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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
455.カズラくんは、ドリアン王国とミーレ長官について分析します。愛こんにゃく家に、ミーレ長官の認識の修正を頼むことにしました。
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「ドリアン王国に後悔させるという、ぼくの目的のために。
ヒサツグに、侯爵子息の情報を渡すよ。
ヒサツグ。
クロードは、これからドリアン王国の侯爵子息に近づけたらダメだから。」
とカズラくん。
カズラくんの指示が具体的だぞ。
「カズラくんは、何を知っているのかな?」
「ドリアン王国は、女神様に見向きもされなかった原因をマウンテン王家に求めているからね。」
とカズラくん。
『俺がモテないのは、あいつが俺の分もモテるから』という超理論かな?
「原因は、ドリアン王国の努力の方向性が、見当違いだから、なのになー。」
「女神様に愛されるマウンテン王家に対するドリアン王国の熱意は、羨ましいんじゃなくて、妬みと憎しみと恨みなんだよ。
マウンテン王家が愛されるから、ドリアン王家は、愛されないという信念めいたものが、ドリアン王国にはある。
マウンテン王家がいなければ、ドリアン王家が愛される、と考えているんだよ。」
とカズラくん。
マウンテン王家は、女神様に愛されるなんて、ズルい、ズルい、で生きてきたということだよな。
建国以来の怨念がこもってそうだなー。
「近づけないのは、クロードだけでいいのかな?
ミーレ長官とご家族は?」
「ドリアン王国の見方では、ミーレ長官のお母さんは、女神様に愛されていないよ。
だから、ミーレ長官は、ドリアン王国から憎まれてはいない。」
とカズラくん。
ミーレ長官の息子さんが、の肩がぴくりと動いた。
ミーレ長官の奥様が、息子さんの肩に手を置く。
「ドリアン王国は、互いに愛されていない者同士、協力しようという揺さぶりはかけていると思うよ。」
とカズラくん。
「それは、オレも同意する。」
「ミーレ長官に関しては、ミーレ長官から、ドリアン王国に近づかないようにすれば、ドリアン王国に利用されない。
ミーレ長官とご家族には、ドリアン王国になびかない強さが必要なんだよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国の狙いに気づいていなかったオレは、ミーレ長官に任せきりにしていたんだよな。」
「ミーレ長官が、ドリアン王国の侯爵子息の対応を任されることを予想して、ドリアン王国の侯爵子息はケレメイン大公国に来ていると思うよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国が用意周到過ぎて、悔しい。」
オレがこぼしていると。
「ぼくの見立てでは、ミーレ長官に振り回されない限り、ご家族は無事でいられると思う。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、うかない表情になった。
「ミーレ長官は、お母さんの女王陛下の客死事件の前も後も、お母さんに振り回されて生きてきた人なのに、お母さんに盲信的過ぎて、振り回されてきた自覚がないよね?」
自覚?
ピンとこないオレに、カズラくんは、即、質問相手を変えた。
「ヒサツグより、ミーレ長官の奥様に聞いた方がいいよね。
ミーレ長官は、お母さんを悪く言われたと思ったら、その人に反発する傾向にない?」
カズラくんは、ミーレ長官の奥様に聞いている。
ミーレ長官の奥様は、息子の肩に置いた手とは違う手で、息子の背中を撫でた。
「あります。」
とミーレ長官の奥様。
「ミーレ長官の奥様と息子さんは、覚悟して。
ミーレ長官のお母さんに、息子を振り回した自覚はない。
ミーレ長官自身も、お母さんに振り回されてきた自覚がない。
この二つが、まず前提にある。」
とカズラくん。
カズラくんは、何を話そうとしているのかな?
「ミーレ長官は、努力しているのに報われないお母さんを気の毒だと考えているフシはなかった?
お母さんの頑張りを認めない貴族に対しては、義憤めいたものを向けていたんじゃない?」
とカズラくん。
「おっしゃる通りです。」
とミーレ長官の奥様。
「だよね。
ミーレ長官が、叔父の先代国王陛下から毒杯を進められた理由は、ミーレ長官自身にあるとぼくは思う。
王太子のまま死ね、と、まず毒杯を勧められたのは、慈悲というより、ミーレ長官の言動が、王族として失格だったから、責任を取れと言外に言い含められていたんだよ。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、青ざめた。
「ミーレ長官は、王太子だったというけれど、王になるための教育は受けていなかった可能性がある、とぼくは考えている。
国王陛下の言外の意味を汲み取れないミーレ長官に、貴族が距離をおくのは、妥当だよ。」
とカズラくん。
カズラくんは、神子様として王城で暮らす中で、貴族のルールを見聞きしてきたのかな?
「ぼくは、思うんだよ。
ミーレ長官が臣籍降下することは、女王陛下が期間限定で即位しようとしなかろうと、決まっていた。
ミーレ長官にとっては、臣籍降下が寝耳に水の話だったけれど、ミーレ長官とミーレ長官の家族以外は、知っていた。
どうして、ミーレ長官とミーレ長官の家族だけが知らなかった?
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官を味方につけるために、ミーレ長官とミーレ長官の家族には告げずに黙っていたから。
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官とその家族へ伝えたかどうかを、ミーレ長官とミーレ長官の家族に確認する人がいなければ。
ミーレ長官とその家族が、王太子だけど王にはならないことを知らないとは、誰も気づかないよ。」
とカズラくん。
部屋の中は、しん、となった。
「ミーレ長官は、お母さんの話す内容について、自分自身で、裏付けをとったり、独自で調べようとした?」
とカズラくん。
「独自で何かをしている様子はありませんでした。」
とミーレ長官の奥様は、小さく息を吐いた。
締めは、オレが言おう。
「ミーレ長官は、心理的にお母さんから離れることができていない状態が続いている。
ドリアン王国が気をひいてきたときに、ミーレ長官が拒否できるように、ミーレ長官には、認識を変えてもらうことを、オレは、愛こんにゃく家クマ・サツサに頼みたい。」
ヒサツグに、侯爵子息の情報を渡すよ。
ヒサツグ。
クロードは、これからドリアン王国の侯爵子息に近づけたらダメだから。」
とカズラくん。
カズラくんの指示が具体的だぞ。
「カズラくんは、何を知っているのかな?」
「ドリアン王国は、女神様に見向きもされなかった原因をマウンテン王家に求めているからね。」
とカズラくん。
『俺がモテないのは、あいつが俺の分もモテるから』という超理論かな?
「原因は、ドリアン王国の努力の方向性が、見当違いだから、なのになー。」
「女神様に愛されるマウンテン王家に対するドリアン王国の熱意は、羨ましいんじゃなくて、妬みと憎しみと恨みなんだよ。
マウンテン王家が愛されるから、ドリアン王家は、愛されないという信念めいたものが、ドリアン王国にはある。
マウンテン王家がいなければ、ドリアン王家が愛される、と考えているんだよ。」
とカズラくん。
マウンテン王家は、女神様に愛されるなんて、ズルい、ズルい、で生きてきたということだよな。
建国以来の怨念がこもってそうだなー。
「近づけないのは、クロードだけでいいのかな?
