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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
500.大声で叫び、助けを求めました。間に合ってください。
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オレの叫びに、ドリアン王国の国王陛下は、あっけにとられていた。
ドリアン王国の侯爵子息は、屈強な護衛の何人かをオレの後ろに残していった。
オレが、自暴自棄になって暴れたときに、オレを動けなくする目的だったんだと思う。
余裕で裏をかいてみた。
まさか、助けを求めて叫ぶとは、誰も考えなかったんだな。
この世界では、襲われそうになったときに、助けを求めて叫ぶのが、常識ではないのかもしれない。
この世界の常識でうまく乗り切れないなら、オレのやり方をどんどん試してやる。
ドリアン王国のやり方は、オレのやり方と相性が悪そうだからなー。
あっけにとられていた状態から、復活したドリアン王国の国王陛下は、オレを見下してきた。
「英雄は、伴侶の愚かさが、好ましいとみえる。
英雄の伴侶は、人が集まることで、どのような結果をもたらすか、想像することもできない貧弱な頭脳の持ち主のようだ。」
とドリアン王国の国王陛下。
真っ向から、喧嘩を売ってきたぞ!
買うぞ!
高く買うぞ!
なんなら、買値を釣り上げてやる!
支払いは、オレじゃないけどな!
「オレとは意見が合わないなー。
危ない目にあったときに、声を出して、助けを呼べたオレは、よくやった!
オレは、オレ自身を褒めまくるぞ!
ドリアン王国の国王陛下は、思い通りにいかなくて残念だったよなー。
オレも伊達に大公妃をやってないからな?
まさか、まさか。
ドリアン王国の国王陛下がさ、ケレメイン大公国の大公妃であるオレにしてやられて、ぐうの音も出ない事態に陥るところを部下に見られるなんて、考えなかったよなー?」
オレの両肩をつかむドリアン王国の国王陛下の指が、ギリギリと肩に食い込んでくる。
痛い、痛い、痛い。
「ドリアン王国の国王陛下。
平然としているけれど、余裕を失いすぎていないかな?
肩に指が食い込んで痛いから、指の力を抜いてくれないかなー?」
ドリアン王国の国王陛下の指の力は、緩みそうにない。
「私に襲われたと言えなくなるように、壊してやろう。」
とドリアン王国の国王陛下は、オレの両肩を掴んだまま、サーバル王国の王妃陛下の部屋の奥へ進んでいく。
オレは、下半身丸出しで踏みとどまろうとしたけれど、ドリアン王国の国王陛下の手に引きずられて、部屋の中ほどまでへ戻ってきてしまう。
しまった!
売られた喧嘩を高く買いすぎた?
部屋の奥へは、行きたくない!
「痛い!オレの両肩から手を離せ!」
部屋の奥は、寝室だ!
寝室には、内側から鍵がかかるようになっている。
オレを壊すと言い切ったドリアン王国の国王陛下なら、寝室の内側から鍵をかけて、密室にした状態で、オレに何かをしようとしてくる!
密室になったら、叫んでも聞こえない!
ピンチ到来!
どうする?
どうする?
そのとき。
ぱしーん。
と気持ちの良い紙の音がした。
オレの目の前にいるドリアン王国の国王陛下の脳天へ。
見慣れたハリセンチョップが炸裂。
直後。
家鳴りがした。
大公城がミシミシと。
城って家鳴りするのかな?
家鳴りは、そこにいる人の機嫌によって起きるのかな?
高速ハリセンチョップが、ドリアン王国の国王陛下の頭に炸裂した後。
「あのさ。
ぼくに言い寄って、結婚するなら、両親に挨拶に来てほしい、とか言ったのは、どの口だったか、覚えていないわけないよね?」
不機嫌極まりないカズラくんがドリアン王国の国王陛下の後ろに立っていた。
カズラくんのハリセンチョップを食らったドリアン王国の国王陛下は、ひょうひょうとしている。
「カズラよ。
こうなったのは、英雄の伴侶が尻軽だからだ。
英雄の伴侶は、特殊性癖ゆえに、このような誘い方をしてきた。」
とドリアン王国の国王陛下。
「濡れ衣!
誰が特殊性癖なんだ?
オレは嫌がっただろうが!」
カズラくんは、青筋を立てている。
「結婚の話はなしにしてくれ、と言い出す前にすることが、ヒサツグを剥いて、縛って、襲うこと?」
とカズラくん。
カズラくんの怒りの理由が分かった。
カズラくんの住んでいるケレメイン大公国の大公城にやってきた恋人は、カズラくんから隠れて、別の誰かを寝室に連れ込もうとしていた。
その現場を目撃した上に、恋人が寝室に連れ込もうとしているオレに誘われたと言い訳したからだ。
カズラくんにとって。
カズラくんに近づいてきた恋人は、カズラくんと会わない時間を、大公妃のオレを手籠めにするために使おうとしていた、という状況になっている。
「私は、英雄のように、用済みになったから、とカズラを捨てて尻軽に入れ込んだりはしない。」
とドリアン王国の国王陛下。
「その言い方は、クロードにもカズラくんにも失礼すぎるぞ!
オレは、訂正と謝罪を要求する!」
オレの抗議をドリアン王国の国王陛下は、聞き流す。
城の窓が、ガタガタと音を立てた。
誰も窓を触っていないのに。
カズラくんは、ゆっくりと深呼吸する。
「クロードのときは、クロードの気持ちの変化を追えていたからね。
クロードは、誠実だったよ。
ぼくが神子だったから、ぼくを好きになろうと努力してくれていた。
神子のぼくを好きになれずに、ヒサツグを好きになったクロードは、ぼくを神子として扱うことを徹底した。
クロードは、ぼくの気持ちに応えないと決めてからは、ぼくとヒサツグを両天秤にかけることはしなかった。
好きになろうとした人と、好きな人の扱いには、差をつけていたよ。」
とカズラくん。
「カズラくん。」
オレ、全然、クロードとカズラくんの関係の変化に気づいていなかったんだけど?
クロードとカズラくんを二人きりにさせてたまるか、とオレがカズラくんに牽制していた意味は?
オレは、今、羞恥心で身悶えしそう。
下半身丸出しだから、しないけど。
「クロードが、ぼくに対して一貫性を失わなかったから、ぼくは、ぼくを好きにならなかったクロードに対して、気持ちを切り替えることができたんだよ。」
とカズラくん。
オレのクロードは、いい男だ。
カズラくんは、芯が強いいい子だ。
「今は、ヒサツグの夫だという認識で、クロードと付き合っているよ。」
とカズラくん。
「ありがとう。カズラくん。」
オレがじんわり感動していると。
部屋が、激しく横揺れした。
カズラくんは、ドリアン王国の国王陛下に凄みのある笑顔を向けている。
「ぼく、こんな屈辱的な扱いされたのは初めてだから。
手加減してもらえるとは思わないでよ?」
とカズラくん。
カズラくんが、目をすわらせて、ハリセンでトントンとリズムをとっている。
「大公妃の遊びに付き合っただけだ。」
とまだ嘘を重ねるドリアン王国の国王陛下。
「その目と耳は、飾り?
ぼくへの言い訳がそれって、ふざけてない?」
とカズラくん。
ハリセンに手加減とか、あるのかな?
「探しても、探しても見つからないから、探していない場所を探すことにしたんだよねー。」
とカズラくん。
オレは、カズラくんに、ハニートラップを仕掛けてきたドリアン王国のスパイと接触してほしい、と頼んでいたよなー。
「ヒサツグ。
ぼく、この人と水入らずになる必要があるから、ぼくが鍵を開けるまで、寝室には近寄らないでよ?」
とカズラくんは、オレを見ないで話しかけてきた。
カズラくんは、オレに向かって話しながら、ドリアン王国の国王陛下へのハリセンチョップを止めない。
「ほら、いつまで、ヒサツグを捕まえているつもり?
鍵のかかる部屋じゃなくて、ここで思い知らせてもいいんだよ?」
とカズラくんは、ドリアン王国の国王陛下に、怒りを燃やしている。
部屋の横揺れが激しくなった。
オレ、立っているのがキツイ。
腕は、後ろ手に縛られたままだから、転びたくない。
元神子様のカズラくんは、ドリアン王国の現役スパイからハニートラップをしかけられていた。
ハニートラップをしかけてくるドリアン王国のスパイを恋人にしたいから、引き抜いてほしい、とカズラくんは、オレに頼んでいた。
カズラくんとドリアン王国の国王陛下のやりとりを聞くと、ドリアン王国の国王陛下は、カズラくんに結婚をちらつかせた、ドリアン王国のスパイということになるよな?
