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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
604.オレとクロードは、オレ達とケレメイン大公国の未来について考えました。オレの体が頑健であるようにしてほしいとカズラくんにお願いします。
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オレとクロードとカズラくんは、ケレメイン大公国のこれからの話をする。
男同士のオレとクロードの間に子どもができることはない。
ケレメイン大公の後継についての不安は、オレとクロードが夫婦である限り、常につきまとうことになる。
王侯貴族以外が支配者層になる世の中が女神様の世界に訪れるとしたら、あと百年後とかの話ではなく、もっと先。
女神様の世界の住人は、王侯貴族が支配者層であることに安心しているから、革命が起きる余地はない。
王侯貴族が支配者層である世の中で、跡継ぎがいないことは、政情不安を招くんだよな。
オレがクロードの伴侶として歓迎されないのは、血統の確かな跡継ぎが望めないこと、と異世界人というオレの素性の不透明さによるものだった。
今回、クロードとオレを別れさせようと画策した人達には、女神様から裁定が下ったり、ケレメイン大公夫妻から罰を与えたりした。
ケレメイン大公夫妻のオレとクロードを引き離そうとしたら、罰せられるという認識は、ケレメイン大公国内に浸透したと思う。
今回のことで、オレに何をしてもいい、という認識は改められたはず。
でも。
ケレメイン大公国の国民にある根源的な不安を解消しなかったら?
ケレメイン大公国民の不安は、オレとクロードの元気なうちはくすぶり続けるだけだけど、オレかクロードが倒れたときに、国を揺るがす事態を引き起こすんじゃないかな。
今、盤石な時期に、国民の不安の種を取り除いておかないと、オレは安心して年をとれない。
なにしろ、オレとクロードは添い遂げると決めているからさ。
跡継ぎ問題と、ケレメイン大公国の今後の話をするために。
まず、カズラくんと、オレとクロードの認識のすり合わせをする必要がある。
「ヒサツグとクロードは、ぼくに確認したいことがあるんだよね?」
とカズラくん。
「うん。
オレとクロードだと、クロードの方が長生きするよな?」
カズラくんは、じっとオレとクロードを見つめてから、大きく伸びをした。
「クロードは、生まれながらの女神様の世界の住人で、かつ、英雄だからね。
ヒサツグよりは、頑健だよ。
ヒサツグは、この世界の住人に比べてか弱いよ。
ヒサツグは、女神様が召喚した異世界人だから。」
とカズラくん。
「女神様の召喚した異世界人だから、オレはか弱いんだな。」
オレはカズラくんの言葉を噛み締める。
「驚かないんだ?」
とカズラくん。
「そんな気は、していたからなー。」
オレは、苦笑した。
「女神様の世界における異世界人の扱いの悪さは、最初から徹底していたね。」
とカズラくん。
その通り。
「女神様は、召喚した異世界人を、女神様の世界の住人よりも頑健にはしないよな?
召喚した異世界人に、女神様の世界の住人が傷つけられるような事態を女神様は望まない。」
「女神様は、女神様の世界の住人が、何よりも大事だよ。
ずっとね。
現に、女神様は、下した裁定で、女神様の世界の住人の命を取ることはしていない。」
とカズラくん。
「女神様が大事にしているものを知っていたら、想像はつくぞ。
召喚した異世界人については、使い捨てにしても問題ないようにしただろうな。」
女神様らしい、といえば女神様らしい。
「女神様が、ヒサツグに加護を授けたのは、女神様の加護がないと、ヒサツグはクロードを助けられないからだったからね。」
とカズラくん。
「女神様に召喚された異世界人のままのオレは、女神様の世界の住人よりも、か弱いままだよな?」
カズラくんに一応確認する。
「女神様の加護がないヒサツグは、女神様の世界で最弱だよ。」
とカズラくん。
だよなー。
本題に入るか。
「カズラくんは、オレよりも長生きするよな?
