455 / 667
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
455.カズラくんは、ドリアン王国とミーレ長官について分析します。愛こんにゃく家に、ミーレ長官の認識の修正を頼むことにしました。
しおりを挟む
「ドリアン王国に後悔させるという、ぼくの目的のために。
ヒサツグに、侯爵子息の情報を渡すよ。
ヒサツグ。
クロードは、これからドリアン王国の侯爵子息に近づけたらダメだから。」
とカズラくん。
カズラくんの指示が具体的だぞ。
「カズラくんは、何を知っているのかな?」
「ドリアン王国は、女神様に見向きもされなかった原因をマウンテン王家に求めているからね。」
とカズラくん。
『俺がモテないのは、あいつが俺の分もモテるから』という超理論かな?
「原因は、ドリアン王国の努力の方向性が、見当違いだから、なのになー。」
「女神様に愛されるマウンテン王家に対するドリアン王国の熱意は、羨ましいんじゃなくて、妬みと憎しみと恨みなんだよ。
マウンテン王家が愛されるから、ドリアン王家は、愛されないという信念めいたものが、ドリアン王国にはある。
マウンテン王家がいなければ、ドリアン王家が愛される、と考えているんだよ。」
とカズラくん。
マウンテン王家は、女神様に愛されるなんて、ズルい、ズルい、で生きてきたということだよな。
建国以来の怨念がこもってそうだなー。
「近づけないのは、クロードだけでいいのかな?
ミーレ長官とご家族は?」
「ドリアン王国の見方では、ミーレ長官のお母さんは、女神様に愛されていないよ。
だから、ミーレ長官は、ドリアン王国から憎まれてはいない。」
とカズラくん。
ミーレ長官の息子さんが、の肩がぴくりと動いた。
ミーレ長官の奥様が、息子さんの肩に手を置く。
「ドリアン王国は、互いに愛されていない者同士、協力しようという揺さぶりはかけていると思うよ。」
とカズラくん。
「それは、オレも同意する。」
「ミーレ長官に関しては、ミーレ長官から、ドリアン王国に近づかないようにすれば、ドリアン王国に利用されない。
ミーレ長官とご家族には、ドリアン王国になびかない強さが必要なんだよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国の狙いに気づいていなかったオレは、ミーレ長官に任せきりにしていたんだよな。」
「ミーレ長官が、ドリアン王国の侯爵子息の対応を任されることを予想して、ドリアン王国の侯爵子息はケレメイン大公国に来ていると思うよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国が用意周到過ぎて、悔しい。」
オレがこぼしていると。
「ぼくの見立てでは、ミーレ長官に振り回されない限り、ご家族は無事でいられると思う。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、うかない表情になった。
「ミーレ長官は、お母さんの女王陛下の客死事件の前も後も、お母さんに振り回されて生きてきた人なのに、お母さんに盲信的過ぎて、振り回されてきた自覚がないよね?」
自覚?
ピンとこないオレに、カズラくんは、即、質問相手を変えた。
「ヒサツグより、ミーレ長官の奥様に聞いた方がいいよね。
ミーレ長官は、お母さんを悪く言われたと思ったら、その人に反発する傾向にない?」
カズラくんは、ミーレ長官の奥様に聞いている。
ミーレ長官の奥様は、息子の肩に置いた手とは違う手で、息子の背中を撫でた。
「あります。」
とミーレ長官の奥様。
「ミーレ長官の奥様と息子さんは、覚悟して。
ミーレ長官のお母さんに、息子を振り回した自覚はない。
ミーレ長官自身も、お母さんに振り回されてきた自覚がない。
この二つが、まず前提にある。」
とカズラくん。
カズラくんは、何を話そうとしているのかな?
「ミーレ長官は、努力しているのに報われないお母さんを気の毒だと考えているフシはなかった?
お母さんの頑張りを認めない貴族に対しては、義憤めいたものを向けていたんじゃない?」
とカズラくん。
「おっしゃる通りです。」
とミーレ長官の奥様。
「だよね。
ミーレ長官が、叔父の先代国王陛下から毒杯を進められた理由は、ミーレ長官自身にあるとぼくは思う。
王太子のまま死ね、と、まず毒杯を勧められたのは、慈悲というより、ミーレ長官の言動が、王族として失格だったから、責任を取れと言外に言い含められていたんだよ。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、青ざめた。
「ミーレ長官は、王太子だったというけれど、王になるための教育は受けていなかった可能性がある、とぼくは考えている。
国王陛下の言外の意味を汲み取れないミーレ長官に、貴族が距離をおくのは、妥当だよ。」
とカズラくん。
カズラくんは、神子様として王城で暮らす中で、貴族のルールを見聞きしてきたのかな?
