《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

474.ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官を王太子に就けたがった動機は、分かりません。ミーレ長官のご両親のお墓はないそうです。

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「ミーレ長官。

ミーレ長官のお父さんは、ミーレ長官のお母さんの即位に反対したとき、ミーレ長官が王太子になることも反対しなかったかな?」

「反対しました。
女王陛下を助けるために王太子になると決めていた私は、父上が反対する真意を想像しようともしませんでした。」
とミーレ長官。

「王太子は、王になる王子が名乗ることになっているよな?

ミーレ長官のお母さんの即位は、一時的なもので、ミーレ長官のお母さんの跡を継ぐのは、先代国王陛下だと決まっていた。

ミーレ長官が、王位に就く未来は、最初からなかった。

ミーレ長官のお父さんが、反対していたのは、ミーレ長官が、何も知らされないまま、いいように踊らされるのを止めようとしていたからだとオレは思う。」

「見事に踊らされました。」
とミーレ長官。

ミーレ長官のお父さんが蟄居を選んだのは、ミーレ長官のお母さんに対する抗議の意味があったかもしれない。

「ミーレ長官のお母さんが女王陛下を辞めて、ミーレ長官が王太子を辞めて、一緒にお父さんの元に帰ってくるのを待つためだけに、ミーレ長官のお父さんは蟄居したんじゃないとオレは思う。

ミーレ長官のお父さんは、ミーレ長官のお母さんに同調しないことで、ミーレ長官の逃げ道を作ったんだ。

真相に気づいたミーレ長官が、いつでも、王太子を辞められるように。

王太子を辞めて、お母さんとうまくいかなくなるミーレ長官が、行き場を失うことがないように。

お父さんは、ミーレ長官と家族の避難先になろうとしていたんじゃないかな。」

女王陛下の息子が、女王陛下に楯突いたら、逃げ場がない。

「父上。」
とミーレ長官は、目頭を押さえた。

「マウンテン王国に墓参りに行くのはどうかな?」

「父上と母上の墓は、ありません。

私は、母上の墓がないことを恨んでいましたが、国に損害を与えた王族の墓を作るなど、ありえないことでした。」
とミーレ長官。

オレは、ミーレ長官が悲しみに浸っている間も思考をし続けている。

ミーレ長官のお父さんは、お父さんとして、ミーレ長官に救いの手を伸ばしていた。

王女殿下の夫で、女王陛下の王配となった、王族のお父さんができるギリギリのところで、お父さんは、ミーレ長官を助けようとしていた。

ミーレ長官のお父さんは、ミーレ長官のお母さんと歩調を合わせないことで、妻も息子も守ろうとした。

ミーレ長官のお父さんに、ミーレ長官のお母さんを止めることは困難だったんだろうな。

ミーレ長官のお父さんは、ミーレ長官が、自分の待遇のおかしさに気づいたときに、逃げ込める場所になろうとしていたんだと思う。

ミーレ長官が、王にならないことは、誰でも知っているのに、ミーレ長官は王太子になって、王太子として振る舞い始めたことを、ミーレ長官のお父さんは、予想していたかな?

ミーレ長官が王にならないことを知っている人から、ミーレ長官がどのような感情を持たれているか、情報を得ていたのかな?

ミーレ長官のお母さんは、ミーレ長官に、伝えることができる唯一の人だったのに、一番大事なことをミーレ長官に伝えなかったことをミーレ長官のお父さんは察したかな?

ミーレ長官のお父さんは、どんな気持ちで蟄居を続けたんだろう。

ミーレ長官のお母さんが、女王でいるのは、お母さんが望んだ一時的なもので、すぐに女王でなくなることと、ミーレ長官が王になる未来はないことを、ミーレ長官自身で気づいてほしいと願っていたかもしれない。

ミーレ長官が、自分自身のか待遇に違和感を覚えて、ミーレ長官自身が調べれば気づけたんじゃないかな。

ミーレ長官は、正確な情報さえあれば、おかしな言動はしなかった。

ミーレ長官のお母さんは、ミーレ長官を離さなかった。

ミーレ長官が優秀だから?

それだけ、かな?

ミーレ長官のお母さんは、ミーレ長官が、お母さんから離れて、自分で調べたり考えたりするための時間を作らせなかったかもしれない。

邪推だけどさ。

お母さんの伝えていなかったことが、ミーレ長官にバレてしまうから。

でも。

お母さんが伝えなかったことは、いずれ、お母さん以外でミーレ長官に伝わるということに、お母さんは思い当たらなかったのかな?

お母さんが、ミーレ長官を王太子にした動機が、どうしても分からない。

一時的にでも、ミーレ長官に王太子という肩書を与えたかったのは、誰の何のため?

ミーレ長官のお母さんだけのため、かな?

ミーレ長官のお母さんは、優秀なミーレ長官に情報を渡していなさすぎる。

ミーレ長官の優秀さが、王太子時代に全然活きなかったのは、お母さんが情報を与えないようにしたせいじゃないのかな。

ミーレ長官のお母さんの動機は、引き続き要検討。


ミーレ長官のお母さんの絶対的な味方として、息子に真実を告げずに留め置いたミーレ長官のお母さんは、ミーレ長官に真実を告げないまま、亡くなった。

ミーレ長官のお母さんが、サーバル王国で、客死したゴタゴタの当時。

ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官に何も告げていなかったと、誰が予想しただろう?

ミーレ長官は、知らないことを知っているはずと思われていた。

先代国王陛下が、ミーレ長官に勧めてきた毒杯。

ミーレ長官が王にならないことが常識になっているマウンテン王国の貴族階級。

ミーレ長官は、お母さんの威光を借りて、王太子として振る舞ってきたと過去を問題視された。

王太子の名を騙ってサーバル王国に行き、サーバル王国につけこまれることをしてきて、非難轟々。

最終的に、ミーレ長官は、叔父にあたる正統な後継者の先代国王陛下を、簒奪者と侮辱した。

先代国王陛下が、甥のミーレ長官に毒杯を勧めざるを得ない状況が出来上がっていたんじゃないかな。

マウンテン王国とマウンテン王家を、王として守るために決断した。

先代国王陛下は、甥のミーレ長官を気にかけていたとオレは思う。

ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官を思うよりも、かもしれない。
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