《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

420.タヌキ顔とデベソの容姿のまま生きていくことについて、無期限に悩むわけにはいきません。仕事が始まる前に、折り合いをつけなければ?

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ほっとしている、サーバル王国の若手の皆さんと王女様に、オレは現実を伝えることも忘れない。

「愛こんにゃく家の結婚式で容姿を見せなくても、サーバル王国では、今の容姿を見せることになる。」

サーバル王国の王女様と若手の皆さんのほっとした雰囲気が、一気に暗くなった。

容姿の話を持ち出せば、オレと女神様以外が暗くなることは、予想していた。

誰かが、現実を言わないわけにはいかないから、オレは言う。

サーバル王国の若手の皆さんと王女様が、サーバル王国に帰ってからのことを考えると。

女神様がいる愛こんにゃく家の結婚式のタイミングで、今の容姿を見せておく方が、サーバル王国に帰国後に初めて見せるよりも、インパクトが多少薄くなるかもしれない。

とはいえ、心が受け入れないままなら、容姿を見せるのは止めておいたらいいと思う。

ただ、
愛こんにゃく家の幸せな結婚式に、不幸せな感情はいらないという意思表示はしておこう。

「愛こんにゃく家の結婚式の主役は、愛こんにゃく家。

愛こんにゃく家の結婚式を、愛こんにゃくがの望まない式にはしない。

愛こんにゃく家は、思い出すたびに、結婚式のことを幸せに思い返せる式というのを希望している。

オレは愛こんにゃく家の結婚式を国家行事にする分、愛こんにゃく家自身が満足のいく式にする。

サーバル王国の若手の皆さんと王女様が容姿を見せることに対して、気乗りがしないなら。

結婚式では、姿を隠したまま過ごしてもらう。

どんな事情があっても、愛こんにゃく家の新しい門出を祝福できない人は、愛こんにゃく家の結婚式には出さない。」

サーバル王国の皆さんと王女様は、暗くなったまま、愛こんにゃく家の結婚式についての、オレ考え方に同意してくれた。

女神様が参加する愛こんにゃく家の結婚式で容姿を見せるなら、王女様達の容姿の変化だけに話題が集中しないんじゃないかな、とは思うけど、確証がないことは言えないよな。

「サーバル王国の王女様と若手の皆さんは、今日明日の話じゃないけれど、容姿を見せる決心は、早めにした方がいいぞ。

早めに、というのは、期限があるということ。」

「期限、ずべし?」
と王女様。

「具体的な期限は、愛こんにゃく家の結婚式が終わって、サーバル王国の皆さんと王女様が帰国する前。」

納得しきれていない王女様とサーバル王国の若手に皆さんに、オレは説明を足すことにした。

「王女様と若手の皆さんが、サーバル王国でする仕事は、一生、容姿を見せないままできる仕事じゃないからな。

女神様の裁定が下ったことがない人との交流が、仕事の大部分を占める。

仕事が始まる前に、自分自身と折り合いをつけて、今の容姿で生きていくことを自分の中で受け入れないと、仕事が辛くなるかもしれない。

サーバル王国の王女様と若手の皆さんに、仕事をしないという選択肢は、基本的にないぞ。

サーバル王国の王女様と若手の皆さんが、仕事をしない人、仕事ができない人、になったら。

オレは、問答無用でクビにして放り出し、サーバル王国に損害賠償を請求する。

サーバル王国が、ケレメイン大公国かオレか、に支払うことになる賠償金をどこから調達するか、だけど。

サーバル王国が、国庫から出さなければ、王女様と若手の皆さん自身が働いて払うことになるんじゃないかな。」

オレの話に、さらに暗くなっている。

「オレは、今の容姿込みで働いてもらうつもりでいる。

オレがクビにした後、今の容姿込みで、これまでの経歴と併せて働けるところはどんな仕事か考えたりもした方がいい。

一人一人、自分自身の気持ちを考えて、サーバル王国の内部でまとめてから、報告してくれ。」

「分かった、ずべし。」
と王女様。

「それがいいでしょう、ずべし。」
とサーバル王国の若手。

「ドリアン王国の侯爵子息は、わたくしの容姿の変化を耳にした、ずべし?」
と王女様。
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