《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

344.スパイさんは、ドリアン王国の侯爵子息でした。サーバル王国の王女様目当てだといいますが?サーバル王国の王女様のお気持ちは、いかに?

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駆けつけてきたミーレ長官は、スパイさんを見て、複雑そうな目になった。

「ドリアン王国の侯爵家の御子息に似ていらっしゃいます。」
とミーレ長官。

ドリアン王国かー。

マウンテン王国でも、サーバル王国でもない、新顔が登場したぞー。

侯爵子息が、スパイって、堂々とし過ぎじゃないかな?

「あんたは、ドリアン王国の侯爵家の子息なのかなー?

サーバル王国の王女様に会うなら、ケレメイン大公国に来る必要はあったのかなー?」

「ケレメイン大公妃は、お勉強が足りていないんですか?」

スパイさんは、賢そうな見た目をしている。

見下した話し方を標準装備していなければ、好感が持てるタイプだと思う。

クロードを疲れさせる男に対するオレの好感度は、マイナスだけどな。

「そう考えた理由は、何かな?」

「他国の侯爵子息じゃ、サーバル王国の王女様とお会いする機会なんて、持てませんよ。」

「ケレメイン大公国に来たら、王女様に会えるというのは、外国で会えば段取りが省けるからかな?」

やんごとなき生まれの未婚の男女が会うのは、簡単じゃないんだろうな。

「ケレメイン大公国は、王女様の密会くらい、見過ごすでしょう?」

オイ!

「密会って、言ったよな?」

馬鹿にし過ぎだぞ。

「言いましたが?」

「王女様に会って何をする気かな?」

「駆け落ちに誘おうと思ったんですが、王女様がフラレたんで、駆け落ちしないで、正攻法でいきます。」

「なぜ駆け落ち?」

駆け落ちって、両思いの恋人がするんじゃないのかな。

「ロマンスですよ。」

「王女様と侯爵子息の駆け落ちなんて、困窮する未来しか見えないぞ。」

「そこは、愛があればなんとかなります。」

その愛は、愛と書いて、お金というルビがふってある種類の愛じゃないかな?

「愛が、というか、侯爵子息は、王女様が好きなのかな?
王女様が、侯爵子息が好きだとは聞いたことがないんだけど。」

一方的な、熱い想いでしでかすことを、ロマンスではなく犯罪と呼ぶんじゃないかな。

誘拐とか、拉致とか。

「今は、まだ、私の片思いですが、これから好きになってくれます。」

「その自信はどこから?」

「私は、尻にこだわりなどありません。王女様が王女様であれば、良いのです。」

王女様に、尻に興味がない、と言って口説いたら、最悪だぞ?

「王女様の気持ちは?」

「クロード様にフラレたなら、王女様には私しかいません。

王女様をフるなんて、女を見る目のなさにひっくり返りそうになりました。

略奪婚の準備が無駄になる日が来るなんて。

私もなかなか、若輩者でした。」

王女様を恋愛的に好きなのか、王女様の肩書きがあるから好きなのか。

オレの恋愛経験値では、皆目見当がつかない。

王女様は、クロードが好きだったから、今は、ドリアン王国の侯爵子息の片思いの状態。

クロードと侯爵子息の性格と見た目が違いすぎて、サーバル王国の王女様が、侯爵子息に惚れ込む図が、今のオレには想像できないぞ。

クロードは、カッコいい男。

侯爵子息は、カッコいいより、秀才っぽい雰囲気。

追いかける恋より追われる恋が、失恋には効いたりするのかな?

ドリアン王国の侯爵子息であると確認がとれたら、ケレメイン大公国にドリアン王国の侯爵子息が追いかけてきたことは、王女様に伝えておかないとなー。

それにしても。
略奪婚の準備って、サラッと白状していたぞー。

まずは、ドリアン王国に、身元の確認だなー。

スパイに自由にさせ過ぎたかな?

愛こんにゃく家の結婚式が終わったら、キュッとしめてみよう。

川を堰き止めたら。

たくさんスパイが釣れるかなー。

侯爵子息は、ミーレ長官にお任せした。

オレとクロードは、今から夫婦の時間。

オレは、クロードを引っ張り、寝室へ急ぐ。

愛は増幅するもの。

さあ、二人っきり。

やるぞー!
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