オレより年下だから、というだけでなくさ。」
カズラくんは、鷹揚に構えている。
「そうだね。ぼくは、女神様より強いからね。」
とカズラくん。
「カズラくんにお願いがある。
オレの生存中は、オレの肉体を助けてほしい。
カズラくんは、女神様の世界の住人と遜色ないくらいの頑健さをオレに付与できるかな?」
「女神様ができることで、ぼくにできないことはないよ。
ぼくへの見返りは、何?」
とカズラくん。
男同士のオレとクロードの間に子どもができることはない。
ケレメイン大公の後継についての不安は、オレとクロードが夫婦である限り、常につきまとうことになる。
王侯貴族以外が支配者層になる世の中が女神様の世界に訪れるとしたら、あと百年後とかの話ではなく、もっと先。
女神様の世界の住人は、王侯貴族が支配者層であることに安心しているから、革命が起きる余地はない。
王侯貴族が支配者層である世の中で、跡継ぎがいないことは、政情不安を招くんだよな。
オレがクロードの伴侶として歓迎されないのは、血統の確かな跡継ぎが望めないこと、と異世界人というオレの素性の不透明さによるものだった。
今回、クロードとオレを別れさせようと画策した人達には、女神様から裁定が下ったり、ケレメイン大公夫妻から罰を与えたりした。
ケレメイン大公夫妻のオレとクロードを引き離そうとしたら、罰せられるという認識は、ケレメイン大公国内に浸透したと思う。
今回のことで、オレに何をしてもいい、という認識は改められたはず。
でも。
ケレメイン大公国の国民にある根源的な不安を解消しなかったら?
ケレメイン大公国民の不安は、オレとクロードの元気なうちはくすぶり続けるだけだけど、オレかクロードが倒れたときに、国を揺るがす事態を引き起こすんじゃないかな。
今、盤石な時期に、国民の不安の種を取り除いておかないと、オレは安心して年をとれない。
なにしろ、オレとクロードは添い遂げると決めているからさ。
跡継ぎ問題と、ケレメイン大公国の今後の話をするために。
まず、カズラくんと、オレとクロードの認識のすり合わせをする必要がある。
「ヒサツグとクロードは、ぼくに確認したいことがあるんだよね?」
とカズラくん。
「うん。
オレとクロードだと、クロードの方が長生きするよな?」
カズラくんは、じっとオレとクロードを見つめてから、大きく伸びをした。
「クロードは、生まれながらの女神様の世界の住人で、かつ、英雄だからね。
ヒサツグよりは、頑健だよ。
ヒサツグは、この世界の住人に比べてか弱いよ。
ヒサツグは、女神様が召喚した異世界人だから。」
とカズラくん。
「女神様の召喚した異世界人だから、オレはか弱いんだな。」
オレはカズラくんの言葉を噛み締める。
「驚かないんだ?」
とカズラくん。
「そんな気は、していたからなー。」
オレは、苦笑した。
「女神様の世界における異世界人の扱いの悪さは、最初から徹底していたね。」
とカズラくん。
その通り。
「女神様は、召喚した異世界人を、女神様の世界の住人よりも頑健にはしないよな?
召喚した異世界人に、女神様の世界の住人が傷つけられるような事態を女神様は望まない。」
「女神様は、女神様の世界の住人が、何よりも大事だよ。
ずっとね。
現に、女神様は、下した裁定で、女神様の世界の住人の命を取ることはしていない。」
とカズラくん。
「女神様が大事にしているものを知っていたら、想像はつくぞ。
召喚した異世界人については、使い捨てにしても問題ないようにしただろうな。」
女神様らしい、といえば女神様らしい。
「女神様が、ヒサツグに加護を授けたのは、女神様の加護がないと、ヒサツグはクロードを助けられないからだったからね。」
とカズラくん。
「女神様に召喚された異世界人のままのオレは、女神様の世界の住人よりも、か弱いままだよな?」
カズラくんに一応確認する。
「女神様の加護がないヒサツグは、女神様の世界で最弱だよ。」
とカズラくん。
だよなー。
本題に入るか。
「カズラくんは、オレよりも長生きするよな?
オレより年下だから、というだけでなくさ。」
カズラくんは、鷹揚に構えている。
「そうだね。ぼくは、女神様より強いからね。」
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「カズラくんにお願いがある。
オレの生存中は、オレの肉体を助けてほしい。
カズラくんは、女神様の世界の住人と遜色ないくらいの頑健さをオレに付与できるかな?」
「女神様ができることで、ぼくにできないことはないよ。
ぼくへの見返りは、何?」
とカズラくん。
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