593 / 673
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
593.オレとクロードは、ケレメイン大公国を治めるにあたり、オレが異世界人であることを忘れてはいけないと思っています。
しおりを挟む
オレとクロードが、ケレメイン大公国で、貴族を作らないことを徹底した理由は、一つだけ。
オレのため。
オレがクロードの隣で、大公妃として生涯を全うするため。
ケレメイン大公国に貴族を作れば、肩書きや地位を使って他の国との外交がしやすくなるかもしれない。
国内を統治するにも、平民の代官ではなく、爵位持ちの貴族がいた方が、統治しやすいかもしれない。
オレもクロードも、ケレメイン大公国に貴族を作る利点はすぐ思いついた。
メリット、デメリットを考えて、シュミレーションをした結果。
オレとクロードは、ケレメイン大公国に貴族を作らない方という結論に達した。
外交や、内政へのメリットを捨ててでも。
オレとクロードだけが、ケレメイン大公国で別格だと位置づけることは、何も持たないオレ自身を守る武器になるから。
女神様の世界でオレが生きていくには、オレ自身の武器と防具が必要だとオレは痛感している。
身分だとか。
権威だとか。
確固たる地位。
なぜなら、オレは、特別な何かを持ちあわせていないから。
カズラくんと同じように異世界から来たけれど、オレに特殊な能力は、一切備わっていない。
オレの才能は、身体能力も頭脳も、日本にいたときのまま。
とりたてて秀でた頭脳や肉体を持たない成人男性のオレだけど、日本で暮らしていく分には何も問題がなかった。
一人で出歩いても、友達と夜中まで遊び歩いても、命を狙われたことはなかった。
でも。
女神様の世界で長生きしようとするなら。
日本で暮らしていたときの感覚で、人生計画を練っても、実現できる日は来ない。
オレは、大公城の中を移動するときに、護衛を同行するようになった。
大公城の中でも外でも、オレは一人でいることを止めた。
日本にいたとき。
友達や家族といることはあっても、上下関係はなかった。
上下関係がある人と言うと、会社の上司くらい。
日本で生きていたときは、身分による上下関係なんて、無縁で生きていけた。
特殊な才能がなくても、平凡な生まれで、平凡な見た目でも。
平凡なオレが生きていく場所で、オレが生きていくことについて、何も問題がなかった。
なぜか、というと。
オレが生まれてから一人前になるまで、オレは家族や周りの人に守られていたから。
社会に出るようになってからのオレは、オレと同じように、日本に根を生やして働いて暮らしている人達の中にいた。
突出することなく、埋没して平穏な毎日をオレは生きていた。
今も日本にいたなら。
オレは、オレが非力だとか考えることはなかった。
恋人を作るときも、誰かと結婚するときも。
日本にいたのなら。
本人同士の同意や、家族や友達の祝福だけで、幸せな家庭を築けたと思う。
女神様の世界において。
オレは、英雄クロードの寵愛だけで大公妃になった男。
オレが、誰かに親切にしたり、問題を片付けたりして、感謝されるとき。
オレは、ケレメイン大公国の大公である英雄クロードの伴侶の大公妃ヒサツグとして感謝される。
オレ、という個人に対しての感謝ではない。
最初のうちは、大公妃として、オレが認められることを重視していたから、気づかなかった。
でも。
大公妃であるオレに感謝して協力的になったり、態度を軟化させたりしている人達の様子を見ているうちに、分かってきた。
途中から大公妃ヒサツグとして、オレの仕事ぶりを認めた人達からは、クロードの寵愛に相応しい大公妃との関係を良くしようという思惑が透けて見えた。
そういうこともあるよな、と分かっていても。
オレの言動から、オレ自身の味方を作れないことは、オレにとって、衝撃的で、痛手だった。
クロードに寵愛されている大公妃という肩書きがないオレは、歯牙にもかけられない。
大公妃という肩書きで味方になる人達を、オレの味方にカウントするわけにはいかない。
オレ自身の味方を作れないなら、オレに味方するのが当然になる仕組みを作るしかない。
クロードがいないとき。
クロードが倒れたとき。
クロードが俺より先に亡くなったとき。
クロードの寵愛というパワーをもってしても、オレを守れなくなるなる未来に備えよう。
オレとクロードは、そう決めた。
オレとクロードは、二人きり。
オレとクロードには、お互いしかいない。
オレが危機に陥ったときに、クロードもオレを助けられないほどの危機に陥っていた場合。
クロードの寵愛で大公妃になったヒサツグという男では、オレは捨て置かれる。
もし、ケレメイン大公国に、オレとクロード以外の貴族がいたら?
