《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

352.クロードは、密かに計画を立てていました。今日のクロードがオレを可愛がろうとするまでに時間がかかった理由は、タペストリーだったのです。

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オレには、元神子様のカズラくんがいるように、クロードにも、付かず離れずで付き合える友人が一人くらいいたら、今よりも楽になりそうな気がするんだよなー。

クロードのマウンテン王国の友人は、友人の皮をかぶったなんとやら、だったからさ。

しがらみ抜きで、利益になるなら協力する、くらいのスタンスの同性の友人がいると、肩の力を抜くことができる。

今のカズラくんが、オレにとっての、肩の力を抜ける相手。

オレもカズラくんも、互いに対する責任は持たない。

寄りかからない、寄りかからせない。

協力には、利益と見返りを。

オレとカズラくんは、互いのために、自立した関係を維持すると決めているる。

「クロード、ドリアン王国の侯爵子息が、クロードに忖度しないから、クロードが心のままに話をして、クロードと侯爵子息は互いに意見を出し合えたんだよな?

侯爵子息が、きっちり仕事をする人なら、これから、程よい距離感を探していけるといいなー。」

「仕事はしていた。私と話をしながら。」
とクロード。

胸派と尻派の激論を交わしながら、仕事ができるのは、優秀だと思う。

クロードと対等に話ができる人がいるのは助かる。

特に、国外では。

クロードの立場はまだ不安定だからな。

ドリアン王国の侯爵子息については、後にしよう。

ベッドタイムは、このままオレのリードで。

「クロード。オレ達はいつも通りに愛し合うのがいいと思う。」

「今日は、いつもと違うことをヒサツグとする。」
とクロード。

まだ、切っていないスイッチが、クロードにはあったのかなー?

入りっぱなしだったのかなー?

入りっぱなしのスイッチは、なんのスイッチかなー?

「クロード。今日はって言ったよな?
今日のオレ達は、何をするのかなー?
どうして、今日はいつもと違うことをしたいのか、クロードが教えてくれないかなー?」

オレは、クロードの背中を上から下から撫でている。

温かくて、撫でているだけで、幸福感を味わえる。

クロードの背中は気持ちいいなー。

「私達のタペストリーを作ることにした。」
とクロード。

タペストリー。
ほう。

「城に飾るんだよな?
タペストリーが、今日のプレイとどう関係してくるのかなー?」

マウンテン王国の王都邸にいるとき、ケレメイン公爵家の紋章のタペストリーがかかっているのを見たぞ。

ケレメイン大公家の城にも、紋章のタペストリーはかかっている。

「私とヒサツグの夫婦の日常を、タペストリーに残すことにした。」
とクロード。

この世界の王侯貴族は、家族写真の代わりに、絵やタペストリーを作る。

「夫婦の日常。
食卓での食事や、散歩している場面かなー。」

「それでは、ありきたり過ぎる。」
とクロード。

うーん、一捻りがほしいのか。

クロードは、生粋の貴族だから、目が肥えているもんな。

オレは、中学の美術の教科書レベルしか知らないけれど。

美術はなー、好きか嫌いかしか、感想がないから、良し悪しのポイントが一つも分からない。

そんなオレに、タペストリーの美を語るのは、難しい。

「ありきたりが大事なこともあるけど、一捻りするなら、生地に工夫するとか、特殊な織り方をするとかは、どうかな?」

オレは、美術じゃなく、技術で話をしようとした。

「食事を私達の日常の風景にしてしまうには、物足りない。」
とクロード。

普段の食事は、絵にすると映えないからなー。

「クロードの希望は何かな?」

「私とヒサツグが営む姿を。」
とクロード。

オレは、己の耳を疑った。

「クロード。
オレとクロードの夫婦生活をタペストリーにしたい、とそう聞こえた気がするんだけど、聞き間違いだよなー?」

冗談は、言わないクロードなので、是非、聞き間違いで。

もしくは、言い間違いであってほしい。

「聞き間違いではない。
私とヒサツグの愛の交歓をタペストリーにする。

ヒサツグ。
今日は、構図を決めるために長丁場を覚悟してほしい。」
とクロード。

か、か、覚悟なんて、してたまるかー!

自分の性交場面をタペストリーに?

クロード!

オレには、露出趣味もなければ、記録して見直す趣味もないぞ?

ましてや、見て、オレ抱かれているんだ、このときは、なかなかイかせてもらえなくて、とか、タペストリー見ながら、誰かと話なんて、絶対しないぞ!

しないからな!

オレは、ガクブルした。

クロード。
十八禁ショップにしかないようなタペストリーを城のどこにかける気だ?

「それは、なかったことにしないかなー?」
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