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第9章 オレはケレメイン大公国の大公妃殿下です。

332.オレが、することは、統治者として、希望を与え、将来のビジョンを示し、一緒に働きたいと熱意を取り戻してもらうことです。(働き手募集。)

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サーバル王国から来た人は、元々のポテンシャルが低くないと、オレは睨んでいる。

王女様に任せる属国のブレーンになる人を寄越しているならさ。

そういう人は、働かされているという、させられている感覚でも、悪くない仕事をすると思う。

でも、意欲的に仕事に取り組めば?

今からオレは、王女様のブレーンになる予定だったのに、王女様共々左遷が決まったとやる気のなくなった人の興味をひいて、やる気を芽生えさせる。

「オレは、異世界人。

この世界では、常識外れと謗られるだろう大公国をクロードに興させたのは、オレの閃き。

オレとクロードは、オレとクロードが、二人で並んで生きていくために最善を尽くしてきた。

オレは、クロードに常識外れな行動を取らせたと後になって知ったけど、先の決断を後悔はしていない。

なぜだか分かるかな?

今は常識外れとされているものだけど、いずれ常識に変えていくからな。

世の中というのは、先駆者の後を追いかけるものなんだ。

国策として、国同士で協力して何かを成し遂げ、その成果を世界にお披露目する方法。

婚姻に縛られない新たな外交手段をオレは、異世界から持ち込む。

この世界に、異世界の外交手段を持ち込んだ結果が吉と出るか凶と出るか。

結果が分かるのは、何十年か経ってからになる。

いずれにしろ、何十年後の国同士の関係は今と同じじゃなくなるぞ。

オレは、ケレメイン大公国を諦めない。

クロードと興したケレメイン大公国を存続させるために、この世界に常識を変えてもらう。

オレは、婚姻外交に代わる新しい外交手段として、国同士での協力を推し進めるつもりでいる。

最初は、交流から始めよう。

新しい手法が馴染むまで時間がかかっても、構わない。

馴染めば、浸透するまで時間はかからない。

人は、便利な手段が好きだからな。

婚姻外交以外で国同士が結びつく手段が増えたらどうなるかな?

世界のパワーバランスが変化するぞ。

オレは、ケレメイン大公国を、いつまでも、世界の中の埋もれさせている気はない。

オレが大公妃としてクロードの隣にいるからには。

ケレメイン大公国の名を世界に轟かせる。」

王女様の後ろにいるサーバル王国の人が、オレを凝視している。

ノッてこい!

オレが用意する仕事の舞台は、属国の自治という閉じた国の中で完結しない。

この世界全部だ。

オレについてきたら、世界そのものに、挑戦させてやる。

仕事ができる、と見込まれて、抜擢されたんなら、母国の隅でくすぶっているのは、性に合わないだろう?

「木っ端のままじゃ終わらない。
ただ、一つ一つ段階を踏まないと、足元が危うくなる。
オレは、急成長することは望んでいない。

ケレメイン大公国に生まれた人は、異世界人のオレや英雄クロードがこの世を去ってからも、ケレメイン大公国民として生きていく。

オレやクロードがいなければ、成り立たないような仕組みは、後世に残さない。

ケレメイン大公国の国民には、何世代後になっても、いい国に生まれた、と言わせたいからな。」

オレは、統治者。

下の者に、希望を与え、ビジョンを見せて、従いたくさせる。

それがオレの役目。

オレは不敵に笑いながら言ってやる。

「オレは、この世界の常識に挑戦して、住みやすくすると決めた。」

サーバル王国の人は、何やら考えている。

「新しい試みには、誰もが尻込みする。
最初に手を挙げる人と、二番目以後に手を挙げる人と、どちらがより強力な関係を築き上げられるかな?」

「共倒れもありうる、ずべし。」
とサーバル王国の人。

「本番で成功させればいい。

初めての試みは、小さな失敗や衝突を繰り返してこそ、本番で成功する。

成果として記録に残るのは、成功した本番。

人々の記憶に残り、関係を築くのは、本番までの道のり。

サーバル王国の人は、背水の陣で、ケレメイン大公国の属国化に臨んだ結果、女神様の裁定が下った。

何も成果を出さないまま帰国して、長い人生を投げやりに過ごすより、サーバル王国で見込まれたポテンシャルを活かしてから帰ってみたらどうだ?

帰国する前に、評価を一転とまではいかなくても、どん底から浮上するぞ?

オレ、本番では、成功以外の成果を認めないからな。

サーバル王国に帰国後は、予定通り、ケレメイン大公国のために仕事に精を出してくれ。

オレは、勤労意欲溢れる優秀な働き手を求めている。

さあ。
オレの腹の内はさらけ出した。

考える時間は、短縮できたんじゃないかな?」

最後は、手の内を明かしたと話して距離を詰める。


日本にいたときのオレが人前で説明したのは、偉い人が現場に来たときに、商品の解説をした一回のみ。

頑張ったぞ、オレ。
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