《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
372 / 667
第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

372.愛こんにゃく家が帰国しました。ご家族と上機嫌な女神様と一緒に。予定にないお客様を連れて。お久しぶりですが、お変わりありませんか?

しおりを挟む
俺とクロードが愛の供給をした翌日。

愛こんにゃく家と女神様が、愛こんにゃく家の家族を連れて帰国した。

オレは、いそいそと、国境へ愛こんにゃく家と女神様を迎えに行った。

無事に帰ってきてくれた愛こんにゃく家の顔を見て、安心したいオレがいる。

上司に言われて、東京で結婚式場を予約した後、結婚式の打ち合わせを一緒にして、結婚式にも出てほしいから、家族を呼びに、実家に帰ります的な状況だからな。

愛こんにゃく家に、女神様を連れて、家族の迎えに行かせたときは、女神様がいるから、問題ないと思って行かせたんだけどなー。

愛こんにゃく家のご家族は、息子の上司のオレは、無茶振りに付き合わされることになっていると、今さらながら気づいた。

身分制度を考えれば、オレが恐縮する必要はないんだけどさ。

愛こんにゃく家の家族は、愛こんにゃく家のこんにゃく愛を受け入れて、愛こんにゃくの結婚式を楽しみにしていたから、苦労はしても楽しかったと思ってほしいんだよな。

愛こんにゃく家のご家族には、歓迎していることを伝えるぞとオレは意気込んでいた。

隣国で働いている息子が帰ってくるなり、女神様が見たがっている結婚式の相談と手伝いと出席を、女神様の前で頼んできたら、ご家族も肝をつぶしたと思う。

心の準備も旅の準備をする時間を与えないで、ご家族をお招きしたから、ご家族の負担は大きかったはず。

オレと女神様の都合で、愛こんにゃく家のご家族に準備期間を作ることは、難しかった。

愛こんにゃく家が結婚式を挙げて良かったとご家族に思ってもらえるように場を整えるのが、オレの役目だと伝えて、愛こんにゃく家のご家族にも安心してもらうぞ。

オレは、愛こんにゃく家と女神様の姿を見つけた。

女神様のご機嫌は、良さそうだ。

「愛こんにゃく家と女神様、お帰り。
結婚式の打ち合わせが、楽しみだな。
女神様も、道中、知らないことを知れたかな?
愛こんにゃく家のご家族は、よく来てくれた。」

オレが、愛こんにゃく家と女神様、見覚えがある愛こんにゃく家の家族、と順番に声をかけていると。

「友人が来たよ。元気そうで安心している。」

友人なら、先に友人の都合を聞きにこい。

「また会える機会に恵まれたことに感謝する。」

会える機会を作ったのは、オレじゃないぞ?

「あなたの仕事ぶりを見分しにきましたわ。」

お変わりなさそうで。

「国を代表して、一足早く招かれにきた。」

招かれにきた、って正直だなー。

愛こんにゃく家の家族ではない人達が、愛こんにゃく家の家族の後ろにいた。

一人も呼んでいないのに。

四人も。

よく知った顔ぶれが嬉しそうに手を降ったり、ニコニコしている。

懐かしい顔ぶれだから、再会できて嬉しい気持ちもオレの中にはあるけれどな。

この世界には、訪問前に、アポイントをとる習慣がないのかなー?

先触れを出して、訪問したいと伝える習慣は、貴族間にあるぞー?

貴族のお客様を迎える場合は、準備がいるんだ。

知らないのかなー?

と言おうとして、この四人のうち、三人は知らないかもしれない、と気づいた。

知らない三人が、知っている一人よりも、圧倒的に立場が上。

三人が揃って意見を聞く体勢になってくれていたら、知っている一人は意見を出せる。

話題にすらならなければ、意見を出す機会がないだろうなー。

地位が上の三人はなー、先触れを出すとかいう事務的な手続きを周りが全部しているだろうからなー。

何も言わなくても仕事をしてくれる人に囲まれていたらなー。

イレギュラーなときに、自分で号令をかけないと、なんてことには、気づかないよな。

オレは、この何日間の目まぐるしさを思い起こす。

サーバル王国の人には、未婚者は来るな、と言ったのに来た。

ドリアン王国の侯爵子息はクロードの秘書として入り込んできた。

後四人増えるくらい、なんてことないよな?

オレも話せる相手が来て嬉しい。

国を代表として来たというなら、四人を国を代表して受け入れよう。

このときのオレは、四人だけだと思っていた。

四人を受け入れたら、四人についてきた人も受け入れることになる。

護衛やら使用人やらという存在がいて当たり前の人達だということが、頭からすっぽり抜け落ちていた。

オレの中の庶民感覚が、忘れさせてしまうんだよな。

「ようこそ、を言う前に、一つだけ。

次は、『行きたいけど、いつがいいか』と先にオレに連絡して、オレと連絡がついて、日にちや段取りが決まってから来てほしいぞ、オレは。

分かったかなー?」

「先触れを誰も?」
と聞いてくる。

「先触れはなかったなー。
オレは、愛こんにゃく家と女神様と愛こんにゃく家の家族を迎えに来たから、ここにいる。」

「それは、失礼しましたわ。突然押しかけた形になってしまいましたわね。」

このとき、四人のうちの一人が、後ろを振り返ったことで、オレはお供の存在に気づいた。

オレは、オレについてきたうちの二人に城へ戻り、クロードに来客を伝え、来客の準備を進めるようにと指示を出した。

「四人とも、オレの友人として歓迎するぞ。」

「まあ、友人だから。たまに、こういうこともね。」
と司祭の従兄弟。

「仲良しですもの。友人になっても仕方ありませんわ。」
とマウンテン王国の侯爵令嬢。

「友人か、よい響きだ。」
とマウンテン王国の近衛騎士団長の甥。

「歓迎されることにしよう。」
とマウンテン王国の王姉殿下。
しおりを挟む
感想 84

あなたにおすすめの小説

どうしてこうなった?(ショートから短編枠にしたもの)

エウラ
BL
3歳で魔物に襲われて両親を亡くし、孤児院育ちの黒髪黒目で童顔のノヴァは前世の記憶持ちの異世界転生者だ。現在27歳のCランク冒険者。 魔物に襲われたときに前世の記憶が甦ったが、本人は特にチートもなく平々凡々に過ごしていた。そんなある日、年下22歳の若きSランク冒険者のアビスと一線を越える出来事があり、そこで自分でも知らなかった今世の過去を知ることになり、事態は色々動き出す。 若干ストーカー気味なわんこ系年下冒険者に溺愛される自己評価の低い無自覚美人の話。 *以前ショート専用の枠で書いてましたが話数増えて収拾がつかなくなったので短編枠を作って移動しました。 お手数おかけしますがよろしくお願いいたします。 なお、プロローグ以降、途中まではショートの投稿分をまるっと載せるのでそちらと重複します。ご注意下さい。出来次第投稿する予定です。 こちらはR18には*印付けます。(でも忘れたらすみません)

嫌われものの僕について…

相沢京
BL
平穏な学校生活を送っていたはずなのに、ある日突然全てが壊れていった。何が原因なのかわからなくて気がつけば存在しない扱いになっていた。 だか、ある日事態は急変する 主人公が暗いです

どうも、卵から生まれた魔人です。

べす
BL
卵から生まれる瞬間、人間に召喚されてしまった魔人のレヴィウス。 太った小鳥にしか見えないせいで用無しと始末されそうになった所を、優しげな神官に救われるのだが…

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら
BL
 俺はアルディウス。とある貴族の生まれだが今は冒険者として悠々自適に暮らす26歳!  実は俺には秘密があって、前世の記憶があるんだ。日本という島国で暮らす一般人(サラリーマン)だったよな。事故で死んでしまったけど、今は転生して自由気ままに生きている。  一人で生きるようになって数十年。過去の人間達とはすっかり縁も切れてこのまま独身を貫いて生きていくんだろうなと思っていた矢先、事件が起きたんだ!  前世持ち特級Sランク冒険者(α)とヤンデレストーカー化した幼馴染(α→Ω)の追いかけっ子ラブ?ストーリー。 !注意! 初のオメガバース作品。 ゆるゆる設定です。運命の番はおとぎ話のようなもので主人公が暮らす時代には存在しないとされています。 バースが突然変異した設定ですので、無理だと思われたらスッとページを閉じましょう。 !ごめんなさい! 幼馴染だった王子様の嘆き3 の前に 復活した俺に不穏な影1 を更新してしまいました!申し訳ありません。新たに更新しましたので確認してみてください!

【完結】悪役令息の役目は終わりました

谷絵 ちぐり
BL
悪役令息の役目は終わりました。 断罪された令息のその後のお話。 ※全四話+後日談

αからΩになった俺が幸せを掴むまで

なの
BL
柴田海、本名大嶋海里、21歳、今はオメガ、職業……オメガの出張風俗店勤務。 10年前、父が亡くなって新しいお義父さんと義兄貴ができた。 義兄貴は俺に優しくて、俺は大好きだった。 アルファと言われていた俺だったがある日熱を出してしまった。 義兄貴に看病されるうちにヒートのような症状が… 義兄貴と一線を超えてしまって逃げ出した。そんな海里は生きていくためにオメガの出張風俗店で働くようになった。 そんな海里が本当の幸せを掴むまで…

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

処理中です...