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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
483.オレが、国王陛下ではなく、王妃陛下に、シガラキノ女王案を持ち出したのは、理由があります。
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オレはにこやかに告げた。
「オレ達が、前向きに話し合いができることを歓迎する。」
サーバル王国の王妃陛下の部屋にいる使用人は、息をひそめている。
静まり返った部屋にオレの声だけが響いた。
シガラキノ様を女王に、という話題は、思いつきで話したわけではない。
今のシガラキノ様に女王をやれ、というのは、オレが大公妃をやるよりも大変だ。
オレには、クロードがいて、クロードが全面的に、オレの大公妃生活をバックアップしてくれている。
シガラキノ様は、元々跡継ぎとして育っていない。
サーバル王国の王家の中でも、王女だから、と軽めの存在だった。
シガラキノ様が、女神様と友誼を結んだことや、若い同行者と向き合って話ができる関係になったことは、心から喜ばしく思っている。
思っているんだけどさー。
困ったことに。
ケレメイン大公国に滞在中のシガラキノ様を守れるような、オレが信頼できる護衛を、オレはシガラキノ様に用意できない。
サーバル王国が、ケレメイン大公国の乗っ取りを企てて、追い払うだけなら。
サーバル王国の王女様であるシガラキノ様の護衛を心配する必要はなかった。
サーバル王国とオレが大立ち回りを演じ終わったと思ったら、ドリアン王国が入り込んでいたんだよなー。
ケレメイン大公国滞在中に、サーバル王国の王女シガラキノ様の身に何かあっては大問題になる。
オレもケレメイン大公国も、無い袖は振れない。
サーバル王国側で、シガラキノ様の護衛を用意してもらわないといけない。
シガラキノ様に、シガラキノ様を守る気がある護衛をつけてもらうためには、どうしたらいいか、を考えて。
シガラキノ様には価値があるとシガラキノ様を大事にしないとバチが当たるぞ!という話をしようと思っていた。
バチが当たらないようにしよう、と話を持ちかけることを考えていたオレは、はたっと気づいた。
この世界で、バチが当たる、という考え方が一般的かどうか、を、誰にも確認してこなかった。
そのことに気づいたのは、王妃陛下の部屋に来てから。
シガラキノ様の安全対策を解決できて良かった。
シガラキノ様には、頑張ってもらうことになるから、オレは協力を惜しまない。
「シガラキノが女王。」
と女神様は、鈴が鳴るような笑い声をあげた。
女神様が、喜んでいる。
色々と、セーフだ。
命拾いした。
サーバル王国が。
オレは、一安心。
「オレが、国王陛下ではなく、王妃陛下に、シガラキノ様の即位を持ちかけた理由について。
王妃陛下は、予想がついているかな?」
「お答えしかねます。」
と王妃陛下。
「王妃陛下と国王陛下。
お二人の考える、王女シガラキノ様の将来設計が、同じではない、と見込んだからだな。」
「まあ、そうでしたか。」
と王妃陛下。
「国王陛下は、オレの提案にうんとは言わない。
クロードとシガラキノ様の婚姻を推していたのは、国王陛下だから。」
国王陛下と王妃陛下が、王女シガラキノ様にどのような未来を望んでいるか。
考えてみたら。
サーバル王国としては、王女シガラキノ様とクロードとの婚姻を望んでいた。
サーバル王国の決定は、国王陛下の意向。
王妃陛下も同意見だと、オレは考えていた。
ミーレ長官と話し合うまでは。
ミーレ長官から、王女シガラキノ様と、ミーレ長官の息子さんとの婚姻の話が出ていると聞いたとき。
ミーレ長官の息子さんとシガラキノ様の婚姻を画策している主導者は、国王陛下じゃない、と思った。
ミーレ長官の息子さんでは、王女の嫁入り先として、クロードに嫁入りするよりも格が落ちる。
支配者として、王女の嫁入り先を選択するなら、クロードだろう、と思った。
ミーレ長官の息子さんが、嫁入り先として、クロードよりも格下だとミーレ長官は考えていなかったけれど。
ミーレ長官は、王女シガラキノ様が息子へ嫁入りすることを確信できるような相手と交渉していたことになる。
サーバル王国の王女シガラキノ様の婚姻について、国王陛下以外で、決定権を持ちうる相手が、ミーレ長官の交渉相手だった。
サーバル王国で、国王陛下以外で、となると。
王妃陛下だ。
王妃陛下は、女神様の裁定が下った後は、部屋に閉じこもった。
ミーレ長官が、王妃陛下の部屋を訪ねても、怪しむ人はいなかったと思う。
オレが目撃者になったら、ご機嫌伺いくらいに考えていた。
オレは、部屋に閉じこもった王妃陛下を警戒していなかった。
だから、うまくいっていた。
王妃陛下が、オレの訪問を受け入れたのは、ミーレ長官が計画をおりたから。
ミーレ長官の代わりに、オレと妥協点を見つけようとしていた。
王女シガラキノ様の将来について。
「オレ達が、前向きに話し合いができることを歓迎する。」
サーバル王国の王妃陛下の部屋にいる使用人は、息をひそめている。
静まり返った部屋にオレの声だけが響いた。
シガラキノ様を女王に、という話題は、思いつきで話したわけではない。
今のシガラキノ様に女王をやれ、というのは、オレが大公妃をやるよりも大変だ。
オレには、クロードがいて、クロードが全面的に、オレの大公妃生活をバックアップしてくれている。
シガラキノ様は、元々跡継ぎとして育っていない。
サーバル王国の王家の中でも、王女だから、と軽めの存在だった。
シガラキノ様が、女神様と友誼を結んだことや、若い同行者と向き合って話ができる関係になったことは、心から喜ばしく思っている。
思っているんだけどさー。
困ったことに。
ケレメイン大公国に滞在中のシガラキノ様を守れるような、オレが信頼できる護衛を、オレはシガラキノ様に用意できない。
サーバル王国が、ケレメイン大公国の乗っ取りを企てて、追い払うだけなら。
サーバル王国の王女様であるシガラキノ様の護衛を心配する必要はなかった。
サーバル王国とオレが大立ち回りを演じ終わったと思ったら、ドリアン王国が入り込んでいたんだよなー。
ケレメイン大公国滞在中に、サーバル王国の王女シガラキノ様の身に何かあっては大問題になる。
オレもケレメイン大公国も、無い袖は振れない。
サーバル王国側で、シガラキノ様の護衛を用意してもらわないといけない。
シガラキノ様に、シガラキノ様を守る気がある護衛をつけてもらうためには、どうしたらいいか、を考えて。
シガラキノ様には価値があるとシガラキノ様を大事にしないとバチが当たるぞ!という話をしようと思っていた。
バチが当たらないようにしよう、と話を持ちかけることを考えていたオレは、はたっと気づいた。
この世界で、バチが当たる、という考え方が一般的かどうか、を、誰にも確認してこなかった。
そのことに気づいたのは、王妃陛下の部屋に来てから。
シガラキノ様の安全対策を解決できて良かった。
シガラキノ様には、頑張ってもらうことになるから、オレは協力を惜しまない。
「シガラキノが女王。」
と女神様は、鈴が鳴るような笑い声をあげた。
女神様が、喜んでいる。
色々と、セーフだ。
命拾いした。
サーバル王国が。
オレは、一安心。
「オレが、国王陛下ではなく、王妃陛下に、シガラキノ様の即位を持ちかけた理由について。
王妃陛下は、予想がついているかな?」
「お答えしかねます。」
と王妃陛下。
「王妃陛下と国王陛下。
お二人の考える、王女シガラキノ様の将来設計が、同じではない、と見込んだからだな。」
「まあ、そうでしたか。」
と王妃陛下。
「国王陛下は、オレの提案にうんとは言わない。
クロードとシガラキノ様の婚姻を推していたのは、国王陛下だから。」
国王陛下と王妃陛下が、王女シガラキノ様にどのような未来を望んでいるか。
考えてみたら。
サーバル王国としては、王女シガラキノ様とクロードとの婚姻を望んでいた。
サーバル王国の決定は、国王陛下の意向。
王妃陛下も同意見だと、オレは考えていた。
ミーレ長官と話し合うまでは。
ミーレ長官から、王女シガラキノ様と、ミーレ長官の息子さんとの婚姻の話が出ていると聞いたとき。
ミーレ長官の息子さんとシガラキノ様の婚姻を画策している主導者は、国王陛下じゃない、と思った。
ミーレ長官の息子さんでは、王女の嫁入り先として、クロードに嫁入りするよりも格が落ちる。
支配者として、王女の嫁入り先を選択するなら、クロードだろう、と思った。
ミーレ長官の息子さんが、嫁入り先として、クロードよりも格下だとミーレ長官は考えていなかったけれど。
ミーレ長官は、王女シガラキノ様が息子へ嫁入りすることを確信できるような相手と交渉していたことになる。
サーバル王国の王女シガラキノ様の婚姻について、国王陛下以外で、決定権を持ちうる相手が、ミーレ長官の交渉相手だった。
サーバル王国で、国王陛下以外で、となると。
王妃陛下だ。
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オレが目撃者になったら、ご機嫌伺いくらいに考えていた。
オレは、部屋に閉じこもった王妃陛下を警戒していなかった。
だから、うまくいっていた。
王妃陛下が、オレの訪問を受け入れたのは、ミーレ長官が計画をおりたから。
ミーレ長官の代わりに、オレと妥協点を見つけようとしていた。
王女シガラキノ様の将来について。
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