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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
505.ドリアン王国は、模造品を作ることに抵抗がありません。真似することに躊躇いがないドリアン王国の真似っこは、モノだけだったのでしょうか?
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うん?
会議の参加者の頭の上に、疑問符が浮かんだ気がする。
「女神様。
話の腰を折って悪いけど、質問するぞ。
ドリアン王国の国王陛下として、ケレメイン大公国に乗り込んできて、カズラくんと話し合いをしている男と女神様は、ドリアン王国の国王陛下として会っていないのかな?」
「ドリアン王国の国王陛下を名乗っているのは、ドリアン王国の第二王子。
ドリアン王国の国王は、あれの父。
妾は、第二王子に力を授けないわ。」
と女神様。
ドリアン王国の国王陛下と名乗ったのは、第二王子?
ええ?!
女神様の情報に驚いているのは、俺だけじゃなかった。
会議の全参加者が驚いていた。
一人を除いて。
「ドリアン王国は、代替わりをしたのではありませんの?」
とマウンテン王国の宰相補佐で侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
「ドリアン王国は、先代国王陛下が、第二王子に譲位された、と発表されていたが?」
とサーバル王国の国王陛下。
オレは、気づいた。
オレ以外の参加者も気づいた。
「女神様。
ドリアン王国の第二王子は、国王陛下を名乗っているけれど、第二王子が国王陛下になったのは、女神様の預かり知らぬ話なんだよな?」
「人が勝手に王を名乗るのは、初めてではないわ。
妾のしもべにならずに王を名乗るのは二人目。」
と女神様。
「女神様。一人目は、マウンテン王国の女王陛下かな?」
「マウンテン王国の先代の王の姉だった王女は、妾と先代の王に、王になると言って、女王を名乗るようになったわ。」
と女神様。
「女神様。
人が、王になる宣言するだけでは、王になれないのかな?」
「妾と関係なく王を名乗るなら、妾と関係のない国の王になるわ。」
と女神様。
マウンテン王国の四人とドリアン王国の侯爵子息は、沈痛な面持ちになった。
女神様によれば、マウンテン王国に女王陛下が存在していた期間と、ドリアン王国の第二王子が国王陛下を自称している期間は、国に女神様の恩恵がない、ということになる。
「女神様が与える国への恩恵は、あるのとないのとでは、どのくらい差が出るのかな?」
マウンテン王国は、女神様から国への恩恵を断っている。
オレが、躊躇なく断れたのは、魔王による消失を二度と起こさないという決意もあったけれど、女神様の恩恵がどういうものかを知らなかったから、ということも大きい。
女神様の力を借りなくてもなんとかなる、という、根拠のない自信と、なんとかしてみせるというやる気が、オレの行動を後押しした。
「女神様の恩恵は、その代の国王陛下の御代での国の繁栄を左右すると考えていい。」
とマウンテン王国の王姉殿下スナメリ様。
「繁栄というのは、作物が豊作になる、とかかな?」
「国の全てに滞りがなくなる。」
とマウンテン王国の王姉殿下スナメリ様。
「全て、というのは、作物も実り、商売は繁盛し、政治も滞りなく、ということかな?」
「そう。王の御代は、国に関わること全てが、好転するようになる。」
と王姉殿下スナメリ様。
国に関わる全て?
まさか、まさか。
ケレメイン大公国が、出足からつまづいていたのは、女神様の恩恵を受けるのを断ったからじゃないよな?
振り返って後悔なんかしないぞ。
つまずいても、一つずつ問題を解決して、前進しているんだからな。
女神様の力を授からなくても、ここまで、なんとかしてきたからな。
女神様の加護は使ったけどさ。
「一度、女神様の国への恩恵が切れたら、二度と元には戻らないのかな?」
「妾との縁を切ったら、国への恩恵はなくなるわ。」
と女神様。
「マウンテン王国の国王陛下は、しもべにしたんだよな?
マウンテン王国の国への恩恵は、復活しないのかな?」
「王は、妾のしもべ。
国を治めるのは、王がすること。」
と女神様。
「マウンテン王国の国王陛下が女神様の恋人になったとしても、マウンテン王国に女神様の恩恵は与えられないのかな?」
「国には、何も与えないわ。妾のしもべにだけ与える。」
と女神様。
「ドリアン王国が、ケレメイン大公国に密入国する作戦が、途中までうまくいっていたのは、実際に動いていたサーバル王国が、女神様の恩恵を受けている国だったからかな?
ドリアン王国とケレメイン大公国の一騎打ちになったから、ドリアン王国は勝負に負けたんだよな?