カズラくんに近づいてきたドリアン王国のスパイの目的が、結婚ではなく、ドリアン王国への拉致だと知ったカズラくんは、恋人兼スパイのケレメイン大公国への引き抜きを希望するのを止めている。
ケレメイン大公国のためのカズラくんの働きに対する報酬については、これから決めることになっている。
当初の予定通り、カズラくんの恋人をケレメイン大公国に引き抜くと決めていたら、ドリアン王国の国王陛下を引き抜いてくる羽目になっていた!
誰だか判明したからには、カズラくんの恋人を引き抜かなくて済んで、本当によかった、としか思えない。
オレの両肩に込められていた、ドリアン王国の国王陛下の指の力が抜ける。
ドリアン王国の国王陛下が自発的に指の力を抜いたのではない。
カズラくんが、オレの肩をつかむドリアン王国の国王陛下の指にハリセンチョップを食らわしてくれた。
カズラくんのハリセンチョップが、無敵過ぎる。
オレは、足元にたまったズボンで、歩きにくい中、カニ歩きで、急いで横にズレる。
部屋の入口が騒がしくなった。
カズラくん以外にも、誰かいる?
オレは、カニ歩きで、回転しながら、部屋の出入り口を見た。
いた!
オレの!
「クロード。」
オレは、嬉しくなって、名前を呼んだ。
屈強な男達は、愛こんにゃく家と仲間達が対峙している。
部屋の中のオレを見たクロードは、愛こんにゃく家が作った隙間を利用して、サーバル王国の王妃陛下の部屋の中に飛び込んでくる。
「ヒサツグ。ヒサツグの叫びを聞いた。」
とクロードは、オレに駆け寄り、抱きしめてくる。
「クロード。
まずは、下着とズボンを履かせてから、縛られている紐を外してくれ。」
オレは、いつまでも下半身丸出しのままでいたくない。
オレをぎゅうぎゅうだきしめるクロードに、オレは囁いた。
「クロード。クロードに服を着せてほしい、というお願いは、クロードに脱がしてほしい、というお願いでもあるからな?」
ドリアン王国の侯爵子息は、屈強な護衛の何人かをオレの後ろに残していった。
オレが、自暴自棄になって暴れたときに、オレを動けなくする目的だったんだと思う。
余裕で裏をかいてみた。
まさか、助けを求めて叫ぶとは、誰も考えなかったんだな。
この世界では、襲われそうになったときに、助けを求めて叫ぶのが、常識ではないのかもしれない。
この世界の常識でうまく乗り切れないなら、オレのやり方をどんどん試してやる。
ドリアン王国のやり方は、オレのやり方と相性が悪そうだからなー。
あっけにとられていた状態から、復活したドリアン王国の国王陛下は、オレを見下してきた。
「英雄は、伴侶の愚かさが、好ましいとみえる。
英雄の伴侶は、人が集まることで、どのような結果をもたらすか、想像することもできない貧弱な頭脳の持ち主のようだ。」
とドリアン王国の国王陛下。
真っ向から、喧嘩を売ってきたぞ!
買うぞ!
高く買うぞ!
なんなら、買値を釣り上げてやる!
支払いは、オレじゃないけどな!
「オレとは意見が合わないなー。
危ない目にあったときに、声を出して、助けを呼べたオレは、よくやった!
オレは、オレ自身を褒めまくるぞ!
ドリアン王国の国王陛下は、思い通りにいかなくて残念だったよなー。
オレも伊達に大公妃をやってないからな?
まさか、まさか。
ドリアン王国の国王陛下がさ、ケレメイン大公国の大公妃であるオレにしてやられて、ぐうの音も出ない事態に陥るところを部下に見られるなんて、考えなかったよなー?」
オレの両肩をつかむドリアン王国の国王陛下の指が、ギリギリと肩に食い込んでくる。
痛い、痛い、痛い。
「ドリアン王国の国王陛下。
平然としているけれど、余裕を失いすぎていないかな?
