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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。
394.友達に弱音をはいたら、励ましてもらいました。
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「ヒサツグは、精力的に活動していますのね。
ヒサツグの活躍は、わたくしの発奮材料になりますわ。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
「いや、オレは、久しぶりにあった友達の成長ぶりが著しくて、眩しいぞ。」
「そうでしょうか?」
と言う侯爵令嬢ポーリーン・タチバナは、納得いってなさそうだ。
「王姉殿下スナメリ様は、国の代表としての振る舞いが板についたよな。
ポーリーンは、宰相という目標を掲げて、仕事に自信を持って取り組んでいるだろう?」
宰相の娘として、とやかく言う人を、実力で黙らせたのか、納得させたのか。
仕事を始めたときにはあった、仕事をすることへの迷いがなくなっている。
王姉殿下スナメリ様は、嬉しそう。
「大人になってからはさ、褒められる機会が減るよなー。
いいと思ったところは、褒めるぞ、オレは。」
「イスペルは、騎士団長がいなくても、自分の意思で決めたり、発言したり、疑問を呈したりということが自然にできるようになっただろう?」
騎士団長の影に守られているだけだったときの名残りは、もうない。
騎士団長の甥イスペル・シャムは、照れくさそう。
「ムールは、自立する、という目的に向かって、前に進んでいる。」
司祭の従兄弟ムール・ドローは、当然、という顔をしている。
「クロードの婚約者候補だったときの四人は、人生の踊り場で、どんぐりの背比べをしていたとオレは思う。」
「地味な木の実?」
と司祭の従兄弟ムール・ドローは、不満げ。
「今の四人は、それぞれの人生を楽しんでいるから、どんぐりじゃなくなったぞ?
四人の成長スピードの速さに頑張っているんだなー、と感心する反面。
オレの成長を思うと、亀の歩みに思えてくるんだよなー。」
人それぞれとは言うもののさ。
オレ、自分のことに精一杯だったなー。
それが、うまくいかない原因だったのかもしれない。
オレは、オレが思うよりも周りを見れていなかった。
日本で、後輩の指導をしたり、リーダーをしたときは、こんなに、大変だったかな?
なんで、こんなに大変なんだろう。
考えてみるとさ。
オレ自身の成長は、微々たるもの。
オレ自身は、そんなに変わっていないと思う。
人の上に立つのは、簡単じゃない。
それは、痛いほど分かっている。
思うようにならない、というもどかしさがずっとつきまとっている。
何も達成できない無力感に苛まれても、放り出したくはない。
オレが生きると決めた場所で生きていくには、放り出すわけにはいかないから。
自分で全部できる程の何かを、何も持ち合わせていないオレは、色んな人におんぶに抱っこで人の上に立つことになるんだけどさ。
おんぶに抱っこ、なんだよなー。
オレがおんぶに抱っこしてもいいよ、と言ってくれる人間関係を作るところからつまずいて。
マイナスからのスタート。
今まで、下げ続けてきたけれど、やっと下げ止まった気がする。
後は上がるだけ。
そう考えたら、浮上してきた。
「俺は、今回、騎士として初めて頼りにされている。」
と騎士団長の甥イスペル・シャム。
「団長だからかな?」
「クロード様の横で生きることしか考えてこなかったときの俺は、騎士として、仲間が背中を預けるには不安になる存在だった。
当時の俺は、騎士団長の甥であることを良しとしてきたけど。
良しとしてはだめだった、と気づけた。
周りの騎士は、騎士団長の意向に添って、俺をあしらっていただけだった。
騎士仲間として、俺自身と向き合う必要性を、周りの騎士は感じていなかった。
俺が、騎士団長の甥であることを自慢に思っていたから、気づかなかったんだ。
騎士団長を通して俺を見るんじゃなく、俺自身を見てもらうにはどうすればいいかを、俺は考えるようになった。
最初は、全く変わったことに気づかれなかったけど。
今は、話を聞いてくれるようになった。」
と騎士団長の甥イスペル・シャム。
騎士団長の甥イスペル・シャムが、言葉を尽くして、オレを励ましている!
友達に励まされるって、いいよなー。
「ありがとう。」
ヒサツグの活躍は、わたくしの発奮材料になりますわ。」
と侯爵令嬢ポーリーン・タチバナ。
「いや、オレは、久しぶりにあった友達の成長ぶりが著しくて、眩しいぞ。」
「そうでしょうか?」
と言う侯爵令嬢ポーリーン・タチバナは、納得いってなさそうだ。
「王姉殿下スナメリ様は、国の代表としての振る舞いが板についたよな。
ポーリーンは、宰相という目標を掲げて、仕事に自信を持って取り組んでいるだろう?」
宰相の娘として、とやかく言う人を、実力で黙らせたのか、納得させたのか。
仕事を始めたときにはあった、仕事をすることへの迷いがなくなっている。
王姉殿下スナメリ様は、嬉しそう。
「大人になってからはさ、褒められる機会が減るよなー。
いいと思ったところは、褒めるぞ、オレは。」
「イスペルは、騎士団長がいなくても、自分の意思で決めたり、発言したり、疑問を呈したりということが自然にできるようになっただろう?」
騎士団長の影に守られているだけだったときの名残りは、もうない。
騎士団長の甥イスペル・シャムは、照れくさそう。
「ムールは、自立する、という目的に向かって、前に進んでいる。」
司祭の従兄弟ムール・ドローは、当然、という顔をしている。
「クロードの婚約者候補だったときの四人は、人生の踊り場で、どんぐりの背比べをしていたとオレは思う。」
「地味な木の実?」
と司祭の従兄弟ムール・ドローは、不満げ。
「今の四人は、それぞれの人生を楽しんでいるから、どんぐりじゃなくなったぞ?
四人の成長スピードの速さに頑張っているんだなー、と感心する反面。
オレの成長を思うと、亀の歩みに思えてくるんだよなー。」
人それぞれとは言うもののさ。
オレ、自分のことに精一杯だったなー。
それが、うまくいかない原因だったのかもしれない。
オレは、オレが思うよりも周りを見れていなかった。
日本で、後輩の指導をしたり、リーダーをしたときは、こんなに、大変だったかな?
なんで、こんなに大変なんだろう。
考えてみるとさ。
オレ自身の成長は、微々たるもの。
オレ自身は、そんなに変わっていないと思う。
人の上に立つのは、簡単じゃない。
それは、痛いほど分かっている。
思うようにならない、というもどかしさがずっとつきまとっている。
何も達成できない無力感に苛まれても、放り出したくはない。
オレが生きると決めた場所で生きていくには、放り出すわけにはいかないから。
自分で全部できる程の何かを、何も持ち合わせていないオレは、色んな人におんぶに抱っこで人の上に立つことになるんだけどさ。
おんぶに抱っこ、なんだよなー。
オレがおんぶに抱っこしてもいいよ、と言ってくれる人間関係を作るところからつまずいて。
マイナスからのスタート。
今まで、下げ続けてきたけれど、やっと下げ止まった気がする。
後は上がるだけ。
そう考えたら、浮上してきた。
「俺は、今回、騎士として初めて頼りにされている。」
と騎士団長の甥イスペル・シャム。
「団長だからかな?」
「クロード様の横で生きることしか考えてこなかったときの俺は、騎士として、仲間が背中を預けるには不安になる存在だった。
当時の俺は、騎士団長の甥であることを良しとしてきたけど。
良しとしてはだめだった、と気づけた。
周りの騎士は、騎士団長の意向に添って、俺をあしらっていただけだった。
騎士仲間として、俺自身と向き合う必要性を、周りの騎士は感じていなかった。
俺が、騎士団長の甥であることを自慢に思っていたから、気づかなかったんだ。
騎士団長を通して俺を見るんじゃなく、俺自身を見てもらうにはどうすればいいかを、俺は考えるようになった。
最初は、全く変わったことに気づかれなかったけど。
今は、話を聞いてくれるようになった。」
と騎士団長の甥イスペル・シャム。
騎士団長の甥イスペル・シャムが、言葉を尽くして、オレを励ましている!
友達に励まされるって、いいよなー。
「ありがとう。」
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