《本編 完結 続編開始》29歳、異世界人になっていました。日本に帰りたいのに、年下の英雄公爵に溺愛されています。

かざみはら まなか

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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

340.廊下で、青春ができるのは、学び舎の廊下だからです。オレの尻に、クロードからの愛の伝道師の役割は、荷が重いから、辞退したいと思います。

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日本にいた頃。

「京都の宇治川の川べりには、等間隔でカップルが並ぶって聞いたんで、見に行ったんですよー。」
と後輩が言った。

「どうだった?」

後輩は、日帰り弾丸旅行が好きだった。

「うちの高校の窓辺とそっくりでしたー。いやー、懐かしかったっすー。」
と後輩。

どのへんが、そっくりで、何が懐かしかった、なのか。

オレには、さっぱり分からなかった。

「高校から川が見えていたのかな?」

「いやー。違うっす。うちの高校は、青春系なんで。」
と後輩。

「青春系っていうのが、分からないんだけど、部活の話?川べりを走る系?」

「そういうのじゃなくてー。
学校の廊下の窓の間隔がいい具合なんすよー。

カップルが並んで話すときに、向かって右側を空けると、等間隔で並べるんすよー。」
と後輩。

「廊下の窓にカップルが並ぶ高校があるんだなー。」

「窓の場所は、カップルになった時期が、早い順で選べるんすー。」
と後輩。

「早いもの順なら、公平だなー。」

青春。
オレには、無縁な単語だと思ったなー。

「別れると、場所は、リセットされるんす。

人によっては、お気に入りの窓が決まっていて、相手が変わっても窓の位置は、毎回同じなんすよー。」
と後輩。

「お気に入りの窓は、形が違うのかな?」

「その窓で待っている自分が、一番可愛く見えるんだって、卒業後話していたっす。」
と後輩。

「彼氏を待っているときの見せ方まで、計算するって、天才だなー。」

オレは、現実逃避している。

廊下で、香油を取り出そうとしたクロードに、寝室がいい、と訴えているんだけどなー。

クロードの今日の部下が、空気をよまないんだよなー、壊滅的に。

「こっちは、仕事なんですが?四時間も待てませんけど。
場所なんて、どこだって同じですよ。
ほら、さっさと済ませてください。」
とクロードの部下。

屋敷の主人とその伴侶の夫婦生活に、主人の部下が、口を出すな!

そのとき。
オレは、今さらオレの評判なんてどうでもいい、と心底思った。

悪妻上等。

クロードに仕事をさせずに、寝室に引きずり込むのは、オレにしかできない。

「オレとクロードは、前戯から本番、後戯まで、時間をかけて愛し合うからなー。

みこすり半とは、無縁なんだよなー。

あんたは、あんたの相手と、さっさと済ませたらいいんじゃないかな?

とりあえず、あんたは自宅に帰れ。

相手がいないなら、ソロプレイで出しきってから、四時間経ったら戻ってこい。

オレは、あんたが、城の中でナニを放出するのは、賛成しない。

ナニを溜め込まずに出してしまえば、周りを見る余裕が、少しは出るんじゃないのかなー。」

オレは、口が悪いぞ。

強盗は、さっさと出すもの出しやがれ、というけど。

出すもの出しに帰って、四時間は戻ってくるな、というのが、オレだからな!

あと、オレは、見せながらするのは、好きじゃないから、踏み込むなよ。

分かったか?

フリじゃないからな?

絶対に踏み込むなよ!

クロードは、香油の量を廊下で確認するな。

「クロード、香油は寝室で使うものだよな。廊下にいる今はしまおう、な?」

「ヒサツグ。
寝室まで、何もしないで、ただ歩くよりも、ヒサツグを解しながら移動する方が、ヒサツグの素晴らしさを認めさせる近道になる。」
とクロード。

クロード、解しながらって、オレの尻をか?

「尻を出して、廊下を歩いたりはしないぞ、オレは。」

「ヒサツグを歩かせたりなどしない。」
とクロードは、きっぱりと言い切る。

クロード。
尻を出しながら、が、おかしいんだぞ?

「ヒサツグを抱き上げるのは、私の役目。」

うん?

「ヒサツグを抱き上げた状態で、ヒサツグの尻を解す。
私は、やり遂げてみせる。
ヒサツグへの愛を証明してみせる。」
とクロード。

クロードが、廊下で、決意を語ってくれたけど、なんでそんな決意をしたのか、オレには、ちんぷんかんぷん。

「クロードの愛の証明は、別の方法じゃだめなのかな?」

「他の証明を試してみたが、愛するヒサツグの尻に包まれる私の至福を理解した者はいなかった。」

クロードは、オレのいない場所で、誰に、何を語っていたのかな?

具体的には、部下に、だけどさ。

続きを聞きたくないかもしれないぞ。

「ヒサツグの尻の素晴らしさを広く伝えることで、ヒサツグの良さも浸透していく。」
とクロード。

クロード。
オレの尻に、クロードからの愛の伝道師のお役目は、荷が重いかなー。

ひょっとして、今日の部下に、オレへの愛を証明しようとした後なのかなー?
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