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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
445.女王陛下客死事件で、マウンテン王国が下した決断、ミーレ長官が貴族から忌避された理由。オレはサーバル王国の国王陛下を甘く見ていました。
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オレの感覚だと、ミーレ長官のお母さんの女王陛下に同行した人は、国と上司に振り回されて巻き添えをくらった被害者。
女王陛下を守れなかったことを責めなくても、罰を与えないわけにはいかない、となると。
一生、女王陛下の菩提を弔うのがちょうどいい、と思ったんだよな。
だから、大罪人と処刑というのが、どうも、結びつかない。
侯爵令嬢ポーリーン・タチバナが、オレに教えてくれた。
「ヒサツグ。
マウンテン王国は、女王陛下の同行者を生かしておくわけにはまいりませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
政治的な理由、だよな?
「外交先のサーバル王国の手前、処罰しないといけなかったとか?」
「それもありますけども。
女王陛下の同行者は、女王陛下が女神様と契約していなかったことを知ってしまいましたわ。
女王陛下の同行者は、マウンテン王国が、外国に漏らすわけにはいかない秘密が露呈することになった事件の目撃者であり、証人でもありました。
サーバル王国が、女王陛下の客死事件について、女王陛下の王たる資質の有無に公に言及しない代わりに。
マウンテン王国は、女王陛下がサーバル王国で客死した事件そのものをなかったことにする必要がありましたの。
マウンテン王国の未来に、禍根を残さないためにですわ。
王たる資質を持たない王は、マウンテン王国に存在しませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
国のために、なんだな。
「サーバル王国が、女王陛下の客死事件で気づいた事実を政治的に利用する前に、証拠となりうる、女王陛下の同行者を処分することで、口封じしたんだな?」
女王陛下が存在していたことは、マウンテン王国にとってマイナスになる。
女王陛下が存在していた事実を葬り去るために、女王陛下について証言し得る人を消した。
消された人の真実を掘り起こさないように、大罪人にとしたのか。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下が即位したことによる爪痕が大きすぎる。
ミーレ長官が、王家の血筋にもかかわらず、貴族に総スカンをくらって、平民の部下しかついてこなかったこと。
ミーレ長官がお母さんである女王陛下亡き後、叔父にあたる先代国王陛下から、服毒自殺を促されたこと。
ミーレ長官の甥に当たる国王陛下の側近が、ミーレ長官と対峙したときの態度の悪さ。
この三つは、同じ理由だ。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下がサーバル王国で客死した事件。
マウンテン王国の王である、女王陛下のサーバル王国行きの同行者に、平民はいなかった。
サーバル王国は、国王陛下の権威が強い。
女王陛下がサーバル王国へ訪問することになったとき、実務レベルの打ち合わせや調整は、あったはず。
女王陛下のサーバル王国行きに協力したのも、尽力したのも。
女王陛下のサーバル王国への道中や訪問中、女王陛下に付き従ったのも。
全部。
マウンテン王国の貴族だ。
マウンテン王国の貴族の中には、家族や仲間、友人が大罪人となり、不条理な死を迎えた後、さらに挽回不可の不名誉な称号を賜ることになった貴族が少なからずいる。
そして、国の一大事な事件だったために、全ての貴族は、客死事件とその後の顛末を漏らさなかった。
サーバル王国で起きた、マウンテン王国の女王陛下客死事件により、マウンテン王国の貴族が、国のために、非業の死を遂げたことを平民は知らない。
平民には、知らされていない。
マウンテン王国の貴族と平民の、ミーレ長官に対する温度差の原因は、これだ。
知っているか、知らないか。
ミーレ長官のお母さんは、マウンテン王国の女王陛下ではなかったことになったから、マウンテン王国は、ミーレ長官のお母さんの死を取り沙汰しなかった。
ミーレ長官のお母さんが亡くなった時期と、マウンテン王国の先代国王陛下即位した時期が重複しているのは、対外的にそう見えるようにしたんじゃないかな。
ミーレ長官のお母さんが即位した事実を曖昧にしてしまうために。
マウンテン王国側の事実と内情を知ってから、サーバル王国側の行動を振り返ると。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下客死事件が起きたサーバル王国に当時王太子だったミーレ長官が駆けつけたとき。
お母さんに何が起きたかなどを調べようとする、王太子だったミーレ長官に協力的だった理由。
百%の善意から、じゃないな。
ケレメイン大公国で、女王陛下客死事件について、ミーレ長官に知っていることを話してくれたこと。
サーバル王国の政治的な判断が働いている。
サーバル王国にとって、ミーレ長官のお母さんの女王陛下の客死事件は、マウンテン王国の素早い対応で、大っぴらにきれなくなったけれど、政治的なカードであることには変わりはないんだな。
オレは、サーバル王国の国王陛下を甘く見ていた。
サーバル王国の国王陛下は、女神様の裁定が下ったからと大人しくなったりはしなかった。
一国の王として、ミーレ長官のお母さんである女王陛下客死事件でできたミーレ長官との縁を使い、ミーレ長官に揺さぶりをかけるくらいは、するんだな。
サーバル王国の王として、サーバル王国のために。
女王陛下を守れなかったことを責めなくても、罰を与えないわけにはいかない、となると。
一生、女王陛下の菩提を弔うのがちょうどいい、と思ったんだよな。
だから、大罪人と処刑というのが、どうも、結びつかない。
侯爵令嬢ポーリーン・タチバナが、オレに教えてくれた。
「ヒサツグ。
マウンテン王国は、女王陛下の同行者を生かしておくわけにはまいりませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
政治的な理由、だよな?