ミーレ長官とご家族は?」
「ドリアン王国の見方では、ミーレ長官のお母さんは、女神様に愛されていないよ。
だから、ミーレ長官は、ドリアン王国から憎まれてはいない。」
とカズラくん。
ミーレ長官の息子さんが、の肩がぴくりと動いた。
ミーレ長官の奥様が、息子さんの肩に手を置く。
「ドリアン王国は、互いに愛されていない者同士、協力しようという揺さぶりはかけていると思うよ。」
とカズラくん。
「それは、オレも同意する。」
「ミーレ長官に関しては、ミーレ長官から、ドリアン王国に近づかないようにすれば、ドリアン王国に利用されない。
ミーレ長官とご家族には、ドリアン王国になびかない強さが必要なんだよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国の狙いに気づいていなかったオレは、ミーレ長官に任せきりにしていたんだよな。」
「ミーレ長官が、ドリアン王国の侯爵子息の対応を任されることを予想して、ドリアン王国の侯爵子息はケレメイン大公国に来ていると思うよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国が用意周到過ぎて、悔しい。」
オレがこぼしていると。
「ぼくの見立てでは、ミーレ長官に振り回されない限り、ご家族は無事でいられると思う。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、うかない表情になった。
「ミーレ長官は、お母さんの女王陛下の客死事件の前も後も、お母さんに振り回されて生きてきた人なのに、お母さんに盲信的過ぎて、振り回されてきた自覚がないよね?」
自覚?
ピンとこないオレに、カズラくんは、即、質問相手を変えた。
「ヒサツグより、ミーレ長官の奥様に聞いた方がいいよね。
ミーレ長官は、お母さんを悪く言われたと思ったら、その人に反発する傾向にない?」
カズラくんは、ミーレ長官の奥様に聞いている。
ミーレ長官の奥様は、息子の肩に置いた手とは違う手で、息子の背中を撫でた。
「あります。」
とミーレ長官の奥様。
「ミーレ長官の奥様と息子さんは、覚悟して。
ミーレ長官のお母さんに、息子を振り回した自覚はない。
ミーレ長官自身も、お母さんに振り回されてきた自覚がない。
この二つが、まず前提にある。」
とカズラくん。
カズラくんは、何を話そうとしているのかな?
「ミーレ長官は、努力しているのに報われないお母さんを気の毒だと考えているフシはなかった?
お母さんの頑張りを認めない貴族に対しては、義憤めいたものを向けていたんじゃない?」
とカズラくん。
「おっしゃる通りです。」
とミーレ長官の奥様。
「だよね。
ミーレ長官が、叔父の先代国王陛下から毒杯を進められた理由は、ミーレ長官自身にあるとぼくは思う。
王太子のまま死ね、と、まず毒杯を勧められたのは、慈悲というより、ミーレ長官の言動が、王族として失格だったから、責任を取れと言外に言い含められていたんだよ。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、青ざめた。
「ミーレ長官は、王太子だったというけれど、王になるための教育は受けていなかった可能性がある、とぼくは考えている。
国王陛下の言外の意味を汲み取れないミーレ長官に、貴族が距離をおくのは、妥当だよ。」
とカズラくん。
カズラくんは、神子様として王城で暮らす中で、貴族のルールを見聞きしてきたのかな?
「ぼくは、思うんだよ。
ミーレ長官が臣籍降下することは、女王陛下が期間限定で即位しようとしなかろうと、決まっていた。
ミーレ長官にとっては、臣籍降下が寝耳に水の話だったけれど、ミーレ長官とミーレ長官の家族以外は、知っていた。
どうして、ミーレ長官とミーレ長官の家族だけが知らなかった?
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官を味方につけるために、ミーレ長官とミーレ長官の家族には告げずに黙っていたから。
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官とその家族へ伝えたかどうかを、ミーレ長官とミーレ長官の家族に確認する人がいなければ。
ミーレ長官とその家族が、王太子だけど王にはならないことを知らないとは、誰も気づかないよ。」
とカズラくん。
部屋の中は、しん、となった。
「ミーレ長官は、お母さんの話す内容について、自分自身で、裏付けをとったり、独自で調べようとした?」
とカズラくん。
「独自で何かをしている様子はありませんでした。」
とミーレ長官の奥様は、小さく息を吐いた。
締めは、オレが言おう。
「ミーレ長官は、心理的にお母さんから離れることができていない状態が続いている。
ドリアン王国が気をひいてきたときに、ミーレ長官が拒否できるように、ミーレ長官には、認識を変えてもらうことを、オレは、愛こんにゃく家クマ・サツサに頼みたい。」
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