《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
551 / 667
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

551.ドリアン王国の国王陛下は、しれっと忘れ物をしていきました。ケレメイン大公国を甘く見すぎだと思い知らせます。後継問題には、クロードが?

しおりを挟む
一仕事やりきった!

ドリアン王国の国王陛下。
サーバル王国の国王陛下。
マウンテン王国の王姉殿下スナメリ様。
ケレメイン大公クロード。

四名様の署名が終わった。

調印式は、会議とは別の部屋へ移動して、オープンな場所で行ったから、うろついているスパイは、正確に情報を収集しているはず。

「ドリアン王国の国王陛下が、出国するときに連れて行かないスパイは、ドリアン王国にはいらない、ということでいいかな?」

オレが、ドリアン王国の国王陛下に尋ねると。

ドリアン王国の国王陛下は、自分から何人かのスパイに撤収を告げて、声をかけなかったスパイを置いてきぼりにして出国していった。

スパイじゃないのに、ドリアン王国の国王陛下に置いてきぼりにされた人がいる。

「ドリアン王国の侯爵子息も、置いてきぼりということは。」

「ドリアン王国の国王陛下は、侯爵子息がどこの誰から送り込まれているのか気づいていながら、側において使っていたのだろう。」
とクロード。

「ドリアン王国の国王陛下は、いい機会だと思って、子飼い以外を捨てていったんだなー。」

捨てて行く場所に、ケレメイン大公国を選ぶなんて、ドリアン王国の国王陛下は、慌てん坊だなー。

オレは、ドリアン王国の国王陛下が置いてきぼりにした人をケレメイン大公国で引き取るなんて、一言も話していないのになー。

ドリアン王国の国王陛下の子飼いのスパイも割り出せたから、ケレメイン大公国にはいいことづくめ。

残っているドリアン王国のスパイと侯爵子息をどうするか、というと。

忘れ物がありましたよ、とドリアン王国に時間差でお届けすることにしている。

ドリアン王国内が、忙しくなって、外国にちょっかいかける暇がないうちに。

ケレメイン大公国、マウンテン王国、サーバル王国の三国は、立て直しをはかる。

マウンテン王国とサーバル王国には、ケレメイン大公クロードが、マウンテン王国の王姉殿下スナメリ様とサーバル王国の国王陛下に対し、スパイ引き上げ要請をした。

マウンテン王国とサーバル王国は、スパイの引き上げを開始している。

スパイの所属先も把握した。

次、顔を見たら、どこから派遣されてきたスパイかが分かるようになった。

互いにスパイを派遣するのではなく、文官や、政治の中枢に関わる者同士で話をするという努力義務を提案しておいた。

オレとクロードが大公と大公妃であるうちは、牽制がきく。

オレとクロードは、体制を整えながら、次代についても考えていこうと決めている。

クロードは、ケレメイン公爵家の血筋を辿って誰かを探して後継にするという、家人からの提案を何度も取り下げさせていた。

サーバル王国の王女シガラキノ様との結婚で次代に恵まれなかった場合の次善策として考えられていたらしい。

血筋だと言われている人を全員招集したクロードは、招集されてきた人達に演説した。

「ケレメイン家の血筋から後継を選ぶということはしない。

ケレメイン大公家に誘われたら、騙されている、ということだ。

今ある環境が今後もそなたらの生活を支える基盤となる。

今の家族や築き上げてきた関係を大事にして、過ごし、ケレメイン大公国の発展に尽くすように。」

「後継を誰にするのか、お聞かせください。安心したいのです。」
という声に。

「私が、大公として、話をしていても、大公家を継げるかもしれないという夢を見ている者がいる今は、まだ、後継を発表する時期ではない。」

クロードは、堂々と話して静かにさせた。

そして。

今日。

オレは、元神子様カズラくんと話をするために、カズラくんの部屋に来ている。

カズラくんには、協力のお礼を約束したので、希望を聞くことにした。

「カズラくん、ありがとう。お礼は、何がいい?」

「思いつかないよ。今は、色々終わったばかりだから。」
とカズラくん。

カズラくんは、言葉少なだ。

心身共に疲れているのがよく分かる。

カズラくんは、オレに頼りたくても、オレが頼らせられる状態じゃなかったから。

喪失も疲労も悲しみも怒りも喜びも、全部、カズラくんは、一人で処理してきた。

しみじみする前に。

オレは、国際会議での決意をカズラくんに伝えることにした。

「オレさ、カズラくんのことをこれからもっと構うことにしたから、よろしくな。」
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

処理中です...