《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

478.カズラくんは、ミーレ長官の奥様のずば抜けた優秀さを指摘しました。マウンテン王国の女王陛下と先代国王陛下の仲は良好でしたか?

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カズラくんが引っかかる点が何かを、カズラくんに聞く。

「ぼく、ヒサツグよりも精神年齢は、大人だと思うんだよね。特に、恋愛に関しては。」
とカズラくん。

「オレも、そんな気はしていたなー。」

カズラくんの恋愛に勝つための考え方は、ときどき老獪だと感じることがある。

初々しいとは、正反対の上級者。

二十歳のカズラくんに言ってはいけないよな、とオレは心に秘めたままにしている。

「ぼくが知る範囲で。
マウンテン王国の王妃と王妃として望まれた女性は、合わせて四人。

ミーレ長官の奥様。

先代王妃陛下。

今代の王妃陛下。

今代王妃陛下の交代要員として名前が出ている宰相補佐で、侯爵令嬢のポーリーン・タチバナ。」
とカズラくん。

「オレもその四人を認識しているなー。」

「先代王妃陛下は、先代国王陛下に歩み寄る姿勢を示していたけれど、先代国王陛下から離縁を検討されて、夫の姉には、王家の真実を明かしてもらえていない。」
とカズラくん。

「ミーレ長官の奥様の話では、そうだったな。」

「今代王妃陛下も、先代王妃陛下と同じ道を辿っているんだよ。」
とカズラくん。

言われてみると。

「今代王妃陛下には、国王陛下に歩み寄る様子がなくなっているんだったかな。

先代王妃陛下と今代王妃陛下の違いは、この点だけ。

他は似ているな、確かに。」

「だよね。
宰相補佐で、侯爵令嬢のポーリーン・タチバナは、国内の貴族に名前を使われているだけで、国王陛下に望まれてはいないよね。」
とカズラくん。

「おう、そう聞いているぞ。」

「他の三人と比較すると、ミーレ長官の奥様だけは、別格なんだよ。

ミーレ長官の奥様が甥の奥さんだと分かっていても、先代国王陛下は、自身の王妃に迎えたいと考えたんだから。」
とカズラくん。

オレとカズラくんは、ミーレ長官一家をなんとなく見てしまう。

「ミーレ長官の奥様が、他の人だったら、ミーレ長官の家族は、今みたいに頭を寄せ合ったりしていなかったよな。」

ミーレ長官一家の頭を寄せ合っての話し合いは、順調そうに見えた。

ミーレ長官の奥様が、ミーレ長官一家の柱だと思う。

「ミーレ長官の奥様の嫁姑関係は、円満ではなさそうだったよね?」
とカズラくん。

「ミーレ長官が、お母さんに傾倒していたからなー。」

「甘いよ、ヒサツグ。

ミーレ長官だけじゃないよ。

ミーレ長官の奥様は、王太子妃なのに、王太子妃教育を受けていないんだよ?

ミーレ長官の奥様は、先代国王陛下から直接、指摘されたんだよね?

ミーレ長官のお母さんは、ミーレ長官の奥様に、わざと王太子妃教育を受けさせなかったとしか思えない。

身分を与えておきながら、身分に合わない扱いをしたんだよ?

良い待遇とは言えないよね。」
とカズラくん。

ミーレ長官の奥様に恥をかかせようとか?

王太子妃に、恥をかかせたいかなー?

「王太子妃教育は、まわりが勝手にやると思っていた、という可能性が女王陛下にはないかな?」

「期間限定で即位した女王陛下の息子の嫁で、王太子妃になりそうもない人に、王太子妃としての教育を受けさせるなら、上から声をかけて人を動かさないと無理だよ。」
とカズラくん。

何もいえない。

「ミーレ長官のお母さんの女王陛下に、ミーレ長官の叔父さんの先代国王陛下。

二人とも、何がしたかったのかな。」

「ミーレ長官のお母さんの女王陛下と、叔父さんの先代国王陛下が、同じことをしたがっていたわけじゃないよね?」
とカズラくん。

そうだったかな?

「ミーレ長官のお母さんが女王陛下になるまでは協力的だったけれど、女王陛下になった後のミーレ長官の叔父さんは、非協力的な関係だよね?」
とカズラくん。

言われてみると、女王陛下は、念願叶って女王になった。

でも、女王陛下になった後は、思うようにいかずに苦労した。

「王の姉の立場で、口うるさいと、他の貴族の手前、黙らせるのが面倒だよな。

女王陛下という権限のない地位につかせて、政とは引き離した、という可能性もあるかな。」

「ミーレ長官とマウンテン王家の親戚関係がこじれたのは、女王陛下と先代国王陛下がそれぞれ、やりたいことをやりたいようにしたせいじゃない?」
とカズラくん。

「姉と弟の仲は、悪かったのかな?」

仲が良い、悪いの話は、誰からも出なかったぞ。

「仲がどうというよりも。

話を聞いただけだけどね。
どちらも、互いに譲らない性格に思えたよ。」
とカズラくん。

サーバル王国の王妃陛下に、先触れを送った返事が返ってきた。

『お越しをお待ちしています。』

色よい返事で一安心。

オレは、カズラくんの意見を留意しつつ、女神様と一緒に、サーバル王国の王妃陛下に会いにいくことにした。
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