肩に指が食い込んで痛いから、指の力を抜いてくれないかなー?」
ドリアン王国の国王陛下の指の力は、緩みそうにない。
「私に襲われたと言えなくなるように、壊してやろう。」
とドリアン王国の国王陛下は、オレの両肩を掴んだまま、サーバル王国の王妃陛下の部屋の奥へ進んでいく。
オレは、下半身丸出しで踏みとどまろうとしたけれど、ドリアン王国の国王陛下の手に引きずられて、部屋の中ほどまでへ戻ってきてしまう。
しまった!
売られた喧嘩を高く買いすぎた?
部屋の奥へは、行きたくない!
「痛い!オレの両肩から手を離せ!」
部屋の奥は、寝室だ!
寝室には、内側から鍵がかかるようになっている。
オレを壊すと言い切ったドリアン王国の国王陛下なら、寝室の内側から鍵をかけて、密室にした状態で、オレに何かをしようとしてくる!
密室になったら、叫んでも聞こえない!
ピンチ到来!
どうする?
どうする?
そのとき。
ぱしーん。
と気持ちの良い紙の音がした。
オレの目の前にいるドリアン王国の国王陛下の脳天へ。
見慣れたハリセンチョップが炸裂。
直後。
家鳴りがした。
大公城がミシミシと。
城って家鳴りするのかな?
家鳴りは、そこにいる人の機嫌によって起きるのかな?
高速ハリセンチョップが、ドリアン王国の国王陛下の頭に炸裂した後。
「あのさ。
ぼくに言い寄って、結婚するなら、両親に挨拶に来てほしい、とか言ったのは、どの口だったか、覚えていないわけないよね?」
不機嫌極まりないカズラくんがドリアン王国の国王陛下の後ろに立っていた。
カズラくんのハリセンチョップを食らったドリアン王国の国王陛下は、ひょうひょうとしている。
「カズラよ。
こうなったのは、英雄の伴侶が尻軽だからだ。
英雄の伴侶は、特殊性癖ゆえに、このような誘い方をしてきた。」
とドリアン王国の国王陛下。
「濡れ衣!
誰が特殊性癖なんだ?
オレは嫌がっただろうが!」
カズラくんは、青筋を立てている。
「結婚の話はなしにしてくれ、と言い出す前にすることが、ヒサツグを剥いて、縛って、襲うこと?」
とカズラくん。
カズラくんの怒りの理由が分かった。
カズラくんの住んでいるケレメイン大公国の大公城にやってきた恋人は、カズラくんから隠れて、別の誰かを寝室に連れ込もうとしていた。
その現場を目撃した上に、恋人が寝室に連れ込もうとしているオレに誘われたと言い訳したからだ。
カズラくんにとって。
カズラくんに近づいてきた恋人は、カズラくんと会わない時間を、大公妃のオレを手籠めにするために使おうとしていた、という状況になっている。
「私は、英雄のように、用済みになったから、とカズラを捨てて尻軽に入れ込んだりはしない。」
とドリアン王国の国王陛下。
「その言い方は、クロードにもカズラくんにも失礼すぎるぞ!
オレは、訂正と謝罪を要求する!」
オレの抗議をドリアン王国の国王陛下は、聞き流す。
城の窓が、ガタガタと音を立てた。
誰も窓を触っていないのに。
カズラくんは、ゆっくりと深呼吸する。
「クロードのときは、クロードの気持ちの変化を追えていたからね。
クロードは、誠実だったよ。
ぼくが神子だったから、ぼくを好きになろうと努力してくれていた。
神子のぼくを好きになれずに、ヒサツグを好きになったクロードは、ぼくを神子として扱うことを徹底した。
クロードは、ぼくの気持ちに応えないと決めてからは、ぼくとヒサツグを両天秤にかけることはしなかった。
好きになろうとした人と、好きな人の扱いには、差をつけていたよ。」
とカズラくん。
「カズラくん。」
オレ、全然、クロードとカズラくんの関係の変化に気づいていなかったんだけど?
クロードとカズラくんを二人きりにさせてたまるか、とオレがカズラくんに牽制していた意味は?
オレは、今、羞恥心で身悶えしそう。
下半身丸出しだから、しないけど。
「クロードが、ぼくに対して一貫性を失わなかったから、ぼくは、ぼくを好きにならなかったクロードに対して、気持ちを切り替えることができたんだよ。」
とカズラくん。
オレのクロードは、いい男だ。
カズラくんは、芯が強いいい子だ。
「今は、ヒサツグの夫だという認識で、クロードと付き合っているよ。」
とカズラくん。
「ありがとう。カズラくん。」
オレがじんわり感動していると。
部屋が、激しく横揺れした。
カズラくんは、ドリアン王国の国王陛下に凄みのある笑顔を向けている。
「ぼく、こんな屈辱的な扱いされたのは初めてだから。
手加減してもらえるとは思わないでよ?」
とカズラくん。
カズラくんが、目をすわらせて、ハリセンでトントンとリズムをとっている。
「大公妃の遊びに付き合っただけだ。」
とまだ嘘を重ねるドリアン王国の国王陛下。
「その目と耳は、飾り?
ぼくへの言い訳がそれって、ふざけてない?」
とカズラくん。
ハリセンに手加減とか、あるのかな?
「探しても、探しても見つからないから、探していない場所を探すことにしたんだよねー。」
とカズラくん。
オレは、カズラくんに、ハニートラップを仕掛けてきたドリアン王国のスパイと接触してほしい、と頼んでいたよなー。
「ヒサツグ。
ぼく、この人と水入らずになる必要があるから、ぼくが鍵を開けるまで、寝室には近寄らないでよ?」
とカズラくんは、オレを見ないで話しかけてきた。
カズラくんは、オレに向かって話しながら、ドリアン王国の国王陛下へのハリセンチョップを止めない。
「ほら、いつまで、ヒサツグを捕まえているつもり?
鍵のかかる部屋じゃなくて、ここで思い知らせてもいいんだよ?」
とカズラくんは、ドリアン王国の国王陛下に、怒りを燃やしている。
部屋の横揺れが激しくなった。
オレ、立っているのがキツイ。
腕は、後ろ手に縛られたままだから、転びたくない。
元神子様のカズラくんは、ドリアン王国の現役スパイからハニートラップをしかけられていた。
ハニートラップをしかけてくるドリアン王国のスパイを恋人にしたいから、引き抜いてほしい、とカズラくんは、オレに頼んでいた。
カズラくんとドリアン王国の国王陛下のやりとりを聞くと、ドリアン王国の国王陛下は、カズラくんに結婚をちらつかせた、ドリアン王国のスパイということになるよな?
カズラくんに近づいてきたドリアン王国のスパイの目的が、結婚ではなく、ドリアン王国への拉致だと知ったカズラくんは、恋人兼スパイのケレメイン大公国への引き抜きを希望するのを止めている。
ケレメイン大公国のためのカズラくんの働きに対する報酬については、これから決めることになっている。
当初の予定通り、カズラくんの恋人をケレメイン大公国に引き抜くと決めていたら、ドリアン王国の国王陛下を引き抜いてくる羽目になっていた!
誰だか判明したからには、カズラくんの恋人を引き抜かなくて済んで、本当によかった、としか思えない。
オレの両肩に込められていた、ドリアン王国の国王陛下の指の力が抜ける。
ドリアン王国の国王陛下が自発的に指の力を抜いたのではない。
カズラくんが、オレの肩をつかむドリアン王国の国王陛下の指にハリセンチョップを食らわしてくれた。
カズラくんのハリセンチョップが、無敵過ぎる。
オレは、足元にたまったズボンで、歩きにくい中、カニ歩きで、急いで横にズレる。
部屋の入口が騒がしくなった。
カズラくん以外にも、誰かいる?
オレは、カニ歩きで、回転しながら、部屋の出入り口を見た。
いた!
オレの!
「クロード。」
オレは、嬉しくなって、名前を呼んだ。
屈強な男達は、愛こんにゃく家と仲間達が対峙している。
部屋の中のオレを見たクロードは、愛こんにゃく家が作った隙間を利用して、サーバル王国の王妃陛下の部屋の中に飛び込んでくる。
「ヒサツグ。ヒサツグの叫びを聞いた。」
とクロードは、オレに駆け寄り、抱きしめてくる。
「クロード。
まずは、下着とズボンを履かせてから、縛られている紐を外してくれ。」
オレは、いつまでも下半身丸出しのままでいたくない。
オレをぎゅうぎゅうだきしめるクロードに、オレは囁いた。
「クロード。クロードに服を着せてほしい、というお願いは、クロードに脱がしてほしい、というお願いでもあるからな?」
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