「ぼくは、思うんだよ。
ミーレ長官が臣籍降下することは、女王陛下が期間限定で即位しようとしなかろうと、決まっていた。
ミーレ長官にとっては、臣籍降下が寝耳に水の話だったけれど、ミーレ長官とミーレ長官の家族以外は、知っていた。
どうして、ミーレ長官とミーレ長官の家族だけが知らなかった?
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官を味方につけるために、ミーレ長官とミーレ長官の家族には告げずに黙っていたから。
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官とその家族へ伝えたかどうかを、ミーレ長官とミーレ長官の家族に確認する人がいなければ。
ミーレ長官とその家族が、王太子だけど王にはならないことを知らないとは、誰も気づかないよ。」
とカズラくん。
部屋の中は、しん、となった。
「ミーレ長官は、お母さんの話す内容について、自分自身で、裏付けをとったり、独自で調べようとした?」
とカズラくん。
「独自で何かをしている様子はありませんでした。」
とミーレ長官の奥様は、小さく息を吐いた。
締めは、オレが言おう。
「ミーレ長官は、心理的にお母さんから離れることができていない状態が続いている。
ドリアン王国が気をひいてきたときに、ミーレ長官が拒否できるように、ミーレ長官には、認識を変えてもらうことを、オレは、愛こんにゃく家クマ・サツサに頼みたい。」
ヒサツグに、侯爵子息の情報を渡すよ。
ヒサツグ。
クロードは、これからドリアン王国の侯爵子息に近づけたらダメだから。」
とカズラくん。
カズラくんの指示が具体的だぞ。
「カズラくんは、何を知っているのかな?」
「ドリアン王国は、女神様に見向きもされなかった原因をマウンテン王家に求めているからね。」
とカズラくん。
『俺がモテないのは、あいつが俺の分もモテるから』という超理論かな?
「原因は、ドリアン王国の努力の方向性が、見当違いだから、なのになー。」
「女神様に愛されるマウンテン王家に対するドリアン王国の熱意は、羨ましいんじゃなくて、妬みと憎しみと恨みなんだよ。
マウンテン王家が愛されるから、ドリアン王家は、愛されないという信念めいたものが、ドリアン王国にはある。
マウンテン王家がいなければ、ドリアン王家が愛される、と考えているんだよ。」
とカズラくん。
マウンテン王家は、女神様に愛されるなんて、ズルい、ズルい、で生きてきたということだよな。
建国以来の怨念がこもってそうだなー。
「近づけないのは、クロードだけでいいのかな?
ミーレ長官とご家族は?」
「ドリアン王国の見方では、ミーレ長官のお母さんは、女神様に愛されていないよ。
だから、ミーレ長官は、ドリアン王国から憎まれてはいない。」
とカズラくん。
ミーレ長官の息子さんが、の肩がぴくりと動いた。
ミーレ長官の奥様が、息子さんの肩に手を置く。
「ドリアン王国は、互いに愛されていない者同士、協力しようという揺さぶりはかけていると思うよ。」
とカズラくん。
「それは、オレも同意する。」
「ミーレ長官に関しては、ミーレ長官から、ドリアン王国に近づかないようにすれば、ドリアン王国に利用されない。
ミーレ長官とご家族には、ドリアン王国になびかない強さが必要なんだよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国の狙いに気づいていなかったオレは、ミーレ長官に任せきりにしていたんだよな。」
「ミーレ長官が、ドリアン王国の侯爵子息の対応を任されることを予想して、ドリアン王国の侯爵子息はケレメイン大公国に来ていると思うよ。」
とカズラくん。
「ドリアン王国が用意周到過ぎて、悔しい。」
オレがこぼしていると。
「ぼくの見立てでは、ミーレ長官に振り回されない限り、ご家族は無事でいられると思う。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、うかない表情になった。
「ミーレ長官は、お母さんの女王陛下の客死事件の前も後も、お母さんに振り回されて生きてきた人なのに、お母さんに盲信的過ぎて、振り回されてきた自覚がないよね?」
自覚?
ピンとこないオレに、カズラくんは、即、質問相手を変えた。
「ヒサツグより、ミーレ長官の奥様に聞いた方がいいよね。
ミーレ長官は、お母さんを悪く言われたと思ったら、その人に反発する傾向にない?」
カズラくんは、ミーレ長官の奥様に聞いている。
ミーレ長官の奥様は、息子の肩に置いた手とは違う手で、息子の背中を撫でた。
「あります。」
とミーレ長官の奥様。
「ミーレ長官の奥様と息子さんは、覚悟して。
ミーレ長官のお母さんに、息子を振り回した自覚はない。
ミーレ長官自身も、お母さんに振り回されてきた自覚がない。
この二つが、まず前提にある。」
とカズラくん。
カズラくんは、何を話そうとしているのかな?
「ミーレ長官は、努力しているのに報われないお母さんを気の毒だと考えているフシはなかった?
お母さんの頑張りを認めない貴族に対しては、義憤めいたものを向けていたんじゃない?」
とカズラくん。
「おっしゃる通りです。」
とミーレ長官の奥様。
「だよね。
ミーレ長官が、叔父の先代国王陛下から毒杯を進められた理由は、ミーレ長官自身にあるとぼくは思う。
王太子のまま死ね、と、まず毒杯を勧められたのは、慈悲というより、ミーレ長官の言動が、王族として失格だったから、責任を取れと言外に言い含められていたんだよ。」
とカズラくん。
ミーレ長官の奥様は、青ざめた。
「ミーレ長官は、王太子だったというけれど、王になるための教育は受けていなかった可能性がある、とぼくは考えている。
国王陛下の言外の意味を汲み取れないミーレ長官に、貴族が距離をおくのは、妥当だよ。」
とカズラくん。
カズラくんは、神子様として王城で暮らす中で、貴族のルールを見聞きしてきたのかな?
「ぼくは、思うんだよ。
ミーレ長官が臣籍降下することは、女王陛下が期間限定で即位しようとしなかろうと、決まっていた。
ミーレ長官にとっては、臣籍降下が寝耳に水の話だったけれど、ミーレ長官とミーレ長官の家族以外は、知っていた。
どうして、ミーレ長官とミーレ長官の家族だけが知らなかった?
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官を味方につけるために、ミーレ長官とミーレ長官の家族には告げずに黙っていたから。
ミーレ長官のお母さんが、ミーレ長官とその家族へ伝えたかどうかを、ミーレ長官とミーレ長官の家族に確認する人がいなければ。
ミーレ長官とその家族が、王太子だけど王にはならないことを知らないとは、誰も気づかないよ。」
とカズラくん。
部屋の中は、しん、となった。
「ミーレ長官は、お母さんの話す内容について、自分自身で、裏付けをとったり、独自で調べようとした?」
とカズラくん。
「独自で何かをしている様子はありませんでした。」
とミーレ長官の奥様は、小さく息を吐いた。
締めは、オレが言おう。
「ミーレ長官は、心理的にお母さんから離れることができていない状態が続いている。
ドリアン王国が気をひいてきたときに、ミーレ長官が拒否できるように、ミーレ長官には、認識を変えてもらうことを、オレは、愛こんにゃく家クマ・サツサに頼みたい。」
52
お気に入りに追加
1,680
あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)
エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。
魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。
若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。
*以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。
お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。
こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

どうも、卵から生まれた魔人です。
べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。
太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

君なんか求めてない。
ビーバー父さん
BL
異世界ものです。
異世界に召喚されて見知らぬ獣人の国にいた、佐野山来夏。
何かチートがありそうで無かった来夏の前に、本当の召喚者が現われた。
ユア・シノハラはまだ高校生の男の子だった。
人が救世主として召喚したユアと、精霊たちが召喚したライカの物語。


αからΩになった俺が幸せを掴むまで
なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。
10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。
義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。
アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。
義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が…
義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。
そんな海里が本当の幸せを掴むまで…
──だから、なんでそうなんだっ!
涼暮つき
BL
「面倒くさいから認めちゃえば?」
「アホか」
俺は普通に生きていきたいんだよ。
おまえみたいなやつは大嫌いだ。
でも、本当は羨ましいと思ったんだ。
ありのままの自分で生きてるおまえを──。
身近にありそうな日常系メンズラブ。
*以前外部URLで公開していたものを
掲載し直しました。
※表紙は雨月リンさんに描いていただきました。
作者さまからお預かりしている大切な作品です。
画像の無断転載など固く禁じます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる