたんだよ。」
とカズラくん。
「言い出したのは、カズラくんのお父さんではないよな?」
「愛人の子どもであるぼくの名前を使って会社を興したと騒ぎ立てたのは、父親ではなかったよ。」
とカズラくん。
じゃあ、誰が、カズラくんの邪魔をしたのかな?
「カズラくんのお父さんは、カズラくんを活躍させないようにしたがっていたよな。
カズラくんの力で会社を興したんじゃなく、カズラくんのお父さんが興した会社の関連会社をカズラくんに与えたような印象を社会に植え付けることは、お父さんの目的にそぐわない。」
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とカズラくん。
子どもにそんなことを言わせる父親がカズラくんの親なんだな。
「騒ぎ立てたのは、本妻の子どもだよ。」
とカズラくん。
え?
全く関わりがなかったように見えた本妻の子どもが、カズラくんの人生に関わってくる?
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