クロードが健在の間や、政治的な失態を演じていない間は、オレは大公妃として安穏としていられる。
だけど、クロードが体調を崩すようなことがあれば。
クロードの寵愛頼みの、異世界人の大公妃の権勢は一気に弱まる。
貴族につきものの、頼りにできる実家が、オレにはない。
オレは、身一つで、女神様の世界に来ている。
女神様の世界で生まれ育ち、ケレメイン大公国内にしっかりした地盤がある貴族が台頭してきたら?
オレは、どうなる?
クロードは、オレを守ろうとして、無茶をするはずだ。
女神様の世界は、王侯貴族の権力や権威が絶大。
人を殺したり、傷つけたりすること、誰かを騙したり、利用することへの抵抗感が、日本にいたときとは比較にならないくらいに薄い。
必要なら、という言葉で、正当化される。
どうにかされそうになった経験から、オレは自覚した。
オレは、女神様の世界の住人よりも非力だ。
元々、運動神経も良い方じゃない。
一対一でつかみ合いになろうものなら、オレは力で負ける。
オレとクロードは、二人で生きていくために、オレを害さない仕組みをケレメイン大公国に取り入れることにした。
国を治めるには、多くの人の協力がいる。
人の数だけ、人の感情があることも、オレとクロードは知っている。
この世界に来て、クロードと暮らし始めたオレは、この世界の人の悪意も善意も厚意も思惑も経験済み。
誰も裏切らないという前提で、人生の計画を立てないのが、親切だ。
裏切られることを前提にして、人が裏切らない仕組みを作って運用すれば、誰も傷つかない。
「ケレメイン大公国では、マウンテン王家の血筋を貴族として取り立てることはしない。
マウンテン王家以外もだ。
ケレメイン大公国に、私とヒサツグの二人以外、貴族は作らない。」
とクロード。
「マウンテン王国の王侯貴族としての生まれを誇りに思って生きることまでは否定しない。
ケレメイン大公国の国民は、私とヒサツグ以外は、貴族ではないということを、この場で再確認しておく。」
とクロード。
オレじゃなく、クロードが話すのは、クロードが英雄で、マウンテン王家の血を引くケレメイン大公だから。
「かつて、マウンテン王国の王侯貴族だったことは、ケレメイン大公国での貴族の地位を保証することにはならない。
ケレメイン大公国の貴族ではない、ということを自覚して振る舞い、貴族であると他者に誤認させる振る舞いは、慎むように。」
とクロード。
「貴族として、貴族らしく振る舞うことは止めておくように、ということですか。
私は一向に構いません。
私の伴侶とともに平民の生活を続けていきます。」
とギリギリ王族の司祭。
ミーレ長官とミーレ長官の奥様は、考え込んでいた。
「各々の人生経験を活かし、自分自身の人生経験や能力を仕事や生活に活かして生きることを私とヒサツグは望んでいるが、将来的にも、貴族として迎え入れることはしないと心得よ。」
とクロード。
ミーレ長官の奥様は、クロードの真意を探ろうとしていたが、クロードは、はっきりと断言する。
「ケレメイン大公国では、私とヒサツグ以外が貴族として生きていくことはない。
マウンテン王国の王侯貴族だったころのような貴族として復活する日を、ケレメイン大公国の国民が期待してはならない。
交流する者にも、貴族として復活すると期待させないようにせよ。」
とクロード。
オレ達は、ミーレ長官夫妻が了承の返事をするまで、誰も席を立たなかった。
オレ、クロード、ミーレ長官夫妻、司祭、医者の六人は、ミーレ長官夫妻が、了承の返事をしてから解散した。
オレのため。
オレがクロードの隣で、大公妃として生涯を全うするため。
ケレメイン大公国に貴族を作れば、肩書きや地位を使って他の国との外交がしやすくなるかもしれない。
国内を統治するにも、平民の代官ではなく、爵位持ちの貴族がいた方が、統治しやすいかもしれない。
オレもクロードも、ケレメイン大公国に貴族を作る利点はすぐ思いついた。
メリット、デメリットを考えて、シュミレーションをした結果。
オレとクロードは、ケレメイン大公国に貴族を作らない方という結論に達した。
外交や、内政へのメリットを捨ててでも。
オレとクロードだけが、ケレメイン大公国で別格だと位置づけることは、何も持たないオレ自身を守る武器になるから。
女神様の世界でオレが生きていくには、オレ自身の武器と防具が必要だとオレは痛感している。
身分だとか。
権威だとか。
確固たる地位。
なぜなら、オレは、特別な何かを持ちあわせていないから。
カズラくんと同じように異世界から来たけれど、オレに特殊な能力は、一切備わっていない。
オレの才能は、身体能力も頭脳も、日本にいたときのまま。
とりたてて秀でた頭脳や肉体を持たない成人男性のオレだけど、日本で暮らしていく分には何も問題がなかった。
一人で出歩いても、友達と夜中まで遊び歩いても、命を狙われたことはなかった。
でも。
女神様の世界で長生きしようとするなら。
日本で暮らしていたときの感覚で、人生計画を練っても、実現できる日は来ない。
オレは、大公城の中を移動するときに、護衛を同行するようになった。
大公城の中でも外でも、オレは一人でいることを止めた。
日本にいたとき。
友達や家族といることはあっても、上下関係はなかった。
上下関係がある人と言うと、会社の上司くらい。
日本で生きていたときは、身分による上下関係なんて、無縁で生きていけた。
特殊な才能がなくても、平凡な生まれで、平凡な見た目でも。
平凡なオレが生きていく場所で、オレが生きていくことについて、何も問題がなかった。
なぜか、というと。
オレが生まれてから一人前になるまで、オレは家族や周りの人に守られていたから。
社会に出るようになってからのオレは、オレと同じように、日本に根を生やして働いて暮らしている人達の中にいた。
突出することなく、埋没して平穏な毎日をオレは生きていた。
今も日本にいたなら。
オレは、オレが非力だとか考えることはなかった。
恋人を作るときも、誰かと結婚するときも。
日本にいたのなら。
本人同士の同意や、家族や友達の祝福だけで、幸せな家庭を築けたと思う。
女神様の世界において。
オレは、英雄クロードの寵愛だけで大公妃になった男。
オレが、誰かに親切にしたり、問題を片付けたりして、感謝されるとき。
オレは、ケレメイン大公国の大公である英雄クロードの伴侶の大公妃ヒサツグとして感謝される。
オレ、という個人に対しての感謝ではない。
最初のうちは、大公妃として、オレが認められることを重視していたから、気づかなかった。
でも。
大公妃であるオレに感謝して協力的になったり、態度を軟化させたりしている人達の様子を見ているうちに、分かってきた。
途中から大公妃ヒサツグとして、オレの仕事ぶりを認めた人達からは、クロードの寵愛に相応しい大公妃との関係を良くしようという思惑が透けて見えた。
そういうこともあるよな、と分かっていても。
オレの言動から、オレ自身の味方を作れないことは、オレにとって、衝撃的で、痛手だった。
クロードに寵愛されている大公妃という肩書きがないオレは、歯牙にもかけられない。
大公妃という肩書きで味方になる人達を、オレの味方にカウントするわけにはいかない。
オレ自身の味方を作れないなら、オレに味方するのが当然になる仕組みを作るしかない。
クロードがいないとき。
クロードが倒れたとき。
クロードが俺より先に亡くなったとき。
クロードの寵愛というパワーをもってしても、オレを守れなくなるなる未来に備えよう。
オレとクロードは、そう決めた。
オレとクロードは、二人きり。
オレとクロードには、お互いしかいない。
オレが危機に陥ったときに、クロードもオレを助けられないほどの危機に陥っていた場合。
クロードの寵愛で大公妃になったヒサツグという男では、オレは捨て置かれる。
もし、ケレメイン大公国に、オレとクロード以外の貴族がいたら?
クロードが健在の間や、政治的な失態を演じていない間は、オレは大公妃として安穏としていられる。
だけど、クロードが体調を崩すようなことがあれば。
クロードの寵愛頼みの、異世界人の大公妃の権勢は一気に弱まる。
貴族につきものの、頼りにできる実家が、オレにはない。
オレは、身一つで、女神様の世界に来ている。
女神様の世界で生まれ育ち、ケレメイン大公国内にしっかりした地盤がある貴族が台頭してきたら?
オレは、どうなる?
クロードは、オレを守ろうとして、無茶をするはずだ。
女神様の世界は、王侯貴族の権力や権威が絶大。
人を殺したり、傷つけたりすること、誰かを騙したり、利用することへの抵抗感が、日本にいたときとは比較にならないくらいに薄い。
必要なら、という言葉で、正当化される。
どうにかされそうになった経験から、オレは自覚した。
オレは、女神様の世界の住人よりも非力だ。
元々、運動神経も良い方じゃない。
一対一でつかみ合いになろうものなら、オレは力で負ける。
オレとクロードは、二人で生きていくために、オレを害さない仕組みをケレメイン大公国に取り入れることにした。
国を治めるには、多くの人の協力がいる。
人の数だけ、人の感情があることも、オレとクロードは知っている。
この世界に来て、クロードと暮らし始めたオレは、この世界の人の悪意も善意も厚意も思惑も経験済み。
誰も裏切らないという前提で、人生の計画を立てないのが、親切だ。
裏切られることを前提にして、人が裏切らない仕組みを作って運用すれば、誰も傷つかない。
「ケレメイン大公国では、マウンテン王家の血筋を貴族として取り立てることはしない。
マウンテン王家以外もだ。
ケレメイン大公国に、私とヒサツグの二人以外、貴族は作らない。」
とクロード。
「マウンテン王国の王侯貴族としての生まれを誇りに思って生きることまでは否定しない。
ケレメイン大公国の国民は、私とヒサツグ以外は、貴族ではないということを、この場で再確認しておく。」
とクロード。
オレじゃなく、クロードが話すのは、クロードが英雄で、マウンテン王家の血を引くケレメイン大公だから。
「かつて、マウンテン王国の王侯貴族だったことは、ケレメイン大公国での貴族の地位を保証することにはならない。
ケレメイン大公国の貴族ではない、ということを自覚して振る舞い、貴族であると他者に誤認させる振る舞いは、慎むように。」
とクロード。
「貴族として、貴族らしく振る舞うことは止めておくように、ということですか。
私は一向に構いません。
私の伴侶とともに平民の生活を続けていきます。」
とギリギリ王族の司祭。
ミーレ長官とミーレ長官の奥様は、考え込んでいた。
「各々の人生経験を活かし、自分自身の人生経験や能力を仕事や生活に活かして生きることを私とヒサツグは望んでいるが、将来的にも、貴族として迎え入れることはしないと心得よ。」
とクロード。
ミーレ長官の奥様は、クロードの真意を探ろうとしていたが、クロードは、はっきりと断言する。
「ケレメイン大公国では、私とヒサツグ以外が貴族として生きていくことはない。
マウンテン王国の王侯貴族だったころのような貴族として復活する日を、ケレメイン大公国の国民が期待してはならない。
交流する者にも、貴族として復活すると期待させないようにせよ。」
とクロード。
オレ達は、ミーレ長官夫妻が了承の返事をするまで、誰も席を立たなかった。
オレ、クロード、ミーレ長官夫妻、司祭、医者の六人は、ミーレ長官夫妻が、了承の返事をしてから解散した。
53
お気に入りに追加
1,813
あなたにおすすめの小説


【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

漆黒の瞳は何を見る
灯璃
BL
記憶を無くした青年が目覚めた世界は、妖、と呼ばれる異形の存在がいる和風の異世界だった
青年は目覚めた時、角を生やした浅黒い肌の端正な顔立ちの男性にイスミ アマネと呼びかけられたが、記憶が無く何も思い出せなかった……自分の名前すらも
男性は慌てたようにすぐに飛び去ってしまい、青年は何も聞けずに困惑する
そんな戸惑っていた青年は役人に捕えられ、都に搬送される事になった。そこで人々を統べるおひい様と呼ばれる女性に会い、あなたはこの世界を救う為に御柱様が遣わされた方だ、と言われても青年は何も思い出せなかった。経緯も、動機も。
ただチート級の能力はちゃんと貰っていたので、青年は仕方なく状況に流されるまま旅立ったのだが、自分を受け入れてくれたのは同じ姿形をしている人ではなく、妖の方だった……。
この世界では不吉だと人に忌み嫌われる漆黒の髪、漆黒の瞳をもった、自己肯定感の低い(容姿は可愛い)主人公が、人や妖と出会い、やがてこの世界を救うお話(になっていけば良いな)
※攻めとの絡みはだいぶ遅いです
※4/9 番外編 朱雀(妖たちの王の前)と終幕(最後)を更新しました。これにて本当に完結です。お読み頂き、ありがとうございました!

田舎育ちの天然令息、姉様の嫌がった婚約を押し付けられるも同性との婚約に困惑。その上性別は絶対バレちゃいけないのに、即行でバレた!?
下菊みこと
BL
髪色が呪われた黒であったことから両親から疎まれ、隠居した父方の祖父母のいる田舎で育ったアリスティア・ベレニス・カサンドル。カサンドル侯爵家のご令息として恥ずかしくない教養を祖父母の教えの元身につけた…のだが、農作業の手伝いの方が貴族として過ごすより好き。
そんなアリスティア十八歳に急な婚約が持ち上がった。アリスティアの双子の姉、アナイス・セレスト・カサンドル。アリスティアとは違い金の御髪の彼女は侯爵家で大変かわいがられていた。そんなアナイスに、とある同盟国の公爵家の当主との婚約が持ちかけられたのだが、アナイスは婿を取ってカサンドル家を継ぎたいからと男であるアリスティアに婚約を押し付けてしまう。アリスティアとアナイスは髪色以外は見た目がそっくりで、アリスティアは田舎に引っ込んでいたためいけてしまった。
アリスは自分の性別がバレたらどうなるか、また自分の呪われた黒を見て相手はどう思うかと心配になった。そして顔合わせすることになったが、なんと公爵家の執事長に性別が即行でバレた。
公爵家には公爵と歳の離れた腹違いの弟がいる。前公爵の正妻との唯一の子である。公爵は、正当な継承権を持つ正妻の息子があまりにも幼く家を継げないため、妾腹でありながら爵位を継承したのだ。なので公爵の後を継ぐのはこの弟と決まっている。そのため公爵に必要なのは同盟国の有力貴族との縁のみ。嫁が子供を産む必要はない。
アリスティアが男であることがバレたら捨てられると思いきや、公爵の弟に懐かれたアリスティアは公爵に「家同士の婚姻という事実だけがあれば良い」と言われてそのまま公爵家で暮らすことになる。
一方婚約者、二十五歳のクロヴィス・シリル・ドナシアンは嫁に来たのが男で困惑。しかし可愛い弟と仲良くなるのが早かったのと弟について黙って結婚しようとしていた負い目でアリスティアを追い出す気になれず婚約を結ぶことに。
これはそんなクロヴィスとアリスティアが少しずつ近づいていき、本物の夫婦になるまでの記録である。
小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!
音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに!
え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!!
調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。
ブラッドフォード卿のお気に召すままに~~腹黒宰相は異世界転移のモブを溺愛する~~
ゆうきぼし/優輝星
BL
異世界転移BL。浄化のため召喚された異世界人は二人だった。腹黒宰相と呼ばれるブラッドフォード卿は、モブ扱いのイブキを手元に置く。それは自分の手駒の一つとして利用するためだった。だが、イブキの可愛さと優しさに触れ溺愛していく。しかもイブキには何やら不思議なチカラがあるようで……。
*マークはR回。(後半になります)
・ご都合主義のなーろっぱです。
・攻めは頭の回転が速い魔力強の超人ですがちょっぴりダメンズなところあり。そんな彼の癒しとなるのが受けです。癖のありそうな脇役あり。どうぞよろしくお願いします。
腹黒宰相×獣医の卵(モフモフ癒やし手)
・イラストは青城硝子先生です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる