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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
587.女神様の顕現の時間が終わります。
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オレは、聞きたかったことを聞いてみた。
「妾が説明して、そなたが了承すると、そなたは、神子と変わらなくなる。
妾は、神子を増やすのではなく、英雄の伴侶を連れてきたかった。」
と女神様。
女神様が説明すると、自動的に、女神様との契約書が出来上がる仕組みなのかな。
女神様の説明に説明された側が了承すると、契約成立するんだとしたら。
女神様からもらえるヒントが、お告げ扱いされるのも分かる。
お告げ、という女神様が一方的に伝えるという形にすることで、人を縛らないためだったんだなー。
「オレに異世界に来た、という自覚が出るまで、時間がかかったのは、女神様の世界に馴染むまでの時差ボケだったんだな。」
「そなたは、妾が連れてきて暫くの間、ぼんやりしていたわ。
妾の英雄が、英雄の伴侶を探し始めたときに初めて、そなたはこの世界を認識した。」
と女神様。
「英雄の伴侶に変化が起きるときは、英雄が変化の引き金になっていたんだな。」
女神様からの英雄クロードへの愛が徹底している。
「もう。妾の世界に、英雄は生まれない。
妾の英雄は、クロードが最後。
神子は来ない。魔王も生まれない。」
と女神様。
オレは、はっとした。
オレと女神様は、オレの隣で眠るクロードを見る。
「クロードは、神子様が召喚されない、魔王の生まれない世界を望んだ。
女神様は、クロードの望みを叶えたんだな。」
オレは、女神様の行動理由が分かってきた。
女神様の大好きなクロードは、英雄になってからできた望みを叶えるため、苦労することが分かっている未来へと突き進んでいく。
ケレメイン大公国の大公夫妻となったばかりのクロードとオレは、孤立していた。
ケレメイン大公国は、国として四面楚歌状態。
今、思い返してみても。
当時、オレとクロードの二人の味方になってくれる人は、手で数えられるくらいしかいなかった。
オレとクロードは、ケレメイン大公国を興し、大公夫妻になったけれど。
当時の、国を興したままの情勢の中で。
大公夫妻になったばかりのオレとクロードが、興したケレメイン大公国をどれほどの時間、国として維持することができるか、というと。
国内にも、国外にも、味方がほとんどいないオレという伴侶がいる状態のクロードでは、一年も保たなかったかもしれない。
オレとクロードが、ケレメイン大公国を興してから。
女神様が、オレにしてきた妨害行為は、オレに対する嫌がらせの域を超えていることもあったけれど。
女神様は、クロードに悪意が向くような工作をしていない。
女神様がしたかったことは、一つだけ。
「女神様は、クロードの望みを叶えるために、動いていたんだな。」
大好きな英雄クロードの望みを叶えたい女神様は、女神様が当然のように今まで手にしていたものを手放してまで、クロードの望みを叶えさせた。
オレは、女神様のクロードへの愛に、目頭が熱くなった。
女神様は、オレの女神様分析に答えなかった。
「そなたは、妾の力や英雄の持つ何かを、そなた自身のために利用しようとしたことは、ついぞなかった。
そなたは、そなたが身につけた能力で、妾の英雄を守りぬいたわ。」
と女神様。
オレの29年の間に培われたスキルを女神様が褒めているぞ?
しかも。手放しで!
女神様が、オレを認めている!
オレのことを気に入らないと思っていた女神様が!
オレは、胸がじーんとした。
誰かに自慢したいくらいに嬉しい。
「妾は、そなたが、英雄の伴侶として、英雄と真実の愛の合体を果たしたことを見届けたわ。」
と女神様。
女神様。今、それを言う?
オレの感動が、秒速でどっかいったぞ?
「妾の英雄は、英雄の伴侶からやすらぎを得たわ。
妾の英雄は、もう、孤独ではない。」
と女神様。
「真実の愛の合体って言うのは、英雄がやすらげる相手との行為のことなんだな。」
納得した。
「妾は、妾の英雄の伴侶として、そなたを祝福するわ。」
と女神様。
オレは、びっくりしたけど、小躍りしたくなるくらい嬉しかった。
クロードと結婚してから、クロードとの結婚を認めない攻勢にさらされたからさ。
お付き合いを認めてもらって、祝ってもらえるのは、幸せだとしみじみ思うようになった。
「女神様に授かった加護は、女神様にお返ししないとな。
お世話になりました。」
オレは、女神様に深々と頭を下げた。
女神様が、オレの下げた頭に手を乗せる。
オレの頭に乗っていた手の気配が消えたので、頭をあげると、女神様の姿が薄くなっていくところだ。
「女神様。
今日のところは、お別れだな。
女神様の世界だから、女神様は、これからも人のいるところへ好きに出て来たらいいぞ。
オレもクロードも、女神様の世界に知らないことがまだまだある。
お茶を飲みながら話をしたり、そんな付き合いもあるからなー。
またなー。」
オレが声を掛けると。
「また、来るわ。」
と女神様の声がして、女神様の姿は霧散した。
「妾が説明して、そなたが了承すると、そなたは、神子と変わらなくなる。
妾は、神子を増やすのではなく、英雄の伴侶を連れてきたかった。」
と女神様。
女神様が説明すると、自動的に、女神様との契約書が出来上がる仕組みなのかな。
女神様の説明に説明された側が了承すると、契約成立するんだとしたら。
女神様からもらえるヒントが、お告げ扱いされるのも分かる。
お告げ、という女神様が一方的に伝えるという形にすることで、人を縛らないためだったんだなー。
「オレに異世界に来た、という自覚が出るまで、時間がかかったのは、女神様の世界に馴染むまでの時差ボケだったんだな。」
「そなたは、妾が連れてきて暫くの間、ぼんやりしていたわ。
妾の英雄が、英雄の伴侶を探し始めたときに初めて、そなたはこの世界を認識した。」
と女神様。
「英雄の伴侶に変化が起きるときは、英雄が変化の引き金になっていたんだな。」
女神様からの英雄クロードへの愛が徹底している。
「もう。妾の世界に、英雄は生まれない。
妾の英雄は、クロードが最後。
神子は来ない。魔王も生まれない。」
と女神様。
オレは、はっとした。
オレと女神様は、オレの隣で眠るクロードを見る。
「クロードは、神子様が召喚されない、魔王の生まれない世界を望んだ。
女神様は、クロードの望みを叶えたんだな。」
オレは、女神様の行動理由が分かってきた。
女神様の大好きなクロードは、英雄になってからできた望みを叶えるため、苦労することが分かっている未来へと突き進んでいく。
ケレメイン大公国の大公夫妻となったばかりのクロードとオレは、孤立していた。
ケレメイン大公国は、国として四面楚歌状態。
今、思い返してみても。
当時、オレとクロードの二人の味方になってくれる人は、手で数えられるくらいしかいなかった。
オレとクロードは、ケレメイン大公国を興し、大公夫妻になったけれど。
当時の、国を興したままの情勢の中で。
大公夫妻になったばかりのオレとクロードが、興したケレメイン大公国をどれほどの時間、国として維持することができるか、というと。
国内にも、国外にも、味方がほとんどいないオレという伴侶がいる状態のクロードでは、一年も保たなかったかもしれない。
オレとクロードが、ケレメイン大公国を興してから。
女神様が、オレにしてきた妨害行為は、オレに対する嫌がらせの域を超えていることもあったけれど。
女神様は、クロードに悪意が向くような工作をしていない。
女神様がしたかったことは、一つだけ。
「女神様は、クロードの望みを叶えるために、動いていたんだな。」
大好きな英雄クロードの望みを叶えたい女神様は、女神様が当然のように今まで手にしていたものを手放してまで、クロードの望みを叶えさせた。
オレは、女神様のクロードへの愛に、目頭が熱くなった。
女神様は、オレの女神様分析に答えなかった。
「そなたは、妾の力や英雄の持つ何かを、そなた自身のために利用しようとしたことは、ついぞなかった。
そなたは、そなたが身につけた能力で、妾の英雄を守りぬいたわ。」
と女神様。
オレの29年の間に培われたスキルを女神様が褒めているぞ?
しかも。手放しで!
女神様が、オレを認めている!
オレのことを気に入らないと思っていた女神様が!
オレは、胸がじーんとした。
誰かに自慢したいくらいに嬉しい。
「妾は、そなたが、英雄の伴侶として、英雄と真実の愛の合体を果たしたことを見届けたわ。」
と女神様。
女神様。今、それを言う?
オレの感動が、秒速でどっかいったぞ?
「妾の英雄は、英雄の伴侶からやすらぎを得たわ。
妾の英雄は、もう、孤独ではない。」
と女神様。
「真実の愛の合体って言うのは、英雄がやすらげる相手との行為のことなんだな。」
納得した。
「妾は、妾の英雄の伴侶として、そなたを祝福するわ。」
と女神様。
オレは、びっくりしたけど、小躍りしたくなるくらい嬉しかった。
クロードと結婚してから、クロードとの結婚を認めない攻勢にさらされたからさ。
お付き合いを認めてもらって、祝ってもらえるのは、幸せだとしみじみ思うようになった。
「女神様に授かった加護は、女神様にお返ししないとな。
お世話になりました。」
オレは、女神様に深々と頭を下げた。
女神様が、オレの下げた頭に手を乗せる。
オレの頭に乗っていた手の気配が消えたので、頭をあげると、女神様の姿が薄くなっていくところだ。
「女神様。
今日のところは、お別れだな。
女神様の世界だから、女神様は、これからも人のいるところへ好きに出て来たらいいぞ。
オレもクロードも、女神様の世界に知らないことがまだまだある。
お茶を飲みながら話をしたり、そんな付き合いもあるからなー。
またなー。」
オレが声を掛けると。
「また、来るわ。」
と女神様の声がして、女神様の姿は霧散した。
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