590 / 673
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
590.国賓がお帰りになったので、ミーレ長官夫妻と息子さんケヤキくんの話をしましょう。
しおりを挟む
キスした後。
オレとクロードは、手を繋いで、並んで仮眠した。
愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式で、よく働いたオレとクロードは、次の仕事を考えて、体を休めることにした。
愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式からお帰りになる国賓のお見送りに、眠たい顔では行けないからな。
愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式の二次会は、カズラくんの満足のいくものになったらしく。
朝から、カズラくんはご機嫌だった。
そんなカズラくんの第一声は。
「女神様は?」
女神様は、帰ったと伝えてから、補足する。
「愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式も終わったからなー。
また来るんじゃないかな?」
女神様の姿が見えないことに、女神様と一緒に結婚式に参加した全員が納得したところで。
国賓のお見送り。
ドリアン王国の国王陛下夫妻のジャケットの裾は、めくれ上がっている。
カズラくんの力には、女神様と同じような効果があるのかもしれない。
国賓を見送った後。
ヤグルマさんが、マウンテン王国へ戻る前に。
オレは、ミーレ長官とミーレ長官の奥様を呼んだ。
ミーレ長官の息子さんケヤキくんについて話をしないとな。
ミーレ長官の息子さんケヤキくんは、ヤグルマさんの近くにいる。
「ミーレ長官とミーレ長官の奥様に確認したいことがある。
息子さんのケヤキくんの周りにいる人達の顔触れは、お父さんお母さんであるミーレ長官夫妻と繫がりのある人達だよな。
周りを警戒している息子さんケヤキくんは、自分から家族以外との距離を縮めていない。」
「私の繫がりは、結婚前からのお友達です。」
とミーレ長官の奥様。
「私は、仕事関係で知り合った人ですね。」
とミーレ長官。
うん。
利害関係がハッキリしたな。
「ミーレ長官夫妻は、ミーレ長官夫妻の周りにいる人が態度を変えた理由を理解しているよな。
ミーレ長官と奥様は、周りの人の態度の変化について、息子さんケヤキくんが理解して納得のいく説明を済ませているかな?」
済ませているなら、説明が足りない。
済ませていないなら?
「問題はありませんでした。」
とミーレ長官。
ミーレ長官は、そう答えることを予想していたから、驚かないけどさ。
「何か問題がございましたか?」
とミーレ長官の奥様。
ミーレ長官の奥様もなんだなー。
単刀直入に伝えようかな。
「急に手のひら返ししてきた人と、その人達との関係について、さ。
何も説明しないままの両親の立場としては、問題が起きなかったんだから、問題ないという認識になっていないかな。」
「問題はなかったけれど、何かが問題だとお考えでしょうか?」
とミーレ長官の奥様
「ミーレ長官夫妻が、問題ない、と感じていたことが最大の問題だとオレは思う。
まだ子どもの我が子に対して鈍感さを発揮するのは、良くないように見えたな。」
「ケヤキが何か?」
とミーレ長官。
「問題があるのは、ケヤキくんじゃない。
ミーレ長官と奥様だ。」
「不備がございましたか?」
とミーレ長官の奥様。
「息子さんケヤキくんが、必死に大人と変わらない対応をし続けたから、ミーレ長官夫妻は、やり過ごせたんだとオレは思ったな。」
「お褒めいただき光栄でございます。」
とミーレ長官の奥様。
分かっていないなー。
ミーレ長官の奥様は、貴族のご令嬢として生きていた時間を取り返したから、その当時の感覚で考えているのかもしれない。
「披露宴会場での、ミーレ長官夫妻はさ、ケヤキくんに一人の大人として、両親を困らせずに助けることを求めているように見えた。」
お父さんお母さんが、ケヤキくんに求めすぎだとオレは思った。
「ヒサツグ様は、ご覧になっていたのですか?」
とミーレ長官。
「ミーレ長官夫妻は、ケヤキくんの仲間以前に、ケヤキくんのお父さんとお母さんだ。
という考えが、ミーレ長官夫妻の両方の頭から抜け落ちているように見えたなー。」
オレの言わんとすることを受け止めても、ケヤキくんの立場になっていないミーレ長官夫妻は、貴族とはそういうものだから、という回答から先に進まなかった。
「ケヤキくんの頑張りは、お父さんお母さんと三人で頑張らないと生きていけないという切迫感から生まれている。」
「家を守る、家族を守るとは、そういうことです。」
とミーレ長官の奥様。
誤算だったなー。
貴族的な思考は、ミーレ長官の奥様の方が強かった。
「お父さんお母さんであるミーレ長官夫妻は、環境が激変して、見落としたかもしれないな。
ケヤキくんの環境の変化は、ミーレ長官夫妻の身に起きている環境の変化と同じじゃないぞ?」
オレは、ケヤキくんとヤグルマさんを呼んだ。
貴族的な発想を続けるとケヤキくんは苦しいままになる。
ケヤキくんの苦しみを、今、理解するのは難しいかな。
「今までに接点がなかった人の中に飛び込んで、思惑全開ではない人間関係をケヤキくんに体験させることにしたからな。
ヤグルマさん、ケヤキくんを任せた!
ケヤキくんは、マウンテン王国のケレメイン大使館で、ケレメイン公爵家の王都邸の人と暮らしてこい。」
「かしこまりました。」
とヤグルマさん。
「行ってまいります。」
とケヤキくん。
「ケヤキは、私達の子どもです。」
とミーレ長官の奥様。
うーん。
そうなんだけどさ。
「ミーレ長官とミーレ長官の奥様に伝えておくぞ。
ケヤキくんは、二人の子どもだけど、ケレメイン大公国の国民でもある。
ケレメイン大公国の国民のケヤキくんには、重荷に潰れないで、大人になってもらいたいとオレは考えている。
だから。
ケヤキくんは、ヤグルマさんとマウンテン王国にあるケレメイン大使館へ、今から移動させる。
決定だ。
ミーレ長官と奥様は、ケヤキくんが、今までとは異なる経験をして帰ってくるときまで、待て。
ケヤキくんの話を聞くのは。
お父さんお母さんが何を考えて、何をどうしたかったから、どんな行動に出たのか、をケヤキくんに説明する前に。
ケヤキくんが、聞いた話を自身で判断できるだけの経験を積ませてやれ。」
オレの強硬姿勢を見たことがないミーレ長官夫妻は、一瞬ひるんだ。
「私は、父上、母上を尊敬しています。
ですが、このたび、父上、母上以外にも尊敬する方が出来ました。
私は、その方のご期待に応えたいと思います。」
とケヤキくんは、オレを見る。
「楽しみにしているぞ。」
オレとクロードは、手を繋いで、並んで仮眠した。
愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式で、よく働いたオレとクロードは、次の仕事を考えて、体を休めることにした。
愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式からお帰りになる国賓のお見送りに、眠たい顔では行けないからな。
愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式の二次会は、カズラくんの満足のいくものになったらしく。
朝から、カズラくんはご機嫌だった。
そんなカズラくんの第一声は。
「女神様は?」
女神様は、帰ったと伝えてから、補足する。
「愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式も終わったからなー。
また来るんじゃないかな?」
女神様の姿が見えないことに、女神様と一緒に結婚式に参加した全員が納得したところで。
国賓のお見送り。
ドリアン王国の国王陛下夫妻のジャケットの裾は、めくれ上がっている。
カズラくんの力には、女神様と同じような効果があるのかもしれない。
国賓を見送った後。
ヤグルマさんが、マウンテン王国へ戻る前に。
オレは、ミーレ長官とミーレ長官の奥様を呼んだ。
ミーレ長官の息子さんケヤキくんについて話をしないとな。
ミーレ長官の息子さんケヤキくんは、ヤグルマさんの近くにいる。
「ミーレ長官とミーレ長官の奥様に確認したいことがある。
息子さんのケヤキくんの周りにいる人達の顔触れは、お父さんお母さんであるミーレ長官夫妻と繫がりのある人達だよな。
周りを警戒している息子さんケヤキくんは、自分から家族以外との距離を縮めていない。」
「私の繫がりは、結婚前からのお友達です。」
とミーレ長官の奥様。
「私は、仕事関係で知り合った人ですね。」
とミーレ長官。
うん。
利害関係がハッキリしたな。
「ミーレ長官夫妻は、ミーレ長官夫妻の周りにいる人が態度を変えた理由を理解しているよな。
ミーレ長官と奥様は、周りの人の態度の変化について、息子さんケヤキくんが理解して納得のいく説明を済ませているかな?」
済ませているなら、説明が足りない。
済ませていないなら?
「問題はありませんでした。」
とミーレ長官。
ミーレ長官は、そう答えることを予想していたから、驚かないけどさ。
「何か問題がございましたか?」
とミーレ長官の奥様。
ミーレ長官の奥様もなんだなー。
単刀直入に伝えようかな。
「急に手のひら返ししてきた人と、その人達との関係について、さ。
何も説明しないままの両親の立場としては、問題が起きなかったんだから、問題ないという認識になっていないかな。」
「問題はなかったけれど、何かが問題だとお考えでしょうか?」
とミーレ長官の奥様
「ミーレ長官夫妻が、問題ない、と感じていたことが最大の問題だとオレは思う。
まだ子どもの我が子に対して鈍感さを発揮するのは、良くないように見えたな。」
「ケヤキが何か?」
とミーレ長官。
「問題があるのは、ケヤキくんじゃない。
ミーレ長官と奥様だ。」
「不備がございましたか?」
とミーレ長官の奥様。
「息子さんケヤキくんが、必死に大人と変わらない対応をし続けたから、ミーレ長官夫妻は、やり過ごせたんだとオレは思ったな。」
「お褒めいただき光栄でございます。」
とミーレ長官の奥様。
分かっていないなー。
ミーレ長官の奥様は、貴族のご令嬢として生きていた時間を取り返したから、その当時の感覚で考えているのかもしれない。
「披露宴会場での、ミーレ長官夫妻はさ、ケヤキくんに一人の大人として、両親を困らせずに助けることを求めているように見えた。」
お父さんお母さんが、ケヤキくんに求めすぎだとオレは思った。
「ヒサツグ様は、ご覧になっていたのですか?」
とミーレ長官。
「ミーレ長官夫妻は、ケヤキくんの仲間以前に、ケヤキくんのお父さんとお母さんだ。
という考えが、ミーレ長官夫妻の両方の頭から抜け落ちているように見えたなー。」
オレの言わんとすることを受け止めても、ケヤキくんの立場になっていないミーレ長官夫妻は、貴族とはそういうものだから、という回答から先に進まなかった。
「ケヤキくんの頑張りは、お父さんお母さんと三人で頑張らないと生きていけないという切迫感から生まれている。」
「家を守る、家族を守るとは、そういうことです。」
とミーレ長官の奥様。
誤算だったなー。
貴族的な思考は、ミーレ長官の奥様の方が強かった。
「お父さんお母さんであるミーレ長官夫妻は、環境が激変して、見落としたかもしれないな。
ケヤキくんの環境の変化は、ミーレ長官夫妻の身に起きている環境の変化と同じじゃないぞ?」
オレは、ケヤキくんとヤグルマさんを呼んだ。
貴族的な発想を続けるとケヤキくんは苦しいままになる。
ケヤキくんの苦しみを、今、理解するのは難しいかな。
「今までに接点がなかった人の中に飛び込んで、思惑全開ではない人間関係をケヤキくんに体験させることにしたからな。
ヤグルマさん、ケヤキくんを任せた!
ケヤキくんは、マウンテン王国のケレメイン大使館で、ケレメイン公爵家の王都邸の人と暮らしてこい。」
「かしこまりました。」
とヤグルマさん。
「行ってまいります。」
とケヤキくん。
「ケヤキは、私達の子どもです。」
とミーレ長官の奥様。
うーん。
そうなんだけどさ。
「ミーレ長官とミーレ長官の奥様に伝えておくぞ。
ケヤキくんは、二人の子どもだけど、ケレメイン大公国の国民でもある。
ケレメイン大公国の国民のケヤキくんには、重荷に潰れないで、大人になってもらいたいとオレは考えている。
だから。
ケヤキくんは、ヤグルマさんとマウンテン王国にあるケレメイン大使館へ、今から移動させる。
決定だ。
ミーレ長官と奥様は、ケヤキくんが、今までとは異なる経験をして帰ってくるときまで、待て。
ケヤキくんの話を聞くのは。
お父さんお母さんが何を考えて、何をどうしたかったから、どんな行動に出たのか、をケヤキくんに説明する前に。
ケヤキくんが、聞いた話を自身で判断できるだけの経験を積ませてやれ。」
オレの強硬姿勢を見たことがないミーレ長官夫妻は、一瞬ひるんだ。
「私は、父上、母上を尊敬しています。
ですが、このたび、父上、母上以外にも尊敬する方が出来ました。
私は、その方のご期待に応えたいと思います。」
とケヤキくんは、オレを見る。
「楽しみにしているぞ。」
55
お気に入りに追加
1,817
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。
N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間
ファンタジーしてます。
攻めが出てくるのは中盤から。
結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。
表紙絵
⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101)
挿絵『0 琥』
⇨からさね 様 X (@karasane03)
挿絵『34 森』
⇨くすなし 様 X(@cuth_masi)
◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――

身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています


【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる