《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

586.仮眠タイムに現れた女神様は、真実の愛の合体を確認したと教えてくれましたが?

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何回も、の言葉通り、水分補給のインターバルを挟み。

仮眠タイムでまどろんでいたら。

オレとクロードのベッド脇に女神様がいた。

「女神様?」

驚きのあまり、オレ、完全覚醒。

女神様は、ベッドのクロード側ではなく、オレ側に立っていた。

いつ、来たのかなー?

神出鬼没って、いつの間にいる神様のためにある言葉だなー。

「愛こんにゃく家とこんにゃくは、見届けたわ。」
と女神様。

二次会のラストまでいた、とかそういう話かな?

会話に齟齬が出ないように、確認しておこう。

「愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式の二次会の話かなー?」

女神様は、結婚式の二次会について、コメントをしなかった。

「妾は、愛ある合体を祝福してきたわ。」
と女神様。

ホワッツ?

女神様、今、合体と言わなかったかなー?

愛こんにゃく家とこんにゃくが結婚して初めての営みを見てきた、と女神様は言っているのかなー?

オレも見たことはある。

でも、また見たいとは思わないし、聞きたいとも思わないぞ?

ベッド脇で見てきた、から、合体について話しましょう、とか、じゃないよな?

「女神様。

どうして急に、愛こんにゃく家とこんにゃくの愛の合体を見に行った報告を、オレにしてくれたのかな?」

「愛こんにゃく家とこんにゃくの愛は、妾によるもの。

妾が見届けるのは、当然。」
と女神様。

当然か。

女神様は、女神様が愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚の仲人だから夫婦生活まで見届けた、と言いたいのかな?

女神様の仲人範囲は、広いなー。

夫婦生活まで含むんだからなー。

うん?

女神様が仲人?

オレは、はっとした。

オレとクロードもだよな?

「その後で、妾は、妾の英雄とその伴侶の真実の愛の合体を見たわ。」
と女神様。

ぎゃー。

真実の愛の合体?

なんじゃそりゃー!

クロードが英雄だから、真実の愛が、枕詞でくっついてくるのかな?

いや、でも。

め、女神様?

さらっと、やっているところを見ていたとかいう報告をしてくれているけどさ。

オレは、なんと返せばいいのか分からないぞ?

こういうときの正解を知りたい。

お粗末様、と返したらいいのかな?

「女神様。オレ、今、返事に困っているんだけど。」

「妾は、そなたに伝えにきた。

英雄の伴侶となって、真実の愛の合体を果たしたそなたに。」
と女神様。

羞恥に身悶えしたくなってくる。

「英雄の伴侶となったそなたに、妾が授けた加護の効果は、もう切れる。」
と女神様。

オレは、はっとした。

「女神様がオレの加護として顕現していた時間が、終わるんだな?」

女神様は、別れの挨拶をしに来たのかもしれない。

女神様の今回の顕現は、オレに授けられた加護によるもの。

「妾の英雄は、真実の愛を告白して伴侶を得た。

英雄の伴侶は、無力だから。

妾は、英雄の伴侶に、英雄を助ける加護を与えることにしたわ。」
と女神様。

「女神様に授けてもらった加護のお陰で、オレは何度もクロードを助けることができた。

ありがとう。」

オレは、ベッドの上で上半身を起こした。

ベッドでは、クロードがすやすや寝ている。

オレは、女神様に向かって頭を下げる。

「妾の英雄を傷つける者を妾は許さないわ。」
と女神様。

「オレも。」

女神様は、まっすぐに、オレを見つめた。

「英雄と英雄の伴侶が、真実の愛の合体を果たすと、妾の授けた加護は、英雄の伴侶から消えるわ。」
と女神様。

女神様は、オレがもう加護が使えなくなることを伝えにきたんだな。

「そっか。女神様に授けてもらった加護は、お役目を終えたのかな?」

オレは、ベッドの上で、背筋を伸ばして座った。

ここからは、真剣に聞かないと。

「妾の英雄と真実の愛の合体を果たしたそなた。」
と女神様。

その枕詞。

他所では言われたくないなー。

「はい、女神様。」

オレは神妙に頷いた。

「そなたは、妾の加護がなくても、妾の英雄を守れるようになったわ。

そなたは、もう弱く無力な異世界人ではない。」
と女神様。

オレは、神妙に振る舞うのを止めることにした。

女神様の世界に来てから、今まで。

気になっていたことを、女神様に直接聞きたい。

「女神様は、この世界にオレを連れてきたとき、オレになんの説明もしなかったよな?

説明しない理由があったのかな?」

女神様に最初に説明されていたらさ。

オレの不安は、軽減されていたと思うんだよな。

納得したかどうかは、別にして。

クロードと出会う前に、オレが事情をのみこんでいたら。

クロードとオレの出会いが、オレの反発から始まることはなかったんじゃないかな?
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