《本編 完結 続編 完結》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

428.ドリアン王国民とサーバル王国民の違いについて聞いています。ミーレ長官のお母さん、マウンテン王国の女王陛下の客死事件について。

ドリアン王国で、魔王による消失が起きた記録はない、ということは。

「ドリアン王国に、女神様の恋人がいたことは、なかったんだよな？」

「サーバル王国が記録をとり始める前には、いたかもしれませんが、記録をとり始めてからは、いません、ずべし。」
とサーバル王国の若手。

なるほどな。

サーバル王国は、国を豊かにするために、国王陛下が女神様の恋人になる研究を進めた。

サーバル王国のお隣のドリアン王国は、国の発展に女神様をあてにしなかった。

ドリアン王国は、豊かな外国の技術を持っている国民をドリアン王国民と結婚して、ドリアン王国に受け入れるという作戦で豊かになった。

事実だけを見ると、ドリアン王国は、堅実に現実的な作戦を実行したことで、豊かになってきたんだな。

サーバル王国の女神様と国王陛下の恋人計画は、国王陛下が恋人になる日が来なかったために、女神様を中心に起きる歴史を研究する女神様学という学問に進化したのかなー。

気になっている点を一つずつ確認していこう。

「サーバル王国に、ドリアン王国のスパイが入り込んできたら、サーバル王国は、サーバル王国人か、ドリアン王国人かの区別はつくかな？」

ドリアン王国の侯爵子息とサーバル王国の王女様の身体的特徴の違いが、男女の区別以外、オレには分からない。

ミーレ長官のお母さんがサーバル王国で客死した事件の犯人探しが、オレの念頭にある。

木を隠すなら森。

人を隠すなら？

サーバル王国にいる平民が、サーバル王国民かドリアン王国民か、見分けがつくかな？

「つきます、ずべし。

ドリアン王国とサーバル王国は、隣り合っていますが、国民の考え方や行動の仕方が同じではないのです、ずべし。」
とサーバル王国の若手。

言動が違うのか。

「外国からサーバル王国に来た人には、サーバル王国内にいるサーバル王国民とドリアン王国民の見分けはつくかな？」

「国民性の違いを熟知していれば、分かると思います、ずべし。」
とサーバル王国の若手。

国民性の違いを知っているかどうか。

「各国の国民性の違いは、誰でも知っているのかな？

政治に関わっている人じゃないと知る機会はないのかな？」

マウンテン王国の女王陛下だったミーレ長官のお母さんは、違いを知っていたかな？

サーバル王国の国王陛下ご夫妻は、違いを熟知していると思うけど。

「平民でも、各国を行き来するような層は知っています、ずべし。

政治に精通している人は、サーバル王国民とドリアン王国民の違いが分かると思います、ずべし。」
とサーバル王国の若手。

ミーレ長官のお母さんのマウンテン王国の女王陛下は、マウンテン王国の改革の相談をしに、サーバル王国に来ていた。

ミーレ長官のお母さんの興味の対象は、平民じゃなくて貴族だった。

ドリアン王国民とサーバル王国民、国民性の違いを把握していなかったかもしれない。

視察地にいたサーバル王国の平民が、どちらの国の国民か、なんて。

ミーレ長官のお母さんの女王陛下の頭にはなかったんじゃないかな？

サーバル王国とドリアン王国の実情を知らなかったら、思い至らない。

サーバル王国もドリアン王国も、実情を大っぴらにしない。

侵略されている国と、侵略している国だと言うことは、隠していたと思う。

今、オレが知る機会を得たのは、サーバル王国の若手や王女様と信頼関係を築けたから。

ミーレ長官のお母さんの女王陛下が、サーバル王国にいる平民は、サーバル王国民だと疑いを持たなくても、おかしいことはない。

ミーレ長官のお母さんの女王陛下が、サーバル王国民だと思って接していたら、実は、サーバル王国にスパイしにきたドリアン王国民で、マウンテン王国の女王陛下に接触しにきた、ということは？

可能性なら。

可能性は、ある。

マウンテン王国の貴族の力をそぎたい女王陛下に、ドリアン王国のスパイが接触してきた、としたら。

女王陛下の死因は、公にするわけにはいかないだろうな。

マウンテン王国も、サーバル王国も、ドリアン王国も。

オレは、気を取り直した。

「ドリアン王国とサーバル王国の平民同士が結婚することは、あるのかな？」

ドリアン王国の国民性から考えると。

ドリアン王国より豊かではないサーバル王国の人と結婚するメリットは、ないような気がする。

「よくあります、ずべし。」
とサーバル王国の若手。

意外だなー。