《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

556.愛こんにゃく家の結婚式の準備に張り切る女神様は、職人や愛こんにゃく家の弟その二と仲良く話をしています。

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本日、大店の商人は、ケレメイン大公国内の商人の様子を見にいった。

オレは、オレの秘書と、愛こんにゃく家の結婚式準備の作業がどうなっているか

愛こんにゃく家とこんにゃくの結婚式の準備は、順調に進んでいる。

愛こんにゃく家の結婚式に関わっている全員が、成功させるぞ、と意気込んでいるから、打ち合わせも準備も盛り上がっている。

「妾の担当は、終わったわ。」
と女神様。

女神様は、座っていた椅子をひいて立ち上がる。

仕上がりのチェックにきた職人は、女神様の担当の箇所を隅々まで確認して、合格サインを残す。

「女神様。
次は、こちらのデザインでお任せしたいのですが、お任せしてもいいでしょうか?」
と職人は、線で絵が描いてある板を女神様に見せた。

「妾の考えたデザインが入っているわ。」
と女神様。

「はい。女神様の技術が、このデザインを彫れるほど上達してきましたので。

このデザインをお任せしようと思いますが、挑戦されますか?」
と職人。

「妾の技術は、上達したわ。」
とご機嫌な女神様。

「全部をお任せするには、まだ修行が必要ですが。

二個前に仕上げた板よりも、今回仕上げた板の方が、滑らかな動きを出せています。

このデザインに挑戦してみて、難しいと感じたら、聞きにきてください。

出来ることを増やしていくきましょう。」
と職人。

愛こんにゃく家の結婚式に興味津々だった女神様は、準備を見ているだけではなく、一緒に準備に携わっている。

こんにゃくの移動用の輿(こし)の板を彫っている女神様は、職人から、褒められて嬉しそう。

女神様が、魔王による消失でこの世から連れ去った人の中に、芸術家は少なくない。

元々、女神様は、芸術や工芸に興味があったんだろうなー。

職人に道具や技術について学んで吸収していく女神様は、イキイキしている。

結婚式の新郎こんにゃくは、一つではないので、新郎こんにゃく分の輿(こし)を作る必要がある。

女神様は、職人に習い、毎日練習して、透かし彫りの技術を習得しようとしている。

「女神様。
完成したんですか?
うわあ。綺麗な仕上がりですね。」
と愛こんにゃく家の弟その二。

「親方、女神様。女神様の作品を手にとって、見てみてもいいですか?」

愛こんにゃく家の弟その二は、職人の許可を得て、女神様と並んで、女神様の仕上げた板を手にとっている。

「女神様。
曲線の彫り方にガタつきがなくなっています。

練習された甲斐がありましたね。」
と愛こんにゃく家の弟その二。

「曲線は、風。風は、滑らかなもの。」
と女神様は、得意げに解説している。

「風だったんですか。

俺の目に風は見えないので、俺は今まで風を意識してきませんでした。

女神様の滑らかな曲線であらわされる風に吹かれたら、気持ちのいいそよ風になりそうです。」
と愛こんにゃく家の弟その二。

「妾にかかれば、風を彫って表現することなど造作もないわ。

妾は、美しいものが好き。

妾の審美眼は確かなもの。

妾は、美しいものを評価するだけではなく、妾の手で作り出すことも出来るわ」
と女神様は、鼻高々。

女神様の出来上がった作品を見た愛こんにゃく家の家族が、拍手喝采している。

女神様が一番仲良く話をする異性は、愛こんにゃく家の弟その二だったりする。

愛こんにゃく家と愛こんにゃく家の家族といるときの女神様は、荒ぶる神にならない。

オレと女神様がクロードを取り合っているとき。

女神様の荒ぶる神としての一面を知っているオレは、荒ぶることがあれば止めに入ろうと、ちょくちょく様子を見に来ているんだけどさ。

愛こんにゃく家の弟その二といるときの女神様は、いつもご機嫌。

女神様が、職人に師事することにしたきっかけは、愛こんにゃく家の弟その二。

透かし彫りを見た、愛こんにゃく家の弟その二が、
『芸術ってすごい、彫れる人は天才。美の傑作』と絶賛していたら。

愛こんにゃく家の弟その二が絶賛しているのを聞いた女神様。

『そなたは、審美眼の培われている妾が作ったものを見てみるといいわ。』
と、職人に技術を習い始めた。

職人も愛こんにゃく家の家族も、最初は女神様に恐る恐るだったけれど。

木彫り職人の弟子として腕を上げている女神様は、楽しそうに自身の居場所を作っている。

オレの加護としての顕現という制限が外れたら、関係性が変わるかもしれないけれど、そのときは、助け舟を出そう。
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