ドリアン王国は、女神様に認められていない王を戴き、国に対する女神様の恩恵を失ったから。」
「女神様の恩恵がない大公国などというふざけた国に我が国が負ける?」
とドリアン王国の侯爵子息。
「ケレメイン大公国は、最初から女神様の恩恵がない。
女神様の恩恵がない状態からスタートして、人力で這い上がってきた。
女神様の恩恵がない国の大公妃殿下のオレは、女神様と並んで話しているけどな。」
「どうして、ドリアン王国は、第二王子殿下を王にしたのですか、ずべし?」
とサーバル王国の王妃陛下。
オレも聞きたい。
会議の参加者の頭の上に、疑問符が浮かんだ気がする。
「女神様。
話の腰を折って悪いけど、質問するぞ。
ドリアン王国の国王陛下として、ケレメイン大公国に乗り込んできて、カズラくんと話し合いをしている男と女神様は、ドリアン王国の国王陛下として会っていないのかな?」
「ドリアン王国の国王陛下を名乗っているのは、ドリアン王国の第二王子。
ドリアン王国の国王は、あれの父。
妾は、第二王子に力を授けないわ。」
と女神様。
ドリアン王国の国王陛下と名乗ったのは、第二王子?
ええ?!
女神様の情報に驚いているのは、俺だけじゃなかった。
会議の全参加者が驚いていた。
一人を除いて。
「ドリアン王国は、代替わりをしたのではありませんの?」
とマウンテン王国の宰相補佐で侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
「ドリアン王国は、先代国王陛下が、第二王子に譲位された、と発表されていたが?」
とサーバル王国の国王陛下。
オレは、気づいた。
オレ以外の参加者も気づいた。
「女神様。
ドリアン王国の第二王子は、国王陛下を名乗っているけれど、第二王子が国王陛下になったのは、女神様の預かり知らぬ話なんだよな?」
「人が勝手に王を名乗るのは、初めてではないわ。
妾のしもべにならずに王を名乗るのは二人目。」
と女神様。
「女神様。一人目は、マウンテン王国の女王陛下かな?」
「マウンテン王国の先代の王の姉だった王女は、妾と先代の王に、王になると言って、女王を名乗るようになったわ。」
と女神様。
「女神様。
人が、王になる宣言するだけでは、王になれないのかな?」
「妾と関係なく王を名乗るなら、妾と関係のない国の王になるわ。」
と女神様。
マウンテン王国の四人とドリアン王国の侯爵子息は、沈痛な面持ちになった。
女神様によれば、マウンテン王国に女王陛下が存在していた期間と、ドリアン王国の第二王子が国王陛下を自称している期間は、国に女神様の恩恵がない、ということになる。
「女神様が与える国への恩恵は、あるのとないのとでは、どのくらい差が出るのかな?」
マウンテン王国は、女神様から国への恩恵を断っている。
オレが、躊躇なく断れたのは、魔王による消失を二度と起こさないという決意もあったけれど、女神様の恩恵がどういうものかを知らなかったから、ということも大きい。
女神様の力を借りなくてもなんとかなる、という、根拠のない自信と、なんとかしてみせるというやる気が、オレの行動を後押しした。
「女神様の恩恵は、その代の国王陛下の御代での国の繁栄を左右すると考えていい。」
とマウンテン王国の王姉殿下スナメリ様。
「繁栄というのは、作物が豊作になる、とかかな?」
「国の全てに滞りがなくなる。」
とマウンテン王国の王姉殿下スナメリ様。
「全て、というのは、作物も実り、商売は繁盛し、政治も滞りなく、ということかな?」
「そう。王の御代は、国に関わること全てが、好転するようになる。」
と王姉殿下スナメリ様。
国に関わる全て?
まさか、まさか。
ケレメイン大公国が、出足からつまづいていたのは、女神様の恩恵を受けるのを断ったからじゃないよな?
振り返って後悔なんかしないぞ。
つまずいても、一つずつ問題を解決して、前進しているんだからな。
女神様の力を授からなくても、ここまで、なんとかしてきたからな。
女神様の加護は使ったけどさ。
「一度、女神様の国への恩恵が切れたら、二度と元には戻らないのかな?」
「妾との縁を切ったら、国への恩恵はなくなるわ。」
と女神様。
「マウンテン王国の国王陛下は、しもべにしたんだよな?
マウンテン王国の国への恩恵は、復活しないのかな?」
「王は、妾のしもべ。
国を治めるのは、王がすること。」
と女神様。
「マウンテン王国の国王陛下が女神様の恋人になったとしても、マウンテン王国に女神様の恩恵は与えられないのかな?」
「国には、何も与えないわ。妾のしもべにだけ与える。」
と女神様。
「ドリアン王国が、ケレメイン大公国に密入国する作戦が、途中までうまくいっていたのは、実際に動いていたサーバル王国が、女神様の恩恵を受けている国だったからかな?
ドリアン王国とケレメイン大公国の一騎打ちになったから、ドリアン王国は勝負に負けたんだよな?
ドリアン王国は、女神様に認められていない王を戴き、国に対する女神様の恩恵を失ったから。」
「女神様の恩恵がない大公国などというふざけた国に我が国が負ける?」
とドリアン王国の侯爵子息。
「ケレメイン大公国は、最初から女神様の恩恵がない。
女神様の恩恵がない状態からスタートして、人力で這い上がってきた。
女神様の恩恵がない国の大公妃殿下のオレは、女神様と並んで話しているけどな。」
「どうして、ドリアン王国は、第二王子殿下を王にしたのですか、ずべし?」
とサーバル王国の王妃陛下。
オレも聞きたい。
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