「外交先のサーバル王国の手前、処罰しないといけなかったとか?」
「それもありますけども。
女王陛下の同行者は、女王陛下が女神様と契約していなかったことを知ってしまいましたわ。
女王陛下の同行者は、マウンテン王国が、外国に漏らすわけにはいかない秘密が露呈することになった事件の目撃者であり、証人でもありました。
サーバル王国が、女王陛下の客死事件について、女王陛下の王たる資質の有無に公に言及しない代わりに。
マウンテン王国は、女王陛下がサーバル王国で客死した事件そのものをなかったことにする必要がありましたの。
マウンテン王国の未来に、禍根を残さないためにですわ。
王たる資質を持たない王は、マウンテン王国に存在しませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
国のために、なんだな。
「サーバル王国が、女王陛下の客死事件で気づいた事実を政治的に利用する前に、証拠となりうる、女王陛下の同行者を処分することで、口封じしたんだな?」
女王陛下が存在していたことは、マウンテン王国にとってマイナスになる。
女王陛下が存在していた事実を葬り去るために、女王陛下について証言し得る人を消した。
消された人の真実を掘り起こさないように、大罪人にとしたのか。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下が即位したことによる爪痕が大きすぎる。
ミーレ長官が、王家の血筋にもかかわらず、貴族に総スカンをくらって、平民の部下しかついてこなかったこと。
ミーレ長官がお母さんである女王陛下亡き後、叔父にあたる先代国王陛下から、服毒自殺を促されたこと。
ミーレ長官の甥に当たる国王陛下の側近が、ミーレ長官と対峙したときの態度の悪さ。
この三つは、同じ理由だ。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下がサーバル王国で客死した事件。
マウンテン王国の王である、女王陛下のサーバル王国行きの同行者に、平民はいなかった。
サーバル王国は、国王陛下の権威が強い。
女王陛下がサーバル王国へ訪問することになったとき、実務レベルの打ち合わせや調整は、あったはず。
女王陛下のサーバル王国行きに協力したのも、尽力したのも。
女王陛下のサーバル王国への道中や訪問中、女王陛下に付き従ったのも。
全部。
マウンテン王国の貴族だ。
マウンテン王国の貴族の中には、家族や仲間、友人が大罪人となり、不条理な死を迎えた後、さらに挽回不可の不名誉な称号を賜ることになった貴族が少なからずいる。
そして、国の一大事な事件だったために、全ての貴族は、客死事件とその後の顛末を漏らさなかった。
サーバル王国で起きた、マウンテン王国の女王陛下客死事件により、マウンテン王国の貴族が、国のために、非業の死を遂げたことを平民は知らない。
平民には、知らされていない。
マウンテン王国の貴族と平民の、ミーレ長官に対する温度差の原因は、これだ。
知っているか、知らないか。
ミーレ長官のお母さんは、マウンテン王国の女王陛下ではなかったことになったから、マウンテン王国は、ミーレ長官のお母さんの死を取り沙汰しなかった。
ミーレ長官のお母さんが亡くなった時期と、マウンテン王国の先代国王陛下即位した時期が重複しているのは、対外的にそう見えるようにしたんじゃないかな。
ミーレ長官のお母さんが即位した事実を曖昧にしてしまうために。
マウンテン王国側の事実と内情を知ってから、サーバル王国側の行動を振り返ると。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下客死事件が起きたサーバル王国に当時王太子だったミーレ長官が駆けつけたとき。
お母さんに何が起きたかなどを調べようとする、王太子だったミーレ長官に協力的だった理由。
百%の善意から、じゃないな。
ケレメイン大公国で、女王陛下客死事件について、ミーレ長官に知っていることを話してくれたこと。
サーバル王国の政治的な判断が働いている。
サーバル王国にとって、ミーレ長官のお母さんの女王陛下の客死事件は、マウンテン王国の素早い対応で、大っぴらにきれなくなったけれど、政治的なカードであることには変わりはないんだな。
オレは、サーバル王国の国王陛下を甘く見ていた。
サーバル王国の国王陛下は、女神様の裁定が下ったからと大人しくなったりはしなかった。
一国の王として、ミーレ長官のお母さんである女王陛下客死事件でできたミーレ長官との縁を使い、ミーレ長官に揺さぶりをかけるくらいは、するんだな。
サーバル王国の王として、サーバル王国のために。
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