595 / 667
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
595.オレは、ミーレ長官に話をふりました。
しおりを挟む
クロードに見つめられても何も話そうとしないミーレ長官より先に、ミーレ長官の奥様が口を開こうとした。
オレは、手を振って、ミーレ長官の奥様を止める。
ミーレ長官の奥様が動いたら、先に謝罪したら逆効果だ。
ミーレ長官が、自分から謝罪しないと。
ミーレ長官の奥様は、司祭が頭を下げたときには、この場が用意された意味を正確に読み取っていた。
マウンテン王家の血筋の人間とその伴侶を一つの部屋に集めた、と、この部屋に呼んだ理由をオレ達は説明している。
マウンテン王家の血筋という理由がなければ、オレ達六人が一堂に顔を合わせられない。
司祭は、医者と結婚し、今は完全に平民の扱いになっている。
ミーレ長官夫妻も、ケレメイン大公国の平民だが、意識の根底では、貴族でいることを捨てきれていなかった。
今日の話し合いまでは。
オレとクロードは、今日で一気に決着をつけると決めていた。
長引かせても、意味がない。
本人が理解しようとしなければ、理解する日は来ない。
オレとクロードは、非公式な場で、ミーレ長官から謝罪を引き出すことにした。
オレは、クロードを抱きしめるのを止めた。
ミーレ長官は、クロードに見つめられても、口を開かない。
オレが話した方がいいなー。
「ミーレ長官。
ミーレ長官がしたことは、決してやっていいことではない。
ミーレ長官は、オレの直属の部下でありながら、オレの信頼を裏切った。
オレの説得に応じて、途中で手を引き、最後までいかなかったとしても。
一人のケレメイン大公国の国民として、国を危機にさらした。」
ミーレ長官は、何も言わない。
「ミーレ長官にしたら、今まで、何も言われなかったのに、なぜ、急に、今になって、と思っているのかもしれないけどな。」
オレの台詞を聞いて、ミーレ長官の奥様が青ざめていく。
「ミーレ長官が、王族らしい教育とか、貴族らしい教育を受ける機会に恵まれなかったとしても、さ。
平民として生きていく中で、平民の礼儀作法を知る機会はあったよな?
王侯貴族の礼儀作法を知らなくても、平民の礼儀作法の中で、やってはいけないことをした場合は、どうするのか、を学ぶ時間はあったんじゃないかな?
今の今まで、顔を合わす時間はあったけれど、この件に関して、ミーレ長官からの働きかけは一切なかった。
だから、今、なんだ。」
オレは、ゆっくりと言葉を切りながら話す。
オレもクロードも、愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式よりも前に、ミーレ長官から謝罪の申し入れがあると考えていた。
具体的には、ミーレ長官の裏切りをオレが突き止めた直後あたりに、一家揃って、頭を下げにくると思っていた。
ミーレ長官のしたことを表に出して、断罪せずに、内々で処理したのは、さ。
ケレメイン大公国として、その方が良かったからという政治的な事情によるものが大きくて。
ミーレ長官の個人的な事情を斟酌したから、ではないんだけど、ミーレ長官は、ミーレ長官の事情を汲んで無罪放免になっていると考えている。
裏切り発覚後、どれだけ待っても。
ミーレ長官は、オレとクロードのところへ、内々に謝罪に来なかった。
内々に処理したことの感謝も伝えてこない。
もう、これ以上、ミーレ長官が自発的に動くのを待っても意味がない。
オレとクロードは、そう判断した。
ミーレ長官は気づかなくても、ミーレ長官の奥様は気づけた、ということは今まで何度もあったと思う。
今回、ミーレ長官の奥様は、気づくのが遅れた。
ミーレ長官の奥様は、マウンテン王国の貴族との交流に心を奪われていて、オレとクロードが待っていることに気づいていなかった。
オレとクロードが、ケレメイン大公国の貴族と平民について言及していたとき。
ミーレ長官夫妻は、なかなか納得しなかった。
ミーレ長官は、奥様のようにウキウキしていなかったけれど、貴族階級への復帰に目がくらんでいるのは見て取れた。
ミーレ長官の奥様は、貴族として、オレとクロードがに呼び出された理由に自分で気づくことができた。
ミーレ長官は、貴族として生きていくのは、もう無理だとオレは思っている。
ミーレ長官は、不幸な環境の中にいた自分という立場から、自分の意識を切り替え出来ていない。
ミーレ長官は、違う場所で、違う生き方を始めた自分を見つけられていない。
ミーレ長官の意識は、傷つけられたときのままから切り替わらないまま。
貴族に限らず、匂わされる前に気づいて動かないと人間関係でつまずくことはままある。
匂わされたなら、気づくのが遅れたことについてのアクションも必要だ。
何かをするタイミングで何もしなかったことに対して。
だって傷つけられてきたからしないのは仕方ない、という言い訳を、しなかった側が使っても、何の解決にもならない。
必要とされているのは、心からの謝罪と感謝だけ。
オレは、ミーレ長官の出方を待った。
オレは、手を振って、ミーレ長官の奥様を止める。
ミーレ長官の奥様が動いたら、先に謝罪したら逆効果だ。
ミーレ長官が、自分から謝罪しないと。
ミーレ長官の奥様は、司祭が頭を下げたときには、この場が用意された意味を正確に読み取っていた。
マウンテン王家の血筋の人間とその伴侶を一つの部屋に集めた、と、この部屋に呼んだ理由をオレ達は説明している。
マウンテン王家の血筋という理由がなければ、オレ達六人が一堂に顔を合わせられない。
司祭は、医者と結婚し、今は完全に平民の扱いになっている。
ミーレ長官夫妻も、ケレメイン大公国の平民だが、意識の根底では、貴族でいることを捨てきれていなかった。
今日の話し合いまでは。
オレとクロードは、今日で一気に決着をつけると決めていた。
長引かせても、意味がない。
本人が理解しようとしなければ、理解する日は来ない。
オレとクロードは、非公式な場で、ミーレ長官から謝罪を引き出すことにした。
オレは、クロードを抱きしめるのを止めた。
ミーレ長官は、クロードに見つめられても、口を開かない。
オレが話した方がいいなー。
「ミーレ長官。
ミーレ長官がしたことは、決してやっていいことではない。
ミーレ長官は、オレの直属の部下でありながら、オレの信頼を裏切った。
オレの説得に応じて、途中で手を引き、最後までいかなかったとしても。
一人のケレメイン大公国の国民として、国を危機にさらした。」
ミーレ長官は、何も言わない。
「ミーレ長官にしたら、今まで、何も言われなかったのに、なぜ、急に、今になって、と思っているのかもしれないけどな。」
オレの台詞を聞いて、ミーレ長官の奥様が青ざめていく。
「ミーレ長官が、王族らしい教育とか、貴族らしい教育を受ける機会に恵まれなかったとしても、さ。
平民として生きていく中で、平民の礼儀作法を知る機会はあったよな?
王侯貴族の礼儀作法を知らなくても、平民の礼儀作法の中で、やってはいけないことをした場合は、どうするのか、を学ぶ時間はあったんじゃないかな?
今の今まで、顔を合わす時間はあったけれど、この件に関して、ミーレ長官からの働きかけは一切なかった。
だから、今、なんだ。」
オレは、ゆっくりと言葉を切りながら話す。
オレもクロードも、愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式よりも前に、ミーレ長官から謝罪の申し入れがあると考えていた。
具体的には、ミーレ長官の裏切りをオレが突き止めた直後あたりに、一家揃って、頭を下げにくると思っていた。
ミーレ長官のしたことを表に出して、断罪せずに、内々で処理したのは、さ。
ケレメイン大公国として、その方が良かったからという政治的な事情によるものが大きくて。
ミーレ長官の個人的な事情を斟酌したから、ではないんだけど、ミーレ長官は、ミーレ長官の事情を汲んで無罪放免になっていると考えている。
裏切り発覚後、どれだけ待っても。
ミーレ長官は、オレとクロードのところへ、内々に謝罪に来なかった。
内々に処理したことの感謝も伝えてこない。
もう、これ以上、ミーレ長官が自発的に動くのを待っても意味がない。
オレとクロードは、そう判断した。
ミーレ長官は気づかなくても、ミーレ長官の奥様は気づけた、ということは今まで何度もあったと思う。
今回、ミーレ長官の奥様は、気づくのが遅れた。
ミーレ長官の奥様は、マウンテン王国の貴族との交流に心を奪われていて、オレとクロードが待っていることに気づいていなかった。
オレとクロードが、ケレメイン大公国の貴族と平民について言及していたとき。
ミーレ長官夫妻は、なかなか納得しなかった。
ミーレ長官は、奥様のようにウキウキしていなかったけれど、貴族階級への復帰に目がくらんでいるのは見て取れた。
ミーレ長官の奥様は、貴族として、オレとクロードがに呼び出された理由に自分で気づくことができた。
ミーレ長官は、貴族として生きていくのは、もう無理だとオレは思っている。
ミーレ長官は、不幸な環境の中にいた自分という立場から、自分の意識を切り替え出来ていない。
ミーレ長官は、違う場所で、違う生き方を始めた自分を見つけられていない。
ミーレ長官の意識は、傷つけられたときのままから切り替わらないまま。
貴族に限らず、匂わされる前に気づいて動かないと人間関係でつまずくことはままある。
匂わされたなら、気づくのが遅れたことについてのアクションも必要だ。
何かをするタイミングで何もしなかったことに対して。
だって傷つけられてきたからしないのは仕方ない、という言い訳を、しなかった側が使っても、何の解決にもならない。
必要とされているのは、心からの謝罪と感謝だけ。
オレは、ミーレ長官の出方を待った。
42
お気に入りに追加
1,680
あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)
エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。
魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。
若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。
*以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。
お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。
こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。
べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。
太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

愛などもう求めない
白兪
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

前世である母国の召喚に巻き込まれた俺
るい
BL
国の為に戦い、親友と言える者の前で死んだ前世の記憶があった俺は今世で今日も可愛い女の子を口説いていた。しかし何故か気が付けば、前世の母国にその女の子と召喚される。久しぶりの母国に驚くもどうやら俺はお呼びでない者のようで扱いに困った国の者は騎士の方へ面倒を投げた。俺は思った。そう、前世の職場に俺は舞い戻っている。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる