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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
591.オレが、ミーレ長官の息子さんケヤキくんを強制的に親元から引き離したのは、マウンテン王家の負の連鎖を止めたかったからです。
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ケヤキくんを出国させてから。
オレ、クロード、マウンテン王国のギリギリ王族である司祭と医者、ミーレ長官夫妻で、一つの部屋に集まっている。
オレ達六人は、ケレメイン大公国にいるケレメイン大公国民で、マウンテン王家の血筋の人とその伴侶。
オレは、マウンテン王家の悲劇を繰り返したくない。
マウンテン王家の負の連鎖を止めるために、六人で話をすることにした。
まずは。
オレが強硬姿勢を示した理由をミーレ長官夫妻に伝えることにする。
「ミーレ長官夫妻には、マウンテン王家の負の連鎖を断ち切ってもらいたい。」
ミーレ長官夫妻は、何のことだか分からなくて困惑している。
クロードと、マウンテン王家のギリギリ王族である司祭も、ピンときていない。
クロードの場合は、先代ケレメイン公爵夫妻だったご両親より前に、連鎖が止まっている。
クロードの祖母である降嫁した王女様の代で、負の連鎖を止めたんだと思う。
医者は、オレの言いたいことに気づいたのか、ここにいないケヤキくんの背丈に視線を動かした。
オレや医者は、おかしいな、と感じる。
医者の場合は、司祭のクロードに対する態度で気づいたかもしれない。
司祭は、医者との恋のために、友人であるクロードとの友情を天秤にもかけずに利用に踏み切っている。
オレの感覚では、極端に振り切りすぎている。
マウンテン王家の内側にいる人には、当たり前だから分からないんだろうなー、と思う。
「オレは、ケレメイン大公国におけるマウンテン王家の負の連鎖を、クロード、司祭、ミーレ長官の代で断ち切って、各々、新しい形を模索できるならしてもらいたい、と思っている。
今日の話題は、それだ。」
なんのこっちゃ、な面々。
オレは、早速、本題に入ることにする。
「マウンテン王家の負の連鎖など聞いたことがありませんよ?」
とミーレ長官は呆れ顔。
「オレは、ケレメイン大公国で、マウンテン王家の先々代国王陛下、女王陛下、先代国王陛下、前国王陛下の悲劇を繰り返したくない。」
「繰り返すわけありません。ここは、マウンテン王国ではありませんよ。」
とミーレ長官。
「住んでいる場所を変えても。
マウンテン王家の呪縛は、解かれていない。」
「呪縛ですか?」
とミーレ長官は、何言っているんだ顔。
「マウンテン王家の人の特徴か、環境が人を作った結果か。
呪縛の原因を探るには時間がかかるから、今はしない。」
「では、何の話をされたいのですか?」
とミーレ長官。
「結論から言うと。
マウンテン王国にいるときに、マウンテン王家での経験から身についた、家族に対する思考や価値観を持ち続けることを止めるように努力してくれ、ということを言いたい。」
「何ですか、それは?意味が分かりませんよ。」
とミーレ長官。
「マウンテン王家が、親子と姉弟で断絶して、王家と王国を危うくしたことを繰り返した原因なんだけどな。
マウンテン王家の家族に対する考え方や向き合い方に問題があったからだ、とオレは思っている。」
「先代国王陛下は。」
とミーレ長官の奥様。
「個人の性格の要素も勿論あるんだけどさ。
当時の話を聞いたら、問題が起きるべくして、起きているとオレは思った。」
「何が問題でした?」
と司祭。
「マウンテン王家の人は、血の繋がりのある人、親子、姉弟の関係を雑にしすぎる傾向にある。」
「雑でした。」
とミーレ長官の奥様は頷く。
でも、ミーレ長官の奥様が、息子さんのケヤキくんに対する扱いについて言及しているわけじゃないことは、口に出されていない単語で分かった。
雑に扱われた側の経験について、ミーレ長官の奥様は同意している。
「ミーレ長官夫妻は、目上の家族から雑に扱われた。
家族を雑に扱うことを学習したミーレ長官夫妻は、雑に扱われてきた経験から、息子さんのケヤキくんを雑に扱っている。
自覚はあるかな?」
「我が子ケヤキを雑になんて扱いません。」
とミーレ長官の奥様の否定が早い。
「ケレメイン大公国で、オレとケヤキくんが顔を合わせたとき。
ケヤキくんとミーレ長官夫妻の関係は、さ。
オレの目から見て、ケヤキくんが、お父さんお母さんから雑に扱われている状況だった。
ミーレ長官夫妻からのケヤキくんの引き離しを急いだのは。
ケヤキくんが家族から雑に扱われることを学習して身につける前に、違う環境を経験させたかったからだ。
ケヤキくんが、今辛い思いをしないため、と。
ケヤキくんがした辛い思いをケヤキくん自身が次の世代に繰り返さないために、だ。」
負の連鎖の中にいると気づきにくいんだけどな。
「何をもって、負の連鎖と?」
とミーレ長官。
「ミーレ長官だけじゃなく、ミーレ長官のお母さん、ミーレ長官のお父さん、ミーレ長官のお祖父さん、ミーレ長官の叔父さん、ミーレ長官の従兄弟、ギリギリ王族の司祭、ケレメイン家のクロード。
オレが知るマウンテン王家の血をひく人達には、愛情の対象が狭くて深い。
マウンテン王家の先々代国王陛下の家族は、家族であることが、互いに愛情を向ける条件ではなかった。
マウンテン王家は、家族に対する雑な扱いを繰り返してきたんじゃないかな。
愛情を向ける限られた相手には、一心に愛を注ぐ反面。
自分が思うようにしか、相手とは関わらないことを徹底する。
マウンテン王家の親子、姉弟、夫婦間の断絶は、家族を知ろうとしなさすぎたことと、血の繋がった家族は利用できるという考えがなければ、起きたかな?」
オレは、それぞれで、考えてみてほしいと言ってから、ミーレ長官の奥様に伝えた。
「ミーレ長官の伴侶になったときから、マウンテン王家の一員じゃない、貴族でもないよな?
貴族との付き合いに、貴族だったときのやり方をそのまま使い続けるのは、いずれ、難しくなる。」
「そうならないようにしています」
とミーレ長官の奥様。
「ミーレ長官の奥様は、そうならない努力ではなく。
貴族との貴族じゃない付き合い方を見つけてもらいたい。
国の中枢にいるのは、人となりと資質が優れていて、仕事ができるからだ、と知らしめてくれ。」
オレ、クロード、マウンテン王国のギリギリ王族である司祭と医者、ミーレ長官夫妻で、一つの部屋に集まっている。
オレ達六人は、ケレメイン大公国にいるケレメイン大公国民で、マウンテン王家の血筋の人とその伴侶。
オレは、マウンテン王家の悲劇を繰り返したくない。
マウンテン王家の負の連鎖を止めるために、六人で話をすることにした。
まずは。
オレが強硬姿勢を示した理由をミーレ長官夫妻に伝えることにする。
「ミーレ長官夫妻には、マウンテン王家の負の連鎖を断ち切ってもらいたい。」
ミーレ長官夫妻は、何のことだか分からなくて困惑している。
クロードと、マウンテン王家のギリギリ王族である司祭も、ピンときていない。
クロードの場合は、先代ケレメイン公爵夫妻だったご両親より前に、連鎖が止まっている。
クロードの祖母である降嫁した王女様の代で、負の連鎖を止めたんだと思う。
医者は、オレの言いたいことに気づいたのか、ここにいないケヤキくんの背丈に視線を動かした。
オレや医者は、おかしいな、と感じる。
医者の場合は、司祭のクロードに対する態度で気づいたかもしれない。
司祭は、医者との恋のために、友人であるクロードとの友情を天秤にもかけずに利用に踏み切っている。
オレの感覚では、極端に振り切りすぎている。
マウンテン王家の内側にいる人には、当たり前だから分からないんだろうなー、と思う。
「オレは、ケレメイン大公国におけるマウンテン王家の負の連鎖を、クロード、司祭、ミーレ長官の代で断ち切って、各々、新しい形を模索できるならしてもらいたい、と思っている。
今日の話題は、それだ。」
なんのこっちゃ、な面々。
オレは、早速、本題に入ることにする。
「マウンテン王家の負の連鎖など聞いたことがありませんよ?」
とミーレ長官は呆れ顔。
「オレは、ケレメイン大公国で、マウンテン王家の先々代国王陛下、女王陛下、先代国王陛下、前国王陛下の悲劇を繰り返したくない。」
「繰り返すわけありません。ここは、マウンテン王国ではありませんよ。」
とミーレ長官。
「住んでいる場所を変えても。
マウンテン王家の呪縛は、解かれていない。」
「呪縛ですか?」
とミーレ長官は、何言っているんだ顔。
「マウンテン王家の人の特徴か、環境が人を作った結果か。
呪縛の原因を探るには時間がかかるから、今はしない。」
「では、何の話をされたいのですか?」
とミーレ長官。
「結論から言うと。
マウンテン王国にいるときに、マウンテン王家での経験から身についた、家族に対する思考や価値観を持ち続けることを止めるように努力してくれ、ということを言いたい。」
「何ですか、それは?意味が分かりませんよ。」
とミーレ長官。
「マウンテン王家が、親子と姉弟で断絶して、王家と王国を危うくしたことを繰り返した原因なんだけどな。
マウンテン王家の家族に対する考え方や向き合い方に問題があったからだ、とオレは思っている。」
「先代国王陛下は。」
とミーレ長官の奥様。
「個人の性格の要素も勿論あるんだけどさ。
当時の話を聞いたら、問題が起きるべくして、起きているとオレは思った。」
「何が問題でした?」
と司祭。
「マウンテン王家の人は、血の繋がりのある人、親子、姉弟の関係を雑にしすぎる傾向にある。」
「雑でした。」
とミーレ長官の奥様は頷く。
でも、ミーレ長官の奥様が、息子さんのケヤキくんに対する扱いについて言及しているわけじゃないことは、口に出されていない単語で分かった。
雑に扱われた側の経験について、ミーレ長官の奥様は同意している。
「ミーレ長官夫妻は、目上の家族から雑に扱われた。
家族を雑に扱うことを学習したミーレ長官夫妻は、雑に扱われてきた経験から、息子さんのケヤキくんを雑に扱っている。
自覚はあるかな?」
「我が子ケヤキを雑になんて扱いません。」
とミーレ長官の奥様の否定が早い。
「ケレメイン大公国で、オレとケヤキくんが顔を合わせたとき。
ケヤキくんとミーレ長官夫妻の関係は、さ。
オレの目から見て、ケヤキくんが、お父さんお母さんから雑に扱われている状況だった。
ミーレ長官夫妻からのケヤキくんの引き離しを急いだのは。
ケヤキくんが家族から雑に扱われることを学習して身につける前に、違う環境を経験させたかったからだ。
ケヤキくんが、今辛い思いをしないため、と。
ケヤキくんがした辛い思いをケヤキくん自身が次の世代に繰り返さないために、だ。」
負の連鎖の中にいると気づきにくいんだけどな。
「何をもって、負の連鎖と?」
とミーレ長官。
「ミーレ長官だけじゃなく、ミーレ長官のお母さん、ミーレ長官のお父さん、ミーレ長官のお祖父さん、ミーレ長官の叔父さん、ミーレ長官の従兄弟、ギリギリ王族の司祭、ケレメイン家のクロード。
オレが知るマウンテン王家の血をひく人達には、愛情の対象が狭くて深い。
マウンテン王家の先々代国王陛下の家族は、家族であることが、互いに愛情を向ける条件ではなかった。
マウンテン王家は、家族に対する雑な扱いを繰り返してきたんじゃないかな。
愛情を向ける限られた相手には、一心に愛を注ぐ反面。
自分が思うようにしか、相手とは関わらないことを徹底する。
マウンテン王家の親子、姉弟、夫婦間の断絶は、家族を知ろうとしなさすぎたことと、血の繋がった家族は利用できるという考えがなければ、起きたかな?」
オレは、それぞれで、考えてみてほしいと言ってから、ミーレ長官の奥様に伝えた。
「ミーレ長官の伴侶になったときから、マウンテン王家の一員じゃない、貴族でもないよな?
貴族との付き合いに、貴族だったときのやり方をそのまま使い続けるのは、いずれ、難しくなる。」
「そうならないようにしています」
とミーレ長官の奥様。
「ミーレ長官の奥様は、そうならない努力ではなく。
貴族との貴族じゃない付き合い方を見つけてもらいたい。
国の中枢にいるのは、人となりと資質が優れていて、仕事ができるからだ、と知らしめてくれ。」
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