《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

519.会議を仕切るにあたり、女神様の味方がゼロなことは確認済みです。女神様を孤立させないように会議を進めましょう。オレにはできます。

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オレは、女神様よりの立場で、この先を仕切ることにした。

女神様と同じ立場で、女神様の気持ちの側に立って、サーバル王国の王妃陛下の発言の意味を考えられる参加者は、この部屋にはゼロ。

オレは、女神様の立場と女神様の世界の住人の立場の両方を考えて、理解を示せる。

オレができるのは、理解、なんだよな。

どちらに対しても、100%の味方じゃない。

オレは、どちらの味方でもない。

ただ。

オレが中立の立場をとると、女神様は孤立しかねない。

女神様を孤立させないように、女神様寄りで司会をする。

サーバル王国の王妃陛下の発言は、失言以外のなにものでもない。

オレは、王妃陛下が失言をした背景を想像して、失言内容に納得できてしまう。

安心したかったんだろうなってなー。

女神様だけに寄り添うなら、サーバル王国の王妃陛下の発言に納得してはならないと思う。

女神様の荒ぶる感情をオレは、理解できる。

いいぞ、荒ぶれ、と、女神様の感情を後押しはしない。

誰にとっても、良い結果にならないと思うからな。

オレが、この世界に来てからずっと感じている、オレとこの世界の住人の感覚の違いは、きっとゼロにはならない。

完全に異世界人のオレが、女神様の世界の住人に同化する日は、多分、来ないような気がする。

この世界に来て、日本に帰ることだけを支えにして生きていたときのオレは、この世界と日本との違いが辛くて、この世界では生きていけないと感じていた。

この世界で、一人のままだったら、オレは生きていけなかったと思う。

今のオレが、この世界の住人との感覚の違いを冷静に観察しながら、この会議をどう仕切るか、考えられるのは、クロードがいるから。

この世界の住人でないオレを求めたクロードが好きなのは、オレらしくあるオレだからさ。

この世界の住人に合わせながらも、オレ自身を見失わず、流されずに生きることにしようかな。

この世界の住人ながら、魔王を討伐したクロードは、魔王を討伐する過程において、この世界の住人とは違う感性を身につけた。

クロードの感性は、オレのような、魔王に無関係だった異世界人が受け入れやすい感性。

女神様に依存して、異世界人の神子様を魔王に変える世界を嫌がったクロード。

クロードだけは、オレと同じく、女神様に頼った国作りをする気がハナからない。

オレとクロードは、女神様の影響を及ぼさない国作りを始めている。

女神様に頼った国作りをしない、という考えを変える気がないオレとクロードには、女神様と友誼を結ぶことを国に利用しようとは考えない。

オレとクロードが、女神様と友誼を結ぶことについて、がっつかないのは、女神様とは一定の距離を保って付き合うと決めているからでもある。

ミーレ長官とミーレ長官の奥様は、オレとクロードの動向に注目し、足並みを揃えている。

オレとクロードと女神様との距離感を見てきたミーレ長官は、ケレメイン大公国を乗っ取るのを止めて以降、女神様について冷静になった。

マウンテン王国の先代国王陛下夫妻と女神様の三角関係を知っているミーレ長官の奥様は、女神様への慎重姿勢を崩さない。

ミーレ長官の息子さんは、国際会議に出て、刺激を吸収したんだろうな、と思う。

会議の参加者は、サーバル王国の国王陛下夫妻の考えていることと似たようなことを期待し、女神様との友情に価値を見出そうとしていた。

女神様の世界の住人との今の距離感を楽しんでいる女神様は、従来の距離感に戻る気がない。

女神様の威厳を統治に利用するという、旧来の発想のままでは、うまくいかないよな。

多分、女神様は、自身を取り巻く思いを変えようとしているからさ。

「女神様がお気を悪くする発言をいたしましたこと、申し訳有りませんでした、ずべし。」
と王妃陛下は、頭を下げたままで謝罪した。

サーバル王国の王妃陛下ができることは、謝ること。

「サーバル王国の王妃陛下が女神様に、女神様との友情について質問をした理由を聞きたいんだけどな?」

「シガラキノを女王とすることで、サーバル王国が繁栄することと、シガラキノの安寧を考えました、ずべし。」
とサーバル王国の王妃陛下。
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