445 / 667
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
445.女王陛下客死事件で、マウンテン王国が下した決断、ミーレ長官が貴族から忌避された理由。オレはサーバル王国の国王陛下を甘く見ていました。
しおりを挟む
オレの感覚だと、ミーレ長官のお母さんの女王陛下に同行した人は、国と上司に振り回されて巻き添えをくらった被害者。
女王陛下を守れなかったことを責めなくても、罰を与えないわけにはいかない、となると。
一生、女王陛下の菩提を弔うのがちょうどいい、と思ったんだよな。
だから、大罪人と処刑というのが、どうも、結びつかない。
侯爵令嬢ポーリーン・タチバナが、オレに教えてくれた。
「ヒサツグ。
マウンテン王国は、女王陛下の同行者を生かしておくわけにはまいりませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
政治的な理由、だよな?
「外交先のサーバル王国の手前、処罰しないといけなかったとか?」
「それもありますけども。
女王陛下の同行者は、女王陛下が女神様と契約していなかったことを知ってしまいましたわ。
女王陛下の同行者は、マウンテン王国が、外国に漏らすわけにはいかない秘密が露呈することになった事件の目撃者であり、証人でもありました。
サーバル王国が、女王陛下の客死事件について、女王陛下の王たる資質の有無に公に言及しない代わりに。
マウンテン王国は、女王陛下がサーバル王国で客死した事件そのものをなかったことにする必要がありましたの。
マウンテン王国の未来に、禍根を残さないためにですわ。
王たる資質を持たない王は、マウンテン王国に存在しませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
国のために、なんだな。
「サーバル王国が、女王陛下の客死事件で気づいた事実を政治的に利用する前に、証拠となりうる、女王陛下の同行者を処分することで、口封じしたんだな?」
女王陛下が存在していたことは、マウンテン王国にとってマイナスになる。
女王陛下が存在していた事実を葬り去るために、女王陛下について証言し得る人を消した。
消された人の真実を掘り起こさないように、大罪人にとしたのか。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下が即位したことによる爪痕が大きすぎる。
ミーレ長官が、王家の血筋にもかかわらず、貴族に総スカンをくらって、平民の部下しかついてこなかったこと。
ミーレ長官がお母さんである女王陛下亡き後、叔父にあたる先代国王陛下から、服毒自殺を促されたこと。
ミーレ長官の甥に当たる国王陛下の側近が、ミーレ長官と対峙したときの態度の悪さ。
この三つは、同じ理由だ。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下がサーバル王国で客死した事件。
マウンテン王国の王である、女王陛下のサーバル王国行きの同行者に、平民はいなかった。
サーバル王国は、国王陛下の権威が強い。
女王陛下がサーバル王国へ訪問することになったとき、実務レベルの打ち合わせや調整は、あったはず。
女王陛下のサーバル王国行きに協力したのも、尽力したのも。
女王陛下のサーバル王国への道中や訪問中、女王陛下に付き従ったのも。
全部。
マウンテン王国の貴族だ。
マウンテン王国の貴族の中には、家族や仲間、友人が大罪人となり、不条理な死を迎えた後、さらに挽回不可の不名誉な称号を賜ることになった貴族が少なからずいる。
そして、国の一大事な事件だったために、全ての貴族は、客死事件とその後の顛末を漏らさなかった。
サーバル王国で起きた、マウンテン王国の女王陛下客死事件により、マウンテン王国の貴族が、国のために、非業の死を遂げたことを平民は知らない。
平民には、知らされていない。
マウンテン王国の貴族と平民の、ミーレ長官に対する温度差の原因は、これだ。
知っているか、知らないか。
ミーレ長官のお母さんは、マウンテン王国の女王陛下ではなかったことになったから、マウンテン王国は、ミーレ長官のお母さんの死を取り沙汰しなかった。
ミーレ長官のお母さんが亡くなった時期と、マウンテン王国の先代国王陛下即位した時期が重複しているのは、対外的にそう見えるようにしたんじゃないかな。
ミーレ長官のお母さんが即位した事実を曖昧にしてしまうために。
マウンテン王国側の事実と内情を知ってから、サーバル王国側の行動を振り返ると。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下客死事件が起きたサーバル王国に当時王太子だったミーレ長官が駆けつけたとき。
お母さんに何が起きたかなどを調べようとする、王太子だったミーレ長官に協力的だった理由。
百%の善意から、じゃないな。
ケレメイン大公国で、女王陛下客死事件について、ミーレ長官に知っていることを話してくれたこと。
サーバル王国の政治的な判断が働いている。
サーバル王国にとって、ミーレ長官のお母さんの女王陛下の客死事件は、マウンテン王国の素早い対応で、大っぴらにきれなくなったけれど、政治的なカードであることには変わりはないんだな。
オレは、サーバル王国の国王陛下を甘く見ていた。
サーバル王国の国王陛下は、女神様の裁定が下ったからと大人しくなったりはしなかった。
一国の王として、ミーレ長官のお母さんである女王陛下客死事件でできたミーレ長官との縁を使い、ミーレ長官に揺さぶりをかけるくらいは、するんだな。
サーバル王国の王として、サーバル王国のために。
女王陛下を守れなかったことを責めなくても、罰を与えないわけにはいかない、となると。
一生、女王陛下の菩提を弔うのがちょうどいい、と思ったんだよな。
だから、大罪人と処刑というのが、どうも、結びつかない。
侯爵令嬢ポーリーン・タチバナが、オレに教えてくれた。
「ヒサツグ。
マウンテン王国は、女王陛下の同行者を生かしておくわけにはまいりませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
政治的な理由、だよな?
「外交先のサーバル王国の手前、処罰しないといけなかったとか?」
「それもありますけども。
女王陛下の同行者は、女王陛下が女神様と契約していなかったことを知ってしまいましたわ。
女王陛下の同行者は、マウンテン王国が、外国に漏らすわけにはいかない秘密が露呈することになった事件の目撃者であり、証人でもありました。
サーバル王国が、女王陛下の客死事件について、女王陛下の王たる資質の有無に公に言及しない代わりに。
マウンテン王国は、女王陛下がサーバル王国で客死した事件そのものをなかったことにする必要がありましたの。
マウンテン王国の未来に、禍根を残さないためにですわ。
王たる資質を持たない王は、マウンテン王国に存在しませんでしたの。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
国のために、なんだな。
「サーバル王国が、女王陛下の客死事件で気づいた事実を政治的に利用する前に、証拠となりうる、女王陛下の同行者を処分することで、口封じしたんだな?」
女王陛下が存在していたことは、マウンテン王国にとってマイナスになる。
女王陛下が存在していた事実を葬り去るために、女王陛下について証言し得る人を消した。
消された人の真実を掘り起こさないように、大罪人にとしたのか。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下が即位したことによる爪痕が大きすぎる。
ミーレ長官が、王家の血筋にもかかわらず、貴族に総スカンをくらって、平民の部下しかついてこなかったこと。
ミーレ長官がお母さんである女王陛下亡き後、叔父にあたる先代国王陛下から、服毒自殺を促されたこと。
ミーレ長官の甥に当たる国王陛下の側近が、ミーレ長官と対峙したときの態度の悪さ。
この三つは、同じ理由だ。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下がサーバル王国で客死した事件。
マウンテン王国の王である、女王陛下のサーバル王国行きの同行者に、平民はいなかった。
サーバル王国は、国王陛下の権威が強い。
女王陛下がサーバル王国へ訪問することになったとき、実務レベルの打ち合わせや調整は、あったはず。
女王陛下のサーバル王国行きに協力したのも、尽力したのも。
女王陛下のサーバル王国への道中や訪問中、女王陛下に付き従ったのも。
全部。
マウンテン王国の貴族だ。
マウンテン王国の貴族の中には、家族や仲間、友人が大罪人となり、不条理な死を迎えた後、さらに挽回不可の不名誉な称号を賜ることになった貴族が少なからずいる。
そして、国の一大事な事件だったために、全ての貴族は、客死事件とその後の顛末を漏らさなかった。
サーバル王国で起きた、マウンテン王国の女王陛下客死事件により、マウンテン王国の貴族が、国のために、非業の死を遂げたことを平民は知らない。
平民には、知らされていない。
マウンテン王国の貴族と平民の、ミーレ長官に対する温度差の原因は、これだ。
知っているか、知らないか。
ミーレ長官のお母さんは、マウンテン王国の女王陛下ではなかったことになったから、マウンテン王国は、ミーレ長官のお母さんの死を取り沙汰しなかった。
ミーレ長官のお母さんが亡くなった時期と、マウンテン王国の先代国王陛下即位した時期が重複しているのは、対外的にそう見えるようにしたんじゃないかな。
ミーレ長官のお母さんが即位した事実を曖昧にしてしまうために。
マウンテン王国側の事実と内情を知ってから、サーバル王国側の行動を振り返ると。
ミーレ長官のお母さんの女王陛下客死事件が起きたサーバル王国に当時王太子だったミーレ長官が駆けつけたとき。
お母さんに何が起きたかなどを調べようとする、王太子だったミーレ長官に協力的だった理由。
百%の善意から、じゃないな。
ケレメイン大公国で、女王陛下客死事件について、ミーレ長官に知っていることを話してくれたこと。
サーバル王国の政治的な判断が働いている。
サーバル王国にとって、ミーレ長官のお母さんの女王陛下の客死事件は、マウンテン王国の素早い対応で、大っぴらにきれなくなったけれど、政治的なカードであることには変わりはないんだな。
オレは、サーバル王国の国王陛下を甘く見ていた。
サーバル王国の国王陛下は、女神様の裁定が下ったからと大人しくなったりはしなかった。
一国の王として、ミーレ長官のお母さんである女王陛下客死事件でできたミーレ長官との縁を使い、ミーレ長官に揺さぶりをかけるくらいは、するんだな。
サーバル王国の王として、サーバル王国のために。
50
お気に入りに追加
1,680
あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)
エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。
魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。
若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。
*以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。
お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。
なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。
こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)


嫌われものの僕について…
相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。
だか、ある日事態は急変する
主人公が暗いです

どうも、卵から生まれた魔人です。
べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。
太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。
るるらら
BL
俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!
実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。
一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!
前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。
!注意!
初のオメガバース作品。
ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。
バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。
!ごめんなさい!
幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に
復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!


嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる